Rango(画像引用元)
「Rango」は、フランス、リヨンに拠点をおくスタートアップGoSenseが開発・販売する、白杖に取り付けるタイプの障害物検知センサーです。わずか107グラムの電子デバイスは、あらゆるタイプの白杖に取り付けることができ、専用アプリをインストールしたスマートフォンとBluetooth接続して使用します。
Rangoに備えられている超音波センサーがユーザーの目の前にある障害物を検知すると、その物体までの距離や位置を計算し、スマートフォンに接続されたヘッドホンを通じて3D音響として通知します。障害物が遠くにあるとサウンドはゆっくり、近付くほどにその音は速くなり、危険が迫っていることをユーザーへ警告します。
センサーは頭からつま先、肩幅までの範囲をカバーし、ユーザーはデバイスからの立体サウンドを聞きながら白杖だけでは見つけにくい膝上・上半身にある障害物や少し離れた場所にある物体を認識し安全に避けることができるようになるとのことです。
専用アプリは定期的に機能強化が行われており、現時点ではデバイスの設定変更に加え、現在地を調べる機能と最寄りの公共交通機関の時刻表を調べる機能が利用できます。
RangoはIP64準拠の防水機能、フル充電で3.5時間駆動可能なバッテリー、夜間の視認性を高めるLEDライトを搭載。加えて同社が開発した外音を聞きながら安全にナビゲーションが利用できる、アウトサイドイヤー型ヘッドホン「AIRDRIVES」も付属します。
もう一つ、このデバイスの特徴と言えるのがGoSense社が提供しているサブスクリプション型トラベルアシスタントサービス「「Wizigo]との統合機能です。Wizigoは、3Dサウンドを活用した視覚障害者向けのナビゲーションサービスで、仮想ビーコンを専用Webからマップ上に登録し、その情報をもとに3D音響を用いて視覚障害者を誘導します。近い技術としてはMicrosoftのSoundScapeが挙げられます。
また移動ルート、ランドマーク、危険箇所などのポイントをリアルタイムに共有できるコミュニティ機能や、スマートフォン単体で「Wizigoサービスを利用できるアプリも提供されています。
障害物検知にしろナビゲーションにしろ、立体音響技術の活用がGoSenseの製品の特徴と言えるでしょう。Rangoの価格は2,000ユーロ。現在医療機器の承認を申請中で、フランス国内の購入者は公的補助を受けることができるようになるとのことです。現時点で日本むけにデバイスが販売される可能性は不明です。
近年「WeWalk」に代表されるスマート白杖に注目が集まっていますが、視覚障害当事者の間でも賛否が分かれているという状況です。否定派からの意見としては、スマート白杖の重量や、そもそも白杖って消耗品なのでは?という声が多いようです。
Rangoのようなアタッチメント型の製品ならお気に入りの白杖がそのまま使えますし、バッキシ折れてしまっても別の白杖に付け替えることもできるでしょう。Rangoがどこまで正確な障害物検知が可能なのかは未知数ですが、こういうデバイス、歩行支援手段の選択肢の一つとして日本でも利用できるようになると良いですね。
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