2020年8月9日日曜日

A11Y Topics #002。LEGO点字ブロック、Sight Tech Global、ゲーム関連など。

※乱文・誤変換ご容赦です。

LEGO、APHと提携し米国てBraille Bricksを無償提供開始。


American Printing House for the Blind(APH)はthe LEGO Foundationと提携し、点字アルファベットや数字などをあしらったブロック「LEGO Braille Bricks」を米国の支援教育機関などへ無償配布することを発表した。
これはブロックのスタット(ジョイント部分の凹凸)で点字を表現したLEGO互換ブロック。視覚に障害のある子供が点字に親しみ学習できるよう設計されている。発表時に本ブログにエントリーした記事はこちら
近年視覚障害者の情報取得の主流は音声が中心になりつつある。それに伴い点字の読み書きができる子供の数は減少し続けており、調査によるとその割合は10%にも満たないという。展示の習得は視覚障害者の就労においても有利に働くことがわかっており、広く親しまれているLEGOを用いることで、展示リテラシーの向上を目指す。
APHは製品を供給する他、製品の詳細と活用法をレクチャーするウェビナーも開催予定だ。LEGO Braille Bricksの詳細は公式Webで確認できる。このサイトでは、この製品を用いた様々なアクティビティ(遊び方)が掲載されており、少し読んだらちょっと遊んでみたくなった。でも日本語対応は未定なんだよね。

英国の支援団体、視覚障害者のソーシャル・ディスタンシングを支援するツールを考案。


Covid-19感染予防策の一つとして「ソーシャル・ディスタンシング」の徹底が繰り返し伝えられている。特に厳格なロックダウンが行われたヨーロッパ諸国などでは、ソーシャル・ディスタンシングはマナーではなく「ルール」としてとらえられており、他人との距離を確認しづらい視覚障害者にとって大きな問題となっている。
食料品店でヘルプを依頼しても断られてしまったり、うっかり他人に近づいてしまい怒鳴られてしまうといったトラブルも起こっているようだ。特に普段白杖を持たないロービジョンの人々は外見だけですぐに配慮の必要性を判断できないため問題は深刻だ。
そこで各国の支援団体は、周囲に視覚障害を持っていることを知らせるツールを考案し始めている。英国RNIBは視覚障害者のソーシャル・ディスタンシングへの配慮を象徴するマーク「Please give me space」を考案。現在Webで印刷用のデータを公開しており、当事者はこれを目立つ場所に身に着けて利用できる。RNIBは同時にCovid-19における視覚障害者の現状を伝える「World Upside Down」キャンペーンも実施している。
また同じく英国イングランド、ハンプシャーの視覚障害者支援団体Open Sightは、ソーシャル・ディスタンシングへの配慮をアピールする黄色のネックストラップを考案。受け取った当事者からの反応は概ねポジティブとのことだ。
もちろん生涯を周囲に知られたくないなどの理由でこれらのようなツールを積極的に使いたくない当事者も少なくない。あくまでも選択肢の一つとして用意しておき、基本的には社会全体に大して理解を広げ、他者に対する想像力を育てていく努力が求められるだろう。

新しい視覚障害者支援技術イベント「Sight Tech Global」発表。


3月のCSUN支援技術カンファレンスはかろうじて開催されたものの、それ以降に予定されていたイベントはCovid-19感染拡大の影響でことごとく中止もしくはオンライン開催に変更された。日本でも11月に開催予定だったサイトワールドの中止が決まっている。とても残念だ。
そんな状況の中、視覚障害者の支援技術に特化した新しいイベント「Sight Tech Global」の開催が発表された。このイベントは米国時間2020年12月2日から3日までの2日間完全オンラインで実施され、世界中から誰でもセッションへ参加できる。
テーマは「視覚障害者のためのAIとアクセシビリティの未来」。MicrosoftやIntelなどの大手企業からスタートアップまで、数多くのセッションが予定されており、「Nothing about us without us」の精神のもと原則的に全てのセッションに視覚障害当事者が登壇する点も特徴的だ。エントリー受付は公式Webで近日開始予定とのこと。

視覚障害者向けに開発されたiPhone/iPadアプリのリスト。


最近大幅なリニューアルが行われたApplevisに「iOS & iPadOS Apps Developed Specifically for Blind or Low Vision Users」なる記事がエントリーされていた。ここには視覚障害者向けに開発されているiPhone/iPadアプリが105本紹介されている。
ちなみにこのリストにはゲームや視覚障害者にも便利な一般向けアプリ(OCRアプリなど)は含まれていない。それでもこれだけの支援アプリがリリースされているのは心強い。基本英語のアプリだが一部は日本語でも利用できるものもある。

ゲームのアクセシビリティに関するトピックス。


その1. ホリデーシーズンに発売が予定されているPlaystation 5について、ソニーはPS5専用ソフトではDualshock 4などのPS4向け周辺機器は動作しないことを明らかにした。この発表を受け、生涯を持つゲーマーの間に懸念の声が上がっている
運動障害、特にての動きが制限されるゲーマーにとって、使い慣れたコントローラーや独自にカスタマイズしたデバイスが動作しないということはゲームのアクセシビリティに大きな影響を与えかねない。この反応に対するソニーからのアナウンスはまだ聞こえてこないが、Xboxはこのニュースが発表された直後、TwitterにPS5と同時期にリリース予定の次世代機「Series X」は周辺機器の後方互換性を持っていることをツイートしている

その2. PS4本体の音声読み上げについて、Twitterで興味深いやりとりがあった。スレッドは英国のPS4ユーザーが、音声読み上げオプションが設定に現れないという質問を、ソニー英国の公式アカウント@AskPS_UKに問い合わせたことから始まる。
サポートからの回答は要領を得ないもので、業を煮やした@ianhamilton氏の横レスにより、PS4本体の音声読み上げはリージョンが北米のPS4でなければ利用できないことが指摘された。さらに読み上げに対応しないメニューも数多くあるという返信も投稿されている。
「The Last of US Part II」で全盲ゲーマーに希望を与えたソニーだが、一方で本体側のアクセシビリティはまだ十分とは言えないようだ。せっかく向こう側に楽しそうな風景が広がっていても、そこへたどり着くための道が全く整備されていないのでは意味がない。北米以外の全盲ユーザーは「TLOU2」を購入しても、一人ではスムーズにゲームを始めることができない状態となっている。またTwitterのやりとりから推測すると、ユーザーサポートにアクセシビリティの情報が共有されていない可能性もある。
「TLOU2」は皮肉にもソニーのアクセシビリティに対するいびつさを浮き上がらせた。ほんきでゲームのインクルージョンを考えているのであれば、根本的な意識向上が求められるだろう。

その3. いくらゲームに豊富なアクセシビリティオプションが用意されていたとしても、そのオプションにアクセスできなければそれは存在しないことと同じだ。任天堂は「Paper Mario: The Origami King]で画面の明るさ、Joy-Conの振動、モーションコントロールのオン/オフという3つのオプションをゲーム中の特定条件でアンロックする「隠し要素」として実装していることがわかった
これらのオプションが実際にどれだけアクセシビリティを向上するものかはわからないが、このような仕様は開発者のアクセシビリティに対する姿勢が問われかねない。任天堂はこれまでも「Pokemon」などで同様の隠しオプションを実装した前例がある。

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