視覚障害者を強力にサポートする小型ウェアラブルAIデバイス「Myeye 2.0」で一躍世界の注目を集めたイスラエルのスタートアップOrcam社は、2018年12月12日、新製品「MyMe」のクラウドファンディングサイトKickstarterでの出資キャンペーンを開始した。
「OrCam MyMe」のターゲットは、日々多くの人々とコミュニケーションしているビジネスパーソンだ。会議や取引先とのミーティング、イベントやパーティーでは多くの人物と出会う。名刺やスマートフォンの連絡先を交換したとしても、しばらく会わなければ名前と顔を一致させるには相当の記憶力が必要だろう。「以前お会いしましたね?」と話しかけられ、記憶の糸を延々と手繰り寄せる気まずい時間を誰でも体験したことはあるはずだ。
役1,300万ピクセルの広角カメラを内蔵した親指ほどのこのデバイスは、スマートフォンやスマートウォッチとペアリングして使用する。これをシャツやネクタイなどに装着しておけば、およそ1秒に1枚程度の間隔で画像を解析し、顔認識技術で人物をリアルタイムで判別。認識された顔に名前を登録しておけば、以降その人物と会った時に通知してくれる。認識された人物には様々なタグを付与したり、連絡先との紐つけが可能だ。
Mymeは、ただ顔を認識するデバイスではない。その人と以前いつどこで会っているか、どのくらいの時間を過ごしているかをロギングしたり、グループ化して交友関係を定量化できるのが大きな特徴である。
フィットネストラッカーが健康状態を記録するように、Mymeは人間関係をトラッキングする。フィットネストラッカーが運動不足や睡眠時間をアドバイスするように、Mymeは、多忙であまりゆっくり過ごせていない家族との時間や疎遠になっている友人とのコンタクトをレコメンドしてくれるかもしれない。それを望むかどうかは別として。
Mymeではさらに、顔データにOCR(光学文字認識)で検出した名刺や名札の情報を関連づけたり、メモやSNS情報と結びつけることもできるようだ。「この人誰だっけ?」となかなか顔と名前が一致しない人には便利かもしれないが、面会した瞬間その人のTwitterやFacebookの投稿がポップアップするのは場合によっては気まずい空気になるかもしれない。
検出された顔データはローカルで処理されクラウドへは送信されない、鮮明な画像は残さないなど、プライバシーには配慮しているようだ。ただ、撮影される側としては勝手に顔を撮影され人間関係をトラッキングされるのは、抵抗感があるかもしれない。顔検出技術の応用として興味深い製品であることは間違いないが、賛否は大きく分かれそうだ。
ただ視覚障害者にとっては魅力的なデバイスであることは確か。Myeye 2.0の顔検出機能は認識した顔を登録しておけば名前を読み上げるというシンプルなものだったが、Mymeなら名前以外のさまざまな情報を紐つけることで、コミュニケーションを円滑かつ豊かにすることができそうだ。Orcam Myeyeを開発した同社だけに、アクセシビリティは問題ないはず。ああ、でもスクリーンリーダーで使う時はイヤホンが必須かもしれないなあ。
Orcam Mymemの予定価格は399ドル。現在Kickstarterキャンペーンで、半額の199ドルから出資可能。英語バージョンの出荷は2019年春頃に予定されている。公式ページではプロモーションムービーなども公開中。
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