このエントリーは「Narrators Are Falling Asleep Making Audiobooks For The Visually Impaired (vice.com)」をざっくり翻訳したものです。オーディオブック、特に読書困難者のための録音図書に関わる話題ですが、こんなことが起こり得るのかとちょっと面白かった一方、ここでは皆まで書きませんけどいろいろ思うところがあったりします。誤りを指摘するのは簡単ですが、その背景にどのような問題が潜んでいるのかという点に目を向けなければなりません。
強調しておきますが、日頃からSAPIE図書館や地域発行の録音図書を利用している中で、個人的に違和感を覚えたことはありません。常に正確な録音図書を制作している方々には感謝の念を抱くのみです。同時に今後も情報の品質を確保するためにも読書バリアフリー法に基づいた音訳・点訳従事者に対する環境改善や技術革新などが求められてくるのではないかと思ったりします。
(翻訳ここから)
スウェーデンの国家機関、スウェーデン・アクセシブル・メディア庁(MTM)が、視覚障害者など読書困難者向けに制作しているオーディオブックに関して、その品質の問題が明らかになり、ネット上から非難の声が挙がっています。
YouTubeにアップロードされた「Agency of Napping and Noise」と題された短編動画の中で、独立系ジャーナリストのFinn Hellman氏が、半年間に渡った調査から特に目立っていた例を紹介しています。
例えば「It Would Be Night in Caracas(カラカスは夜を迎える)」というオーディオブックでは、その題名の通り音読者が3分間眠りに落ち、その後音読を再開する様子が録音されていました。またこの動画の別のシーンでは奇妙な金切り声が突然鳴り響くのが聞こえます。
Hellman氏の調査では他にも、同じ文章を何度も繰り返したり、章全体が抜け落ちていたり、スウェーデン語の一般的な単語が同じ音読者によって常に誤って発音されていた例も見つかりました。
スウェーデンの国営放送SVTの取材に対し、Hellman氏は「税金を使って本を制作している以上、当局が製品の品質保証に関心を持っていないという事実は、本当に恥ずべきことです」と述べています。しかし彼はまた、それは音読者の責任ではなく、オーディオブックを公開する前に、より厳密なチェック体勢が必要であるということも強調しています。
単純な発音の間違いであれば許容できるかもしれません。しかし音読者が自分の意見をコメンタリーとして録音している場合はそうもいきません。これはスウェーデン視覚障害者協会が二度に渡って発見しました。
この問題は、人間の音読者に限った話ではありません。SVTの報告によると、MTMが制作している合成音声を用いた音声教科書にも誤りがあることがわかりました。例えばある教科書では、スウェーデン語の「det」(英語の「it」に近い代名詞)が、不思議なことに「spaghetti」に置き換えられていました。
MTMの広報担当者Eva-Lena Silwerfeldt氏は、Motherboardに対するコメントとしてブログ記事を引用し、これらの誤りについて謝罪した上でこれまで外部の業者に依頼していた品質管理プロトコルを内部で再チェックするように改めることを約束しました。
記事にはこのようにも書かれています。「Legimus(MTMのオーディオブックライブラリ)には、毎年3,500冊のタイトルが新たに追加されており、これは約35,000時間の読書に相当します。私たちは読書体験の質を確保し、向上させるために継続的に取り組んでいます。残念ながらいずれの本にもまだ間違いが残っている可能性はありますが、迅速に修正したいと考えています。」
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