2020年3月23日月曜日

視覚障害者の生活を楽しく便利に。「みずいろクリップ」体験記。

みずいろクリップを手に持った写真。

「みずいろクリップ」は、物体の色を調べる「色判別」と飲み物をどこまで注いだかを調べる「液面検知」、そして「音声タイマー」という3つの機能を併せ持った、視覚障害者に向けて設計されたコンパクトな電子デバイスです。開発・販売しているのは、香川県に拠点をおく株式会社Raise the Flag.

このような視覚障害者専用の電子デバイスは市場が狭いこともあり高価格になりがちですが、みずいろクリップは4,980円(税別)という比較的リーズナブルな価格設定となっています。
ただ後述しますが電池交換やアップデート方法が少し変わっています。購入前にその点はチェックしておきましょう。

さて、このデバイスを使わせていただく機会がありましたので、その使い勝手や感想などを、中途全盲である筆者なりに書いていきたいと思います。

※製品の機能や価格は執筆時点のものです。最新の情報は公式サイトでご確認ください。


シンプルで明快な外観


まずはその外観を見ていきましょう。

スティック型の本体に、容器などに固定するためのクリップが取り付けられています。
全体の寸法は長さ131mm×幅19mm×奥行37mm(最大突起部)。手のひらにすっぽりおさまるサイズです。
この本体は上端部分が最も厚みがあり、下端に向かって徐々に薄くなっているデザインになっています。例えるなら電子体温計をひとまわり大きくして幅を広くしたような感じ?むしろわかりにくいかも……。

重さは約38グラムと、エプロンや胸ポケットに入れても気にならない軽さ。ツルっとしたポリカーボネートの手触りは丁寧な仕上がりになっています。ちなみに本体の色は上部約5分の1はブラック、残りは製品名の通り水色というツートンカラー。

本体の厚みのある上端に色判別センサー、薄い下端に液面検知センサーが備えられています。本体表面の上寄りには、このデバイス唯一のインターフェイスであるスライド式のスイッチがあり、センサーの位置に対応して「上にスライドすると色判別」、「下にスライドすると液面検出」機能が起動します。シンプルで直感的に機能を把握できる設計です。ちなみに使わない時はスイッチをセンター位置に合わせておきます。
本体の天地や2つのセンサー、スイッチの位置は触れれば理解できるので、全く見えない筆者でもすぐに全体像を把握することができました。

なお本体裏面、スイッチの真裏にあるスリットは小型スピーカーがある部分。みずいろクリップは防滴設計になっていますが、この部分に水分が浸入すると乾くまで音声が聞き取りにくくなる場合があるので注意が必要とのことです。


手軽に色を調べられる「色判別」機能


衣服のコーディネートなど、色の判別が必要な作業は視覚障害者にとってはとても難しいミッションです。また色の記憶がある中途視覚障害者であれば、周囲の色情報を知ることでその風景をイメージし、体験をより豊かなものにすることができるでしょう。

みずいろクリップの色判別機能は、そのような時に役立つかもしれません。

本体の上端にある丸い部分が、色判別用のセンサーです。
この部分を色を調べたい物に押し当て、本体スイッチを上方向にスライドさせると、色の名前を音声で知らせてくれます。一回の操作で認識できるのは一色のみ。複数の場所を判別する場合はその都度スイッチのオン/オフの操作を行います。なお判別できるのは単色で柄や模様は判別できません。

2020年3月現在、判別できる色は以下の14色。、

赤、オレンジ、黄色、黄緑、緑、
水色、青、紺、紫、ピンク、
茶色、白、灰色、黒

なお今後のアップデートで、判別できる色数の追加などが予定されているとのことです。

視覚障害者が色を判別する手段の一つとしてスマートフォンのアプリがありますが、その多くは外部からの光に影響されやすいというデメリットがあります。時間帯や天気、季節で太陽光の微妙な色は異なり、室内でも照明の色が判別結果に大きく影響します。調べる度に違った結果が読み上げられて混乱する経験は、この手のアプリを使ったことがある視覚障害者なら誰にでもあるのではないでしょうか。光色の他にも、スマホのカメラでは調べる場所をうまく捉えにくいというのも判別結果が安定しない一つの要因でしょう。

