2021年12月11日土曜日

視覚に障害のある俳優が主演。遠隔サポートをモチーフとしたホラー映画「See For Me」の予告編が公開されています。

See For Meのポスターイメージ
画像引用元:FirstShowing.net


2021年12月2日、米国IFC Filmsは年明けに公開されるホラー映画作品「See For Me」の予告編動画を公開しました。※一応ホラー映画なのでクリックするときはご注意ください。

See For Me - Official Trailer | HD | IFC Midnight - YouTube


(あらすじ)

盲目の元スキー選手、Sophie。彼女は人里離れた屋敷でのハウスシッターの仕事を急遽一人で引き受けることになった。ある夜彼女が目を覚ますと、隠し金庫を狙う窃盗団が屋敷に侵入していることに気が付く。

唯一の防衛手段は全国のボランティアとマッチングし目の変わりをしてくれるスマートフォンアプリ「See For Me」。この絶体絶命の状況でSee For Meがマッチングしたのは、FPSゲームマニアの陸軍退役軍人、Kellyだった。

(あらすじ終わり)


さて視覚障害当事者やその周辺の人々ならピンとくるかもしれません。この作品、「Be My Eyes」を代表とするビデオ通和を用いた視覚障害者向け遠隔サポートをモチーフにしているのです。ただBe My Eyesがこの映画と関わりがあるのかは不明です。


そういえば2020年10月「Don't Breathe」(結構See For Meと似たシチュエーションのホラー映画)を手掛けたサム・ライミによる、その名もずばり「Be My Eyes」の製作が報じられていましたがそれ以降情報が出ていません。これが「See For Me」と関係があるのかどうか。紆余曲折の結果なのか、それとも全く別の企画なのか。スタッフもタイトルも違いますしね。ちょっと気になります。


この作品の主人公Sophieを演じているのは、実際に視覚に障害のあるノンバイナリの俳優Skyler Davenport。彼女は長年にわたり声優として活動しており、アニメ版ワンピースやポケモン、そしてファイナルファンタジーなどメジャーなゲーム作品に数多く出演しています。ドキュメンタリーではない、目の見えない架空のキャラクターを実際に視覚に障害のある俳優が演じるという意味では、画期的な作品と言えるかもしれません。

See For Meは2022年1月7日より米国の一部の映画館およびストリーミングサービスで公開される予定です。日本での公開は未定ですが、されたとしても吹き替えや音声ガイドは期待できないでしょうね。


個人的にはこの映画、公開前の情報の限りではいろいろ突っ込みどころが多い気がするのですが、それよりいくらフィクションとはいえこれを観てBe My Eyesに参加する晴眼ボランティアが引いてしまうのではないかと思うのは考えすぎでしょうか。コールを受けたらこんなホラーな状況だったらイヤですよね。なんか当事者として遠隔サポートとの距離感を考えてしまいました。

公開後、米国の視覚障害コミュニティやBe My Eyesがこの映画に対しどのようなリアクションをとるのか、それとも取らないのか興味深いところです。


参考:See For Me Trailer Reveals Skyler Davenport-Led Home Invasion Movie (collider.com)


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