2018年10月27日土曜日

全盲ゲーマーは「Wanderbar」に何を妄想するのか。

視覚障碍者とエンターテイメントをめぐる環境は、先人の創意工夫と努力、そしてテクノロジーの進化とともに進歩している。読書なら点字から音声デイジー、テキストよみあげ、オーディオブック、最近ではAIによる要約なども登場しているし、UDCastの登場で映画の楽しみが大きく広がっている。
一方でなかなか視覚障碍者へ門戸が開かないのが、ビデオゲームだろう。ブラインドゲームというジャンルはあるが、晴眼者と視覚障碍者が同じゲームを対等に楽しめる状況には程遠いというのが実情である。
そんな状況の中でも、熱心な視覚障害ゲーマーは音を頼りにしたり、スマホのOCRを駆使してポケモンや格闘ゲーム、レースゲームを楽しむ。プラットホーム側でアクセシビリティが確保されていない以上、ユーザーの自主的な工夫と訓練が不可欠で、それはそれで面白いのだがハードルが高いのは否めない。ニーズは確実に存在するはずなのだが、状況が進展する気配はあまり感じられないのが残念なところ。

そんな中、全盲ゲーマー的にちょっと気になるプロジェクトに目が留まったので紹介しよう。なおプロダクトの性質上、実際には試していないため、多分に妄想が含まれている。悪しからずご容赦願いたい。

「Wanderbar」はNES(北米版ファミコン)oよbSNES(北米版スーファミ)エミュレータとWebブラウザを融合させたマルチコンソールエミュレータである。作者は、レトロゲームの翻訳Hackで有名なClyde Mandelin氏。
ちなみにエミュレータとは簡単にいうと、コンピュータやゲーム機などのハードウェアをソフトウェアで再現し、別のコンピュータ上で動作させる技術。例えばWindowsで動作するMSXエミュレータなどがある。この場合、MSXで実行できるソフトウェアをWindowsで扱える形式にコンバートしてエミュレータにロードすれば、WindowsでMSX用のソフトウェアを実行することができる。

Wanderbar最大の特徴が、エミュレータで実行されている仮想ゲーム機のメモリをリアルタイムに解析してブラウザ側に表示したり、解析したデータを変更してプログラムに反映できる機能。ゲームに対応するプラグインを用いれば、簡単にゲーム中のメッセージを抽出して翻訳したり、ステータスを調節してゲームを改造して楽しめたりする。プラグインを開発すれば、特定のタイミングで音声や動画を再生したり、Webbから関連情報を取得、さらにはJAVA Scriptを使ってより高度でトリッキーな使い方もできるようだ。

ここで注目したいのが、ゲームから抽出されたメッセージが、基本的にテキスト形式で利用できる部分。つまりスクリーンリーダーと組み合わせれば、音声読み上げでレトロゲームを楽しめる可能性が考えられる。Wanderbarのリリースノートでも、この機能が失読症ユーザーに有効であることが示唆されている。

この機能によって、視覚障碍者がプレイできなかったゲームがすぐに楽しめるようになるわけではないが、既存のゲームをバリアフリーにするアプローチとして非常に興味深い。
表示されているメッセージを読み上げるだけでなく、キャラクターの座標やアイコン、ステータスの変化をサウンドで通知するなど、工夫次第でいろいろ面白いことができそうだ。音声対応以外にも、ロービジョンむけにグラフィックのコントラストやカラーを変更したり、(可能かどうかわからないが)効果音を可視化して聴覚障碍者のサポートにも役立てるかもしれない。
コマンド選択式のRPGやアドベンチャーゲームはもちろん、ちょっとしたアクションゲームならプレイできるようになるかも。夢が広がるではないか。
さらに妄想を広げれば、画像認識AIと組み合わせてグラフィックを説明してくれたりしたらもう最高である。

とはいえエミュレータは導入するハードルが高く法的にグレーな面も懸念されるため、オフィシャルな形態で同様のシステムが提供されるのが理想。まあ、かなり難しいだろうが。
ただ海外では現制度で問題があっても「必要なら作る」風潮があり、Wanderbarが視覚障碍者に広まり、有益であることが認知されれば、将来的に権利者を動かして「ファミコンミニ・音声対応版」なんてものが発売されないとも限らない。
既存のゲームを音声対応させるために、オリジナルのプログラムを改変するのは手間もコストもかかり、作品によっては作り直さなければならないかもしれない。需要を考えればビジネスとして成り立たないだろう。メモリ解析というアプローチを用いれば、製作コストは下げられるかもしれない。素人考えではあるが。

Wanderbarそのものは、日本語のゲームを翻訳するツールがきっかけで開発されたものだが、その副産物としてレトロゲームのバリアフリーが注目され、もしかしたら大きなムーブメントが生まれるかもしれない。

