Hable(画像引用元)
視覚障害者の間でも急速に普及が進んでいるスマートフォン。
iPhoneならVoiceover、AndroidならTalkbackなどのスクリーンリーダー(音声読み上げ機能)を用いることで、たとえ全盲でも見えるユーザーと同様に情報収集やコミュニケーションなどに活用できる。今やスマートフォンは視覚障害者にとって、手放せない貴重なツールの一つとなっている。
だが視覚障害者のスマホ利用においてネックとなっているのが「文字入力」のしにくさ。
スクリーンリーダーの操作は基本的に「タップで内容を確認」して「ダブルタップで実行」という2段階となるため、スクリーンキーボードを用いた文字入力の効率が、あまりよろしくない。
かといって音声入力を使えばいいかといえば、プライバシーや誤入力などの問題もあり常に便利に使えるとは言い難い。
コンパクトな外付けキーボードがあれば良さそうだが、市販されている小型QWERTYキーボードは視覚障害者むけには設計されておらず指先だけの感覚でスピーディーに入力するのは難しいものがほとんど。もっと見えない・見えにくいユーザーにも使いやすい、シンプルな入力機器が求められている。
オランダのスタートアップHable Accessibilityが現在開発している「Hable One」は、世界初という点字入力に特化したスマートフォン用ワイヤレスキーボードだ。まだ発売前だが、2019年にPhilips Innovation Awardを受賞している。
このキーボードには点字入力に用いる6つのボタンと、キーコンビネーションでスペース、バックスペース、Enterなどとして機能する2つのファンクションボタン、合計8個のボタンが搭載されている。点字による文字入力のほか、スクリーンリーダー使用時のナビゲーション操作にも利用できるという。
Hable Oneで文字を入力するには、点字のドットに対応した6つのボタンを同時にプッシュする。入力された点字コードは文字形式に変換され、当然ながらスマートフォン上には通常の文字として入力される。
ボタンの数が少ないため、視覚に障害を持っていても指先の感覚だけで確実なタイピングが可能だ。もし日本語に対応すれば、かなをダイレクトに入力できるため、フリック入力以上に素早く文字を入力できるだろう。これは短縮形式がある英語点字でも同じことが言える。
スマートフォンとの接続はBluetooth経由で行い、手に持ったり・デスクに置いたり・スマートフォンのケース背面に貼り付けるなど自由なスタイルで利用できる。
現在対応している言語は英語とオランダ語。じゅんじヨーロッパを中心に要望の多い言語から対応していき、将来的には点字で利用できる全ての言語をカバーすることを目指しているという。
これは筆者個人の感想だが、点字は「指先で読む」にはかなりの訓練が必要だが、ドットの配列を覚え「点字でかく」のは意外と難しくない。特に文字単体だけであれば。
なのでこのHable One、視覚障害者以外のユーザーにもシンプルな入力装置として結構、有益なケースがあるのではないだろうか。
市場が広がれば価格も下げられるし点字の啓発にもなり一石二鳥である。
Hable Oneは現在オランダで最終テストが行われており、2020年中の発売を予定している。気になる価格は200ユーロ前後(約24,300円)程度になるみこみ。
公式サイトでは、すでに予約注文の受付が開始されている。
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