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2019年1月9日水曜日

視覚を使わずカードを判別する方法を考えてみる。


油断しているといつの間にやら増殖しているのがお財布の中のカード類。キャッシュカードやクレジットカード、ポイントカードなど、定期的に整理しないといざ取り出そうとした時にまごついて周囲から白いめでみられる、なんて、よくあるお話。
ましてや見えない・見えにくいとなると、その難易度は一気にアップする。

重度視覚障害者である筆者が大量にあるカードの山から使いたいカードを取り出すにはさまざまな工夫が必要だ。一般的な小物であれば点字シールなどを貼付する方法もあるが、カードではこの方法は使えない。ATMや決済端末を通す際にシールが剥がれてしまうと、故障などトラブルの原因になりやすいからだ。

通常はお財布やカードホルダーに入れたカードの場所とカードの種類を覚えておき、使ったら元の場所にしっかり戻すという作業が基本となる。しかし外出先で慌てているといつの間にかカードの場所が変わってたりするのが悩みのタネだ。いろんなカードをお店の人に晒して「これでしたっけ?」と尋ねるのはなんとも気まずい。いや、みられて困るようなカードは無いんだけどね。ほら、あれだ、プライバシー。
もちろん、このように見える人に確認してもらう方法もあるのだが、ポイントカードならまだしも、クレジットカードを他人に見てもらうのはちょっと抵抗感がある。それに券売機など、そもそも頼れる人がすぐには見つからないケースだってある。できるだけ自力でカードを判別するテクニックの習得が必要だ。

まず手がかりとなるのが「触覚」。
クレジットカードやキャッシュカードには、表面にさまざまな情報がエンボス(凹凸)で刻印されており、よく触って見るとそれぞれのカードで微妙にレイアウトが異なることに気がつくだろう。
例えば手持ちのクレジットカードはエンボスが3行あるが、キャッシュカードは2行。キャッシュカードでも一方は1行目の文字列が長いが他方は2行目が長い、といった具合。
指先の感覚が鋭ければ、エンボスの文字を判別できるかもしれないが筆者はそこまでの域には到達していない。残念。
またICチップの有無も触覚で判別できる。これは簡単。
むろん触覚とカードの種類を対応させるには見える人の助けが必要だが、一度覚えてしまえば以後は一人で簡単に判別できるようになる。

ちなみにエポスカードは、2018年6月から発行するクレジットカードに、判別用の「凸点」を刻印している。2018年のサイトワールドで展示があり実際に触れてみたが、他のカードとは明確に判別できた。おそらく独自の試みだと思われるが、他社でもこのような動きが出てくれば便利になるかもしれない。ただ英国ではこのようなカードが原因でパーキングメーターが故障してしまったという事例もあり、導入の難しさも感じられる。

ではポイントカードなどのエンボスのないカードは、どうやって判別するか。
こういう時に役に立つのは、やっぱりOCRアプリである。
OCRアプリの使い方についてはこちらのエントリーをお読みいただくとして、カードの判別にも威力をはっきしてくれる。ロゴやレタリングされた文字は読み取れないことも多いが、何らかのヒントは得られるだろう。

さらにここで試してみたのが、「Seeing AI」の「Short text」モード。このモードは識別したいものにiPhoneをかざすだけでリアルタイムに文字を認識するのだが、現在英数字しか識別しないため、利用できるシーンは限られていた。
だがカードを判別するくらいなら使えるのでは?という考えである。なおSeeing AIの使い方はこちらのエントリーをどうぞ。
結論から言えば、十分に使えると感じた。
もちろん英語の部分しか読み上げないのだが「MUFG」とか「BIC」とか「GOLD POINT」とか「SOFMAP]とか読み上げた(ずいぶんお店のジャンル偏ってるね)。手持ちのカードの大部分には英語表記が存在したため、それをうまくカメラで捉えられれば、それがどのカードかを推測できる。なお、カードの上下を正しく持ってiPhoneをかざすと認識しやすくなるようだ。
リアルタイム認識なので、急いでカードを探したいときに使えるだろう。

