2020年10月14日水曜日

[iPhone]「ペンタップトレース」:振動と音で撮影結果を確認できるカメラアプリ。

スマートフォンで写真を撮影しSNSやブログなどで共有する楽しさは視覚障害者の間でも一般的になっています。ただキッチリ構図が決まった写真を撮影するには、基本的に見える誰かのサポートが欠かせません。

視覚障害者が単独で撮影する場合、被写体がしっかりフレームに収まっているのか、ピントは合っているのか……などを確認するのは至難の技。なにせ画面が見えないわけですからね。

そこで目が見えないのであれば視覚情報のかわりに振動と音声で写真を確認すればいいじゃない、というコンセプトで開発されたのが「ペンタップトレース」なのです。


iPhone用無料アプリ「ペンタップトレース」は、撮影した写真をなぞることで、どのようなものがどこに写っているのか、振動や音声で教えてくれるカメラアプリです。作者はOCRアプリ「ペンタップリーダー」を開発したTakashi Hasuo氏(公式HP)。


では早速使ってみましょう。このアプリの読み上げは内蔵音声を使うためサイレントスイッチとVoiceoverはオフに設定しておきます。


  1. 2本指ダブルタップで写真を撮影します
  2. 2本指左右スワイプでフィルターを切り替えます
  3. 1本指で画面をなぞってみましょう。選択したフィルタに基づき識別されたオブジェクトの位置でiPhoneが振動します
  4. 「物体の位置」フィルタでは識別されたオブジェクトの名前を読み上げます
  5. 3本指下スワイプで写真をライブラリに保存します
  6. 3本指上スワイプで操作説明を読み上げます


基本的にジェスチャだけで操作する感じですね。カメラアプリとしてはカメラ切り替えなどもなく非常にシンプルな作りです。

試しに筆者の仕事机においてあるMacBookを撮影して「物体の位置]を選び、画面をなぞってみました。すると画面のやや左下の位置で「ノートパソコン」と読み上げられることを確認。これを参考に位置を調節しフレームの中心にMacBookが入るように撮影とタッチを繰り返していきます。コツが掴めるまでは少し難しいかな?

個人的に思ったポイントは「構図が決まるまでiPhoneをできるだけ動かさないようにする」こと。そうしないと位置調整が難しいというか効率が悪くなります。

ちなみに用意されているフィルタは以下の10種類。


黄色っぽい場所、青っぽい場所、赤っぽい場所、明るい場所、線がある場所、ピントが合ってる場所、手前に写っている場所、物体の位置、文字の場所、顔の場所


うまく被写体を認識させるためには、撮影された写真に対して適切なフィルタを選ぶ必要があります。被写体についてある程度の情報がある方がスムーズに活用できそうです。あと当然ながら被写体が全くフレームに入っていないと意味がないのでそこは練習が必要。構図が決まるようになるまでは見える人に補助してもらうと良いかもしれません。


なお写真を保存し「写真」アプリからiCloud Drive経由でMacに転送、解像度を調べたところ3,024 × 4,032ピクセルでした。これならプリントでも十分な品質が期待できるでしょう。なお写真は縦向き固定になるようです。

また写真撮影だけでなく、文字が収まっている写真をこのアプリで撮影し、OCRアプリからインポートする、といった用途も想定されているようです。OCRアプリで文字を読み上げさせようとしたのに端が切れてたり逆に何の文字も入ってなかった、なんて失敗はよくありますからね。ほかにも工夫次第でいろいろ便利に使えそうです。


ペンタップトレースに近いソリューションとしては「Seeing AI」の写真探索機能や、標準「カメラ」の音声ナビゲーション機能があります。

ただいずれも機能や信頼性の面で「画面を見ずに思い通りの写真を撮影する」といった体験には程遠いのも事実でしょう。あくまでも視覚を使わない撮影を補助するツールといった感じです。それでもこれがあるのとないのとでは大きな違いが生まれます。

いまはこれらのツールを活用しつつ、視覚を使わない写真撮影を極めるべく鍛錬するのも一興ではないかと思います。目指すはブラインドフォトグラファー。


参考:Introducing Tactile Sense Camera App | AppleVis


2020年10月12日月曜日

A11Y Topics #011。米国ADA改正法案の問題、英国で商品パッケージに「navilens」、など。

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○米国、「オンラインアクセシビリティ法」が下院に提出される。

Legislation would set standards for ADA website compliance | Chain Store Age


2020年10月1日、障害を持つアメリカ人法の改正法案が米国下院に提出された。この「The Online Accessibility Act(オンラインアクセシビリティ法)」と題された法案を提出したのは、ノースカロライナ州のTed Budd下院議員(共和党)とカリフォルニア州選出のLou Correa下院議員(民主党)。(法案番号 H.R.8478)