みずいろクリップの色判別センサーの横には小さなLEDランプが仕込まれています。
対象物に密着させてスイッチをオンにするとライトが光り色を判別します。そのため外部からの光に影響されず、常に安定した結果が得られるというわけです。またクローゼットの中など光量が不足しているような場所でも使用することができます。センサーを密着させることで、調べる場所を狙い撃ちできるのも利点でしょう。

逆に常にランプが照射されるため、光沢のある素材や光を透過するような素材では正確な結果は得られにくいようです。加えてその特性上、センサーを密着できないものの色を調べることも難しそう。幅広い用途を考えるとアプリとの併用がベターかもしれません。

また、やはり14色では細かい色を判別できないのが残念。
例えば筆者のクローゼットにある形や素材が似ているジャケット。「暗いネイビー」も「ダークブラウン」も「黒」と認識されてしまいました。筆者は中途全盲で持っている衣服の中には色を覚えているものもあるため、正確さというよりは別の色として判別して欲しいのです。このあたり、アップデートで改善されると良いな。
もちろん色数が多くなると音声から色をイメージしにくくなるなどデメリットもあるでしょう。このあたりに開発側のジレンマが伺えます。でも期待してます。

とはいえ「押し当ててスイッチ」というお手軽さは、ついついいろいろなものの色を調べてしまう楽しさがあります。
思わず部屋中の色々なものの色を調べまくってしまいました。壁紙の色、フローリングの色、窓枠の色……。今まで色があやふやだった頭の中の部屋のイメージが少しだけカラフルに書き換えられました。ハイテクガジェットを駆使しているというよりは、電子オモチャで遊んでいるような感覚。これはスマホでは味わえない面白さです。このあたりの「使うハードルのひくさ」がこのデバイスの真骨頂なのかもしれません。


飲み物のトラブルを解消する「液面検知」機能


コップに水を注いだりインスタント食品の容器にお湯を注ぐ時、うっかり注ぎすぎて溢れさせてしまったり、逆に全然注げていないことがよくあります。見えない・見えにくい人々にとっては日常茶飯事の失敗です。
結局指を容器の中に突っ込んで、どこまで注いだか調べたりしていました。ただこのご時世、ゆびで液面を調べるのは衛生的に問題がありそうですし、熱い液体でヤケドのリスクもあります。視覚障害者の中には液体を注ぐ音で注いだ量がわかる達人もいらっしゃると聞いたことがありますが、筆者はその域には到達できていません。残念。

そんな時に役立つのが、みずいろクリップの液面検知機能です。

スイッチを下方向にスライドさせると「注いでください」とアナウンスが聞こえます。
本体が容器の内側にくるようにセットし、注ぎたい位置がセンサー部分になるように固定します。あとは液体をゆっくり注ぎ、液面がセンサーの部分に触れるとアラームで知らせてくれる仕掛けです。
筆者は水や熱湯、コーヒー、牛乳くらいしか試せませんでしたが、たいていの液体は検知できるようです。あと注ぐ勢いが強いと、アラームが鳴ってから手を止める間に注ぎ過ぎてしまうことが多いため、ゆっくり注ぐか気持ち深めにセットするのがコツみたい。

本体には容器を挟むクリップが付いているのですが、挟み込む力はあまり強くはなく試した範囲では、ほとんどの場合手を離すとズレてしまいました。これはクリップを引っ掛けて容器ごと転倒させないための対策のようです。そのため液体を注ぐ際は、クリップと容器を片手でしっかりホールドしなければなりません。このあたりは少し慣れが必要かも。
なおクリップを固定するアタッチメントが現在開発中とのこと。注ぐ方の容器を片手で持つのが難しい場合などはそのようなものがあると便利でしょう。

あと注意が必要と感じたのは衛生面。
使用する前後はしっかり洗浄することはもちろんですが、使い捨てのカバーなどがあると安心かもしれません。ちなみに本体を食品用ラップで包み実験したところ、正常に検知できました。もしかしたら少し隙間があったのかもしれませんが、衛生度は多少でもアップするのでは……。使う側の工夫も必要かもしれません。


