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CES 2020、イスラエルのスタートアップOrcam社のブースでは、すでに日本を含む世界各国で販売されている画像認識AIを用いたウェアラブルデバイス「Myeye2」の新機能と、「Read」「Hear」という2つの新製品が発表された。
このニュースに関してはすでに日本語によるプレスリリースが出されており、テック系メディアでも記事になっているので詳しくはそちらを参照いただくとして(手抜き)、ここでは発表内容をかいつまんで紹介しつつ、個人的な感想などを書いてみよう。
「Orcam Myeye2」の2つの新機能。
Orcam Myey2については、2つの追加機能が発表された。
1.「NLP(ナチュラル・ランゲージ・プロセッシング)を搭載したインタラクティブ・リーディング機能」(リリースより引用)
音声コマンドと自然言語処理を用いて認識したテキストから読み上げたい部分をピックアップする、といったことなどができるようだ。例えばパンフレット全体から日付や価格を読み上げるなど、いちいち先頭から読ませなくても知りたい情報を得られる。これは情報入手の効率化が期待できそう。
この種の文字認識機能の品質はこれまで正確性が主な評価基準だったが、これからは認識した文字や文章をいかにして処理し活用するか、という段階に入りつつあるのかもしれない。他のOCRアプリにも採用されないかなあ。
2.「ユーザーの目の前にある対象物の認識や、移動の際のサポートをするためのオリエンテーション機能」(リリースより引用)
例えば目の前にドアがあることを認識させ、そのドアまでの移動をサポートしてくれるようだ。どのようなオブジェクトを認識できるのか興味深い。オリエンテーションの使い勝手も気になる。例えば「Navilens」のような仕組みと組み合わせても面白そうだ。
それにしてもMyeye2のハードが持つポテンシャルのたかさには驚かされる。アップデートだけで、一体どこまで進化するのだろうか。あの価格は伊達ではないと思った次第。
今回発表された新機能の中で注目したいのは、やはりオブジェクト認識とオリエンテーション機能だろう。どこまで実用的かは体験してみないとわからないが、Myeye2でナビゲーションするという発想は、将来登場するであろう「Myeye3」の姿を妄想させる。
近年ではカメラや深度センサーを用い、画像認識AIをナビゲーションに応用する動きが活発化している。Myeyeが道案内してくれる未来はそう遠井話ではないのかもしれない。
新製品「Orcam Read」。
Orcamが発表した新製品の一つが、ハンディ型のリーディングデバイス「Read」。
読ませたい書類にデバイスを向けるとテキストを認識し、音声で読み上げることができるという。既存のメガネクリップ式デバイス「Orcam Myreader2」のハンディ型、という感じだろうか?
視覚障害向けというよりもディスレクシア支援デバイスとしてアピールされているようだ。このデバイスもMyeye2やMyreader2と同様にオフラインで動作するため、スマホのOCRアプリなどと比較しレスポンスの高速さが期待できそう。
価格は発表されていないが、ウェアラブル型の製品と比べると抑えられるだろう。ハンディ型のOCRデバイスはすでに国内でも流通しているが、Orcam Readが国内販売されればそのライバルになるかもしれない。
新製品「Orcam Hear」。
もう一つの新製品が、Orcam社初の聴覚支援デバイスで、CESイノベーション賞を受賞した「Orcam Hear」だ。メディアではこの製品に最も注目が集まっていたようだ。
これは会話中の相手の唇の動きをカメラで認識し、声を聞きやすく補整する仕組み。周囲に大勢の人がいるような場所でも、話している相手の声をはっきり聞き取れるようになるという。Hearは単体でどうさするのではなく、Bluetoothで補聴器とペアリングして利用する。CESではまだ試作コンセプトの段階で、発売日や価格は未定。
音声の分離を画像認識AIでやってしまおう、という発想はさすがといった感じだ。
CESでは他にも、海外では販売中の顔認識デバイス「Myme」も展示されていたようだ。
日本国内ではMyeye2やMyreader2の価格改定が行われたり、自治体による補助対象への動き、図書館への導入などが見られるなど、引き続き注目のOrcam製品。CES 2020の発表を見る限り、新製品を積極的に投入しつつも旧製品のサポートにもしっかり取り組まれていることがうかがえる。視覚障害者やディスレクシアを支援するデバイスは世界各地で様々なタイプの製品が開発されているが、技術力やセキュリティへの配慮などの面でOrcamのデバイスはいまだにトップクラスという印象。もう少し手に入りやすくなるといいのにね。
個人的に、Myeye2の新機能にしろHearにしろ、Orcamの発表は新しい気づきを与えてくれると感じる。すぐに手に入るものではないのかもしれないが、人間の能力を補助し拡張してくれる新しいテクノロジーを妄想するのはそれだけで楽しいものだ。
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