画像引用元:WSJ
視覚障害者の経済活動には様々なハードルが立ちはだかります。
カード類の識別もその一つ。視覚障害者のカード判別については以前にも記事にしましたし、アプリを使って判別する記事なんかも書いてますのでご興味があればどうぞ。
ここで大きな手がかりとなるのがカード表面の「エンボス」。触れた瞬間に裏表や上下方向を判別できるあの凸凹には、結構な情報が詰まっているのです。
ですがしかし、近年、カードのデザインのトレンドとして「エンボスレス」が加速しているとのこと。つまりカード番号などが浮き出していない、ツルツル表面のカードが増えているらしいのです。これは触覚でカードを判別している視覚障害者にとって由々しき事態と言わざるを得ません。エンボスレスカードのアクセシビリティをいかにして確保していくのか、カード発行会社には早急な対応が求められているのです。
この問題に対処する一つの答えとして、米国Mastercardは「ノッチ(切り欠き)」によってプラスチックカードの種類を判別することができる新しいカードデザイン「Touch Card」を発表しました。
Touch Cardのクレジットカードには丸いノッチ、デビットカードは正方形のノッチ、そしてプリペイドカードには三角形のノッチが側面に付けられています。このノッチに触れることで、視覚に障害があってもカードを識別し決済端末に挿入する方向を簡単に判別することができるようになるとのことです。
この仕組みは視覚障害者に限らず、暗い場所などカードを目で確認することが難しいシチュエーションなどにおいても多くの顧客に対してメリットがあるといえます。これはいわゆるユニバーサル・デザインのわかりやすい例といえますね。
Touch Cardは英国the Royal National Institute of Blind People(RNIB)、及び米国VISIONS/Services for the Blind and Visually Impairedなどの視覚障害関連団体とのコラボレーションによってデザインされました。2022年以降、まずは米国で発行されるカードから順次導入されていく予定とのことです。
カードのエンボスレス化はコスト削減やお財布のスリム化などメリットも多く、普及していくことは間違いないでしょう。そうなるとノッチ付きカードが業界全体に広がることも考えられます。今後はノッチの位置や形状が被らないよう、業界全体でのルール作りが必要となってくるかもしれません。
参考:Mastercard Introduces Accessible Card Design for Blind Users - WSJ
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