視聴覚障害者が映像コンテンツを楽しむ環境は、、少しずつ整備されてきている。
テレビの副音声・字幕や、バリアフリー映画上映といった以前から提供されていたものに加え、近年ではDVDやBlu-rayソフトに音声ガイドやクローズドキャプションが収録されることも珍しくない。さらにNetflixやAmazonプライムビデオなどの配信サービスでも、バリアフリーコンテンツの整備が進められている。
特に「UDCast」に代表される、映像同期型の音声ガイドと字幕提供アプリの登場で、視聴覚障害しゃが映画を楽しむハードルが一気に下がった。
しかし有力な映像コンテンツでありながら、いまだにバリアフリーが進んでいないジャンルがある。
成人向けコンテンツ、いわゆる「アダルト動画」だ。
字幕や副音声がつけられたアダルトコンテンツは、存在したとしても、あくまでドラマや会話シーンで視聴者の母国語に翻訳されたセリフを吹き替え音声や字幕で流す、といった使われ方が中心。
視覚障害者のために、状況を音声で解説する「音声ガイド」や、会話に加えBGMや効果音などを字幕で解説するクローズドキャプションのようなバリアフリーコンテンツが提供されることは、ほとんどなかった。
米国の大手ポルノサイト「Pornhub」は、2018年6月に、一部のビデオにクローズドキャプションを追加し、聴覚障害者も楽しめるコンテンツの提供を開始すると発表した。
同社はこれに先立ち、2016年6月から視覚障害者向けの音声ガイド付きコンテンツの提供を開始している。
これにより、音声が聞き取りにくい視聴者でも出演者の会話内容はもちろん、効果音や音楽といった情報を字幕によって得られるようになる。
音声ガイドでは出演者の衣装や動きなどの視覚情報をナレーションで楽しめる。音声ガイドは合成音声ではなく、声優が担当しているようだ。
いずれもまだ一部の動画に限定されているようだが、この試みが成功すれば、他のサイトや地域・言語への波及も期待できる
Pornhubがこのようなサービスを開始する背景の一つには、ada法などのアクセシビリティ法の遵守という側面があるだろう。だが利益追及が使命の民間企業が、それだけでここまで大掛かりな施策を実行するとは考えにくい。あくまでも想像だが障害者の人口比率で見ても市場として十分であり、支援技術を活用することで、コンテンツを提供する価値があると判断した可能性は高い。
とはいえ、メジャーな映画会社や放送局のような潤沢な資金を持つ企業ならまだしも、大手とはいえ限られたジャンルで経営するアダルトサイトが、このような取り組みを行う意味は、決して小さくない。支援技術を適切に導入すれば、障害者相手に十分利益が見込めることに、大企業に限らず多くの企業が気付き始めている。ある意味で、Pornhubの取り組みは、米国社会の成熟どを表す一つの例なのかもしれない。
ああ、何かすごく硬いエントリーになってしまった。
本当は「音声だけでエロは成立する!」というテーマについても書きたかったのだがそれはまた別の機会に。
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