2020年10月23日金曜日

[粗訳] 目の見えない私が日々直面する「ちょっと困ったWeb」の特徴ワースト5。

※このエントリーは「5 most annoying website features I face as a blind person every single day | The Big Hack」をざっくり翻訳したものです。


私のような目の不自由な人々にとって、Webにアクセスできるか、それとも排除されるかは、アクセシビリティによって決定されます。

ここで、スクリーンリーダーユーザーである私が日々直面しているアクセスできない迷惑なWebにみられる5つの特徴と、それらを修正するための方法を提案します。


スクリーンリーダーって何?


スクリーンリーダーを使えば、目の不自由な人が誰の助けも借りずにコンピュータやスマートフォン、タブレットを操作できるようになります。ほとんどのスクリーンリーダーは、TTS(Text to Speech)エンジンによって画面上のテキストを目の見えないユーザーが理解できる形式に変換します。

ユーザーがタッチジェスチャーやショートカットキーを用いて画面をナビゲートすれば、すべてのテキストが音声で読み上げられます。また点字ディスプレイなど、外部出力デバイスと連携させたりもできます。

では、以下にスクリーンリーダーユーザーとして、私が日常的に遭遇している最も一般的な問題を示します。


1. ラベルのないリンクやボタン


スクリーンリーダーユーザーは、Webサイトをナビゲートしたり必要な情報を見つけるため、ラベルに頼ラざるをえません。

リンクやボタンが正しくラベル付けされていない、あるいは全くラベル付けされていない場合スクリーンリーダーユーザーは必要な情報を見つけることが難しくなります。つまりラベルの付いていないリンクやボタンは、Webをすばやく簡単に、そして独立してナビゲートすることを妨げるのです。

例えば会社概要ページへのリンクのラベルが「ここをクリック」だけではどこにつながっているのか、手がかりが得られません。この場合、「当社についてもっと知りたい」とラベル付けされていれば明確です。

ラベルが適切に設定されていれば、スクリーンリーダーユーザーはリンクやボタンを押す前に音声で内容を確認することができます。つまり目の不自由な人が行き先がわからないリンクやボタンを無駄に押す必要がなくなるということです。


ラベルがつけられていない要素と同様に、説明が明確ではないリンクやボタンにもイライラさせられます。リンクやボタンは「ここをクリック」ではなく、押されたときにどこにつながるのか、明確に説明されなければなりません。

これを押したらどこに飛ばされるのか、ユーザーに推測させたり試行錯誤させないでください。このような体験は訪問者を本当にうんざりさせるのです。


2. 一切の説明がなされないイメージ。


おそらくこれは私がWebを閲覧する際最もよく遭遇する問題です。

画像説明文は「alt text(代替テキスト)」としても知られており、画像に説明を加えることはWebアクセシビリティを向上させるうえで不可欠な要素の一つです。

スクリーンリーダーは、画像の代替テキストを音声で読み上げます。これにより目の不自由な人が画像の内容を適切な形で理解することができます。もし画像に代替テキストがない場合、スクリーンリーダーは単に「image」や「figure」と読み上げるだけで、一切の文脈や意味を伝えません。


画像は多くの場合、貴重な情報を含みます。それゆえ、視覚障害者がこの情報にもアクセスできるようにすることが重要なのです。代替テキストは明確に書かれ、性格な説明が与えられなければなりません。

画像を完全にアクセシブルにすることを確認し、より良い代替テキストを書くためのヒントをご覧ください


3. 適切につけられていない見出しラベル。


多くのスクリーンリーダーユーザーは、Webを素早くナビゲートするため、見出しなどさまざまなページ上の要素を活用します。特に見出しは素早く効果的に必要な情報を見つけるために最適な要素です。論理的な見出し構造に沿って設定されたH1、H2、H3…タグは、コンテンツの優先順位を決定するために役立ちます。


Webサイトが見出しタグを持っていないということは、スクリーンリーダーユーザーがキーボードショートカットを使った見出しジャンプなどのナビゲーション機能を利用することができないことを意味します。そうなると長いWebページから必要な情報を見つけるため、、タブキーを何度も押したり矢印キーを連打して移動しなければなりません。

見出しはまた、Webコンテンツを視覚的に分割し読みやすさを向上させるためにも役立ちます。

スクリーンリーダーユーザーがWebページをナビゲートするために使用する要素には、他にもリンク、リスト、ランドマークなどがあります。


4. アクセスできないWebフォーム


多くのWebサイトは何らかの目的でフォームを使用しています。それが商品を検索するものであっても、問合せメッセージを送信するものであっても、これらのフォームに正しいラベルがつけられていない、もしくは全くラベルがつけられていなければ、フォームを使用することはできません。

たとえば検索ボックスにラベルが付けられていない場合、スクリーンリーダーのユーザーはそのボックスの目的を理解することはできません。つまりスクリーンリーダーを使用している人は、それを使わない人と同じ機能にアクセスできないということです。


コンタクトフォームは、顧客があなたのブランドやビジネスに連絡を取るための効果的な手段です。しかしスクリーンリーダーユーザーにとって、これらのフォームに誤ったラベルが付けられていることほどイライラすることはありません。


CAPTCHAなど、画像認証のチェックアウトは特に問題です。

音声を聞くオプションが用意されていなければ、手も足も出ません。独立してフォームに記入することができないということです。私はしばしば目の見える人に助けを求めますが、それは誰にでもできることではありません。


5. 読み上げ音声をかき消すメディアの自動再生。


多くの人々は突然再生され始める騒がしい広告を含むウェブページを読み込むことが、どれほど迷惑なことかを知っています。

しかしスクリーンリーダーのユーザーにとって、これはさらに憂慮すべき事態なのです。

ビデオやオーディオが自動的に再生されると、スクリーンリーダーの音声がかき消されてしまい、一時停止や停止ボタンを見つけることが難しくなります。その上これらのボタンにラベルがつけられていなければ、この余計なイライラを生むビデオをすぐに止めることはほぼ不可能です。

このような状況に陥ると、私は大抵そのページから離れます。


どうすれば良いのか。あなたのWebに自動再生されるビデオやオーディオが含まれていないことを確認してください。どうしてもビデオを使いたい場合は、音声をミュートし、簡単にユーザーがメディアをコントロールできるよう配慮してください。


