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2022年2月9日水曜日

[iPhone] Bluetoothヘッドセットでメイン音声とVoiceover音声を分離する方法。

Bluetoothヘッドセットの「デバイスタイプ」を設定しているiPhoneのスクリーンショット。


私の知る限り、iOSではiPhoneのメイン音声(音楽や動画の音声など)とVoiceoverの音声の出力先デバイスを別々に設定することはできません(同じデバイス上でVoiceover音声と効果音の左右チャンネル出力を選ぶことは可能です。あと環境がないので試せていませんがHDMI出力時はなにやら設定があるみたいです)。

macOSなら結構フレキシブルに設定できるんですけどね。


そんな中、Applevisのフォーラムを眺めていたら、このような記事を見かけました。

It works!! Rout Voiceover through your iOS device speaker, and other audio through any Blue Tooth Speaker | AppleVis

これは面白そうなので早速試してみました。iPhone 7、iOSのバージョンは15.3です。


  1. BluetoothヘッドセットをiPhoneとペアリングしておく。
  2. いったん、Bluetoothヘッドセットの接続は切っておく。
  3. 設定>Bluetoothを開く。
  4. Bluetoothヘッドセット名にフォーカスし、上下スワイプして「詳細情報」を開く。
  5. 「デバイスタイプ」の項目を開き「スピーカー」を選んで閉じる。元に戻す時は「ヘッドホン」を選ぶ。
  6. Bluetoothヘッドセットを接続する。


これでメイン音声はBluetoothヘッドセットから、Voiceover音声はiPhoneのスピーカーから再生されるようになります。それだけと言ってしまえばそれまでですが、うん、これはちょっと新鮮な感じです。

メイン音声の音量はiPhone本体のボタンで、Voiceover音声の音量はローターから調節できます。ただ試した環境ではVoiceoverの音量がかなり増幅されてしまい、音量5%でも結構うるさいのが気になりました。Applevisフォーラムの記事でも音量に関する不具合が指摘されています。

ちなみにBluetoothヘッドセットを接続する前に、有線イヤホンを接続しておくと、Voiceover音声はイヤホンから鳴ります。

私は持っていなかったので気がつかなかったのですが、Bluetoothスピーカーなら自動的にメイン音声はスピーカーから、Voiceover音声は本体から鳴るようになってるんですね。上記の方法はこれを無理やりBluetoothヘッドセットで実現させたものと考えられます。


それはそうとこのTips、どのような用途で使えるのでしょう。

私の貧弱な想像力ではBluetoothレシーバー経由でスピーカーと接続する時くらいしか思いつきませんでした。でもこういうこともできると覚えておくと、将来的には何か役に立つのかもしれません。


2020年4月25日土曜日

Covid-19に直面した世界の音を収集する「#StayHomeSounds」。


猛威を奮うCovid-19は世界中の風景を一変させた。
あらゆる商業施設や観光地は閉鎖され、かつては賑やかだった繁華街やターミナル駅からは人影が消えた。その様子は驚くべき光景としてメディアなどで報道されており、これらの記録は後世に渡り世界規模のパンデミックがもたらす影響を伝える貴重な資料となるだろう。
そしてCovid-19の影響を伝えられるのは写真や映像だけではない。「音」もまた、この人類が直面している現実を記録するための重要な要素のひとつとなるはずだ。

全盲である筆者も、2月頃から音の変化に気がついていた。街中から外国人観光客のハイテンションな声が聞こえなくなり、あれだけ混雑していた駅では明らかに人混みの気配が消えていった。
現在(4月中旬)はもうほとんど外出することはなくなったが、自宅周囲を通りかかる人々や交通量もすっかり減り、あたり一面ひっそりとしている。その代わりに聞こえてくるのは数々の野鳥のさえずりだ。全盲者にとって「音」は世界そのもの。Covid-19は馴染んでいた風景を確実に変えてしまったようだ。
果たしていま、世界はどのような音で満たされているのだろうか?

