2021年5月20日、英国の新聞社The Guardianら三者はGlobal Accessibility Awareness Dayに合わせ、アクセシブルな新しいWebコンテンツフォーマットを提案する実験的サイト「Auditorial」を公開しました。
このサイトはThe Guardianが提供したコンテンツと英国の視覚障害者支援団体Royal National Institute of Blind People (RNIB)からのアクセシビリティに関するアドバイスをもとに、Googleが開発を担当しています。
Auditorialのサイトへアクセスし、「Get Started」ボタンを押すと、「The Silent Spring」のストーリーページが開きます。これはサウンドを通じ環境破壊の現状を訴えるBernie Krause氏によるドキュメンタリー。かれが世界中で録音した自然の立体音響を交えつつ、写真とビデオ、ナレーションを用いたストーリーが17分あまりにわたり、展開していくという内容です。
このサイトはスクリーンリーダーなどの支援技術に最適化されているだけでなく、ユーザーの様々な特性に合わせ、ビジュアルやサウンドの詳細なアクセシビリティ設定をカスタマイズすることができるという特徴を持っています。
たとえば画面が見づらいロービジョンのためのズームやコントラスト強調昨日、色覚多様性に合わせたカラー調整、激しい動きに過敏なユーザーのための画面の動きを減らす機能、さらに環境音をミュートしてナレーションに集中するモードもあります。
また代替情報として、クローズドキャプションの表示やテキスト版ページへ切り替えることも可能となっています。これらのアクセシビリティ設定はブラウザに保存され、次回のアクセス以降も同じエクスペリエンスを提供します。
Auditorialはユーザーのニーズに応じてコンテンツをカスタマイズする機能が、Webアクセシビリティにどのような影響を与えるかを広く問うための実験的プロジェクトであり、すぐに実用化されるものではありません。
近年ではテキストや画像に代わり動画や音声でストーリーを伝えるメディアが増えてきています。これらのメディアはより感情豊かでインパクトのある情報を伝達できる一方、視覚や聴覚に障害のあるユーザーにとってはアクセスしにくいという欠点もあります。itorialのようなフォーマットが普及すれば、そのような人々に対してもより豊かなWeb体験を提供できるようになるのかもしれません。
このアプローチはWebアクセシビリティ的に考えると、おそらく賛否が分かれるでしょう。個人的にも最高!という感じではありませんが、今後も増えるであろうリッチなWebコンテンツをアクセシブルにするための一つの技術的提案として、検討の余地はあるのではないかと思ったりします。
参考:An avenue to other worlds: Auditorial, a new idea for accessible storytelling | Media | The Guardian
参考:Auditorial; experiment in accessible storytelling (blog.google)
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