──────────


視力のあるユーザーにとって、これらは些細なことのように見えるかもしれません。

しかし私にとっては誰の助けも借りずにWebにアクセスできるかどうかの問題なのです。

そして、正しく実装されることで大きな違いが生まれるのです。


おまけ。


翻訳はここまで。

スクリーンリーダーユーザーには「あるある」なお話でした。

せっかくなので筆者が普段感じているスクリーンリーダーユーザーを悩ませるWeb要素(というかコンテンツ構造)を思いつくまま並べて見ることにしましょう。

主にニュース系サイトで観察されるものです。


  • 記事タイトルと本文の間に共有ボタンや広告などがてんこ盛り

  • 記事タイトルと本文が離れ離れ

  • さほど長文でもない記事が複数ページに分割されている

  • 本文中に広告が挿入される場合、記事の続きがあることが不明確

  • 記事の基本情報(掲載日など)がタイトルの前にある。

  • 無意味なリンクが多い


Webよ、もっとスクリーンリーダーユーザーに優しくあれ。


2020年10月19日月曜日

A11Y Topics #012。MicrosoftのAI、Assassin's Creed最新作などこまごま。

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

※bloggerの仕様変更で見出しタグが付けられてません。「○」で検索してジャンプしてください。


○AIの包括性を進めるMicrosoftの取り組み。


その1. Shrinking the ‘data desert’: Inside efforts to make AI systems more inclusive of people with disabilities - The AI Blog

現在画像認識AIで用いられるデータセットは健康な人々によって作成されたイメージが元となっており、障害者がAIを利用したりAIが障害者を認識する場合、あまり役に立たない。Microsoftは現在、様々な団体と提携し、障害者のためのデータセットを構築する取り組みを進めている。視覚障害者の撮影した写真を収集し機械学習トレーニングを行うOrbitプロジェクト、テキサス大学オースティン校のVizWizデータセット、Team Gleasonと提携しALSの人々の写真を収集する取り組みなどを通じ、Microsoftは「データの砂漠地帯」を解消使用としているようだ。


その2. WeWALK Joins Microsoft's AI for Accessibility Programme | Technology Networks

スマート白杖を開発するトルコのスタートアップ「Wewalk」がMicrosoftのAI for Accessibilityプログラムに参加。WeWalkに搭載されているボイスアシスタントの強化と視覚障害者の行動分析に取り組む。WewalkはCEATEC 2020にも参加しており、日本への進出も視野に入れているようだ。


その3. What’s that? Microsoft’s latest breakthrough, now in Azure AI, describes images as well as people do - The AI Blog

Novel object captioning surpasses human performance on benchmarks - Microsoft Research

Microsoft Azure Cognitive ServicesチームとMicrosoft Researchの研究者は、AIを用いて画像にキャプションを加える技術「VIVO (Visual Vocabulary Pretraining」を発表した。ベンチマークテストでは人間が書いた画像キャプションよりも高い評価を叩き出したという。この技術はAzure AIサービスを通じてSeeing AIといった視覚障害者支援アプリやOffice製品のアクセシビリティ向上へ応用される予定という。ただ最適な画像キャプションはコンテンツの文脈から書かれなければならず、人力によるキャプションの重要性は今後も変わりないだろう。


○Google、Chrome OSなど各種製品のアクセシビリティ強化を発表。


Googleは米国障害者雇用啓発月間に合わせ、Chrome OSの新しいアクセシビリティ機能を発表した

リリースによるとこのアップデートにはマウスカーソルのカラー変更、選択したテキストの強調表示と読み上げ、読み上げ言語の自動切り替えやメニューの操作性向上などの内蔵スクリーンリーダーChromeVoxの機能強化、そしてChromebookアクセシビリティハブの新設などが含まれる。また他OS版と同様Chrome 86の新しい機能であるタグ付きPDFのエクスポートにも対応する。

Googleは他にもAndroid OSに日常生活の音を識別しフラッシュや振動により通知するサウンド認識機能を追加、さらにTobii DynavoxとのパートナーシップによるAACタブレットデバイスとGoogleアシスタントの連携なども発表している。


○画像認識AIアプリ「Sullivan+」のiPhone版が出てた。


TUAT Inc.が開発する「Sullivan+」は、スマートフォンのカメラが捉えた画像を解析し音声で読み上げる画像認識アプリ。物体認識やOCR、明るさやカラーの判別など視覚障害者に便利な機能を統合する。

2020年初頭にAndroid版がリリースされた際、iOS版も近日登場とアナウンスされていたためしばらくウォッチしていたのだが数ヶ月音沙汰がなかった。そのごCovid-19騒ぎが起こったりしてすっかり忘却の彼方に……。ところが先日Applevisでこんなエントリーーを発見。実は少し前にリリースされていたらしい。

このアプリ、インターフェイスも解析結果も日本語ローカライズされておりちょっと使った感じでは好印象。ただiOS14で一部の機能が動かないとかクラッシュする不具合が発生しているようだ。開発側はこの問題を把握しており近い将来対応されるだろう。修正されたらまたゆっくりレビューしてみたい。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. Ubisoftの人気シリーズ最新作「Assassin's Creed Valhalla」のアクセシビリティオプションの詳細が明らかになり、その充実ぶりに注目が集まっている。

詳しくはリリースを読んでいただくとして、全盲の視覚障害者としてはメニューなど主要なインターフェイスのナレーション、そしてゲーム中のイベント発生時に再生される効果音(音声キュー)が設定できる点に注目したい。ゲームの進行に重要なHUDは音声読み上げできないようだが、画面を全くみなくても工夫と記憶力で突破できる可能性を感じさせてくれる。リリース後のアクセシビリティレビューを楽しみに待ちたい。

Assassin's Creed Valhallaは2020年11月10日にXbox Series X、Xbox One、PS4、PC、スタディアで発売され、11月12日にはPS5でもプレイ可能になる。なおこれらのアクセシビリティ機能が日本語版でも有効かは不明。


その2. PS5 UX Revealed: Game Help, Voice-to-Text Chat, Activities, and More

ソニーインタラクティブエンタテインメントは、2020年11月12日に発売されるPS5のユーザーインターフェイスを初めてお披露目した。リリースでは新しく設計されたシステム画面、いつでも呼び出せるコントロールセンターや様々な情報を表示するカード、そして音声で入力できるチャット機能などが紹介されている。ただ残念ながらアクセシビリティ機能に関する情報は含まれていないようだ。やっぱり発売されないとわからないのかな。リージョンで制限されている謎仕様な音声読み上げが改善されているのだろうか。


その3. その他気になった記事。

Korta interactiveが来年リリース予定のホラーオーディオゲーム「DeadFright」のデモを公開。

国産フリーRPG「Fantasy Story II(が音声読み上げに対応。

EA Sports最新作「FIFA 21」のアクセシビリティオプション。


○Twitterの「画像説明文」にまつわる2つのツール。


投稿するイメージに代替テキストを加えるTwitterの機能「画像説明文」がデフォルトで利用できるようになってからしばらく経つ。だが実感としてこの機能が普及しているか?と聞かれると、答えはノーだ。そのような状況に一石を投じる(かもしれない)ツールを2つほどご紹介

