2019年5月14日火曜日

[メモ] スマホひとつで屋内ナビを実現する「Path Guide」。



スマートフォンを用いた音声ナビゲーションは、視覚障害者のモビリティ問題を解決する技術のひとつ。さまざまなアプローチから開発が進められているジャンルだが、その中でも「Path Guide」は、電波もビーコンもカメラも使わないユニークなプロジェクトだ。

2017年7月に発表された「Path Guide」は、Microsoft Research、Cloud & Mobile Research groupの準研究員Yuanchao Shu氏とシニア研究員Börje Karlsson氏を中心に開発された屋内ナビゲーションシステム。AndroidアプリとAzureがホストするクラウドサービスのみで屋内ナビゲーションを実現する。BLEビーコンなどの設備を必要としないため、低コストでシステムを構築できるのが特徴だ。

Path Guideでは、まず晴眼者の協力を得て特定の移動ルートを歩き、アプリを用いてその軌跡を記録。その移動ルートをサーバへアップロードする必要がある。
この時用いるのが、スマートフォンに内蔵されているデジタルコンパスや加速度、ジャイロといったセンサー。つまりスマートフォンが、どの方向にどれだけ移動したかをセンサーで計測し、そのデータをもとにルートを作成する仕組みだ。
あとはナビゲーションを利用したいユーザーが出発地点で保存されたルートを選択することで、ルートデータと端末のセンサーを付き合わせ目的地まで誘導する。
記録したルートは反転、つまり帰り道のナビゲーションも可能。またルートの途中で音声やテキスト、写真で注釈を加えることもできる。

BLEビーコンやQRコードを用いる他の屋内ナビゲーションシステムと比べると、なんといっても特別な設備なしで使えるのがPath Guideの大きな魅力。
決まったルートを繰り返し移動することが多いケース、例えば就労先や宿泊施設などで使えば、移動の独立性や自由度は大いに高まるだろう。エレベーターから自分の部屋まで戻ったり、会社のトイレや休憩室へも単独で行けるようになるかもしれない。
もちろんこのシステムのターゲットは視覚障害者だけではない。屋内駐車場で駐車した場所を記録したり、会議やイベントの主催者が案内マップの代わりに作成したルートを共有するといった用途も考えられる。

センサーを用いるナビゲーションは、基本スマホさえあれば利用できるため、圧倒的に導入・管理コストが低いというメリットがある。
一方で作成したルート以外では使えなかったり、端末のセンサー性能による誤差などの課題もある。例えば一定距離にビーコンを設置し、誤差をリセットするような方法もアリかもしれない。
現在さまざまな手法のナビゲーション技術が開発されているが、それぞれに一長一短があるのも事実。今後はこれらの技術を組み合わせたハイブリッドな仕組みが求められてくるのかもしれない。

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