2020年1月17日金曜日

スマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」がロービジョンの生活を改善する?


2020年1月16日、米国カリフォルニアに拠点を置くスタートアップMojo Visionは同社が開発中のスマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」のコンセプトを発表した

Mojo Lensは超小型のディスプレイを搭載したハードタイプのコンタクトレンズ。スマートフォンの画面を見たりxRグラスなどを用いずに、現在見ている視界に重ね合わせてあらゆる情報を得られるという、なんとも未来的なデバイスだ。
同社はこの体験を「インビジブル・コンピューティング」と名付けている。

Mojo Lensには、極小・高密度のダイナミックディスプレイ、電力効率の高いイメージセンサー、視線追跡および画像安定化のためのモーションセンサーなどの先進的で独自の技術が盛り込まれている。
中でも2019年5月に発表された「Mojo Vision 14K PPIディスプレイ」は、14,000ppiを超えるピクセルピッチと200Mppiを超えるピクセル密度を持つ、世界トップクラスの技術を持つという。
現時点ではメインとなる処理やネットワーク接続は手首に装着されたデバイスで実行され、電力とともに独自開発されたワイヤレス技術を用いてコンタクトレンズへ送信される。同様にレンズのセンサーから得られた情報もワイヤレスで伝送される仕組みだ。
このデバイスは10年もの間秘密裏に開発が進められていたという。

発表会では実際にレンズを装着することはできなかったようだが、視線追跡機能を搭載したVRヘッドセットを用いたデモンストレーションが行われた。デモでは視野の中に出現する情報や視線の動きを用いたユーザーインターフェイスが説明された。
たとえばスマートフォンからの通知を受けたり、天気やスケジュールの確認、現在地のさまざまな情報などを、現在見ている風景にオーバーレイして表示してくれるという。表示やアプリのコントロールは視線の動きで行う。地図アプリと連携すれば、進むべき方向を矢印で示したりできるようだ。医療現場や製造工場、メンテナンス業務などにおけるスマートグラスの置き換えも想定されている。
まあ、これをどこまで便利に思うのかは人それぞれだとは思うが、画期的なデバイスであることは間違いないだろう。アイデア次第では、スマホやコンピューターの使い方を根本から帰る可能性を秘めている(かもしれない)。

そしてMojo Lensがまず実現させようとしているのが、網膜色素変性症や黄斑変性などの眼病が要因で視力が低下し、日常生活に不便を感じているロービジョンの人々の支援だ。
レンズに搭載されたイメージセンサーで撮影した映像のコントラストやカラーを調整したり、物体の輪郭を強調、拡大縮小処理などを施すことで、そのような人々の「見え方」を改善しようというわけだ。
たとえば夜盲の人が暗い場所で自由に移動できたり、視野が狭い人が残された部分を拡大縮小させて視力をコントロールする、といったことが特別なデバイスを用いずに実現するかもしれない。
このようなデバイスはすでにメガネ型の製品が実用化されているが、価格はともかくお世辞にもスタイリッシュなものとは言い難い。コンタクトレンズによる視覚補整が実現すれば、ニーズは確実にあるだろう。
同社はカリフォルニア州パロアルトにある視覚リハビリテーション施設「Vista Center for the Blind and Visually Impaired」と提携し、視覚障害当事者の協力を得ながらレンズの開発とテストを行なっている。

Mojo Visionがロービジョン支援を優先させるのには理由がある。
このレンズを市場投入するにはFDA(アメリカ食品医薬品局)による承認が不可欠。そこで同社は「FDA breakthrough Program」の認定を受け、FDAと連携することで、このプロセスを加速させようとしているようだ。これは医療・健康に関わる重要な技術開発の促進を目的としたプログラムで、製品審査や臨床試験において優先的なやりとりが行われるという。ロービジョン市場の規模は小さいが、目先の利益よりもまずより早い市場投入を目指しているということのようだ。