米国の民間企業に対し起こされるWebアクセシビリティ訴訟は、1990年に署名された障害を持つアメリカ人法(ADA)のTitle IIIに基づいている。だがADAにはWebやアプリといったデジタルメディアのアクセシビリティに関する基準が明記されておらず、それが長年の間議論されてきた。この改正法案はADAにデジタルアクセシビリティに関する条項を追加し、米国におけるアクセシビリティ訴訟に新しい基準をもたらそうとしている。

これはデジタルアクセシビリティを法律に明記することで、障害者の権利をより確実に保護する改正法案であるようにも見える。だが障害者の権利保護に詳しい弁護士で長年デジタルアクセシビリティ訴訟に関わってきた、Lainey Feingold氏は、このオンラインアクセシビリティ法に潜む多くの問題について、以下のような記事を書いている。

Proposed Online Accessibility Act in US Congress is Bad for Digital Inclusion – Law Office of Lainey Feingold

詳しくは記事を読んでいただくとして、なるほど、この改正法案は少なくとも障害当事者にはメリットが少ないように感じる。ではこれは誰のための法案なのか。

全米小売業連盟(NRF)が支持していることからも、この改正法案は被告となり得る民間企業をADA訴訟から保護するという性質を少なからず持っているようだ。だがこれにより乱発されるトロール訴訟は防げるかもしれないが、その副作用として当事者の権利が脅かされてしまうのは本末転倒だろう。

果たしてこの法案、どのような行方になるのだろうか。


○ケロッグ、RNIBと協力しパッケージにnavilensコードを試験採用。

Kellogg's develops Coco Pops packaging designed for blind people


食品メーカーであるケロッグは英国の視覚障害者支援団体RNIBの協力を得て、同社が販売しているシリアル商品「Coco Pops」のパッケージに、スペインのニ二次元コード技術「navilens」を試験的に導入すると発表した。

視覚に障害を持つ買い物客は、英国内のスーパーマーケットなどでnavilensアプリを起動したスマートフォンを用い、最大3メートルの距離から商品のパッケージをカメラでとらえ、成分やアレルギー情報などを取得し音声で読み上げることができる。英国でnavilensが実用化されるのはこれが初めてという。

視覚障害者が商品のデータを取得する方法としてはこれまでもQRコードやバーコードをスキャンする方法があった。だがこれらはコードが印刷されている場所を探さなければならず使い勝手は良くない。離れた場所からコードをスキャンできるnavilensなら、商品棚にスマホをかざすだけでコードを見つけ陳列している場所も教えてくれる。ソーシャルディスタンシングが叫ばれる中、不必要な接触を最小限にできるだけでなく、同時に複数のコードをスキャンすることで視覚障害者が目当ての商品を探しやすくなるメリットもある。

ケロッグはこのパイロットテストの評価次第で、他の幅広い商品へnavilensコードを採用していくとのことだ。ひとつ考えられる懸念は「Coco Pops」を好まない視覚障害者の存在だろう(そこじゃない)。


○視覚障害者の読書を支援するランプ「Kibo」。

Here's how these three engineering graduates used technology to help specially-abled- Edexlive


インドでソーシャルイノベーションを研究する機関DIGITAL IMPACT SQUARE(DISQ)に所属する3人のエンジニアによって制作された「Kibo」は、印刷されたテキストを音声で読み上げる視覚障害者のための卓上ランプだ。その名称は日本語の「希望」に因んで付けられている。

当初このデバイスは英語の本を読むことに特化して設計されていたが、当事者からの要望によりインドで用いられる主要な言語に対応させ、加えて手書きの文字も認識するよう改良を加えたという。本体は軽量かつポータブルで、好きな場所に設置して利用することも可能。もちろん卓上ランプとして手元を照らすこともできる。

彼らは視覚障害者の読書を支援する同名のAndroidアプリもリリースしており、Covid-19によるロックダウンの影響でダウンロード数が大幅に増加したと語っている。パンデミックにより対人サポートが受けられない状況の中、これらのような支援技術の需要は今後より高まってくるのかもしれない。


○視覚障害者にとって外国語の習得は晴眼者より難しい?

