「Xbox Adaptive Controller(XAC)」が象徴するように、Microsoftはゲームをより幅広いユーザーへ届けようとしている。そしてその動きはMicrosoftから周辺機器メーカーへと波及しつつあるようだ。
ゲーミングコントローラーやマウスなどを開発している大手周辺機器メーカーLogitechは、XACに接続して使う、障害を持つゲーマーのためのスイッチやコントローラーをセットにした「logitech Adaptive Gaming Kit」をリリースした。
XACはあくまでもゲーム機及びPCとスイッチ類を接続するための「ハブ」としての機器だ。付属しているスイッチは2つだけなので、XACだけを購入してもゲームをプレイすることはできない。そのためユーザーは身体の状態に合わせた高価なスイッチ類を別途用意する必要があった。
この100ドルのキットには、トリガーを制御するためのさまざまなサイズの12個のボタンと大きなアナログ入力装置が2個、そしてこれらを腕や車椅子などに取り付けるためのベロクロ式のパッドが含まれる。XAC込みでも200ドル程度で一通りのゲーム環境を構築可能だ。プレイヤーの障害の程度にもよるが、多くのユーザーにとって導入コストは大幅に抑えられるだろう。
またこのキットの開発をめぐる、MicrosoftとLogitechのやりとりや開発プロセスが興味深い。2社の連携なくして、このキットの実現はあり得なかっただろう。なお、このキットの利益率は他製品と比べかなり低いそうだ。
だが、いくらハードウェアをアクセシブルにしたところで、ソフトウェアにアクセスできなければ何の意味もない。そこでMicrosoftは、Xboxゲーム開発者向けにアクセシビリティに関するガイドラインをリリースした。これには画面やテキストの読みやすさ、ナレーション、クローズドキャプション、さらには難易度に至るまで幅広い内容が含まれている。
このガイドラインに拘束力は無いようだが、ゲーム開発社にもアクセシビリティの意識を広めようとする同社の意気込みを感じる。
少し前にリリースされた、クロスプラットホームかつアクセシブルなマルチプレイヤー環境を提供するゲーム用ミドルウェア「Azure PlayFab」も、その一環と考えられるだろう。
またサービス提供が開始されたGoogleのゲームストリーミングサービス「Stadia」でも、アクセシビリティに関する話題が伝えられている。米国で障害者のゲーム環境を支援する団体AbleGamersがGoogleと提携し、障害者のゲーム環境の整備を目指すという。Stadiaは様々なデバイスからアクセスできるという特徴から、障害者ゲーマーにとっては、よりアクセシブルな環境を選ぶことができるメリットがある。運動障害がある場合はXACなどの適用ゲームデバイスが使えるPCからの利用がベターと想像できる。
視覚・聴覚障害への対応がどこまでできるのかも気になるところだ。これらを含めストリーミングサービスがゲームのアクセシビリティにどのような影響を与えるのか、注目したい。
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