2022年3月4日金曜日

[iPhone] 月はどっちに出ている?Voiceoverで天体観測できるアプリ「SkyView Lite」(+おまけ付き)。

SkyView Liteのスクリーンショット。

ぼんやりSNSなどを眺めていると「今夜はスーパームーンですよ」とか「ン年に一度の惑星直列が」的な、いわゆる天体ショーにまつわる話題がタイムラインに流れてきます。

全盲の私としては「ン十年に一度」とか「ン百年に一度」みたいなフレーズに興味はそそられるものの、見られないしねとそのようなイベントに加われない残念さを感じたものです。まあ特に落ち込むとかではないのですが、せめてそのスーパー云々が空のどのあたりに出ているのかが分かれば、視線をそちらに向け脳内で天体ショーを再現することくらいはできるかもしれません。


そんな視覚障害者の天体への興味心を、ちょっとだけ満たしてくれるのが、天体観測アプリ「SkyView Lite」です。AR、つまり拡張現実技術を応用したこのアプリを使えば、天体が空のどこに出ているのか知ることができます。さっそく試してみましょう。

※この記事はiPhone 7、Voiceoverオンで執筆しています。「SkyView Lite」はAndroid版もリリースされていますが、操作方法など若干異なるかもしれません。


SkyView Liteを初めて起動するとまずチュートリアルが開きますので、ここで位置情報サービスとカメラを有効にしておきます。なお位置情報は現在地を自動的に取得するために使われますが、オフにして手動で指定することも可能です。

チュートリアルが終わると、まずは天体を見渡すARモードになります。

iPhoneを縦方向に持ち空に向かってゆっくり動かしてみましょう。

するとiPhoneが軽く振動するポイントがあることに気が付きます。これはその位置に何かしらの天体が存在していることを示しており、振動を感じたら、そこでiPhoneの動きを止めるとその天体が何であるかをVoiceoverがアナウンスしてくれます。

なお「空に向かって」と書きましたが、別に空が見えている場所で使わなければいけないというわけではなく、部屋の中でも問題ありません。まあ空が見える場所の方が雰囲気は出るでしょう。気分の問題です。


では次に、特定の惑星や正座などが空のどのあたりに出ているのかを探してみましょう。

まず「Search」ボタンを探してダブルタップします。検索画面が表示されるので、ここから探したい天体を指定します。例えば「月」を探すのであれば「Solar System」を開き、「Moon」をダブルタップします。

ちなみに探したい天体を選ぶ時「Above Horizon」を選ぶと現在の空に出ているものを、「Below Horizon」を選ぶと空には見えないもの(つまり地球の裏柄に出ているもの)で絞り込むことができます。もちろん裏柄にある天体でも、その方向にiPhoneを向けると、場所を特定することが可能です。


さて探したい天体を指定するとAR画面に戻ります。

ここで適当な方向へiPhoneを向けると、「ピ…ピ…」のような効果音が聞こえてきます。なおサイレントモードではこの効果音は鳴りません。

続いてiPhoneをゆっくり動かしながら、この効果音の感覚が短くなる場所を探します。うまく天体をキャッチすることができれば振動とともに「ピッ」と高い効果音が鳴り、天体を見つけたことを知らせてくれます。そう、いまiPhoneが向いている先にその天体が存在するんですね。なんかロマンです。

天体を探している間は、画面上にその天体に関する情報が表示されており、タップして読み上げることができます。「More Info」をタップすれば、さらに詳しい説明が表示されます。検索モードを終了するには説明文の中にある「Deselect」をダブルタップするか、タップして「Full Screen」云々とアナウンスされる部分をダブルタップします。


ちなみにLite版で対応している天体は以下の通り。

App内課金もしくは有料版を購入すると、検索できる天体の種類は一気に増えます。


  • Solar System:太陽系の惑星と衛星
  • Stars::星団
  • Constellations:星座
  • Brightest Satellites:ハッブル宇宙望遠鏡と国際宇宙ステーション
  • Nebulae & Galaxies:星雲と銀河
  • Messier Objects:メシア天体


このアプリだけで天体の姿を想像することは難しいですが、空のどこに存在するのか、わかるだけでも興味が湧きます。天体の名前をネットで調べたり、点字(点図)の資料を調達するなどすれば、より本格的な天体観測が楽しめるでしょう。想像力が試されます。

そして「SkyView 」の「振動と効果音で天体を見つける」というインターフェイスは、Voiceoverオフでは動作しません。つまりこれ、Voiceoverユーザーのためだけに用意されている機能なんですね。もちろん全てのボタンには的確なラベルがつけられており、ストレスなく操作することができます。アクセシビリティ的には満点ですね。

これで日本語に対応してくれれば最高のアプリと思うのですが、それでも視覚障害者に天体観測の面白さの一部分でも体験させてくれる貴重なアプリと感じました。


おまけ。どうしても日本語で使いたいという場合は「Night Sky X」というiPhoneアプリもあります。これもARを用いて天体の位置と名前を教えてくれるアプリで一部の天体は日本語で読み上げてくれます。ただVoiceoverに完全に対応しているわけではなく、検索など、ちょっと試した範囲ではうまく使えない機能もありました。

あと「SkyView Lite」でも同じことが言えるのですが、この手のARアプリはかなりバッテリーを消費してしまいます。お試しする時はその辺りも頭に入れておきましょう。


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