Mojo Lensはまだ研究開発段階であり、リリース時期は未定。先述のような状況から考えると、まず米国でロービジョン向けのデバイスとして実用化され、それに続いて一般向けにリリースされるという順番になるだろう。

ある意味、究極のウェアラブルディスプレイといえる「Mojo Lens」。
日の目を見るのはいつになることだろうか。


2020年1月16日木曜日

[CES 2020] 視覚障害者向けスマートグラス「Envision Glasses」発表。


iPhone/Android用画像認識アプリ「Envision AI」で知られるオランダのスタートアップEnvision社は、CES 2020ではEnvision AIの技術を応用した視覚障害者向けのスマートグラスを出展した。
CES会期中はあまり情報が入ってこなかったのだが、2020年1月14日、その新しいデバイスの概要が公式に発表された
その名は「Envision Glasses」。

Envision AIはカメラで撮影したテキストや人物などを画像認識AIで解析しその内容を音声で読み上げてくれるアプリ。アプリ版はすでに多くの視覚障害者に利用されており、早い段階からスマートグラス対応の要望が寄せられていたと言う。
Envisionはその声に応えるべく試行錯誤を続け、満を辞して登場したのが「Envision Glasses」。単体でEnvision AIの画像認識機能が利用できるスマートグラスだ。

ハードウェアは独自設計ではなく、2019年5月に発売された「Google Glass Enterprise Edition(第二世代)」を採用。わずか46グラムという軽量、そして一般的なメガネと違和感の少ないデザインが特徴で、フレームには好みのレンズをいれることができる。
スマートグラスというと、どうしてもゴツい姿を思い浮かべてしまうが、その心配は少なそうだ。もちろん使用中はフレームから延びるケーブル類は一切ない。

フレームの左側には800万画素のカメラが搭載されており、側面のタッチパッドの操作でEnvisionのアクションを選択しアプリ版と同様の画像認識機能(文字の認識、人物の顔や色の識別、風景の説明など)が利用できる。ウェアラブルになることで、いちいちスマートフォンを取り出す必要がなくなるのは、特に外出や作業中には便利そうだ。

またEnvision Glasses独自の機能として「ビデオ通話」が追加されている。カメラで撮影した映像をストリーミングし、遠隔サポートを受ける時などに利用できる。要するに晴眼者と接続し「Be my eyes」や「AIRA」のように、向いている方向の映像を見てもらいながら色々手伝ってもらえる、と言う感じ。これ、なにげに目玉機能な気がする。

Google GlassはAndroid OSを採用しているが、標準の音声読み上げ機能「TalkBack」には対応していない。そこでEnvisionは独自に音声読み上げ機能を開発し実装したとのことだ(この辺り、日本語ローカライズの障壁になりそう?)。
音声は内蔵スピーカーもしくはBluetooth/USB-C接続のイヤホンから出力される。
なおGoogle Glassには液晶ディスプレイが内蔵されているが、Envision Glassesでは使用しない。また音声による操作はできないようだ(対応してほしいなあ)。

ネットワーク接続が必要な機能についてはWi-Fi接続、もしくはBluetoothでスマートフォンと接続することで利用できる。
バッテリーはUSB-Cポート経由で充電し、最大で8時間駆動可能という。物理的な電源ボタンがあるので、使いたい時だけ電源を入れるような運用もできそうだ。

気になる価格は、まだ未定。
現段階の見積もりでは1,000から1,500ドル程度とのこと。Google Glassの価格が999ドルということを考えると、これはかなり良心的というか戦略的な価格設定。一般的なガジェットと比べると高価に聞こえるかもしれないが、3,000ドル、5,000ドルが当たり前の視覚障害者向けスマートデバイスの世界では破格と言える。