Inaccessible Twitterは、Twittterのアクセシブルでないイメージを強調するブックマークレット。これをブックマークバーに追加してタイムラインを表示しアクティブにすると、画像説明文が設定されていないイメージがぼやけて表示される(らしい)。Twitterは後から画像説明文を追加することができないため実用性は低いが、画像説明文機能の「使われなさ」を露和にする役割はあるだろう。ある意味啓発用ツールと言えるかも。

一方、Chrome機能拡張Twitter Required Alt Textは、WebからTwitterに投稿する際、強制的に画像説明文を入力させる機能を持つ。日常的に画像説明文を入力しているユーザーでも、うっかりニュりょく死忘れることもあるだろう。この機能拡張を使えば、そのようなミスを回避できる。プロモーションなどでTwitterを利用しているユーザーには便利ではないだろうか。


○「Omni-wheel」、白杖チップに新しいテクノロジー。

White Cane Tips For Visually Impaired | Ambutech, Bevria | O


視覚障害者の相棒である白杖。白杖そのものについては視覚障害者のシンボルとして認知度は高いが、その先端に取り付けられている「チップ」についてはあまりよく知られていないようだ。だが特に歩行用杖ではどのチップを選ぶかで使い勝手が大きく異なってくる。チップにはいくつか種類があるが、それぞれ得手不得手があり歩行スタイルやスキルに合わせて選ぶことになる。

Rotacaster社が開発した「Omni-wheel」は、従来のチップの欠点を補う白杖チップだ。Omni-wheelは先端のメインホイールの周辺にフレキシブルな特殊ホイールが取り付けられている構造を持つ。これはロボットや工業用機会部品で用いられている仕組みを応用したもののようだ。

このホイールはキャスターのローラーのように360度あらゆる方向へ向けて回転し、引っ掛かりや隙間への入り込みを軽減する。またそれと同時に杖をついた時の音や設置面のテクスチャも的確にフィードバックし、かつ耐久性も向上しているという。つまりスムーズ&センシブル。魅力的。

視覚障害者支援デバイスというとデジタルなものに注目が集まりがちだが、やはり基本は白杖などアナログな補装具であることは間違いない。白杖の操作性は視覚障害者のモビリティにダイレクトに影響を与えるだけに、この新しいチップの使用感が気になる。


○白杖の代わりに危険を伝達するウェアラブルデバイス「STRAP」。

STRAP Technologies Announces Groundbreaking Device to Aid the Visually Impaired | Business | northwestgeorgianews.com


米国オースティンに本拠地を置くSTRAP Technologiesは世界白杖のひである10月15日、同社が開発する視覚障害者向けウェアラブルデバイス「STRAP」を正式発表した。

これを身につけると、前方にある障害物のほか、階段などの段差や溝などの穴、水たまりなどの危険を振動によって通知する。頭から下半身までをカバーすることで、同社はこのデバイスが白杖に代わる役割を果たせると語っている。ユニークなのが「直進」をアシストする機能。これを用いれば、指定した方向へコースを逸れることなく歩くことができるという。

バッテリーはフル充電から2日間持続し、Wi-Fiを用いたファームウェアアップデート、音声によるチュートリアル機能なども備える。現在50ドルのデポジットで予約を受付中、先行販売価格は500ドルを予定している。


○米国、スターバックス店内でAIRAの無料サービスを試験提供。

Starbucks Tests Aira Access At Select Locations - Aira : Aira


スマートフォンアプリを通じて視覚障害者の有人サポートを提供するAIRAは、2020年10月15日から2021年1月15日までの期間、ボルチモア、ボストン、ロサンゼルス、ミネアポリス、ニューヨーク、シアトル、ワシントンDCの一部のスターバックスで無料の接続サービスを行うと発表した。

利用者はAIRAアプリから最寄りのサービス提供店を検索し、ゲストユーザーとして最長30分のサポートを受けられる。カウンターや座席、トイレなど店内設備の場所を確認したり、ソーシャルディスタンシングを保つなど様々なタスクの実行を支援する。現在のところ他の地域への拡大や期間終了後のサービスなどについてはアナウンスされていない。


○視覚障害者のスポーツクライミングにLEGOを活用。

UKC Articles - ARTICLE: How Lego helps a Blind Climber to Route-Read


これまでスクリーンリーダー対応の組み立て説明書など、視覚障害者のLEGO活用に大きく関わってきた全盲の音楽家、Matthew Shifrin氏はスポーツクライミングに挑戦している。彼がそこで遭遇した障壁が、クライミングルートの把握だったという。

そこで考案したのが、LEGOを用いた触覚ルートマップの制作だ。これは彼が音楽を学ぶ際に用いた手法にインスピレーションされている。このマップを用いてクライミングルートのメンタルマップを構築しておけば、ヘッドセットを通じたインストラクターとのコミュニケーションもスムーズになったという。

触図は視覚障害者にとって重要な情報源だが制作にコストも時間もかかる。インスタントに形状を組み替えられるLEGOは目的次第で安価かつ効果的な触覚ソリューションの一つとなるだろう。近年では点字LEGOブロックの開発などで注目を集めているが、視覚障害者への簡易的な情報伝達手段としても、もっと活用されても良いかもしれない。


○スペインOnce、アクセシブルな地球儀を製作。

La ONCE diseña un globo terráqueo para personas con diversidad visual


スペインで視覚障害者を支援するさまざまな活動を行っているOnce財団は、触れることで世界を学べるユニバーサルな地球儀を制作した。

表面のテクスチャの違いで陸地と海を判別できる他、主要なスポットに仕込まれたタグを用い音声で情報を取得できる仕組みという。Onceはこの地球儀をスペイン国内の学校に寄贈する他一般に向けて販売も行う。筆者もサイトワールドで読みとりペンを用いた音声地球儀や、高田馬場にある触れる博物館の触覚地球儀(とても大きい)を体験したことがある。とても良いものだった。家にあると置き場所に困りそうだが。


○米国、人気クイズ番組に視覚障害者も参戦可能に。

Jeopardy! makes online test available to gameshow fans who are blind | WBFF


「Jeopardy!」は全米で人気の歴史あるクイズ番組だ。この番組では視聴者がWebを通じてクイズに出場するためのオンラインテストに挑戦できる。だがこのサイトはスクリーンリーダーでは操作できなかった。

Jeopardy Productionsとソニーピクチャーズテレビジョンは全米盲人連盟からの要請を受け、オンラインテストを視覚障害者でも利用できるよう改善を行った。

これで視覚障害者がこの由緒あクイズ番組への挑戦権をゲットできたというわけだ。近い将来、全盲の出場者が目の見える強敵を打ち負かし巨額賞金を獲得する日が来るのかもしれない。


○ドイツ、ブラウザゲームで視覚障害者の生活を体験。

Kostenloses Browser-Spiel simuliert Seheinschränkungen - PC-WELT

視覚障害者の暮らしをブラウザで仮想体験できるブラウザゲーム。見えにくさのレベルを設定して目的地を目指すという内容。たぶん。スクリーンリーダーでは操作できなかったので詳細はよくわからない。


○失った視覚を他感覚で代替する能力が最も発達する年齢は?

