2021年4月26日月曜日

[ゲーム] #GAconf Europe 2021開催。アーカイブ公開されたトークセッション概要の粗訳。

2021年4月5日からの2日間、ゲームアクセシビリティに関して様々な視点からトークセッションが繰り広げられるイベント#GAconf Europe 2021が開催されました。

#GAconfはアクセシビリティ専門家からゲーム開発者、障害当事者などが世界各地から集結し、2017年から毎年2回、米国とヨーロッパで行われてきました。今年は昨年に引き続きCovid-19感染防止のため、完全オンライン形式で実施されました。

レポート記事もいくつか公開されています。



以下は#GAconf Europe 2021で配信されたトークセッション(20本)のアーカイブ映像のYouTubeリンクと概要の粗訳です。それぞれの動画には文字起こしテキストがキャプションとして用意されており「C」キーで有効にすることができます。筆者のように英語が苦手な方は設定から自動翻訳を日本語に指定することでざっくりとですが内容を把握することができるでしょう。またVoiceoverユーザーはブラウザで視聴することでキャプションを読み上げることができます。

なお次回の#GAconfは2021年秋、オンラインで開催される予定です。


01.News Update

by Ian Hamilton

この半年間のゲームアクセシビリティに関する大きな進歩について解説します。


02.ScourgeBringer: an indie accessibility post-mortem

by Thomas Altenburger, Flying Oak Games

「ScourgeBringer」はアクセシビリティを考慮して設計された、チャレンジングでスピーディなインディーゲームです。このトークでは、何が良かったのか、何が悪かったのか、どうすれば改善できるのかを紹介します。


03.The Usability of Accessibility

by Mark Friend, PlayStation

あなたがアクセシビリティを提案し、開発チームが賛同し、ゲームにアクセシビリティ機能を追加し始めたとします。ではそれから、開発チームに対してどのようにして価値のある実用的なフィードバックを提供すればよいのでしょうか。また、どのようなアプローチが最適なのでしょうか。このトークでは、PlayStation Studiosのユーザーリサーチチームが、チェックリスト形式のアクセシビリティレビューを導入し、アクセシビリティがユーザー体験全体に与える影響を総合的に評価することに重点を置くようになった経緯と理由、そしてこの3年間でプロセスを形成する上での課題と成功例をご紹介します。


04.Developers and Disabilities

by Chris Goodyear, Felicia Prehn, Laura Francis, Brain Marquez

障害のある開発者にとってゲーム業界の現状はどのようなものなのでしょうか?パネリストのLaura、Licia、Brian、Chrisが、採用から職場の文化に至るまでゲーム業界における障害のある開発者の状況についてディスカッションします。


05.MAVIS and The Tomorrow People

by Barrie Ellis, OneSwitch

できたばかりのAccessible Gaming Museumからのストーリー。初期の多目的アクセシブルコンピュータ「MAVIS」と、それを使った先進的な人々について紹介します。


06.Mental Maps and the Mind’s Eye – Gaming with Aphantasia

by Laura Kate Dale, LauraKBuzz

Laura Kate Dale氏は、視覚的な記憶を欠く「アファンタジア」のある自閉症ゲーマーです。このトークではアファンタジアのゲーマーにとって問題を引き起こす可能性のあるゲームデザインの領域と、ゲームをよりアクセシブルにするための様々なソリューション、そして、この点でうまくいっているゲーム、うまくいっていないゲームについて解説します。さらにアファンタジアのゲーマーに対するアクセシビリティのサポートが、特定の症状を持つ人々以外の幅広いゲーマーにとっても有益であることを解説します。


07.Gaming for Good – Exploring the barriers faced by disabled people

by Molly White and Emily Gordon, Scope

Scopeが実施した、障害者ゲーマーの行動、モチベーション、障壁に関する調査結果のポイントを解説します


08.Big Brain Plays: Gaming with Cognitive Differences

by Stacey Jenkins

Stacey Jenkins氏は、障害者向けコンテンツのクリエイターであり、ゲームにおけるアクセシビリティ向上の熱心な提唱者です。今回のトークでは、認知機能に障害のあるゲーマーがどのような存在であるか、また、彼らのお気に入りのゲームがどのようにしてその障壁を取り除くツールとなったかについて解説します。


09.Driving Accessibility Advancements in Watch Dogs: Legion

by Maksym Horban, Ubisoft

Watch Dogs: Legion」のシニアゲームデザイナーであるMaksym Horban氏は、彼のチームがどのようにアクセシビリティの改善でWatch Dogsブランドを次のレベルに押し上げたのか、そして「Can I Play That」から「Most Improvement in Accessibility in a Series」の認定を受けるに至ったのかを解説します。


10.Accessible Game Design – Infinite Play & Infinite Time

by Rory Steel, Digital Jersey

アクセシビリティはハードウェアだけではなく、ゲームデザインにも組み込まれるべきものです。私の家には障害のある二人の子供がいますが、娘が反応ベースのタイミングが必要なゲームを進めるのに苦労しているのを目の当たりにしてきました。また下の息子には負けないアドベンチャーを提供することで自信をつけさせることができました。私たちは、ゲームデザインがどのようにアクセシブルであるべきかを再考する必要があります。