発売予定は2020年7月。それに先立ち3月に米国で開催されるCSUNにおいて予約キャンペーンを実施するとのことだ。


2020年1月14日火曜日

[CES 2020] SAMSUNGとロービジョン向けデバイス「Iris Vision」が業務提携。


ロービジョン向け視覚補整スマートグラスを開発・販売する米国Iris Visionが、SAMSUNGとのパートナーシップ提携を発表した。
Iris VisionはSAMSUNGのスマートフォンGalaxyシリーズとVRゴーグルを用い、カメラで撮影した映像をリアルタイムで処理し、ロービジョンの生活向上を目指す製品。すでに北米を中心に数千人のユーザーを獲得している。(関連エントリー

この業務提携によりIris VisionはSAMSUNGと連携し、5gやxRといった最新の技術を次世代スマートグラス開発に活用したい考えだ。

さらにSAMSUNGの世界規模のネットワークを活用し、Iris Visionの処方をリモートで行うなど、販路の拡大も視野に入れている。

Iris Visionは視覚補整スマートグラスとしては比較的安価なソリューションであるため、この提携によって入手性が高まれば、恩恵を受けられるユーザーが増えるかもしれない。



[CES 2020] 点図にも対応?点字タブレット「Tactile pro」登場。

Tactile Pro(画像引用元

目から情報を得られない視覚障害者にとって、写真や図形、グラフといったグラフィカルな情報を扱うのは非常に困難だ。
駅の案内板などで見かける、隆起した点の集まりで絵や図形を表現する「点図」や、盛り上がる特殊インクやファブリックなどを組み合わせた「触図」など、触れることでグラフィックを感じる手段は存在している。だがいずれも制作には専用機材が必要であり時間もコストもかかる。手軽に利用できるようなものではない。
結局、日常的に扱われるグラフィック情報については「ことば」で説明してもらうのが、ほぼ唯一の手段というのが現状なのだ。

韓国PCT社はCES 2020において、視覚障害者向けのタブレット端末「Tactile Pro」と、点字の学習に重点をおいたバージョン「Tactile Edu」を発表した。この製品はCES 2020イノベーション賞を受賞している。

Tactile ProはWebやメール、メッセージ、電子書籍などのコンテンツを点字と音声で利用することができる視覚障害者向けのAndroid OSを搭載したタブレット型端末だ。
一般的な点字ディスプレイのようにテキストを点字に変換して指先で読むだけでなく、コンテンツ上のイメージを、リアルタイムに点図としてレンダリングし、写真や図を指で触れて感じ取ることができるのが最大の特徴という。点字のリフレッシュ速度は役0.3秒と高速だ。

例えばスクリーンリーダーでWebを閲覧する場合、見出しから本文へと順番に音声または点字で読み進めていく。その途中でイメージにフォーカスされると、通常はイメージに設定されている代替テキストが読み上げられる。
あくまでも想像ではあるが、Tactile Proではこの瞬間に画像の内容が点字ディスプレイの解像度に自動変換され、ピンの隆起でレンダリングされるイメージだろうか。
点図の表現力や触覚で得られる情報には限界はあるが、それでも代替テキストだけの場合と比べると得られる情報量は圧倒的に増えるだろう。このデバイスは視覚障害者の情報取得の幅を大きく広げる可能性を持っている。
うーん、筆者は公式Webの写真も動画も見ることはできないけど、想像するだけでワクワクしちゃうね。

ソフトウェア的にはWebブラウザや文書作成、電子書籍リーダーなどの基本的なアプリに加え、点図表示をコントロールするアプリなどもバンドルされる。
多言語にも対応し、点字キーボードから入力したテキストを他の言語に翻訳しつつ点字に変換する、といったようなこともできるようだ(日本語に対応しているかは不明)。
点図を実現したハードウェアも画期的だが、これを100%生かすようなソフトウェアが用意されていることにも期待したい。