英国オクスフォードに拠点を置く「Cities and Memory」は、世界各地のさまざまな場所で録音されたサウンドを幅広く収集し、無料公開しているサイトだ。有名な観光スポットやイベントの様子、さらに鳥や滝といった自然の音に至るまで、世界にあるあらゆる音源をWebブラウザやPodcastで楽しむことができる。さながら「音で世界旅行」を体験できるといった感覚だろうか。各地で実際に録音されたリアルな音源だけでなく、それを素材としたサウンドアートが楽しめるのもこのサイトの特徴のひとつだ。音源は世界地図のほかカテゴリからアクセスすることもできる。

そしてこのサイトでは現在「#StayHomeSounds」と銘打たれた特設ページで、Covid-19によりロックダウンされた世界各地からの音源を収集するプロジェクトが進行している。このページにある世界地図上のマークをクリックすれば、各地の様子を伝えるコメントとともに掲載されたサウンドを聴くことができる。

なおスクリーンリーダーではこの地図へアクセスすることはできないが、このページ下部にあるレベル3の見出し「「Submit your sounds here」へジャンプし、少し読み進めていくと「Audioboom player」というグループが見つかるので、ここへフォーカスすればリスト形式でCovid-19関連のサウンドを聴くことができるはず。

また「Comparing the sounds of the global lockdown - before and after」という特集記事では、同じ場所で録音された音源をロックダウンの前後で聴き比べることができる。Covid-19が世界の「音風景」をどのように変えたのかがよくわかる。

#StayHomeSoundsで聴こえてくるのは、医療従事者へ向けられた歌声やエール、自宅に閉じ込められた人々の生活、人影が消えた都市に戻ってきた自然の音、そしてあらゆる喧騒が焼失して静まりかえった街の様子。などなど。

このサウンドライブラリからは、写真や映像以上にこのウィルスが世界に及ぼした変化をリアルというか生々しく感じ取ることができる。それはそこに暮らす人々の感情や息遣いが込められているからだ。
変わり果てた街の中で投稿者は、どんな気持ちでボイスレコーダーの録音ボタンを押したのだろう。音という制限されたメディアだからこそ、伝わってくる感情があるようにも思える。
この騒動が終息した後、果たして以前のような喧騒は戻ってくるのだろうか? それとも以前とも現在とも異なった、新しい音の世界が生まれるのだろうか? いずれにせよこの音声アーカイブはCovid-19流行という大きな出来事で変わりゆく世界とそこで暮らす人々の感情を記録する貴重な資料となるだろう。数年後いや10年後、どのような気持ちでこのアーカイブを聴くことになるのだろうか。

なおこのプロジェクトではサウンドアーカイブに追加するCovid-19関連の音を世界から募集している。外出するのが難しい昨今ではあるが、街頭だけでなくStay Home中の様子でも貴重な証言となるはず。機会があればぜひ投稿してみてはいかがだろうか。

「Covid-19と音」に関してはこんな翻訳記事も書いているのでお時間があればお読みください。


2019年2月4日月曜日

「音と戯れる」iPhoneアプリ(3DとVRの巻)


聴覚を研ぎ澄まそう。
視覚的なメディアに比べ、「音」を楽しむエンターテイメントは地味ではあるが、人間のイマジネーションを広げてくれる。音でなければ表現できない世界は、確実にある。

ということで数ある「音アプリ」の中から、ほぼ全盲の筆者が気になった、iPhone向け3D&VR系の3本をご紹介。
音が頭をぐるんぐるん回るユニークな音世界を体験しよう。


「Travelear」極上の3Dサウンド・トラベルを


開発/Nicholas Culpin 価格/無料

タップ一つで世界中で録音された高品質な3Dサウンドを楽しめるアプリ。
野鳥の囀りを聴きながらセントラルパークを馬車でのんびり観光したり、ニューオリンズでジャズフェスを堪能したり。街の喧騒に疲れたらワイキキビーチでぼんやり波と戯れることだってできる。
ハイクオリティな3Dマイクで収録された立体音響は臨場感抜群。イヤホンを使えば世界の音が脳内に満たされ、あっという間に世界中を旅している気分に浸れる。あえて動画ではなく「音」にフォーカスすることで、聴いている者の想像力を大いに掻き立ててくれる。
目を閉じて、包み込むようなサウンドに身を委ねてみよう。森の中で突然近づいてきた虫の羽音に思わず首をすくめたり、地下鉄で向こうの席のおしゃべりになんとなく耳をそばだててしまいたくなるはずだ。さまざまな事情で旅行や外出が難しくても、イヤホン一つで海外の空気を感じ取れる。素敵。