11.Bridging the Gap Between Academia and Industry: Recent Trends in Academic Research

by Kathrin Gerling, KU Leuven

このトークでは学術研究の概要と、それがどのようにゲーム開発に貢献できるかを紹介し、ゲームと障害に焦点を当てたHCIおよびゲーム研究の最近のトレンドをまとめます。そしてこれらのプロジェクトから何が学べるのか(学べないのか)、また、研究者とゲーム開発者が力を合わせ、理論と実践のギャップを埋め、どうすればすべてのプレイヤーにとって意味のある体験を提供するゲームを作るることができるのかを考察します。


12.Accessibility and agile game development as a micro-sized indie

by Dr. Jim Sellmeijer, Raskal Games

このプレゼンテーションでは、インディーゲーム開発者としてのJim氏の経歴と、Raskal Games社のアクセス可能なインディーパズルゲーム「Ekstase」を作るためにagileソフトウェア開発の基本がどのように活用されたのかを語ります。


13.Growing a tree out of a wall – the CapGame odyssey

by Gwendolyn Garan, CapGame

このセッションでは、フランスのゲームアクセシビリティ専門非営利団体であるCapGameについて、2013年の設立から現在に至るまでの、多様で学際的なアクセシビリティへの取り組みについて紹介します。


14.Deafness/HoH: The State of Accessibility, Culture and Community.

by Anni Pekie, Ben Bayliss, Chris Goodyear, Nickie Harper Williams

聴覚に障害のあるパネリスト、Ben、Chris、Anni、Nickiの4人が、彼らを取り巻くゲームに関する文化や出来事について、それぞれの体験を語ります。


15.DysTrophy gaming

by Vivek Gohil

筋力が低下した状態でゲームをプレイする場合、どのようなアクセシビリティ機能が必要なのか、またそのようなアクセシビリティ機能を搭載したゲームについての理解を深めます。これによりゲーム開発者は、筋力低下や運動能力に問題のあるプレイヤーのためにゲームをどのようにデザインしたら良いのか、理解を深めることができます。


16.Connecting with Players with Disabilities

by Emilio Jéldrez, King

「Candy Crush Friends Saga」」にアクセシビリティメニューを追加したことで、プレイヤーとのつながりができ、アクセシビリティに関するフィードバックを直接受けられるチャンネルを作る機会を得ることができたというエピソードを紹介します。


17.Where do I go? The joys and frustrations of navigating as a blind gamer

by Dr. Amy Kavanagh

私は「Blind Button Masher」として仮想空間において失われた時間を過ごしています。残念ながら私の信頼する盲導犬Avaを、9世紀のイギリスやディストピアのシアトル、マーベルのニューヨークに連れて行くことはできません。このトークでは、ナビゲーションと経路探索を改善するために何ができるかを探求します。マップ、カメラアングル、HUDなど、迷える私たちのためにゲームをデザインする方法を探りましょう。

参考:Designed For Easier Navigation - Family Video Game Database (taminggaming.com)


18.Putting the Assist Mode in Control

by Vida Starčević, Remedy Entertainment

このトークでは、Remedy Entertainment社の受賞作「Control」において、発売後にプレイヤーからのフィードバックがどのようにアクセシビリティオプションの追加に影響を与えたのか、またアシストモードの搭載がプレイヤーの定着に良い影響を与えたのかについて紹介します。


19.Updates from Xbox: The Xbox Accessibility Guidelines & Microsoft Game Accessibility Testing Service

by Kaitlyn Jones & Brannon Zahand, Xbox

昨年、Microsoftのゲームアクセシビリティ製品にいくつかの変更と追加が行われました。このトークでは、Xbox Accessibility Guidelinesの更新について、更新の経緯や理由、新コンテンツの概要などを解説します。また、新たに導入された「Microsoft Game Accessibility Testing Service」について紹介し、このプログラムが誕生した経緯や、これが開発者にとってより包括的で楽しいゲームを作成するためにどのように活用できるサービスであるかについて解説します。

参考:Xbox accessibility guidelines updated, testing program announced - Can I Play That?

参考:マイクロソフトがXboxやPC用ゲームのアクセシビリティをテストする開発者向けサービスを開始 | TechCrunch Japan


20.Game Accessibility For Eye Gaze Users

by Becky Tyler

このトークでは様々なコンピュータゲームを視線でプレイした経験を紹介し、ビデオゲームが、視線を利用するユーザーにとってアクセシブルであることがなぜ重要であるのかを解説します。マインクラフト向けの「EyeMine」インターフェイスの開発に携わった経験から、ゲームを視線でアクセスできるようにするにはどうしたらよいかを考え、ゲームをデザインする際に開発者が考えなければならないポイントを解説します。

参考:Eye Gaze Games (specialeffect.org.uk)

参考:Eye-tracking software for Minecraft makes big accessibility improvements | Rock Paper Shotgun


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