そういえばiOSの「wallet」アプリではクレジットカードをカメラで撮影して登録する機能があるが、この技術を分離して認識アプリを出してくれないものかなあ。

というわけで、カード判別にまつわるあれこれでした。
今後はQRコードやNFCによる決済が主流になり物理的なカードを使う機会は少しずつ少なくなる傾向があるが、それでもまだまだカードをお財布から取り出すシーンは無くならないはず。カード判別スキルはしっかり身につけておきたいところである。

クレジットカードについてはまだ決済時のアクセシビリティなどの問題も山積しているので、折に触れて書いていきたい。

2018年8月30日木曜日

AIRAで視覚障害者に「買い物の自由」を

視覚障害者の日常生活では、さまざまな「困りごと」が発生する。 電車に乗って出かけたい、届いた郵便物を確認したい、自分でお料理したい……など。 「買い物」も、その中の一つだ。 近年ではネットスーパーなどの食料品をWebから購入する手段が増えてはいるが、全ての視覚障害者がWebを操れる訳ではないし、やはりお店にふらっと出かけて並んでいる品物を選ぶ楽しみを体験したくなるもの。もちろん家族やヘルパーなどの援助を受けたり、店員のヘルプで買い物する方法もあるが、これもやはり「条件付き」の自由だ。 画像認識AIや屋内ナビゲーションで単独での買い物を支援する技術も開発されてはいるが、まだ実用には至っていないというのが現状。 米国で97の店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「Wegmans」は、全ての店舗で「AIRA」による視覚障害を持つ顧客のサポートサービスの提供を開始した。 AIRAはスマートフォンやスマートグラスを介して視覚障害者と訓練を受けたサポートエージェントをつなぎ、さまざまな支援を遠隔で行うサービス。スマホやスマートグラスのカメラで撮影されたリアルタイム映像をエージェントが確認し、音声通話で映し出された物品を説明したり、目的の場所までのナビゲーションなどを行ってくれる。 Wegmansを訪れた視覚障害者は、AIRAアプリを手持ちのスマートフォンにインストールし、ゲストアカウントでログインする。これで店内のWi-Fi接続でAIRAのサービスを無料で利用できるようになる。家族や店員の助けが無くても、好きな売り場へ移動したり、鮮度の良い野菜やフルーツを一人で選ぶ…といったショッピングを楽しめるのだ。 AIRAのサービスは個人契約(有料)が基本であるが、CES 2018などのイベントでサービスをスポット提供したり、米国のいくつかの空港で無料サービスを開始している。スーパーマーケットへの導入はWegmansが初とのこと。 スーパーマーケットと聞くと日本人は狭くて商品が細かく並んでいるという風景をイメージしてしまうが、米国のスーパーは一般的に通路も広く、陳列されている商品も大量かつ生前としているため、AIRAのような遠隔サポートも行いやすい。ショッピングカートを使えばスマホを使いながらでも買い物を楽しめる。 細かい仕様は不明なので、あくまでも想像だが、Wi-FiやBluetoothによる屋内測位でユーザーの位置を特定し、エージェントが店内マップを元に商品棚へ案内するような仕組みもあるのかもしれない。 筆者個人の感覚としては、買い物は結構パーソナルな行為と認識しているため、人力サポートのAIRAを使いたいか?と言われると「場合による」という感じではある。 だが、自分の好きな時間に、確実なショッピングができる自由は、大きな進歩といっていいだろう。 米国でトップクラスのチェーンであるWegmansは他にも、薬局カウンターやレジで聴覚障害者のコミュニケーションをサポートする「Hearing loops」や、自閉症を持つ顧客のために、BGMなどを止める「Quieter Hour」を定期的に設けたり、託児所などの保育サービスもいち早く導入している。売上だけでなく、顧客満足度でも常に上位をキープしているのは、このような包括的サービスも影響しているのだろう。 このような試みは、これまで閉ざされてきた障害者のニーズを掘り起こし、その結果、企業のイメージだけでなく業績にも貢献している好例かもしれない。 むろんこのようなサービスが、そのまま日本で提供できるかはわからないが、支援技術を活かし、少しずつでも障害者の「困りごと」が解消される未来を期待したい。 関連リンク: ・Wegmans Becomes the First Aira-Enabled Supermarket Chain in the United States - Aira / Aira ・Wegmans launches app to assist visually impaired customers | Food Dive

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