現時点ではまだ情報が少なく、詳細なスペックや価格、発売日などは不明。
これまで点図専用ディスプレイは製品化されていたが、非常に高価なものだった。タブレット一体型のTactile Pro、どれくらいの価格になるのだろう。
点図タブレットといえば以前「BLITAB」が話題になったが、まだ製品化されたという話を聞かない。Tactile Proは「世界初の点図タブレット」としてデビューできるのだろうか?
あまりきたいしすぎない程度に待ちたい。



2020年1月13日月曜日

[CES 2020] 発売間近。「Code Jumper」はプログラミング教育を変えるか。

Code Jumper Kit (画像引用元

Code Jumper」は、視覚に障害を持つ子供のためのプログラミング教材だ。
米MicrosoftとAmerican Printing House for the Blind(APH)が共同開発し、CES 2020イノベーション賞を受賞。プロジェクト自体は昨年発表されていたが、CESでは発売間近の製品バージョンがお披露目されたようだ。

職域が制限されがちな視覚障害者にとって、雇用はいまだに大きな問題だ。そのような状況の中、プログラミングが雇用に直結する重要なスキルとして注目を集めている。
プログラミングスキルの習得のためには、できる限り早い段階から学習を始めることが重要となってくる。だが視覚障害者がプログラミングを学ぶためにはまずスクリーンリーダーによるPCの操作方法をマスターしなければならず、特に子供がプログラミングを学ぶための大きな障壁となっていた。
一般的に流通している子供向けのプログラミング教材の多くは視覚的であり、ドラッグ&ドロップによる操作は視覚に障害を持つ子供は利用できない。これは学校におけるプログラミング学習の格差の要因ともなっている。

この問題を解決するかもしれないのが「Code Jumper」だ。
Code Jumperにはカラフルに色付けされた様々な形状のブロック(それぞれに命令コードが割り当てられている)とこれらを接続するハブが含まれる。視覚に障害を持っていても、ブロックの形や色、印刷された大きな文字を手がかりにブロックを組み合わせてプログラムを作成できる。組み立てができたら実行ボタンを押すことによりプログラムに応じた音声が再生される仕組みだ。
子供達はブロックの組み変えと音声フィードバックを繰り返しながら、命令のシーケンスやループ、分岐、変数、デバッグといったプログラミングの基礎を遊びながら学ぶことができるという。専門知識を持たない教師のためのガイドやオンライントレーニングなどのサポートも充実している。

Code Jumperで得られたスキルと楽しいプログラミング体験は、PCによるプログラミング言語学習へのハードルを大きく下げるだろう。実際、実証実験に参加した後にPCでのPython学習に進んでいる生徒もいるとのことだ。
もちろんこれは障害を持たない子供にもとても役立つ。パソコンの画面だけで学習するよりも、カラフルでユニークな形、しかもおしゃべりするブロックの方が興味を引くことは間違いないはずだ。障害を持つ子供と障害を持たない子供が、一緒に楽しくプログラミングを学習できる、それがCode Jumperの魅力の一つだろう。

現時点でCode Jumperは英語でのみ利用できる。
APHは販売チャネルとしてカナダHumanWare社と提携しており、2020年の早い時期に北米と英国、オーストラリアで発売予定だ。他の言語や地域への拡大も計画されている。



2020年1月9日木曜日

[雑記] 盲人と象のお話。


少し前になるが、このようなニュース記事を読んだ。
これはインド、ケララ州Kottoorにあるthe Elephant Rehabilitation Centreで開催された象のイベントに盲学校から23人の生徒が招待され、象の模型や象の皮に触れたり雑煮関する様々なレクチャーを受けた、という、実にほのぼのとしたトピックスである。

そう、インドといえば象である。
インドを訪問したことはないが一昔前の日本の野良犬よろしく、街中に野良象がウロウロしている、というイメージがあるが多分それは間違ってるはず。
調べてみると観光地の象がひどい目に遭っていたり野生の象が人を襲うなんてニュースがあったりして少しションボリしてしまった。でもヒンドゥー教にはガネーシャという象の神様もいるし、インドの人々にとって象は文化に深く根ざしている「特別な動物」であることは、今も昔も変わりはないだろう。