視覚障害者も手軽にレトロゲームがプレイできる日が来るのかも。今後に注目したいプロジェクトなのは間違いない。

関連リンク:


2018年10月22日月曜日

2018年10月22日、わたしのホーム画面。

個人的には同意しかねる部分もあるが、ファッションや持ち物を見れば、その持ち主がどのような人物なのか想像できるという。説もある。どうだろうか。
であるのなら、スマートフォンの「ホーム画面」は、日常的に使うものだけに、持ち主のライフスタイルやセンスを大きく反映しているのではないか。ある意味、服装やバッグの中身なんかよりも、もしかしたら数段プライベートな情報なのかもしれない。

というわけで、筆者の現在のホーム画面を大公開。
いや別に深いワケがあるわけではなく、
なんてことはない、Bloggerの画像アップロードを試したかったので。
もし画像が大きすぎるだとか間違っているなどあればTwitterで報告願います。

iPhone ホーム画面のすくりーんしょっと

はい、これが現在のホーム画面。
せっかくなので、簡単に解説しよう

・1行目
時計:カーソルを当てて時刻確認、目覚まし、タイマーなどで活躍。
ホームの左上に配置すれば、ロック解除すると自動的に時刻を読み上げる。
カレンダー:基本ヒマなのでスケジュ^ル管理はこれで十分。
天気:あんまり当たらないけど。参考程度に。
リマインダー:これも抱えているタスクが少ないので十分。

・2行目
振動コンパス:法学の確認の他、短距離をまっすぐ歩きたい時に使う。
Google Maps:主にスポット検索に使用。
ViaOpta Nav:ターンバイターンのナビアプリ。Blind squareは高くて買えないのだ。
ナビレコ:歩行ルートの記録と再生。常用はしてないが実験的に使う。

・3行目
radiko,jp:ご存知サイマルラジオ。使いにくいが。
Twitter:結局のところ公式アプリに戻ってしまう。
niconico:ヒマつぶしに。
Smart News:同じくヒマつぶし。

・4行目
OCR-PRO:シャッター音が気にならなければ最強のOCRアプリ。
TapTapSee:人力で物体を識別してくれる。服を選ぶのによく使う。
NantMobile マネーリーダー:紙幣の認識はこれで。触覚マーク識別に自信ないので。
Boop Light Detector:明るさの識別。うっかり照明のスイッチ押しちゃったときなどで活躍。

・5行目
メモ:Macユーザーなのでメモの同期はこれで。
ボイスメモ:いま別のボイスレコーダーアプリを探し中。
「読書」フォルダ:ボイスオブデイジー、Kindle、RSSリーダー、青空文庫やオーディオブックなど。
「エンターテイメント」フォルダ:ラジオ、ゲーム、ネットTVなど。

・Dock
電話:選択の余地はない。FaceTimeもここから使う。
Safari:Macとタブやブックマークを同期できるのは便利。
メール:基本的に確認用。
ミュージック:普通に音楽プレイヤーとして。サブスクリプションサービスは使っていない。

こんな感じ。
視覚支援アプリもメジャーものばかりで面白味がないが、結局のところ定番ものになってしまうのは仕方がないところ。支援系以外が標準アプリ中心というのも、アクセシビリティの問題が少ないのと、Macと連携しやすいため。高度なサードパーティアプリを使っていた頃もあるが、アップデートの度にVoiceoverで操作不能になるなど痛い目に遭った結果がコレである。


というわけで、画像アップロードのテストでした。

2018年10月11日木曜日

アップデートをめぐる、残念なお話。


いきなりだが、いま筆者はとてもやる気がない。
原因はよくわかっている。
macOSをMojaveにアップデートしたためだ。

だって、まさか、OS標準のVoiceoverで日本語変換が使い物にならなくなるとは思いもしなかったのである。そりゃ、今までだって読みこぼしが酷いだの日本語のフォネティック読みしないとか不満はあったさ。毎年発表される新しいmacOSがリリースされるたびに、改善されているかドキドキしながらアップデートして、全然変わっておらず落胆もした。
でもまさか、使えなくなるとは思いもしなかった。

具体的に何が起こったかというと、変換候補が一切読み上げられなくなった。
「かな」キーで再変換してもダメ。どうも変換候補のポップアップをアプリケーションの新しいウィンドウと読み上げているようで、これはGoogle IMEと同じ現象のようだ。
インストールしたマシンがMacBook Pro Retina (Mid 2012)と古かったのが原因かもしれないし、クリーンインストールすればもしかしたらと思わなくもないが、とりあえずフィードバックを送り、次のOS Updateまで我慢して様子を見ることにしている。
ブログの原稿は、Windows 10とNVDAでしばらく書いているが、マシンのスペック的に劣るし、なにしろなれない環境に四苦八苦している。でもNVDAはちゃんとフォネティック読みしてくれるので偉い。