最長6分まで計れる「音声タイマー」機能


液面検出機能で、検出されたアラームが鳴ると、そのままタイマー機能が発動します。
スイッチをセンターに戻すまで、1分ごとに音声で知らせてくれます(最長6分まで)。これは明らかに、カップ麺などのインスタント食品のために付けられた機能ですね。

今まではお湯を注いだらすぐに別のタイマーやスマホで時間を計測しなければならず手間がかかりましたが、みずいろクリップを使えばシームレスに熱湯注入と時間計測が可能になりとても便利です。インスタント食品をよく利用するなら、これだけでも価値があるのではないでしょうか。今までダメにした食品の数を考えてみてください。

なおタイマー機能を単独で発動することはできませんが、液面検知機能をオンにして濡れた指でセンサー部分に触れるとタイマーが開始されます。今は思いつきませんが、覚えておくと何かの役に立つ用途があるかもしれません。


電池交換とアップデートの方法


みずいろクリップは構造上、ユーザー自身が電池を交換することはできません。
説明書によれば、1日あたり液面検知とタイマーを5回、色判別を100回のペースで約6ヶ月使えるとのこと。電池残量が少なくなると、スイッチをオンにした時に音声で知らせてくれるようです。

電池が切れてしまった場合は、同封の封筒にみずいろクリップ本体を入れポストに投函すれば、電池交換されたものが返送されてきます。交換費用は2,980円。
ここで注目したいのは、電池交換と共に、スピーカーの交換と本体機能のアップデートも提供されるというところ。つまり検出する色数のアップなど最新の機能を持ったバージョンにアップグレードされて戻ってくるということです。

このような通信機能を持たないデバイスは一度購入するとアップデートが提供されないことも少なくありません。有償ではありますが電池交換のタイミングで機能が強化されるという仕組みはユニークですね。

電池が切れた段階で新しい機能に魅力を感じなければ使うのをやめてもいいし、使いたい機能がアナウンスされるまで待ってもいいでしょう。
悩ましいのは、まだ電池残量があるのに新機能が使いたい場合でしょうか。また電池交換のタイミングによって不利益感が出ないよう、的確な情報提供を期待したいところです。まあ何も情報を得ず返送されてくるのをワクワクして待つという楽しみ方もあるのかもしれませんが。


スマホにはないシンプルさが楽しい。機能強化に期待!


みずいろクリップの魅力は、そのシンプルさにあると感じます。
使いたい方向にスイッチを入れるだけ。これならスマートフォンなどデジタル機器に抵抗のある視覚障害者でも簡単に使い始められるでしょう。

スマホが手放せない筆者でも、このシンプルさは新鮮でした。結構スマホアプリって面倒なんですよね。スイッチ一つで動作する軽快さは、その辺りの「面倒臭い」というハードルを大きく下げる効果があるようです。
最新の高性能なスマホアプリも便利なのですが、ガジェットとして使って楽しいデバイスと感じました。単純に筆者が「しゃべる機械」が好きというのもあるのですが。またそのシンプルさゆえ、ユーザー側の工夫でいろいろな使い方も考えられそうです。例えば書類ファイルに色のシールを貼って判別に使うなど。

正直なところ、クリップの使い勝手や認識できる色数など個人的に物足りないと感じた部分はありました。開発側もその辺りの要望は把握されているようですので、今後のアップデートに期待したいと思います。みずいろクリップが今後、どのような姿に進化していくのか。同社が開発中というスマートグラスと共に、注目していきたいところです。

みずいろクリップの詳細情報と購入は公式サイトの製品情報ページから。トップページでは紹介ムービーを見ることができます。
またSpotliteさんのインタビュー記事も公開されています。

2020年3月16日月曜日

「Orcam Read」発表。ロービジョン/ディスレクシア向けAI読書デバイス。

Orcam Read(画像引用元

イスラエルのスタートアップOrcam technologiesは、現地時間3月9日から米国カリフォルニア州アナハイムで開催されたCSUN支援技術カンファレンス 2020において、最新の読書支援デバイス「Orcam Read」の詳細を発表した。