Learning a foreign language is harder for visually impaired people


ロシアRUDN大学の言語学者は、視覚障害者の母国語以外の言語に対する知覚特性の研究から、その習得が目の見える人々と比較し困難であるという仮説を発表した。

晴眼者が会話する場合、声による情報に加え表情や仕草、口の動きからも多くの情報を得ている。そのため騒がしい場所や全く知らない言語話者との会話など、イレギュラーなシチュエーションでもコミュニケーションが成立する。一方視覚障害者は聴覚から全ての情報を読み取らなければならないため、そのようなケースで音声の知覚が低下し意思疎通に支障をきたしやすい。実験では視覚障害者に幾つかのネイティブな外国語の音声を聞き取るテストを行った。その結果、特定の言語において一部の発音の知覚が困難であることがわかった。

これはあくまでも仮説ではあるが、興味深い研究ではある。まあ確かに、同じ外国語でも映像に比べ音声だけでは意味を理解するのにパワーが必要なイメージはある。英語のPodcastとか全然わかんないもんね。見えてた頃にもっと語学頑張っておくべきだったと後悔したお話。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. The Last of Us Part 2 Lead Systems Designer Shows Vision Accessibility Prototype From 2018

Naughty Dogのリードシステムデザイナーであるatthew Gallant氏は彼のYouTubeチャンネルにおいて「The Last of Us Part II」のアクセシビリティ機能に関するプロトタイプ映像を公開した。この映像は2018年のもので、視覚障害者向けのハイコントラストモードや音声キューなどごく初期のアクセシビリティオプションの様子を見ることができる。製品版のリリースが2020年6月19日ということを考えれば、開発初期からこのようなオプションが盛り込まれていたことがわかる。リリースされたものと比べると、音声キューはまだ控え目な印象だ。

なお先日オンラインで開催されたGame Accessibility conferenceでは、Matthew氏がリードデザイナーであるEmilia Schatz氏とともに「TLOU2」のアクセシビリティオプションがどのように構築されてきたのか、そのあゆみについて語っている。プロトタイプ映像と合わせ、この作品のアクセシビリティ機能がどのようにチューニングされてきたのか、その一端を伺うことができる。


その2. ゲームのアクセシビリティ情報をデータベース化する動き。

ゲームをアクセシブルにしようという雰囲気はここ数年で大きく盛り上がりつつある。「The Last of Us Part II」を筆頭に、アクセシビリティオプションを充実させた作品も増えてきている。だがゲームにどのようなオプション項目が含まれているのかという情報はなかなか当事者に伝わっていないのが実情だ。

そのような状況を打破すべく、アクセシビリティに関する情報を集約しようとする動きが生まれている。ビデオゲームを家族的視点からレビューする「Taming Gaming」では、ゲームのレビューに詳細なアクセシビリティ情報が含まれている。同サイトのAccessibility Dataでは難易度調整やコントローラー設定、視聴覚オプションまで数多くの項目からユーザーにあった作品を検索することもでき、例えば聴覚に障害を持つユーザーなら、キャプションや音量バランス調整を備える作品をすぐに探し出せる。

ゲーム全体からみればまだ登録されている作品数は少ないが、データが充実していけば、このようなサイトは障害を持つゲーマーにとって大きな力になるだろう。まあ本来ならこのような基本的なデータは開発側から発信されて欲しいけど。


その3. Xbox Series X Aims To Make Cabling More Accessible Than Ever Before - Xbox News

11月に発売が予定されているゲーム機、Xbox Series Xの背面にある各種ポートに、触覚インジケーターが搭載されていることがわかった。これはMicrosoft Inclusive Tech LabのリーダーであるBryce Johnson氏のツイートで明らかにされた。ユーザーはこのインジケーターに触れることでポートの種別を目視することなく判別できるようになるという。

確かにケーブルを差し替える時にいちいち本体を引っ張り出すのは面倒な作業だ。明らかに形状の異なる端子なら触れて確認することができるが、オーディオなど目で確認しなければ判別できないものもある。なぜ今まで無かったのか不思議なくらいのアイデアではある。これは視覚障害のあるなしにかかわらず、アクセシビリティを向上させる試みの一つといえるだろう。

多くの報道ではこの仕様を「視覚障害者向け」と伝えている。であればもちろんSeries Xのシステムがアクセシブルであることにも期待したい。端子だけアクセシブルでもゲームは遊べないのである。


○その他、今週気になったトピックス。


その1. WBU statement on World Sight Day Thursday 8 October 2020

毎年10月第二木曜日は世界視力デー。今年は10月8日、世界中で眼の病気についての知識を広め、アイケアの重要性について議論するとともに、視覚障害や失明に対する理解を深める活動が行われた。なお日本では10月10日が「目の愛護デー]として制定されている。


