2018年12月30日日曜日

SNSの代替テキスト機能をまとめつつ、あれこれ思う。


先日、Instagramが投稿画像の代替テキストに対応したことをエントリーしたが、FacebookやTwitterではそれに先んじて同様の機能を提供している。ということで改めてSNSにおける代替テキストの現状をざっくりとまとめつつ、その意味などをぼんやりと考えてみる。

・Facebook

2016年4月から利用できる。できることは基本的にInstagramと同じ。
Instagramと同様に、投稿されたイメージをAIが解析し代替テキストを自動生成する。投稿者は機能を意識することなく、見えない、見えにくいユーザーに情報を伝えられる。

ユーザーが手動でより詳しい説明を登録することもでき、投稿した写真に後に代替テキストを加えることも可能だ。この機能はパソコンのWebから利用できたがモバイルアプリやモバイルWebから使用する方法は見つけられなかった。


・Twitter

2016年3月から、ユーザーが投稿した写真に代替テキストを追加できるようになっている。日本語の場合ツイートは140文字だが、代替テキストは420文字まで記載可能。
この機能はWebおよびモバイルアプリから利用でき、一部のTwitterクライアントでも対応している。

ただこの機能を使用するには設定から有効にしなければならず、あまり認知されていない状況だ。知らなければこの機能に気づくのは難しいかもしれない。
また投稿した写真に後から代替テキストを追加することはできない。
FacebookやInstagramのように自動では代替テキストがくわえられないため、視覚障害者がイメージを解釈する手段はいまだに少ないというのが正直な感想。
とにかく、なにゆえこんな隠し機能みたいな扱いになっているのか。

余談だが、画像といえば長文のテキストをイメージ化したり、雑誌や新聞記事を写真撮影してアップロードするユーザーもいまだに少なくなく、結構拡散されてくる。文字数制限のあるTwitterならではの風習だと思うが、見えない筆者は疎外感MAX。この場合、一部のスクリーンリーダー(JAWS、NVDA)ではイメージをOCRする機能を用いルコとで対応できるが、これ公式でOCRしてくれればいいのにねえ。


・LINE

一応、国内では大きなシェアを持つLINEにも触れておくが、画像に対するアクセシビリティの機能は用意されていない。一部のスタンプで読み上げに対応しているものもあるが、全てに的確な説明がつけられてはいない。
LINEはアップデートのたびにアプリのアクセシビリティで問題を指摘されることが多く、個人的には敬遠しているサービス。
でも周りが使っていれば我慢して使うしかないのが悲しいところだねえ。


さて。

自動代替テキストはともかく、投稿者による代替テキスト機能については、「使いたい人は使ってね」的なスタンスのように思える。入力は必須ではないし、そもそも代替テキストを入力するためには通常よりも余分な操作が必要。そもそもこの機能を知らないユーザーは存在そのものに気がつかない可能性も高い。まあ、SNSという場の特性上、混乱を防ぐ意味でも現実的な実装方法ということなのかもね。

周りに見えない・見えにくいユーザーがいない場合、代替テキストをわざわざ入力しようとは思わないかもしれない。ただ、代替テキストを入れなければ、自分のメッセージを受け取れない人々が一定数存在する、という事実をこの機能から感じ取ってもらうためにも、より広く知ってもらうことが重要ではないかと思ったりする。知った上でこの機能を使うかどうかは各人で判断すればいい。

Webbコンテンツ上の画像に対する代替テキストについてはクローラやSEO対策といったインセンティブがあるが、SNSでは広告での効果は若干あるかもしれないが、協力なモチベーションにはつながらないように思える。SNSならではの仕組みが求められるだろう。
例えば代替テキストを上手につければ「いいね」が付きやすくなるとか、其のアカウントに対して現在の「認証済み」的なアクセシビリティ・ステータスを与えるシステムなんかも面白いと思う。絶対いると思うんだよね、イメージを的確かつ情緒的に説明できる人が。

デジタルコンテンツのアクセシビリティというと、どうしてもWebエンジニアやクリエイターの領分といったイメージがあるが、SNSの代替テキスト機能は、多くの一般ユーザーに「アクセシビリティ」という概念に関心を持つきっかけになる可能性を秘めている。この機能で少なからず、スクリーンリーダーの存在や視覚障害者もSNSで活発に活動していることを始めてしったユーザーもいるはずだ。おそらく。

アクセスしたくてもできない、でも工夫と配慮で手が届く人々の存在を知ること。そこがまだ足りていないのが現実だ。それを一部の送り手だけでなく、ユーザー同士で考え合うことができれば、この機能の存在意義はとても大きいと筆者はぼんやりと思うのだった。

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