iPhone/Android用画像認識アプリ「Envision AI」で知られるオランダのスタートアップEnvision社は、CES 2020ではEnvision AIの技術を応用した視覚障害者向けのスマートグラスを出展した。
CES会期中はあまり情報が入ってこなかったのだが、2020年1月14日、その新しいデバイスの概要が公式に発表された。
その名は「Envision Glasses」。
Envision AIはカメラで撮影したテキストや人物などを画像認識AIで解析しその内容を音声で読み上げてくれるアプリ。アプリ版はすでに多くの視覚障害者に利用されており、早い段階からスマートグラス対応の要望が寄せられていたと言う。
Envisionはその声に応えるべく試行錯誤を続け、満を辞して登場したのが「Envision Glasses」。単体でEnvision AIの画像認識機能が利用できるスマートグラスだ。
ハードウェアは独自設計ではなく、2019年5月に発売された「Google Glass Enterprise Edition(第二世代)」を採用。わずか46グラムという軽量、そして一般的なメガネと違和感の少ないデザインが特徴で、フレームには好みのレンズをいれることができる。
スマートグラスというと、どうしてもゴツい姿を思い浮かべてしまうが、その心配は少なそうだ。もちろん使用中はフレームから延びるケーブル類は一切ない。
フレームの左側には800万画素のカメラが搭載されており、側面のタッチパッドの操作でEnvisionのアクションを選択しアプリ版と同様の画像認識機能(文字の認識、人物の顔や色の識別、風景の説明など)が利用できる。ウェアラブルになることで、いちいちスマートフォンを取り出す必要がなくなるのは、特に外出や作業中には便利そうだ。
またEnvision Glasses独自の機能として「ビデオ通話」が追加されている。カメラで撮影した映像をストリーミングし、遠隔サポートを受ける時などに利用できる。要するに晴眼者と接続し「Be my eyes」や「AIRA」のように、向いている方向の映像を見てもらいながら色々手伝ってもらえる、と言う感じ。これ、なにげに目玉機能な気がする。
Google GlassはAndroid OSを採用しているが、標準の音声読み上げ機能「TalkBack」には対応していない。そこでEnvisionは独自に音声読み上げ機能を開発し実装したとのことだ(この辺り、日本語ローカライズの障壁になりそう?)。
音声は内蔵スピーカーもしくはBluetooth/USB-C接続のイヤホンから出力される。
なおGoogle Glassには液晶ディスプレイが内蔵されているが、Envision Glassesでは使用しない。また音声による操作はできないようだ(対応してほしいなあ)。
ネットワーク接続が必要な機能についてはWi-Fi接続、もしくはBluetoothでスマートフォンと接続することで利用できる。
バッテリーはUSB-Cポート経由で充電し、最大で8時間駆動可能という。物理的な電源ボタンがあるので、使いたい時だけ電源を入れるような運用もできそうだ。
気になる価格は、まだ未定。
現段階の見積もりでは1,000から1,500ドル程度とのこと。Google Glassの価格が999ドルということを考えると、これはかなり良心的というか戦略的な価格設定。一般的なガジェットと比べると高価に聞こえるかもしれないが、3,000ドル、5,000ドルが当たり前の視覚障害者向けスマートデバイスの世界では破格と言える。
発売予定は2020年7月。それに先立ち3月に米国で開催されるCSUNにおいて予約キャンペーンを実施するとのことだ。
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