ただ生まれつき目が見えない者にとって、象がどのような姿をしているのかを理解するのはとっても難しい。
「大きい、四つ足の動物」
「鼻が長い」
「牙がある」
「おっきい耳」
「つぶらなお目目」
そう言葉で説明されてもピンとこない。
小さな動物であれば手で触れて全体の姿を確かめることはできるが、象ともなると子供の象でも結構でかい。下手すると踏まれてしまうかもしれない。
となると、先述の記事のようなレクチャーが重要になってくるのだろう。

さて「インド人と象との関わり」について、あれこれ調べていると、とあるインド発祥の寓話が出てきた。
要約すると「盲人は象の一部分しか触れることができず、触れた場所によって象を違った言葉で表現する。展示て、異なった考えを持った同志、お互いの意見を尊重するべき。」といった感じ。この寓話は微妙に姿を変えつつ、世界中に広まっているようだ。
ここで一つわかることは、古今東西の人々に「目が見えないと象の全体像を掴むのは大変」という共通の認識があるということだろう。
Wikiを読んでみると、地域によって、この寓話の意味というか教訓のニュアンスが微妙に異なっているのも興味深い。これはその地域での「盲人観」の現れなのだろうか。結構、当事者としてなんだそれと思ってしまうものもある。

そういえば各地に古くから伝わる寓話や諺、格言には結構「盲人」が出てくる。今はもう使われなくなったものも多いが、それを含め世間一般が盲人をどのように見ていたのかを表す歴史的な資料として調べてみるのも面白いかもしれない。というかもうすでに研究がありそう。今度探してみようと思ったのだった。


2020年1月4日土曜日

2019年、気になったあれこれをざっくり総括。


2020年を迎えるにあたり、今更ではあるが2019年に起こったあれこれを振り返ってみることにした。個人的に興味を持っているのはテクノロジーやガジェット、アプリケーションが中心。しかもメインは視覚支援ということで、かなり偏りはあるとは思うが、視覚障害者としてワクワクしたり考えさせられたことなどを6つのキーワードにまとめて見た。
それに続いて筆者が日々発信してきた情報から印象的だったトピックスを月別にまとめている。アーカイブのダウンロードもあるので、ご興味あればどうぞ。
まあ思いつきのメモ程度なので、こんなこともあったのね程度に読んでいただければ幸いである。2020年もよろしくお願いいたします。


その1:2019年に気になった6つのキーワード。


1. 画像認識AIアプリ。

スマホのカメラで撮影した文字や物体を解析し、読み上げるアプリは以前から存在はしていたが、日本ではあまり注目されてこなかった。それはローカライズの問題だったり実用性に対する疑問もあったかもしれない。
この状況を一変させたのが、2019年のサマーセールで一躍脚光を浴びた「Envision AI」だろう。リアルタイムのテキスト読み上げ機能は、多くの視覚障害者の生活を大きく変えたのではないだろうか。筆者が勝手にライバル視している「Seeing AI」も少し遅れて日本語のリアルタイム認識や年末には日本語化もされ注目された。この2アプリの進化は今年もよう注目である。特にシーンやオブジェクト認識精度の向上に期待。
このほかにも、Googleの「Lookout」、そしてiPhone版のリリースが待ち遠しい「Sullivan plus」など、このジャンルはまだまだアツい気がする。

2. Apple製品。

なんだかんだ言っても、毎日触れ情報取得の基本でもあるスマートフォンやパソコンの変化は日常生活に大きな影響を及ぼすものだ。それは障害のある、なしに関わらず。
で、iOS13。リリースからしばらくはバグも多くストレスもあったが、新機能であるカスタムコマンドやアクティビティは、いまやこれなしではいられないほど便利に使っている。たぶん2020年はiOS14だと思うけど、安定するまで導入はやめようかなあ。でも無意識にインストールしてると思う。
macOS Catalinaの方が微妙かな?動作が重くなっちゃったのは筆者のMacBookが古いのが原因と思うが、日本語Voiceover環境の改善はまだ遠そう。なぜか読みの不具合だけは改善されてるけど。あと今年はApple Watch買いたいです。