Orcam Readはロービジョンやディスレクシア(失読症)などが原因で読書に困難を感じている人々を支援するコンパクトなリーディングデバイスだ。
雑誌や書籍、新聞や郵便物などのアナログメディアはもちろん、パソコンやスマートフォンに表示されているテキストをAI技術で解析し音声で読み上げてくれる。
同社がすでに販売しているウェアラブルデバイスOrcam Myeye 2が主に重度視覚障害者を支援するデバイスだったのに対し、Orcam Readは「テキストが書かれている場所は認識できるが、それを目で読むことが難しい、または長時間の読書が困難」なユーザーを対象にして開発された。

本体サイズは122 mm x 25 mm x 13 mm、重量わずか44.5グラムという軽量コンパクトなペン型のデザイン。本体に搭載されているLEDランプから照射される光を読ませたい部分に当て、読み取りボタンを押すと、13メガピクセルのカメラが捉えたテキストを即座にOCR(光学式文字認識)により解析し、スピーカーからその内容を音声で読み上げる。
LEDランプで読ませたいブロックまたは読み始める部分を指定できる他、ページ全体を一度にスキャニングすることも可能だ。
その他の特徴としては、

  • 全ての文字認識はオフラインで処理される。
  • Bluetooth接続のイヤホンやスピーカーが使える。
  • 読み上げスピード調整。1分あたり最大300語まで。
  • Wi-Fiを経由したアップデート。
  • 内蔵バッテリーで最大4時間の連続駆動。

またCES 2020で発表されたOrcam Myeye2の新機能「NLP(ナチュラル・ランゲージ・プロセッシング)」も、数ヶ月以内にアップデートという形で提供される。これは音声コマンドを用いて読み取ったテキストから知りたい情報(電話番号やスケジュールなど)をピックアップしたり、見出しの読み上げなどが行えるもの。まずは英語からサポートされ、順次他の言語にも拡大するとのことだ。

米国では人口の2割り近くが何かしらの読書障害を抱えているとも言われている。専用の読書デバイスはサイズが大きく携帯するには不便なものが多い。またスマートフォンのOCRアプリを利用するにも操作が煩雑で手間が掛かる。コンパクトでシンプル操作のOrcam Readは、そのような人々、特に子供や学生、高齢者にとっての情報障壁を大きく下げる可能性を持っている。



2020年3月15日日曜日

[メモ] プレイステーション向けの触覚コントローラ特許がリーク。


米国のゲーム情報サイトGamesRadar+によると、ソニーインタラクティブエンタテインメントは、ゲームコントローラーに取り付ける触覚フィードバックデバイスに関する新しい特許を申請した。このアイデアが実現すれば、視覚に思い障害を持つプレイヤーが、複雑なゲームを単独で楽しめるようになるかもしれない。

特許の詳細ドキュメントで示された図面によれば、丸みを帯びたエッジを持つ長方形のパッドをコントローラーに接続し、パッドに搭載されたピンの上げ下げと新藤機能を組み合わせることで、プレイヤーに新しい触覚フィードバックを提供するという。
触覚パッドは通常Dual Shockの標準タッチパッドに取り付け、親指で情報を受け取る仕組みだが、任意の位置に取り付け別の指を用いて利用することも可能なようだ。またこのパッドにはタッチ入力センサーや物理ボタンが搭載され、テキストの制御などを行う。

この特許の主な目的は、資格に障害を持つプレイヤーのアクセシビリティ向上とのこと。
画面が見えにくいプレイヤーに対しては、テキスト読み上げなど音声による追加フィードバックを中心としたアクセシビリティ機能の提供が考えられてきたが、画面上に複数の文字要素が重なったり、ステータスなどリアルタイム性の高い情報の伝達には不向きだ。
また視野が極端に狭かったり視力が弱いプレイヤーは画面ズーム機能を用いて細かいテキストを読むことが多いが、画面を拡大してしまうと他の部分に表示されている重要な情報を見逃してしまうこともある。
この特許のような触覚パッドを用いれば、そのような混乱しやすい情報を点字として提供でき、音声や振動と併用することで資格に頼れないプレイヤーに対してより多くの情報を伝えることができる。