New research finds the optimal age at which preserved senses can compensate for blindness


視覚障害者は残された感覚、主に聴覚と触覚を用いて世界と対話する。人間の脳が失われた感覚を他の感覚で補う仕組みを持っていることは知られているが、年齢がその発達に与える影響についてはあまり研究されてこなかったという。

この新しい研究では、人間の多感覚統合が発達する8から9歳までに視覚を失った場合、それ以降に失明した者と比較して触覚などで「ものを見る」能力が大きく向上することがわかった。この研究は特に小児期における多感覚を用いた視覚リハビリテーションの重要性を示唆している。


2020年10月14日水曜日

[iPhone]「ペンタップトレース」:振動と音で撮影結果を確認できるカメラアプリ。

スマートフォンで写真を撮影しSNSやブログなどで共有する楽しさは視覚障害者の間でも一般的になっています。ただキッチリ構図が決まった写真を撮影するには、基本的に見える誰かのサポートが欠かせません。

視覚障害者が単独で撮影する場合、被写体がしっかりフレームに収まっているのか、ピントは合っているのか……などを確認するのは至難の技。なにせ画面が見えないわけですからね。

そこで目が見えないのであれば視覚情報のかわりに振動と音声で写真を確認すればいいじゃない、というコンセプトで開発されたのが「ペンタップトレース」なのです。


iPhone用無料アプリ「ペンタップトレース」は、撮影した写真をなぞることで、どのようなものがどこに写っているのか、振動や音声で教えてくれるカメラアプリです。作者はOCRアプリ「ペンタップリーダー」を開発したTakashi Hasuo氏(公式HP)。


では早速使ってみましょう。このアプリの読み上げは内蔵音声を使うためサイレントスイッチとVoiceoverはオフに設定しておきます。


  1. 2本指ダブルタップで写真を撮影します
  2. 2本指左右スワイプでフィルターを切り替えます
  3. 1本指で画面をなぞってみましょう。選択したフィルタに基づき識別されたオブジェクトの位置でiPhoneが振動します
  4. 「物体の位置」フィルタでは識別されたオブジェクトの名前を読み上げます
  5. 3本指下スワイプで写真をライブラリに保存します
  6. 3本指上スワイプで操作説明を読み上げます


基本的にジェスチャだけで操作する感じですね。カメラアプリとしてはカメラ切り替えなどもなく非常にシンプルな作りです。

試しに筆者の仕事机においてあるMacBookを撮影して「物体の位置]を選び、画面をなぞってみました。すると画面のやや左下の位置で「ノートパソコン」と読み上げられることを確認。これを参考に位置を調節しフレームの中心にMacBookが入るように撮影とタッチを繰り返していきます。コツが掴めるまでは少し難しいかな?

個人的に思ったポイントは「構図が決まるまでiPhoneをできるだけ動かさないようにする」こと。そうしないと位置調整が難しいというか効率が悪くなります。

ちなみに用意されているフィルタは以下の10種類。


黄色っぽい場所、青っぽい場所、赤っぽい場所、明るい場所、線がある場所、ピントが合ってる場所、手前に写っている場所、物体の位置、文字の場所、顔の場所


うまく被写体を認識させるためには、撮影された写真に対して適切なフィルタを選ぶ必要があります。被写体についてある程度の情報がある方がスムーズに活用できそうです。あと当然ながら被写体が全くフレームに入っていないと意味がないのでそこは練習が必要。構図が決まるようになるまでは見える人に補助してもらうと良いかもしれません。


なお写真を保存し「写真」アプリからiCloud Drive経由でMacに転送、解像度を調べたところ3,024 × 4,032ピクセルでした。これならプリントでも十分な品質が期待できるでしょう。なお写真は縦向き固定になるようです。

また写真撮影だけでなく、文字が収まっている写真をこのアプリで撮影し、OCRアプリからインポートする、といった用途も想定されているようです。OCRアプリで文字を読み上げさせようとしたのに端が切れてたり逆に何の文字も入ってなかった、なんて失敗はよくありますからね。ほかにも工夫次第でいろいろ便利に使えそうです。


ペンタップトレースに近いソリューションとしては「Seeing AI」の写真探索機能や、標準「カメラ」の音声ナビゲーション機能があります。

ただいずれも機能や信頼性の面で「画面を見ずに思い通りの写真を撮影する」といった体験には程遠いのも事実でしょう。あくまでも視覚を使わない撮影を補助するツールといった感じです。それでもこれがあるのとないのとでは大きな違いが生まれます。

いまはこれらのツールを活用しつつ、視覚を使わない写真撮影を極めるべく鍛錬するのも一興ではないかと思います。目指すはブラインドフォトグラファー。


参考:Introducing Tactile Sense Camera App | AppleVis


2020年10月12日月曜日

A11Y Topics #011。米国ADA改正法案の問題、英国で商品パッケージに「navilens」、など。

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

※bloggerの仕様変更で見出しタグが付けられてません。「○」で検索してジャンプしてください。


○米国、「オンラインアクセシビリティ法」が下院に提出される。

Legislation would set standards for ADA website compliance | Chain Store Age


2020年10月1日、障害を持つアメリカ人法の改正法案が米国下院に提出された。この「The Online Accessibility Act(オンラインアクセシビリティ法)」と題された法案を提出したのは、ノースカロライナ州のTed Budd下院議員(共和党)とカリフォルニア州選出のLou Correa下院議員(民主党)。(法案番号 H.R.8478)

米国の民間企業に対し起こされるWebアクセシビリティ訴訟は、1990年に署名された障害を持つアメリカ人法(ADA)のTitle IIIに基づいている。だがADAにはWebやアプリといったデジタルメディアのアクセシビリティに関する基準が明記されておらず、それが長年の間議論されてきた。この改正法案はADAにデジタルアクセシビリティに関する条項を追加し、米国におけるアクセシビリティ訴訟に新しい基準をもたらそうとしている。