その2. Celebrating 10 Years of the CVAA

同じく10月8日、米国の21 世紀の通信と映像アクセシビリティ法(CVAA法)は制定されてから10年の節目を迎えた。この法律は2010年にオバマ大統領によって署名され、テレビ局などの通信サービス提供事業所に対し、アクセシビリティ確保の義務を課している。この法律により視聴覚障害者の生活は大きく向上した。


その3. Making a more accessible, accurate campus accessibility map

米国北アリゾナ大学は、LiDARスキャナを用いてキャンパス内の高解像度の3Dマップを構築し障害者のナビに活用する取り組みを始めた。マップは地上およびドローンによりLiDARを用いて測量され、音声による視覚障害者向けのナビゲーションなどに活用される予定という。先日発表されたGoodMapsもそうだが、まず詳細な3Dマップを構築するというアプローチは今後のトレンドになるかもしれない。


その4. Explore - Sounds of the Universe | NASA

視覚的な情報を「音」に翻訳するsonificationは、天文学の分野では古くから試みられてきた。米NASAは、チャンドラX線天文台チームが制作した天文画像のsonificationコレクションを公開している。これらは、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測を組み合わせたもので、音は左から右へ移動しながらピッチと音量によって天体を表現している。よくよく考えればこれらの画像は実際、肉眼では見ることができないものだ。実はsonificationの方が本来の姿を体験できる方法なのかもしれないと妄想したりしなかったり。


その5. Hable One makes smartphones accessible for blind and visually impaired | Mirage News

昨年ユーザーテストが実施されていた視覚障害者向けのスマートフォン周辺機器「Hable One」の出荷がいよいよ始まった。これはスマートフォンと無線接続し、6つのボタンで点字入力が行えるデバイスで価格は226ユーロ。ただFableが発表され製品化されるまでの間、Orbit Researchがチャッカリ「Orbit Writer(99ドル)」をリリースしたためインパクトは少し落ちてしまった印象もなくもない。でもコンパクトな点字キーボードが盛り上がってくれば、減少する点字ユーザーが増えるきっかけになるかもしれない。


その6. Treating Tinnitus Through the…Tongue? - IEEE Spectrum

聴覚デバイスと舌刺激ユニットを組み合わせることで耳鳴りを軽減する、という研究。これまで効果的な対処法が存在していない耳鳴りに悩まされている人々を救うかもしれない技術だ。原理はよくわからないが、人間の体って不思議だなあと思った話題。


2020年10月7日水曜日

[雑記] 全盲的iOS14ファーストインプレ。Voiceover認識とかカメラとか写真のキャプションとか。

2020年9月17日、iPhone向けの最新OSである「iOS14」がリリースされました。

実質閉店休業中でありながら一応ICTライターを名乗っている筆者ですが、ここ数年、iOSのメジャーバージョンアップ直後の不安定さに怯えしばらくは様子見を決め込むという体たらく。ぼちぼち流れてくる情報から判断し、まあ大丈夫だろとインストールした次第です。日和ってますねえ。


ちなみにiOS14の新機能についてはこの記事、アクセシビリティの新機能についてはこの記事とかこの記事にまとめられています(手抜き)。


○「Voiceover認識」の実力を検証(したかった)。


さて言い忘れてましたが筆者所有の端末はiPhone 7。

もう4年前の機種なんですね。これ買った時はまだ視力残ってたなあ(しみじみ)。

まあそれはいいとして、iPhone 7にインストールされたiOS14を目の当たりにし、とても重要な事実に気がつきました。驚くべきことに、いやちょっと覚悟はしてたのですが、新しいアクセシビリティの目玉機能である「Voiceover認識」と「背面タップ」が動かない。「設定」を確認してみると、設定項目が出てこない。出てこないということはこれらの機能は私のiPhone 7では使えないということですね、はい。

これは楽しみにしてた「写真の説明」や「画像内テキストの解析」「アプリのUI解析」が使えないということを意味します。うーん残念。

結局今まで通りSeeing AIなど外部アプリのお世話になりそうです。


ただAppleもちょっとは情けをかけてくれたのでしょうか、Voiceover認識を使わない状態でも、画像の簡単な説明はしてくれるようになりました。

イメージにフォーカスすると効果音が再生され、一通り読み上げが終わったのちに「コンピュータ」とか「人々」「カーテン」といった感じでアバウトな説明を読み上げます。テキストは認識しないようですが、これがあるのとないのとでは大違いです。

あとUIの認識はiOS13からあまり変化はなさそうですが、いちいち「候補」と読み上げなくなったので少し自然な印象になりました。


なおイメージにフォーカスした時の効果音は、「設定」>「アクセシビリティ」>「Voiceover」>「オーディオ」>「サウンド」>「テキストとイメージが検出された」から設定できます。煩わしく感じたらオフにしましょう。