3. 屋内ナビゲーション。

2019年も、様々なスマートフォンアプリを用いた屋内ナビゲーション技術が開発されてきた。その中心となるのはBluetoothビーコンを用いる方式で、これはすでにイスラエルの「Righthear」など実用化されているものもある。国内ではこれまで実証実験が繰り返されてきた「Navcog」が、日本橋室町地区において「インクルーシブ・ナビ」として公開されたニュースは大きい。
一方で、ビーコンに頼らないナビゲーション技術にも注目が集まっており、特にスペインの「Navilens」はその使い勝手やコストの面で高い評価を得ている。また国内では点字ブロックにQRコードを敷設するタイプのナビゲーションプロジェクトが複数実用化に向けて勧められている。その一つ「Sikai」は今年中には社会実装が予定されているようだ。
これまで特に日本では技術的な話題が中心だったナビゲーション技術だが、今年はいよいよ本格的に社会実装が進められる年になるかもしれない。どんどん試してフィードバックしましょう。
屋内ナビについてはGoogle Mapsに視覚障害者向けの詳細な音声ナビが追加されたニュースが大きい。とにかくナビはビーコン、測位衛星、画像認識などハイブリッドな時代になりそう?でも同時に施設設備や歩行訓練など多面的アプローチが必要とも思うな。

4. エンターテイメントの包括性。

これは主に海外でのお話。
2019年には大手の玩具メーカーから多様性やインクルージョンを意識した多くの製品が登場した。車椅子や義足のバービー人形点字がついたUNO、LEGOは点字を学習するブロックと、スクリーンリーダーで読むことができるテキスト版組み立てマニュアルをリリースしている。またプログラミング教育をアクセシブルにするMicrosoftの「Code Jumper」にも注目が集まっている。
一方、美術館や博物館、劇場や映画館などの文化施設のインクルージョンに関するニュースも目立っていたし、映画などのメディア制作現場の障害者雇用の議論もよく見られた。
他ジャンルと比べアクセシビリティ的には遅れているイメージが強かったゲーム業界でも、米国ではCVAA法の影響もあり、少しずつだが障害を持つゲーマーを意識したタイトルや製品がリリースされるようになっている。その先人を着るのがMicrosoftだ。
とかく後回しにされそうなエンターテイメントのアクセシビリティだが、文化は生活を豊に楽しくするだけでなく、個人の考え方や思想にも大きく影響を与える分野だ。今年もこの傾向が一層加速することを期待したい。そして願わくばこの波が日本にもやってきて欲しいな。あまり期待はできないけどね。

5. Webアクセシビリティ。

アクセシビリティ関連で2019年、最も注目されたトピックスの一つが、米国ドミノのWeb訴訟の行方だった。結果としては最高裁判所がドミノの上告を棄却し、原告である視覚障害者の訴えを認めた第九巡回裁判所の判決が確定、事実上ドミノの敗訴という結果になった。
この訴訟は、障害者がWebを利用できないことが、公共施設のアクセシビリティを義務付けるada法に違反するかどうかが焦点であり、多くの議論を呼んでいたが、最高裁による判断が下されたことで一応の決着がついた格好となった。それでも、果たしてどこまでが違反で、どこからが違反にならないのかの明確かつ法的拘束力のあるガイドラインが存在していないなど、このあたりまだまだモメそうな予感もする。それでも少なくとも米国ではWebアクセシビリティは否応なく進められるだろう。
一方で国内では、熱心に頑張っている方々もいらっしゃり筆者も大変勉強させていただいているのだが、大勢ではWebアクセシビリティに関する意識は低いと言わざるを得ない。代替テキストはいまだにレア、字幕も音声解説もない動画、配慮のないコンテンツ階層、果てはいまだに採用される画像認証やパズル認証。
障害当事者ユーザーとしては、地道にフィードバックしていくしかないのだろうなあ。跡アプリもね。