これはデジタルアクセシビリティを法律に明記することで、障害者の権利をより確実に保護する改正法案であるようにも見える。だが障害者の権利保護に詳しい弁護士で長年デジタルアクセシビリティ訴訟に関わってきた、Lainey Feingold氏は、このオンラインアクセシビリティ法に潜む多くの問題について、以下のような記事を書いている。

Proposed Online Accessibility Act in US Congress is Bad for Digital Inclusion – Law Office of Lainey Feingold

詳しくは記事を読んでいただくとして、なるほど、この改正法案は少なくとも障害当事者にはメリットが少ないように感じる。ではこれは誰のための法案なのか。

全米小売業連盟(NRF)が支持していることからも、この改正法案は被告となり得る民間企業をADA訴訟から保護するという性質を少なからず持っているようだ。だがこれにより乱発されるトロール訴訟は防げるかもしれないが、その副作用として当事者の権利が脅かされてしまうのは本末転倒だろう。

果たしてこの法案、どのような行方になるのだろうか。


○ケロッグ、RNIBと協力しパッケージにnavilensコードを試験採用。

Kellogg's develops Coco Pops packaging designed for blind people


食品メーカーであるケロッグは英国の視覚障害者支援団体RNIBの協力を得て、同社が販売しているシリアル商品「Coco Pops」のパッケージに、スペインのニ二次元コード技術「navilens」を試験的に導入すると発表した。

視覚に障害を持つ買い物客は、英国内のスーパーマーケットなどでnavilensアプリを起動したスマートフォンを用い、最大3メートルの距離から商品のパッケージをカメラでとらえ、成分やアレルギー情報などを取得し音声で読み上げることができる。英国でnavilensが実用化されるのはこれが初めてという。

視覚障害者が商品のデータを取得する方法としてはこれまでもQRコードやバーコードをスキャンする方法があった。だがこれらはコードが印刷されている場所を探さなければならず使い勝手は良くない。離れた場所からコードをスキャンできるnavilensなら、商品棚にスマホをかざすだけでコードを見つけ陳列している場所も教えてくれる。ソーシャルディスタンシングが叫ばれる中、不必要な接触を最小限にできるだけでなく、同時に複数のコードをスキャンすることで視覚障害者が目当ての商品を探しやすくなるメリットもある。

ケロッグはこのパイロットテストの評価次第で、他の幅広い商品へnavilensコードを採用していくとのことだ。ひとつ考えられる懸念は「Coco Pops」を好まない視覚障害者の存在だろう(そこじゃない)。


○視覚障害者の読書を支援するランプ「Kibo」。

Here's how these three engineering graduates used technology to help specially-abled- Edexlive


インドでソーシャルイノベーションを研究する機関DIGITAL IMPACT SQUARE(DISQ)に所属する3人のエンジニアによって制作された「Kibo」は、印刷されたテキストを音声で読み上げる視覚障害者のための卓上ランプだ。その名称は日本語の「希望」に因んで付けられている。

当初このデバイスは英語の本を読むことに特化して設計されていたが、当事者からの要望によりインドで用いられる主要な言語に対応させ、加えて手書きの文字も認識するよう改良を加えたという。本体は軽量かつポータブルで、好きな場所に設置して利用することも可能。もちろん卓上ランプとして手元を照らすこともできる。

彼らは視覚障害者の読書を支援する同名のAndroidアプリもリリースしており、Covid-19によるロックダウンの影響でダウンロード数が大幅に増加したと語っている。パンデミックにより対人サポートが受けられない状況の中、これらのような支援技術の需要は今後より高まってくるのかもしれない。


○視覚障害者にとって外国語の習得は晴眼者より難しい?

Learning a foreign language is harder for visually impaired people


ロシアRUDN大学の言語学者は、視覚障害者の母国語以外の言語に対する知覚特性の研究から、その習得が目の見える人々と比較し困難であるという仮説を発表した。

晴眼者が会話する場合、声による情報に加え表情や仕草、口の動きからも多くの情報を得ている。そのため騒がしい場所や全く知らない言語話者との会話など、イレギュラーなシチュエーションでもコミュニケーションが成立する。一方視覚障害者は聴覚から全ての情報を読み取らなければならないため、そのようなケースで音声の知覚が低下し意思疎通に支障をきたしやすい。実験では視覚障害者に幾つかのネイティブな外国語の音声を聞き取るテストを行った。その結果、特定の言語において一部の発音の知覚が困難であることがわかった。

これはあくまでも仮説ではあるが、興味深い研究ではある。まあ確かに、同じ外国語でも映像に比べ音声だけでは意味を理解するのにパワーが必要なイメージはある。英語のPodcastとか全然わかんないもんね。見えてた頃にもっと語学頑張っておくべきだったと後悔したお話。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. The Last of Us Part 2 Lead Systems Designer Shows Vision Accessibility Prototype From 2018

Naughty Dogのリードシステムデザイナーであるatthew Gallant氏は彼のYouTubeチャンネルにおいて「The Last of Us Part II」のアクセシビリティ機能に関するプロトタイプ映像を公開した。この映像は2018年のもので、視覚障害者向けのハイコントラストモードや音声キューなどごく初期のアクセシビリティオプションの様子を見ることができる。製品版のリリースが2020年6月19日ということを考えれば、開発初期からこのようなオプションが盛り込まれていたことがわかる。リリースされたものと比べると、音声キューはまだ控え目な印象だ。

なお先日オンラインで開催されたGame Accessibility conferenceでは、Matthew氏がリードデザイナーであるEmilia Schatz氏とともに「TLOU2」のアクセシビリティオプションがどのように構築されてきたのか、そのあゆみについて語っている。プロトタイプ映像と合わせ、この作品のアクセシビリティ機能がどのようにチューニングされてきたのか、その一端を伺うことができる。


その2. ゲームのアクセシビリティ情報をデータベース化する動き。

ゲームをアクセシブルにしようという雰囲気はここ数年で大きく盛り上がりつつある。「The Last of Us Part II」を筆頭に、アクセシビリティオプションを充実させた作品も増えてきている。だがゲームにどのようなオプション項目が含まれているのかという情報はなかなか当事者に伝わっていないのが実情だ。

そのような状況を打破すべく、アクセシビリティに関する情報を集約しようとする動きが生まれている。ビデオゲームを家族的視点からレビューする「Taming Gaming」では、ゲームのレビューに詳細なアクセシビリティ情報が含まれている。同サイトのAccessibility Dataでは難易度調整やコントローラー設定、視聴覚オプションまで数多くの項目からユーザーにあった作品を検索することもでき、例えば聴覚に障害を持つユーザーなら、キャプションや音量バランス調整を備える作品をすぐに探し出せる。

