バス停に設置されたddTags(画像引用元)
2021年4月21日、スペイン、バルセロナの都市交通事業者であるTransports Metropolitans de Barcelona(TMB)は、同社が管理する161の地下鉄駅と2,600のバス停すべてに、navilensテクノロジーの二次元インテリジェントタグである「ddTags」を導入したことを発表しました。
navilensが大規模な交通機関全体へ導入されたのは今回が世界初で、設置されたddTagsはTMB全体で9,100個以上にもおよぶとのことです。
ddTagsはこれら施設内のあらゆる場所、コンコースや階段、エレベーター、券売機、トイレ、プラットホームなどに設置されています。これをスマートフォンにインストールされたnavilensアプリでスキャンすれば設備に関する情報や地下鉄・バスのリアルタイムな運行状況などをアナウンスするほか、音声を用いて視覚障害者をタグの位置まで安全に誘導します。
ddTagsは一般的なQRコードと異なり、離れた場所から複数のタグを素早くスキャンすることができ、タグを目で確認できないユーザーでも簡単に利用することができるという特徴を持っています。
このプロジェクトはTMBのユニバーサルアクセシビリティマスタープランの一環として始まり、2018年2月に地下鉄フィラ駅とエスパニョーラ駅で実施された実証実験の成功を経て、2019年からddTagsの導入が本格的に開始されました。3年という歳月をかけ、一つの区切りを迎えた格好となったようです。どの駅に行っても、どこのバス停に降りてもddTagsが利用できるという状況は、navilensの利便性と実用性を大きく高めることでしょう。
またTMBはddTagsを視覚障害者だけでなく、一般の乗客に対するサービス向上にも役立てる計画です。
同社の公式アプリ「TMB Go」でタグをスキャンすることで、リアルタイムの運行情報だけでなく、例えばニュース速報、クーポン広告、観光地の歴史から語学レッスンといった読み物に至るまで、様々なコンテンツが提供される予定とのことです。
単なるアクセシビリティ向上というだけでなく、交通機関全体のデジタル化にnavilensを組み込んだ取り組みとして、今後どのような活用がなされるのか注目されます。
なおTMBは3月にもサグラダ・ファミリア駅のメインロビにおいて、ビデオによる常設手話通訳や聴覚ループを備えた聴覚障害者向けのサービス拠点である「TMBポイント」の解説も発表しています。
参考記事1:スペイン発。視覚障害者をカラフルに誘導する「navilens」。
参考記事2:「NaviLens」を使ってナビゲーションを体験してみました。
おまけ:最近よんだnavilens関連記事クリッピング
米テキサス、サンアントニオの公共交通機関でnavilensを試験導入。
App Will Help Blind, Visually Impaired Navigate San Antonio (govtech.com)
スペイン、コルドバのバス停にnavilensを導入。
視覚障害者の買い物。navilensの今後は。
'It's impossible for blind people to go supermarket shopping – that needs to change' (inews.co.uk)
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