Travelearは世界中の「本物」のサウンドが楽しめるのが特徴だが、ただ漠然と録音された素材を公開しているわけではない。場所を移動したり細かいイベントが添えられるなど、緻密な編集により飽きさせない工夫が実にさりげなく施されている。脳内に広がるサウンドスケープ=音風景を最大限に盛り上げてくれる演出が、このアプリの最大の魅力だろう。
ゆっくりだが新作も随時追加されているようだ。
これは願望だが日本の音風景、たとえば京都・祇園祭の宵山や山鉾巡行、年越しの除夜の鐘、渋谷のスクランブル交差点なども面白いとおもうな。


「Dear API」イヤホンしてるのに音がiPhoneから聴こえる!?


開発/Dear Reality 価格/無料

指向性音源を制御するVRエンジン「Dear API」の機能を体験できるデモアプリ。特別な機器は不要で、iPhoneのセンサーを用いて音源を制御できるのが特徴。最新のバーチャルサウンド技術を手軽に体験できる。

なにはともあれ体験してみよう。イヤホンは必須だ。
アプリを起動し「calibrate and start」をタップ。ピッカーから体験したいサウンドを11種類から洗濯する。「Play」ボタンを押すとサウンドが再生されるので、iPhoneを正面にホールドした状態で「Reset front direction」ボタンをタップする。
あとはiPhoneをゆっくり上下左右に動かしてみよう。動かしたiPhoneの位置から音が鳴っているように聴こえる。スピーカーから音を鳴らしているなら当たり前の現象だが、イヤホンを装着しているのにiPhoneから音がなっている感じがなんとも不思議である。

まあこのアプリは技術デモなのでそれだけのアプリと言ってしまえばそれまでだが、音で空間を把握する技術をわかりやすく体験できるのは楽しい。
視覚障害者的にはこれを応用して生活を向上する方法を妄想するのも一興。仕組みは異なるが感覚としてはMicrosoftの「Soundscape」やCaltechのナビゲーション研究に近いものも感じなくもない。
街や部屋のあちこちから声が聞こえてくる、そんな未来を予感させてくれるアプリだ。


「Fields」仮想空間で体験する音のインスタレーション


開発/Particle Incorporated 価格/無料

「仮想空間でサウンドと対話する」新感覚の音響VRアプリ。
iPhoneのマイクで録音した3Dサウンドやインポートしたオーディオトラックを組み合わせ、オリジナルのVRサウンド作品を作成できる。仮想空間にさまざまな素材を自由にレイアウトしたり動きを加えることもでき、いわばバーチャル空間上のサウンド・インスタレーションともいうべき音空間を構築できる。
録音・再生には特別な機器は必要なくiPhoneだけで楽しめるのもポイントだ。

肝心の音声編集機能「Create」がVoiceoverではちょっと使いにくく、まだちゃんと試せていないのだが「Discover」から提供されている作品だけでも十分に楽しめる。

個人的にはiPhoneを正面にホールドした状態で、身体の向きを変えるリスニングスタイルがおすすめ。もちろんイヤホンは必須だ。
作品を再生すると、3D仮想空間のあらゆる方向から色々なサウンドが聞こえてくる。右を向けば右から聞こえていた音が正面になったり、音によっては向きを変えても位置が変わらないものもある。と思えば音が勝手に動いたりする。現実ではあり得ない音空間が出現する。
丹念に音を聞き分け、どの音がどこから聞こえてくるのか探求して見るのも面白い。
たとえば「Nils berg cinemascope, oh john」ではサンプリングボイスは仮想空間に固定されており向いている方向によって聞こえてくる場所が変化。真後ろを向けば、ボイスはちゃんと背中方向から聞こえてくる。
「Travelear」にしろ「Dear API」にしろサウンドそのものはリアルなモチーフが使われていたが、Fieldsは自然・人工音がないまぜになったカオスな音響空間に投げ込まれる感覚が魅力。

ちょっと不思議で刺激的なサウンド体験が楽しめる。

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