ゲーム全体からみればまだ登録されている作品数は少ないが、データが充実していけば、このようなサイトは障害を持つゲーマーにとって大きな力になるだろう。まあ本来ならこのような基本的なデータは開発側から発信されて欲しいけど。


その3. Xbox Series X Aims To Make Cabling More Accessible Than Ever Before - Xbox News

11月に発売が予定されているゲーム機、Xbox Series Xの背面にある各種ポートに、触覚インジケーターが搭載されていることがわかった。これはMicrosoft Inclusive Tech LabのリーダーであるBryce Johnson氏のツイートで明らかにされた。ユーザーはこのインジケーターに触れることでポートの種別を目視することなく判別できるようになるという。

確かにケーブルを差し替える時にいちいち本体を引っ張り出すのは面倒な作業だ。明らかに形状の異なる端子なら触れて確認することができるが、オーディオなど目で確認しなければ判別できないものもある。なぜ今まで無かったのか不思議なくらいのアイデアではある。これは視覚障害のあるなしにかかわらず、アクセシビリティを向上させる試みの一つといえるだろう。

多くの報道ではこの仕様を「視覚障害者向け」と伝えている。であればもちろんSeries Xのシステムがアクセシブルであることにも期待したい。端子だけアクセシブルでもゲームは遊べないのである。


○その他、今週気になったトピックス。


その1. WBU statement on World Sight Day Thursday 8 October 2020

毎年10月第二木曜日は世界視力デー。今年は10月8日、世界中で眼の病気についての知識を広め、アイケアの重要性について議論するとともに、視覚障害や失明に対する理解を深める活動が行われた。なお日本では10月10日が「目の愛護デー]として制定されている。


その2. Celebrating 10 Years of the CVAA

同じく10月8日、米国の21 世紀の通信と映像アクセシビリティ法(CVAA法)は制定されてから10年の節目を迎えた。この法律は2010年にオバマ大統領によって署名され、テレビ局などの通信サービス提供事業所に対し、アクセシビリティ確保の義務を課している。この法律により視聴覚障害者の生活は大きく向上した。


その3. Making a more accessible, accurate campus accessibility map

米国北アリゾナ大学は、LiDARスキャナを用いてキャンパス内の高解像度の3Dマップを構築し障害者のナビに活用する取り組みを始めた。マップは地上およびドローンによりLiDARを用いて測量され、音声による視覚障害者向けのナビゲーションなどに活用される予定という。先日発表されたGoodMapsもそうだが、まず詳細な3Dマップを構築するというアプローチは今後のトレンドになるかもしれない。


その4. Explore - Sounds of the Universe | NASA

視覚的な情報を「音」に翻訳するsonificationは、天文学の分野では古くから試みられてきた。米NASAは、チャンドラX線天文台チームが制作した天文画像のsonificationコレクションを公開している。これらは、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測を組み合わせたもので、音は左から右へ移動しながらピッチと音量によって天体を表現している。よくよく考えればこれらの画像は実際、肉眼では見ることができないものだ。実はsonificationの方が本来の姿を体験できる方法なのかもしれないと妄想したりしなかったり。


その5. Hable One makes smartphones accessible for blind and visually impaired | Mirage News

昨年ユーザーテストが実施されていた視覚障害者向けのスマートフォン周辺機器「Hable One」の出荷がいよいよ始まった。これはスマートフォンと無線接続し、6つのボタンで点字入力が行えるデバイスで価格は226ユーロ。ただFableが発表され製品化されるまでの間、Orbit Researchがチャッカリ「Orbit Writer(99ドル)」をリリースしたためインパクトは少し落ちてしまった印象もなくもない。でもコンパクトな点字キーボードが盛り上がってくれば、減少する点字ユーザーが増えるきっかけになるかもしれない。


その6. Treating Tinnitus Through the…Tongue? - IEEE Spectrum

聴覚デバイスと舌刺激ユニットを組み合わせることで耳鳴りを軽減する、という研究。これまで効果的な対処法が存在していない耳鳴りに悩まされている人々を救うかもしれない技術だ。原理はよくわからないが、人間の体って不思議だなあと思った話題。


2020年10月7日水曜日

[雑記] 全盲的iOS14ファーストインプレ。Voiceover認識とかカメラとか写真のキャプションとか。

2020年9月17日、iPhone向けの最新OSである「iOS14」がリリースされました。

実質閉店休業中でありながら一応ICTライターを名乗っている筆者ですが、ここ数年、iOSのメジャーバージョンアップ直後の不安定さに怯えしばらくは様子見を決め込むという体たらく。ぼちぼち流れてくる情報から判断し、まあ大丈夫だろとインストールした次第です。日和ってますねえ。


ちなみにiOS14の新機能についてはこの記事、アクセシビリティの新機能についてはこの記事とかこの記事にまとめられています(手抜き)。


○「Voiceover認識」の実力を検証(したかった)。


さて言い忘れてましたが筆者所有の端末はiPhone 7。

もう4年前の機種なんですね。これ買った時はまだ視力残ってたなあ(しみじみ)。

まあそれはいいとして、iPhone 7にインストールされたiOS14を目の当たりにし、とても重要な事実に気がつきました。驚くべきことに、いやちょっと覚悟はしてたのですが、新しいアクセシビリティの目玉機能である「Voiceover認識」と「背面タップ」が動かない。「設定」を確認してみると、設定項目が出てこない。出てこないということはこれらの機能は私のiPhone 7では使えないということですね、はい。

これは楽しみにしてた「写真の説明」や「画像内テキストの解析」「アプリのUI解析」が使えないということを意味します。うーん残念。

結局今まで通りSeeing AIなど外部アプリのお世話になりそうです。


ただAppleもちょっとは情けをかけてくれたのでしょうか、Voiceover認識を使わない状態でも、画像の簡単な説明はしてくれるようになりました。

イメージにフォーカスすると効果音が再生され、一通り読み上げが終わったのちに「コンピュータ」とか「人々」「カーテン」といった感じでアバウトな説明を読み上げます。テキストは認識しないようですが、これがあるのとないのとでは大違いです。

あとUIの認識はiOS13からあまり変化はなさそうですが、いちいち「候補」と読み上げなくなったので少し自然な印象になりました。


なおイメージにフォーカスした時の効果音は、「設定」>「アクセシビリティ」>「Voiceover」>「オーディオ」>「サウンド」>「テキストとイメージが検出された」から設定できます。煩わしく感じたらオフにしましょう。


