スクリーンリーダー使いにとって、何が一番あわてるかと言えば、端末を操作中にいきなり何も喋らなくなるという現象だろう。
なにせ操作のすべてもしくは大部分を「音声」に頼っているわけで、見えているユーザーに例えるならば、突然パソコンやスマホの画面が真っ暗になったと同じである。
いったい何が起こったのか、パニックになること間違いなしだ。
だが、ことデジタル機器で発生した現象には、必ず「原因」がある。
無意識に何か特別な操作をしてしまったとか、時にはなんらかの障害が発生したのかもしれない。重要なのは、冷静にそれらの原因に思いを巡らせ、一つ一つ確認していくことだ。多少のトラブルは、鼻歌混じりの余裕のある態度で臨む方がストレスも少ない。
さて、iPhoneで突然Voiceoverが喋らなくなる原因は実にさまざまだ。
ここではその原因を「よく起こる順」に解説していこう。
なおこれらの対処法は、ほぼ全盲の筆者の実体験をもとにしたものである。残存視力の有無などにより、多少の違いはあるかと思われるのでご容赦いただきたい。
1.音量が最小になっている
知らないうちに音量ボタンに指が触れてしまったり、カバンやポケットの中で何かに音量ボタンが当たるなどが原因で、iPhoneの音量が最小になってしまうことがある。
まずは「音量を上げる」ボタンを押して、音が出るか確認しよう。
2.読み上げがオフになっている
これは「Voiceoverあるある」である。
1本指ダブルタップで決定の操作をしたり、2本指ダブルタップで再生/停止の操作をした時に、うっかり他の指を画面に乗せてしまい、「読み上げオン/オフ」操作である「「3本指ダブルタップ」を実行してしまうと、Voiceoverは黙ってしまう。
こういう時は、慌てずもう一度「3本指ダブルタップ」すれば、読み上げるようになる。
3.Bluetoothイヤホンが知らないうちに接続されていた
Bluetoothイヤホンやスピーカーを「たまに」使うユーザーは要注意。
たとえばカバンの中に入れておいたBluetoothイヤホンの電源ボタンが何かの拍子に押されてしまい勝手に接続されてしまうと、iPhoneのスピーカーから音が突然鳴らなくなる。常時Bluetoothオーディオデバイスを使っていればすぐ気がつくのだが、その存在すら忘れていたりすると、気がつくのに結構時間がかかる。
復帰させるには、心当りのあるBluetooth機器を探し出し、電源を切手みよう。もし他にBluetooth接続できる端末があれば、そこから今iPhoneに接続している機器の名前くらいは調べられるかもしれない。
4.Voiceoverの音量が小さい、または言語の設定が不適切
Voiceover読み上げの音量は、iPhone本体の音量とは別に設定できる。
もしVoiceoverの音量が「0%」に設定されてしまうと、読み上げの音声は全く聞こえなくなる。この設定はローターで行うため、うっかり誤操作してしまい、音量を下げてしまう可能性もありうる。
ただ読み上げ音量が0%になると、ローターを操作する時の読み上げも聞こえなくなるので、ローター項目を一つずつ試して音量の復帰を試みるしかない。
具体的には、スクリーン上を2本指でタップしたまま「ツマミを回す」ジェスチャを実行、続けて「1本指で上にスワイプ」。このジェスチャを繰り返して行けば、どこかで音量アップの音声が聞こえるはずだ。健闘を祈る。
またVoiceoverの読み上げ音声の「言語」設定が、デフォルト(通常は日本語)になっていないと、読み上げるテキストによっては読み上げが無音になることもある。これもローターから「言語」を変更すれば復帰する。
※この項の設定はVoiceoverのローターに「音量」「言語」が追加されている場合に発生するので、この項目がなければスルー上等。
5.有線イヤホンが接続されている
これはかなりの「うっかり」ケースだが、有線イヤホンが接続されたりしていないだろうか。接続されていると、もちろんiPhoneからは音声は出ない。
6.Voiceoverがフリーズ?
ごくまれに、Voiceoverがフリーズしたような状態になることがある。
Voiceoverを再起動することで復帰するかもしれない。Siriを呼び出し「ボイスオーバー オフ」、続けて「ボイスオーバー オン」で再起動できる。
ホームもしくはサイドボタンのトリプルクリックにVoiceoverショートカットを登録しておけば、より簡単にVoiceoverを再起動できる。
それでも復帰しない場合は、iPhoneの強制リセットを試してみよう。
リセットの方法はこちらのサポートページを参照。
7.iPhoneがフリーズ!?
もしかしたら、iPhoneそのものがフリーズしてしまった可能性もある。
いろいろ手を尽くしても、Siriを呼び出してもうんともすんとも言わない場合は、この悲しい現実を受け止めなければならない。
リセットの方法はこちらのサポートページを参照。
8.電源が切れている/電池きれになっている
iPhoneのバッテリーが限界に到達すると、電源は自動的にオフになる。
それを知らずに操作しようとしても、当然ながら無反応であることはお分かりいただけるだろう。
改めて充電ケーブルをしっかり接続し、数分待って電源が入るか確認してみよう。
充電ケーブルや充電アダプタの接触不良などで、充電したつもりが全然充電されていなかった、なんてのはよくあるお話。充電を開始したら、出来るだけステータスバーの電池アイコンをタップし「充電中」と読み上げるかチェックする習慣をつけよう
9.ここまでくると、iOSもしくはハードウェアの障害かも?
さて、ここまで考えられる原因から復旧を試してもVoiceoverが喋ってくれないとなると、自体は深刻かもしれない。想定できるのは、
- OSの不具合でiPhoneが起動しない
- 起動はするがシステムの一部、例えば音声エンジンなどが破損している
- ハードウェアが原因で音が出ない
- ハードウェアが原因でiPhoneが起動しない
なんとも恐ろしいラインナップである。
こうなるともう単独で対処するのは難しいので、ヘルパーなりショップの助けを仰ぐべきかもしれない。でも、もう一度初めから落ち着いてチェックしてみてはいかがだろうか。
今は快調にVoiceoverを操っているあなたも!
いざという時パニクらないためにも、心の準備はしておきましょう。
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