またこの特許では、点字だけでなくアイコンやシンボルなどのグラフィックをピンで表現する用途にも言及されている。例えば体力ゲージや武器の残弾数をピンで表示するなど、使い方によっては点字が読めないプレイヤーにも恩恵があるかもしれない。点字を用いた新しいゲームデザインも考えられそうだ。

このようなゲームコントローラーに触覚フィードバックを加える技術については2019年5月、Microsoftも同様の特許を申請している
現状、点字表示機構をゲーム周辺機器に搭載するにはコストがあまりにも高いため、すぐに製品かされる可能性は低いだろう。だがアクセシビリティ向上の取り組みとして、このようなアイデアが複数のメーカーから出現したことは興味深い。どうせならメーカーの垣根を超えて研究してくれないものか。

ゲームのアクセシビリティに関しては、運動障害や色覚障害、聴覚障害プレイヤーに対する対応は少しずつではあるが進んでいる。だが重度視覚障害者はその流れから取り残されているのが事実だ。現状、一般向けのゲームで資格を用いずにスムーズにプレイできる作品はほとんど存在しない。それは目が見えない者はゲームをしないという偏見がゲーム業界に蔓延している証拠だろう。このような特許をきっかけに、そのようなユーザーにゲームの世界が開かれることを望みたい。
とにかく、この特許のようなハードウェアとともに、音声読み上げなどソフトウェアからのアプローチも進めてほしいものだ。



2020年3月14日土曜日

Reddit上の画像に代替テキストを加えるボランティア・コミュニティ。その活動に見るイメージのアクセシビリティ。


Reddit(レディット)は主に海外で人気のあるソーシャルブックマークサービスである。
ネット上の記事や画像、動画などを貼り付けて同じ興味を持つユーザー同士がコメントをやりとりしつつコミュニケーションを楽しむサービスだ。張り付けられた記事や画像、コメントに投票できるのが特徴で、投票数に応じてランク付けされ、今人気のトピックが一目でわかる。ソーシャルニュースや掲示板としての機能も持つ。

だがこのサービスには、ポストされたイメージやビデオに説明文(代替テキスト)を加える機能が提供されていない。そのためスクリーンリーダーでRedditを利用している資格に障害を持つユーザーは、その多くのコンテンツを楽しむことができない。どんなに盛り上がっている話題でも、元ネタの写真やビデオ、イラスト、ミームに何が映っているのかがわからなければ置いてけぼりを喰らう。それは格別な疎外感だ。

r/TranscribersOfReddit」は、2017年から活動するsubreddit(Redditコミュニティ)である。
彼らはRedditにポストされた画像や動画、スクリーンショットなどのイメージの説明文をコメント欄に書き込むことで、視覚障害者への情報提供を行っている。
例えばこの画像には以下のような説明文がコメントされている。

(以下、引用&翻訳)

Image Transcription: Drawing
(イメージの説明。ドローイング。)

A little girl under a gray office desk in an office with cream walls and gray ground and ceiling. 
(クリーム色の壁とグレーの床と天井があるオフィス。グレーのオフィスデスクの下の少女)
She has wrapped her arms around her knees and she wears red shoes, white socks and a cyan dress. She has brownish hair, a red flower hairpin and brown eyes and she is crying. 
(彼女は膝を抱えて泣いている。茶色がかった髪、赤い花のヘアピン、茶色の目の彼女は、赤い靴、白い靴下、シアンのドレスを着ている。)
At the other end of the office desk, a Terminator with a huge gun searching for someone.
(そのデスクの反対側で、巨大な銃を持つターミネーターが誰かを探している)
Terminator: Power grids shutting down
(ターミネーター「電力網を遮断した」)
Little Girl: The last few survivors of corona virus still posting on Reddit
(少女「コロナウイルスのわずかな生き残りが、まだRedditに投稿している」)