6. 読書のバリアフリー。

読書バリアフリー法案が可決し、にわかに動きが活発化してきた読書環境。点訳・音訳とそれに関わる出版社からのテキスト提供問題、電子書籍やPDFのアクセシビリティ、オーディオブックやPodcastなど読書にまつわる話題が多かった。この法律の影響が具体的な形として出てくるのはもう少し先になるのかな。この辺りは不勉強なので、今のところは1ユーザーとしてウォッチ中。コンテンツ提供側の議論と同時に、ユーザーの利便性にも注目していきたい。
個人的に困ってるのは、Macでのデイジー再生環境。情報元む。


その2:2019年、月別トピックス。


筆者はほぼ毎日、興味のある支援テクノロジー関連の情報をツイートしているのだが、その中から2019年に注目したトピックスを月別にまとめて見た。これもまた視覚障害者として偏りのある感じになっているのでご容赦願いたいのだった。
なおツイートした情報はテキストデータにまとめてこちらにアップロードしている(Zip形式)。ご興味あればどうぞ。

■1月

1/4 はじめての世界点字デー
米国でCVAA法がビデオゲームに適用。アクセシビリティを義務化。
ビヨンセの公式Webが提訴される
Birdbox challengeが流行
CES 2019開催
AirPodsのLive listenの裏技が話題に
米国、ドミノのA11Y訴訟。第九巡回裁判所で原告が勝訴。ドミノは上告。
Android 9にダークモードが実装される?
スマート白杖「WeWalk」、NYで実証実験。
Microsoft「Code Jumper」発表。
Bluetooth 5.1策定。測位精度が飛躍的に向上か。

■2月

Google「Live Transcribe」「Sound Amplifier」リリース。
アクセシビリティ関連の絵文字が承認。2019年秋にも登場。
Microsoft、新型HoloLens発表。
国内:パナソニックとJR西日本が大阪でARナビ実験。
国内:DNPなど、新宿駅で「HAND」実験。

■3月

3/18 点字ブロックの日。Googleのロゴも祝う。
インドで点字ラップトップ「DotBook」発表。
英国で視覚障害者に特化した自動運転車の実験開始。
CSUN 2019開催。発表いろいろ。
Seeing AI 3.0リリース。新機能「Photo explore」。
Google Lookoutリリース。まずは北米、Pixcel端末から。
iOS 12.2で導入されたAccessibility eventsに懸念の声。
国内:「Oton glass」がJINSと業務提携。
国内:radikoアプリのリニューアルでアクセシビリティが問題に。
国内:映画『ナイトクルージング』公開

■4月

4/18 イースター。世界各地でインクルーシブな催し。
LEGOが点字教育向けブロックを開発。
マイクロソフト、VRのアクセシビリティを向上させるツールキット「SeeingVR」発表。
Google、Chromeにリーダー機能を追加の動き。
Apple、iOS 12.3、macOS 10.14.5でAccessibility eventsを削除か?
ビデオゲーム「Sekiro」の難易度とアクセシビリティが議論に。
Switchに視覚サポート機能が追加される。
国内:iOS版radikoアプリのアクセシビリティがちょっとだけ改善。

■5月

5/16 世界アクセシビリティ啓発デー。
MicrosoftがXbox用点字コントローラーの特許を申請。
Google I/O 2019。アクセシビリティ関連の発表も多数。
AIRAがボストン近郊で無料サービスを試験提供。