○「カメラ」の音声ナビゲーションが改善されてる。


Voiceoverオンの状態でカメラを起動すると、画面の傾きやフレームインしている人物の情報を音声で伝えてくれるナビゲーション機能が使えます。

iOS14ではこの機能が少し賢くなり、ファインダーにVoiceoverカーソルをフォーカスすることで人物意外のオブジェクトも認識し説明してくれるようになりました。ちょっとした物体認識アプリのようです。

例えばお花に向けてiPhoneをかざすと「花」とアナウンスされるので、そこでシャッターを押せば、ちゃんとお花がフレームに入った写真が撮影される(はず)。確実性は低いですが今まではできなかったことなのでありがたい改善です。ファインダーからフォーカスが外れると説明が読み上げられなくなるので、音量ボタンでの撮影が吉でしょう。


このアナウンス、Voiceover認識オンだと内容が違ったりするのでしょうか。

確認する術はありませんが。


○写真にキャプションをつけられる。


またiOS14の「写真」アプリでは新たにキャプション機能が使えるようになりました。

出かけた時など同行者のサポートで写真を撮影することがあるのですが、帰宅してからその写真を見つけるのに結構難儀するのです。全盲だとタイムスタンプとか位置情報くらいしか手がかりがありませんからね。写真にキャプションをつけておけば、あとでSNSやブログなどに投稿する時、写真を判別しやすくなります。

次期macOSではキャプションの同期もできるみたいですよ。

うちのMac、対応してないけど。


では早速、写真にキャプションをつけて未なしょう。


  1. 写真を開きイメージにフォーカスします(「写真」と読み上げられる部分です)。
  2. 上下にスワイプして「詳細を表示」を開きます。もし「詳細を表示」が読み上げられない場合はローターからアクションを選んでみましょう。
  3. みぎスワイプすると「キャプションを追加」という項目が読み上げられるのでダブルタップします。
  4. キャプションを入力し「完了」をタップします。


なおこの機能は「カメラ」アプリの「写真およびビデオビューア」からも使えます。写真を撮影したらすぐにここを開きキャプションを付けておくと後々便利かも。


追加したキャプションは「写真」アプリを開き、キャプションを追加する時と同じ手順で「詳細を表示」から確認できます。また写真一覧画面のサムネイルを上下スワイプすると、写真の追加情報と共にキャプションが読み上げられます。この時ローターは「その他のコンテンツ」となってるはず。

また検索機能を使ってキャプションがつけられた写真を絞り込むこともできます。


○とりあえず大きなトラブルはなさそう?


ひとまずVoiceoverユーザー的にiOS14で気になったところなどをごく一部ですが試してみました。多分もっと視覚障害者に便利な機能があるはず。頑張って使っていきます。

今のところよく言われるようなパフォーマンスの低下なども気にならず普通に使えている感じです。ただ噂によるとVoiceoverカーソルの挙動がおかしいとかバッテリー消費が激しい、iCloud周りが不安定など、まだいくつか不具合があるようなのでご注意ください。

にしてもVoiceover認識と背面タップが使えないのは残念でした。

iPhoneにLiDARスキャナがついたら買い換えたいな。その前に仕事だな、はい。


2020年10月5日月曜日

A11Y Topics #010。視覚障害者のCovid-19影響レポートが公開、GAconf開催、など細々。

※一週間で見つけた支援技術、主に視覚リハに関する記事のメモ書き。基本月曜更新。(ギリギリです)

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

※bloggerの仕様変更で見出しタグが付けられてません。「○」で検索してジャンプしてください。


2020年9月の支援技術関連リンクまとめテキストを公開しました。

ダウンロードはこちらからどうぞ。


○米AFB、Covid-19の視覚障害者に与えた影響の調査レポートを公開。

American Foundation for the Blind Announces Flatten Inaccessibility Report, Illustrating Impact of COVID-19 on Blind or Visually Impaired Adults


2020年9月30日、米国において視覚障害者を支援する非営利組織であるAFB(American Foundation for the Blind)は、Covid-19の感染拡大が視覚障害者に及ぼした影響についての調査レポート、およびその結果を踏まえた提言をまとめた文書「Flatten Inaccessibility」を公開した。

このレポートはパンデミック開始直後の4月3日から13日に米国在住の1,921人の視覚障害者(成人)から寄せられたアンケート調査がベースとなっており、報告書は10のセクションにわたってCovid-19が視覚障害者に与えた影響について分析している。この調査にはAIRAやBe My Eyesと言った16の関連団体も協力した。

報告書のPDFダウンロードはここから、調査のサマリーおよびAFBからの提言の要約はここから読むことができる。加えてAFBはこのレポートを踏まえ各機関へ働きかけるためのヒントも公開している。

この調査はインターネット経由で行われており、人種や年齢にもやや偏りが感じられるため必ずしも視覚障害者全体の傾向を示しているとは言い切れないが、移動や買い物、デジタルアクセシビリティ、雇用などCovid-19によって新しい問題が発生し既存の障壁が改めて強調されていることが読み取れる。視覚障害者の個人的な体験による問題提起はこれまでもしばしば語られてきたが、このような大規模な調査によって改めてそのような課題に説得力が与えられたと言えるかもしれない。


○英国、視覚障害者の自宅を訪問した警察官が身分を証明する新しい仕組み。

Blind woman's campaign leads to police ID scheme launch - BBC News


英国ウェストヨークシャー警察は、緊急通報をもとに警察官が視覚障害者の住宅を訪問する際、事前に発行されたパスワードによって身分を証明する新しいシステムを導入した。通報者が緊急通報した際、オペレーターに視覚に障害があることを告げると認証用のパスワードが発行される。その後訪問した警察官がそのパスワードを確認することで警察官であることを証明する仕組みという。このシステムは視覚障害の程度を問わず誰でも無料で利用できる。

このアイデアは視覚に障害を持つ女性の訴えをもとに考案された。これまでも点字IDによる確認方法はあったが、不携帯が多く点字の識字率を考えるとあまり効果的な手段ではなかったという。このような状況は訪問者の姿や身分証を目視できない視覚障害者、特に一人暮らしの女性にとっては大きなセキュリティリスクだ。例えば空き巣被害で通報した後に犯人が戻ってこないとも限らない。

パスワード、要するに「合い言葉」はシンプルだが高齢者にもわかりやすく結構良いアイデアかもしれない。この仕組みを応用すれば警察だけでなく宅配業者や施設点検などを装ったなりすましによるトラブルも未然に防ぐ効果もありそうだ。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. GAConf 2020 Saw Over 1200 Registrations, Talks Now Available Online

ビデオゲームのアクセシビリティについて幅広い分野のスペシャリストが議論するカンファレンス#GAconf(Game Accessibility Conference)が2020年9月28日から29日の2日間オンラインで開催された。このイベントはIGDA Game Accessibilityが主催し、2017年から毎年開催されている。