I'm a human volunteer content transcriber for Reddit and you could be too! 
If you'd like more information on what we do and why we do it, click here!
(私はRedditのボランティアコンテンツ翻訳者です。私たちの活動内容とその活動理由をお知りになりたいなら、ここをクリックしてください)

(以上、引用&翻訳終わり)

筆者は全盲なのでこの説明文が的確なのかを判断することはできないが、この説明で、画像がイラストであること、描かれている少女の服装やルックス、恐ろしいターミネーターの様子、そして含まれるテキスト(セリフ?)の内容が理解できる。どうやら新型コロナウィルスをネタにした作品のようだ。最後の数文はこのコメントがボランティアによるものであることを説明している。
この説明文を読めば、画像をみることができなくても他のコメントの意味も伝わりやすくなるし、コメントからイラストのイメージを膨らませることもできるだろう。

TranscribersOfRedditではRedditにポストされた主要なイメージから説明文を募り、コミュニティにさんかするボランティアがそれに応える形で説明文を書く。また説明してほしいイメージをリクエストすることもできる。
TranscribersOfRedditによる説明文はアーカイブからリンクを辿ることでアクセスすることが可能。このアーカイブをウォッチしていると、今現在も頻繁に説明文が投稿されていることがわかる。

この活動のきっかけは見えにくいスクリーンショットからテキストを転写する、というアクセシビリティとは直接関係のない些細な出来事だったという。だがこれが視覚障害者をはじめとする多くのユーザーに恩恵を与えることがわかり、TranscribersOfRedditの現在の活動につながった。
今や世界中から数多くのメンバーが、空いた時間を活用してこのマイクロボランティアに参加している。イメージを説明するためには、その背景にある知識や文脈の理解が不可欠だ。ボランティアは説明文を書くことを通じて、新しい発見を得ることもできる。

この3年間でのべ3,000人以上のボランティアが10万件もの説明文をコメントしたという。この数はReddit全体からすればごく一部に過ぎないが、視覚障害者がRedditのコンテンツを楽しむ手がかりとしてその存在意義は大きい。
一部のRedditユーザーの中にはこの活動をノイズとして嫌悪する人々もいるようだが、その活動は少しずつではあるが確実に広がりつつあるようだ。

WebやSNSにポストされるイメージやビデオの中で、視覚障害者がその意味を理解するための説明文( 代替テキスト)が含まれているものはごくわずかだ。
近年ではFacebookやSeeing AIといった、AIによる画像認識を用いて画像に含まれるオブジェクトやテキストを識別する技術を応用したサービスやアプリが登場しているが、その説明はまだ抽象的でイメージの意味を把握するには不十分だ。
結局のところ、人間の目でイメージを解釈しなければアクセシビリティは確保されないのが現状。だがTwitterやFacebookなど主要SNSでは説明文を追加する機能が提供されているにもかかわらず。、ほとんど活用されていない。情報を発信する側がアクセシビリティを意識しなければ、せっかく用意した技術も絵に描いた餅である。そしてこの「意識」を変えるには、まだ相当の時間と忍耐が必要だろう。

ボランティアという第三者による代替テキストの提供を行うTranscribersOfReddit。
彼らの活動は、ネット上にあるイメージをアクセシブルにする、もう一つのアプローチの可能性を示唆しているように思える。



2020年3月8日日曜日

ルーマニア発。指先で「色」を感じる触覚文字「Scripor Alphabet」。

Scripor Alphabet(画像引用元

ルーマニア教育省は2020年2月、視覚に障害を持つ人々のための「色を表記する触覚アルファベット」を世界に先駆けて導入することを発表した。視覚障害者が触覚を用いて直感的に「色」が持つニュアンスを受け取れることにより、教育や社会生活における様々な利便性の向上が期待できるという。
この触覚文字は、考案したルーマニアの画家であるTudor Scripor氏にちなみ「Scripor Alphabet」と名付けられた。