とにかく今回の件で、スクリーンリーダー使いにとって、アップデートは時に大きなダメージとなることを痛感した。
これまでもWindows 無償アップグレードにおいて一部のスクリーンリーダーが動かなくなったり、アプリをアップデートしたら全く使えなくなったという話を聞いてきたが、OSにビルトインされているスクリーンリーダーで不具合を起こすとなると、何を信じてよいやら、さっぱりわからなくなる。

いま考えうる対策としては、
・自動アップデートは使わない。
・大きなアップデートは不具合の情報が集まるまで実行しない。
・検証用に複数の環境を用意する
・いつでもロールバックできるようにする。

くらいだろうか。
ただiOSのように一度アップデートしてしまうと前のバージョンに戻すことができない場合もあるので、一層の慎重さが必要だろう。
筆者は仕事柄、つい癖でアップデートを実行してしまいがちだが、環境が乏しい現在、ちょっと考えざるを得ない心境である。
今まで何とかスクリーンリーダーで使えていたのは、実はただの偶然で、運が良かっただけだったのかもしれない。そう感じてしまうほど、アクセシビリティをめぐる現状は薄氷の上を歩くごとく危うい。

結局これも、かいはつしゃがチェックしていれば回避されるという至極当たり前の問題なのだが、いかにアプリケーション開発においてアクセシビリティが軽視されているかが見て取れる。
スクリーンリーダーでアプリが操作できないという現象は、晴眼者に置き換えれば「画面が表示されない」とか「ボタンがクリックできない」と同義。もしそんな不具合が発生したら、それこそ炎上ものではないか。
ではなぜアクセシビリティに配慮されない製品が蔓延するのか。
まあいろいろ思うところではある。

現状、スクリーンリーダー使いは自己防衛の意味でもアップデートには慎重にならざるを得ない。
アップデートはセキュリティや機能を強化してくれるもの、という常識は筆者には通用しないのである。

・・・と思ったら、こんなこともある。


うかうかアップデートもできない、こんな世の中は。

ポイ(ry

2018年10月4日木曜日

あの定番アプリのPro版が搭乗〜「OCR-PRO」


「OCR」は、その名の通り、カメラで撮影した文字を光学文字認識技術でテキスト化するアプリ。機能は非常にシンプルだが、類似アプリと比較すると、文字の認識精度が高く安定して動作するため、とても人気の高いアプリだ。

そしてそのシンプルさゆえ、VoiceoverでiPhoneを使う視覚障害ユーザーの間でも、もっともポピュラーなアプリの一つである。郵便物や商品パッケージをサクッと撮影して書かれている文字を認識させ、Voiceoverで読み上げれば、大まかな内容や種類を判別できる。そもそもVoiceoverで操作できないアプリがまかり通る現状で、「OCR」はアプリのすべての要素をVoiceoverで明確に読み込み、快適に操作できる点だけでも評価すべきアプリかもしれない。
先日放送された「視覚障害ナビラジオ」のスマホ講座でもこのアプリが取り上げられていたことからも、その人気ぶりがわかるだろう。
本ブログのOCRアプリ比較エントリーでも述べたが、現時点で日本語をもっとも確実に認識できるアプリの一つであることは間違いない。

この「OCR」は長年、広告付きではあるが無料で提供されてきた。それは非常にありがたい話ではあるのだが、それが理由でアプリのサポートが終了してしまうのではないかという不安があるのも事実だった。
そんなユーザーの気持ちを察したのかはわからないが、満を持して有料バージョンである「OCR-PRO」がリリースされた。

広告が無くなった点以外は、基本機能は同じ。微妙に違う部分を挙げるとすれば、カメラ画面の「カメラ切り替え」ボタンが撮影ボタンの後ろに移動したくらい。Voiceoverユーザー的にはフリック回数が減って操作性が向上したといえる。
なおシャッターは音量ボタンでも代用できるので、音量で撮影しているユーザーには影響はない。

有料版が登場したことで、無料版に何か制限が加えられたわけではないため、これまで通り無料版を使い続けても何も問題はないが、
アプリの開発継続や機能向上を支援する意味でも、ぜひ購入を検討してみてはいかがだろうか。
もちろん初めて利用する場合はまず無料版で機能や端末との相性などを確認したうえでの購入をお勧めしたい。

個人的には起動したらシャッター一発で撮影できるシンプルモードの追加や、SiriShortcutsに対応してくれると超嬉しいのである。

○iOSアプリ
開発 Gen Shinozaki
価格 480円

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価格 無料

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