■6月

EU、新車の電気自動車の低速走行時の音響装置を7月から義務化。
チリで皆既日食。視覚障害者も音と点字で観測。
Second Sightの脳インプラント型人工視覚「Orion」。
エルサレム旧市街でスマホを用いたナビゲーションを提供。
スペイン、スマホでマーカーを撮影し視覚障害者をナビする「Navilens」。
国内:読書バリアフリー法が成立。

■7月

Facebookのトラブルで、写真の自動代替テキストの存在に注目が集まる。
インド。触覚で識別できない紙幣に批判高まる。
米国スミソニアン博物館でAIRAサービスを提供。
iPadゲームで視覚支援教育「ObjectiveEd]。
国内:車椅子のバービー人形が日本でも発売。
国内:参院選で2名の重度障害者が当選。
国内:アプリで障害者を支援する「May ii」公開。

■8月

画像認識アプリ「Envision AI」、サマーセールで話題に。
LEGO、視覚障害者向けにスクリーンリーダー対応の組み立て説明書を公開。
作者も視覚障害者。盲目の少女が主人公のコミック「Unseen」。
音声アシスタントでWebを検索し内容を読み上げる「VERSE」発表。
国内:東京メトロ有楽町線で「Sikai」の最終実証実験。

■9月

9/10 Apple発表会。iPhone 11やiOS13などを発表。
米Amazon、Echo Shoで商品を識別する機能「Show and Tell」発表。
PC向けオーディオゲーム「The Vale」のデモ版がリリース。
Xbox用ゲーム「Gears 5」のアクセシビリティが超充実と話題に。
Samsung India、盲ろう者とのコミュニケーションアプリ「Good Vibes」発表。
米国Vispero、JAWSベースのキオスク端末を開発。
X・アンバサダーズ、視覚障害者を意識した音響だけのMVアプリ「Boom」をリリース。
国内:note、画像に代替テキストを加える機能をリリース。

■10月

米最高裁、ドミノに対するWebアクセシビリティ訴訟でドミノ側の上告を棄却。
海外で「Be my eyes」と各社の提携が進む。Google、Microsoft、NFB、P&Gなど。
モバイル向けオーディオゲーム「AudioWizards」リリース。
Apple、iOS13.2ベータで、新しい絵文字を追加。
Google、Chromeのイメージ解析機能を正式ローンチ。
「Orbit reader 20」が、新しい点字ディスプレイ用の標準HIDドライバへの対応を発表。Apple TV+。視覚障害者だけの世界を描くフィクション「See」発表。
米Mattel、点字を備えたUNOカードセットをリリース。
WHO、世界の22億人以上に「視覚障害」があることを、発表。
Googleマップに視覚障害者向けの「詳細な音声ガイダンス」機能を追加。
国内:東京、コレド室町に「インクルーシブ・ナビ」が導入される。
国内:Bose Frames販売開始。

■11月

11/1 点字の日。11/3までサイトワールド開催。
11/15 白杖のひ。
AIRA、MicrosoftおよびMoovitと提携。
韓国、TUAT、AIを用いた視覚障害者向け統合アプリ「Sullivan Plus」リリース。
Logitech、障害を持つゲーマーのためのコントロールキットをリリース。
「Code Jumper」がCESイノベーション賞を受賞。
Microsoft、ゲーム開発者向けにアクセシビリティに関するガイドラインをリリース。
国内:日盲連が「日本視覚障害者団体連合」に名称変更。
国内:公共交通機関のバリアフリー整備ガイドラインを改定。

■12月

12/3 国際障害者デー。
「「Seeing AI」がバージョン3.3で日本語化。
米国Comcastのアクセシビリティへの取り組み。
エミュレータ「 RetroArch」にゲーム内テキストの読み上げ機能を搭載。
インド、デリー。政府が市内400の飲食店やホテルに点字による情報提供を指示。
マドリードで開催されたcオp25で様々な支援技術を提供。
支援技術開発者の草分け、Jim Thatcher氏が死去。


支援技術関連記事まとめ(2022年11月)※お知らせあり。

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