Scripor Alphabetは、立体的なアイコンとドットを組み合わせ「赤、黄、青、オレンジ、緑、紫、茶色、グレー、白、黒」という10種類の色を表現する触覚文字である。
中間色やグラデーション、色の濃淡は複数のScripor Alphabet文字を並べて表現する。例えば「赤」と「白」を並べることで「ピンク」を表現したり、「緑」と「黒」を並べれば「ダークグリーン」を示すことができる。さらに同じ色を繰り返すことでその色のトーンも表現できるという。
つまり基本的な10種類の色のイメージを学習すれば、あとは組み合わせで様々な色を感じ取れる、という仕組みのようだ。

この触覚文字は色の伝達に特化して設計されているため言語に依存せず、世界中どこでも利用することができる。まずはルーマニア国内の公共施設や交通機関に設置する触地図にこの文字を採用するとのことだが、他にも例えば美術作品の触図や衣料製品のタグなどにScripor Alphabetを付ければ、通常の点字よりも的確に色の情報を伝えられる可能性がある。また世界に普及すれば視覚障害者間の共通言語としても機能するかもしれない。

色をより深く理解することは、視覚障害者が晴眼者中心の社会にコミットする上で欠かせないスキルだ。ファッションのコーディネートしかり贈り物のパッケージしかり、SNSにアップする写真やブログのデザインしかり。見える人々を相手にするには色に対するある程度の配慮が必要だろう。それだけ晴眼者にとって色が持つインパクトは大きい。
だが色を目で見ることができない視覚障害者にとって、「色」は非常に厄介な問題でもある。極めて視覚的といえる情報である色を、点字や音声、つまり言語に置き換えることにはそもそも限界があるためだ。それはスマートフォンなどの電子機器を用いて色を判別する場合でも同様で、むしろ識別される色数が細かいほど色をイメージすることは難しくなる。
現実には同じ「赤」でも「少し黄色掛かった赤」や「黒ずんだ赤」など無限の色が存在するわけで、それを言葉だけで表現し伝えるにはどうしても無理があるだろう。
Scripor Alphabetがどこまで細かい色のニュアンスを表現できるかは分からないが、目が見えない者に色情報を伝える新たな手段として、非言語的なアプローチが試みられていることは面白い。

Tudor Scripor氏と彼のチームは7年間にも及ぶScripor Alphabetの開発の末、ジュネーブ発明・イノベーション展の教育・文化・芸術部門で金賞、およびドイツ発明者協会の特別賞を受賞している。

参考:


2020年3月2日月曜日

[随時更新] テキスト版点字一覧表(仮)。

※2022-9-13 「や」の点を修正。


ネットを検索すると、点字を解説しているページが数多く見つかる。
でもそのようなサイトに掲載されている「点字一覧表」は、結構スクリーンリーダーで読み上げられない画像やPDF形式になっていることが多い。
想像するにこれらのページは点訳者、要するに晴眼者向けに作られているのかな? 確かに見える人々にとっては、いちいち点の位置をテキストで説明されるよりも、画像で見られた方がわかりやすいだろう。

しかし筆者のようにスクリーンリーダーは使えるけど点字が読めない視覚障害者としては、点の位置を音声で確認できるようになれば、独学で点字の基礎をある程度身につけられるのになあ、と思ったりするのだった。
ネット上には視覚障害当事者向けの点字情報が意外と少ない気がする。点字学習は対面が基本、というのはわかるのだけれど、学習のきっかけとしてネットからの情報はある程度必要なのではないだろうか。

ということで、スクリーンリーダーで読める解説サイトを参考にさせていただきつつ、自分の点字学習用としてテキスト版点字一覧表を作ってみた。スクリーンリーダーで基本的な文字の点の位置を確認したかったので。
でせっかく作ったので恥ずかしながらシェア。以下、エクスキューズ。

・あくまでも筆者の学習用なのでかなり手抜きです。
・文字だけの情報なので詳しい表記ルールなどには触れていません。
・間違いなどありましたらTwitterからご指摘ください。
・随時更新していきます。多分。

参考にさせていただいたサイト:

ちなみに筆者はこれまで触読から点字を覚えようとして挫折を繰り返してきた歴史がある。だが昨年のサイトワールドで点字板と点字ラベルをゲットしたことをきっかけに「点字をうつ」快感に目覚めたのだった。
相変わらず触読は全然だけどね。
点筆でポチポチ気持ちいいよ。意外とストレス解消にもなるし、自分の打った点字をゆっくり読むのも楽しい。まずは自分の名前からポチポチしてみるのも良いかもね!
点字板片手に、レッツポチポチライフ。

※数字と点の対応位置は、
1、左上。
2、左中。
3、左下。
4、右上。
5、右中。
6、右下。
です。まずはこの位置関係を頭の中でイメージしておきましょう。

かな(清音)


あ、1
い、1、2 
う、1、4 
え、1、2、4
お、2、4

か行以下は、あ行に以下の点を加える。
語呂あわせつき。
例えば「ま」は「1、3、5、6の点」

か行、6、(かろく)
さ行、5、6、(さごろ)
た行、3、5、(たさご)
な行、3、(なさん)
は行、3、6、(はさむ)
ま行、3、5、6、(まさごろう)
ら行、5、(らご)

「ヤ、ゆ、よ」は「あ、う、お」を一番下まで下げ、4点を加える

や、3、4
ゆ、3、4、6
よ、3、4、5

わ、3
を(助詞)、 3、5
ん、3、5、6

・記号など

長音、2、5
促音(小さいつ)、2
読点、5、6
句点、2、5、6
感嘆符、2、3、5
疑問符、2、6

かな(濁音・半濁音)


対応する清音の前に符号をつける。

濁音符、5、(が行、ざ行、だ行、ば行)
半濁音符、6、(ぱ行)

かな(拗音・拗濁音・拗半濁音)


小さい「ゃ、ゅ、ょ」が付くかな文字は、少し変則的で文字の通りには打たない。
符号に続いて対応する「あ段、う段、お段」の点字を打つ。
「ゃ、ゅ、ょ」は打たない。
例えば「きゃ」は「4の点、1、6の点=か」といった感じ。ちょっと難しいね。

拗音符、4、(きゃ行、しゃ行、ちゃ行、にゃ行、ひゃ行、りゃ行)
拗濁音符、4、5、)ぎゃ行、じゃ行、ぢゃ行、びゃ行)
拗半濁音符、4、6、(ぴゃ行)

数字のルール


数字の前に数符をつける。
数字とそれに続く文字の間につなぎ符を置く。
大きな数は、4桁ごとに区切り、万、億などの位を表す語を挿入する。
位取り点でコンマ区切りの数値などを表す場合もある。

数符、3、4、5、6
小数点、2
位取り点、3
第一つなぎ符、3、6

アルファベットのルール


1文字のアルファベットや略語などの前には外字符を置く。
大文字の前には大文字符を置く。
全て大文字の場合には、一連の大文字の前に二重大文字符を置く。
外国語の単語や文章は外国語引用符で囲む。
一語が外国語と日本語で構成される場合には、その間に第一つなぎ符を挿入する。

外字符、5、6
大文字符、6
二重大文字符、6、を2マス
外国語引用符(開)、2、3、6
外国語引用符(閉)」、3、5、6

数字とアルファベット


数字の1から0と、アルファベットのAからjまでは同じ形。
かな文字に置き換えると「あ、い、う、る、ら、え、れ、り、お、ろ」となるけど覚えられないよね。気合で覚えるしかないのかな。

1/a、1
2/b、1、2
3/c、1、4
4/d、1、4、5
5/e、1、5
6/f、1、2、4
7/g、1、2、4、5
8/h、1、2、5
9/i、2、4
0/j、2、4、5

KからZまでは独自の形。Wだけ変則的みたい。

K、1、3
L、1、2、3
M、1、3、4
N、1、3、4、5
O、1、3、5
P、1、2、3、4
Q、1、2、3、4、5
R、1、2、3、5、
S、2、3、4
T、2、3、4、5
U、1、3、6
V、1、2、3、6
W、2、4、5、6
X、1、3、4、6
Y、1、3、4、5、6

Z、1、3、5、6

支援技術関連記事まとめ(2022年10月)

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