このところ、海外からビデオゲームのアクセシビリティにまつわる話題が頻繁に聞かれるようになってきた。以前のエントリーでも書いたが、これは米国において今年からCVAA法(21 世紀の通信と映像アクセシビリティ法)がビデオゲーム全般に適用されたことも少なからず影響していると考えられる。
元下手の横好きゲーマー、現在はほぼ全盲の筆者としては、このような動きに対して、またゲームが楽しめるようになるかも?といった淡い期待を抱いてしまう。
今回のニュースも、そんな楽しい未来を予感させてくれるモノノ一つだ。
Microsoftは2018年10月、World Intellectual Property Office (WIPO)に対し、視覚障害者向けの新しいゲームコントローラーの特許を申請した。その内容が2019年5月2日に公開されたと、LetsGoDigitalが伝えている。
なおこの特許に関してはまだMicrosoftから正式な情報やコメントは出ていない。
特許内容によると、このコントローラーは通常のワイヤレスXboxコントローラーの背面に、3×3セルの点字ディスプレイ、側面に6つのパドルを装着した姿をしている。
伝えられる情報の範囲から想像するとプレイヤーは両手の親指・人差し指で通常の操作を実行しつつ、他の指で点字に変換されたゲーム内のテキストを点字ディスプレイの隆起に触れて読んだり、6つのパドルを用いて点字による文字入力を行う、といったスタイルでゲームをプレイできるようだ。また特許では音声によるコマンド入力や音声入力した内容を点字に変換して他のプレイヤーへ伝達する機能にも言及しているという。
ビデオゲームの視覚的なサポートはプレイヤーの見えにくさによってさまざまなアプローチが考えられる。ロービジョンであれば画面のコントラストや配色、エフェクトの強さなどを調節することでゲームを楽しめるようになる場合がある。ここまではすでに実装している作品も増えてきている。
一方重度の視覚障害者のサポートとしては、まだ採用例は少ないがテキストを音声で読み上げる手法が考えられる。だが音声読み上げは、他のサウンドとのバランスや処理できる情報量に限りがあるなど課題も多いと個人的には感じている。それに、これはテレビの副音声でも感じていることなのだが多人数でプレイする場合、自分のためだけに音声読み上げを使うのは気が引けるのである。考えすぎかもしれないけどね。
もしここに「点字」が加われば、そのような問題の解消にもつながるかもしれない。応用としては例えばメッセージは音声で、ステータスは点字でといった感じでアウトプットを分担する方法もアリかもしれない(妄想)。
さらに点字が使えるようになれば、視覚・聴覚両方に障害を持つ盲ろうのプレイヤーにもゲームを楽しむ可能性が広がってくる。いいぞいいぞ。
これが製品として世に出るかは全くわからないが、もし発売されるとして心配してしまうのが価格だ。近年では低価格の点字ディスプレイも登場してはいるがそれでも500ドルあたりが最低レベル。これは構造の複雑さにくわえ、需要的に大量生産できないというのも大きな要因だろう。
このコントローラーの仕組みを点字だけでなく一般ゲーマーでも楽しめる仕掛けに使えれば、生産数も確保でき価格も抑えられるかもしれない。PCやスマートフォンと接続できれば安価な点字ディスプレイとしても注目されそうだ。
そういえば一年くらい前に発表があった、MicrosoftとAppleによる点字ディスプレイの共通規格の話、どうなったのかな? もしかしたら今年のGlobal Accessibility Awareness DayやE3あたりで何か発表が?あるのかな?あればいいね。
なにせMicrosoftは2018年9月にXbox Adaptive controller(XAC)を約100ドルで発売したという実績があり、ビデオゲームのアクセシビリティに関しては積極的に取り組んでいるように見える。XACと比べるとハードルはたかそうだがこの点字コントローラーも、意外と実現する可能性はあるかもしれない。
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