2020年1月14日火曜日

[CES 2020] 点図にも対応?点字タブレット「Tactile pro」登場。

Tactile Pro(画像引用元

目から情報を得られない視覚障害者にとって、写真や図形、グラフといったグラフィカルな情報を扱うのは非常に困難だ。
駅の案内板などで見かける、隆起した点の集まりで絵や図形を表現する「点図」や、盛り上がる特殊インクやファブリックなどを組み合わせた「触図」など、触れることでグラフィックを感じる手段は存在している。だがいずれも制作には専用機材が必要であり時間もコストもかかる。手軽に利用できるようなものではない。
結局、日常的に扱われるグラフィック情報については「ことば」で説明してもらうのが、ほぼ唯一の手段というのが現状なのだ。

韓国PCT社はCES 2020において、視覚障害者向けのタブレット端末「Tactile Pro」と、点字の学習に重点をおいたバージョン「Tactile Edu」を発表した。この製品はCES 2020イノベーション賞を受賞している。

Tactile ProはWebやメール、メッセージ、電子書籍などのコンテンツを点字と音声で利用することができる視覚障害者向けのAndroid OSを搭載したタブレット型端末だ。
一般的な点字ディスプレイのようにテキストを点字に変換して指先で読むだけでなく、コンテンツ上のイメージを、リアルタイムに点図としてレンダリングし、写真や図を指で触れて感じ取ることができるのが最大の特徴という。点字のリフレッシュ速度は役0.3秒と高速だ。

例えばスクリーンリーダーでWebを閲覧する場合、見出しから本文へと順番に音声または点字で読み進めていく。その途中でイメージにフォーカスされると、通常はイメージに設定されている代替テキストが読み上げられる。
あくまでも想像ではあるが、Tactile Proではこの瞬間に画像の内容が点字ディスプレイの解像度に自動変換され、ピンの隆起でレンダリングされるイメージだろうか。
点図の表現力や触覚で得られる情報には限界はあるが、それでも代替テキストだけの場合と比べると得られる情報量は圧倒的に増えるだろう。このデバイスは視覚障害者の情報取得の幅を大きく広げる可能性を持っている。
うーん、筆者は公式Webの写真も動画も見ることはできないけど、想像するだけでワクワクしちゃうね。

ソフトウェア的にはWebブラウザや文書作成、電子書籍リーダーなどの基本的なアプリに加え、点図表示をコントロールするアプリなどもバンドルされる。
多言語にも対応し、点字キーボードから入力したテキストを他の言語に翻訳しつつ点字に変換する、といったようなこともできるようだ(日本語に対応しているかは不明)。
点図を実現したハードウェアも画期的だが、これを100%生かすようなソフトウェアが用意されていることにも期待したい。

現時点ではまだ情報が少なく、詳細なスペックや価格、発売日などは不明。
これまで点図専用ディスプレイは製品化されていたが、非常に高価なものだった。タブレット一体型のTactile Pro、どれくらいの価格になるのだろう。
点図タブレットといえば以前「BLITAB」が話題になったが、まだ製品化されたという話を聞かない。Tactile Proは「世界初の点図タブレット」としてデビューできるのだろうか?
あまりきたいしすぎない程度に待ちたい。



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