2020年1月24日、英国の視覚障害者支援団体RNIB(The Royal National Institute of Blind People)は、Amazonと提携し同社の音声アシスタント「ALEXA」を用いた情報提供サービスを開始した。
これにより見え方に何かしらの不安を感じているユーザーがスマートスピーカーやスマートフォンを用いて、支援サービスや支援技術に関する様々な情報を音声で得られるようになる。
RNIBとAmazonの提携といえば昨年9月に発表されたALEXAのCMが記憶に新しい。視覚障害者にとって音声アシスタントが有用であるという両者の共通認識が今回のサービス提供につながったと言える。
視力を失う要因には緑内障や網膜色素変性症、黄斑編成など様々な疾患がある。もしもこれらの診断が告げられ、視力の回復が見込めないことがわかったら、できるだけ早く支援につながることが重要だ。今回発表されたサービスでは、例えばこのようなフレーズに答えてくれるという。
“Alexa, how do I register as sight impaired or severely sight impaired?”
視覚障害者として登録するにはどうすればよいですか?
“Alexa, what assistive technology do blind people use?”
視覚障害者が使用する支援技術には、どのようなものがありますか?
“Alexa, what should I do if I think I’m losing my sight?”
目が見えなくなったと感じたら、どのように行動すれば良いですか?
このようなフレーズをALEXAに話しかければ、RNIBのデータベースを通じて適切なアドバイスが音声で返答されるという。これらの情報はRNIBのWebサイトにも掲載されているが、ALEXAを用いることでパソコンやスマートフォンの操作に不慣れな人々でも簡単に情報へリーチできるメリットがある。
例え見えていた頃はスマートフォンやパソコンを使えていたとしても、見えにくくなりすぐにスクリーンリーダーなどの支援技術を活用できるかといえば、それはかなり難しいだろう。そのような人々にもこのサービスは役立つ。
もちろん電話など旧来からのチャンネルは存在するが、自らの障害を受け入れいきなり連絡するというのは結構ハードルは高い。その点、基本的な情報に手軽にアクセスできるALEXAは、特に中途視覚障害者にとっては支援につながるための第一歩として価値のある情報源の一つとなり得るかもしれない。
視覚に障害を持っても、どのような支援があり、その支援にどうやってつながることがデきるのかといった情報を得るのは難しい。なぜなら多くの人々にとって障害者の世界はあまりにも縁遠く、自分が視力を失う可能性など考えていない。いや考えることを避けているからだ。人生半ばで視力を失った人々の中には、まるで見知らぬ世界に突然放り出されたかのようにうろたえてしまう者も少なくない。。支援する側としても、このような人々をいかにして支援につなげるかは大きな課題となっている。
ALEXAを用いた情報提供は、このような「情報から突然社団されてしまった人々」にとって大きな力になるだろう。今後の英国における評価に注目したい。
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