MicrosoftやNaughty Dog、UBIsoftといったAAAゲームメーカーからインディーゲーム開発者、研究機関、そして障害を持つ当事者ゲーマーに至るまで数多くのセッションがスケジュールされ、ゲームのアクセシビリティの現在とこれからの課題について活発な意見交換が行われた。

今年はオンラインでの開催となったが、イベント登録者数および視聴者数は前回から大幅に増加しゲームのアクセシビリティに対する関心の高まりが感じられたようだ。セッションのアーカイブ動画は公式YouTubeチャンネルから視聴できる。


その2. Share Your Video Game Accessibility If You Can Talk About Customizable Penises

ゲームメーカーにとって発売前の作品に関する情報は最高機密であり、これらの情報はNon-Disclosure Agreements(秘密保持契約)に基づき厳重に保護されている。メーカーのWebやゲーム情報メディアから発信されている、いわゆる「解禁」された情報を除けば、、原則的に一般ゲーマーまで伝わることはない。例えそれがアクセシビリティに関する物だったとしてもだ。

だが障害を持つゲーマーにとってアクセシビリティの情報は、プレイ可能かどうかを判断するための重要なものだ。一般的なゲーマーに置き換えると、どの機種でリリースされるの? 必要なPCスペックは? 年齢制限はあるの? くらい超基本的な情報。秘密にすべきではないし秘密にする合理性もない。だが解禁されていないので外には出せない。結局この状況を変えるには、メーカーが積極的にアクセシビリティに関する情報を公開する意識を持つ必要があるのだろう。「アクセスできない」という情報も含め。

現状はアクセシビリティに積極的に取り組んでいるごく一部のメーカーは率先して情報を出しているように見える。逆に情報を出さないメーカーはアクセシビリティに無関心である可能性が高いといえる。でもユーザーから情報開示をしつこく求めれば意識も変わる可能性はある、かもしれない。


その3. How Do You Audio Transcribe an Entire Video Game?

先日エントリーした記事の裏話的な話題。

「The Last of Us Part II」は、視覚に障害を持つゲーマーにとって画期的なAAA作品だった。豊富に用意されたアクセシビリティオプションを調整すれば、画面をみなくても一人でゲームをクリアすることができる。だが現状では目の見えないプレイヤーが一般ユーザーと「同じ体験」ができるか?といえば、残念ながらまだ改善の余地はある。

そしてその鍵を握るのは音声によるコンテンツ解説かもしれない。これまでNetflixなどで副音声による音声解説を制作してきたDescriptive Video Worksは、そのノウハウをゲームの世界にもたらそうとしている。

とはいえいきなりゲーム本編に音声解説を加えるにはまだ多くの障壁がある。そこでまず注目したのがゲームの予告編ムービーだ。彼らはUbisoftと協力し「Assassin’s Creed Valhalla 」など2020年以降に発売が予定されているいくつかの予告編に音声解説を加えた。

これは数分の短い動画にすぎないが、これまでゲームのビジュアルについてほとんど情報が得られなかった視覚障害者にとっては、ゲームの世界観を感じ登場人物の雰囲気を把握できる貴重なものとなっている。これがあるのとないのとではプレイ中にイメージする内容は大きく違ってくるはずだ。

もちろんこれは始まりに過ぎない。彼らが目指すものは、ゲーム本編全体に音声解説をもたらすことなのだ。だがそれを実現するためには映像とは異なる全く新しい音声解説のアプローチが必要になってくるだろう。

技術の進歩により視覚障害者が楽しめるメディアは広がりつつある。音声解説でテレビや映画が(まだ不完全とはいえ)開放されたように、ゲームもいつのひかバリアなしで楽しめるのが当たり前になるかもしれない。


○その他、今週気になったトピックス。


その1. iPhone用アプリ「Envision AI」。がアップデート。画像やPDFに加えePubおよびWordドキュメントをインポートし解析することができるようになった。


その2. iPhone用アプリ「LetSeeApp」がアップデート。プラスチックカードの識別、明るさ検出、紙幣識別昨日を持つが、今回のアップデートで日本円の識別に対応した。(アプリ内購入で120円)。アプリ自体は日本語かされていないためあくまでも訪日外国人むけかな?


その3. Visually impaired Scots get sonic help with Covid graphs | Blindness and visual impairment | The Guardian

スコットランドにおけるCovid-19関連の数値をまとめたサイトで、視覚障害者向けにsonification,(音響化)したデータが公開されている。このサイトにある「Listen to audio representation of daily cases for Scotland」をクリックすると、選択した統計データの変化を音階で聞くことができる。

なお米国のCovid-19統計データのsonificationについて書いた記事はこちら


その4. Voice Shopping is now available for over 4 million eCommerce websites - EIN Presswire

オープンソースの eコマースソリューションを提供するWooCommerceは、新たに音声でショッピングを体験できるWordpressプラグインをリリース。カートに商品を入れたり、レジに進むと言った操作を音声で実行できるという。


その5. Arricano Real Estate : The 3D construction of St. Sophia Cathedral is another social and cultural project in the Arricano portfolio | MarketScreener

ウクライナの首都キエフにある世界遺産、聖ソフィア大聖堂で、視覚障害者が建築物を触覚で体験できる3D触覚模型が公開された。この建築物のモデルは、見える訪問者が全体を把握するためにも活用される。


その6. NUIG develops 'JediGlove' to help people with sight problems sense objects - Galway Daily

視覚障害者向けスマート手袋「Jedi-Glove」。超音波と深度センサーを用い、障害物の位置を装着者に伝える。障害物の距離と位置に応じて各指がさまざまな強さで振動する仕組み。ネーミングが良いね。


その7. Roulette enables visually impaired people to draw tactile diagrams on any paper - Newz Hook - Changing Attitudes towards Disability

インド。さまざまな紙に触覚図を描けるツール「Roulette」。専用用紙不要なので低コストで触図を作成できるのが大きな特徴。主に数学の授業など教育げんばでの活用が考えられている。


その8. The journey continues – Journey out of darkness

脳インプラントによる人工視覚「Orion」などをを開発しているSecond Sight社。Covid-19の影響で大幅に経営が悪化し、大規模なレイオフや上場廃止などが伝えられたが、なんとか研究開発や被検者へのサポートは続くようだ。すでにインプラントが埋め込まれた被検者は一安心だろう。世界各地でインプラントの治験が伝えられているが、被検者の安全を第一に考えて欲しいものだ。


支援技術関連記事まとめ(2022年11月)※お知らせあり。

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