○「カメラ」の音声ナビゲーションが改善されてる。


Voiceoverオンの状態でカメラを起動すると、画面の傾きやフレームインしている人物の情報を音声で伝えてくれるナビゲーション機能が使えます。

iOS14ではこの機能が少し賢くなり、ファインダーにVoiceoverカーソルをフォーカスすることで人物意外のオブジェクトも認識し説明してくれるようになりました。ちょっとした物体認識アプリのようです。

例えばお花に向けてiPhoneをかざすと「花」とアナウンスされるので、そこでシャッターを押せば、ちゃんとお花がフレームに入った写真が撮影される(はず)。確実性は低いですが今まではできなかったことなのでありがたい改善です。ファインダーからフォーカスが外れると説明が読み上げられなくなるので、音量ボタンでの撮影が吉でしょう。


このアナウンス、Voiceover認識オンだと内容が違ったりするのでしょうか。

確認する術はありませんが。


○写真にキャプションをつけられる。


またiOS14の「写真」アプリでは新たにキャプション機能が使えるようになりました。

出かけた時など同行者のサポートで写真を撮影することがあるのですが、帰宅してからその写真を見つけるのに結構難儀するのです。全盲だとタイムスタンプとか位置情報くらいしか手がかりがありませんからね。写真にキャプションをつけておけば、あとでSNSやブログなどに投稿する時、写真を判別しやすくなります。

次期macOSではキャプションの同期もできるみたいですよ。

うちのMac、対応してないけど。


では早速、写真にキャプションをつけて未なしょう。


  1. 写真を開きイメージにフォーカスします(「写真」と読み上げられる部分です)。
  2. 上下にスワイプして「詳細を表示」を開きます。もし「詳細を表示」が読み上げられない場合はローターからアクションを選んでみましょう。
  3. みぎスワイプすると「キャプションを追加」という項目が読み上げられるのでダブルタップします。
  4. キャプションを入力し「完了」をタップします。


なおこの機能は「カメラ」アプリの「写真およびビデオビューア」からも使えます。写真を撮影したらすぐにここを開きキャプションを付けておくと後々便利かも。


追加したキャプションは「写真」アプリを開き、キャプションを追加する時と同じ手順で「詳細を表示」から確認できます。また写真一覧画面のサムネイルを上下スワイプすると、写真の追加情報と共にキャプションが読み上げられます。この時ローターは「その他のコンテンツ」となってるはず。

また検索機能を使ってキャプションがつけられた写真を絞り込むこともできます。


○とりあえず大きなトラブルはなさそう?


ひとまずVoiceoverユーザー的にiOS14で気になったところなどをごく一部ですが試してみました。多分もっと視覚障害者に便利な機能があるはず。頑張って使っていきます。

今のところよく言われるようなパフォーマンスの低下なども気にならず普通に使えている感じです。ただ噂によるとVoiceoverカーソルの挙動がおかしいとかバッテリー消費が激しい、iCloud周りが不安定など、まだいくつか不具合があるようなのでご注意ください。

にしてもVoiceover認識と背面タップが使えないのは残念でした。

iPhoneにLiDARスキャナがついたら買い換えたいな。その前に仕事だな、はい。


2020年10月5日月曜日

A11Y Topics #010。視覚障害者のCovid-19影響レポートが公開、GAconf開催、など細々。

※一週間で見つけた支援技術、主に視覚リハに関する記事のメモ書き。基本月曜更新。(ギリギリです)

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

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2020年9月の支援技術関連リンクまとめテキストを公開しました。

ダウンロードはこちらからどうぞ。


○米AFB、Covid-19の視覚障害者に与えた影響の調査レポートを公開。

American Foundation for the Blind Announces Flatten Inaccessibility Report, Illustrating Impact of COVID-19 on Blind or Visually Impaired Adults


2020年9月30日、米国において視覚障害者を支援する非営利組織であるAFB(American Foundation for the Blind)は、Covid-19の感染拡大が視覚障害者に及ぼした影響についての調査レポート、およびその結果を踏まえた提言をまとめた文書「Flatten Inaccessibility」を公開した。

このレポートはパンデミック開始直後の4月3日から13日に米国在住の1,921人の視覚障害者(成人)から寄せられたアンケート調査がベースとなっており、報告書は10のセクションにわたってCovid-19が視覚障害者に与えた影響について分析している。この調査にはAIRAやBe My Eyesと言った16の関連団体も協力した。

報告書のPDFダウンロードはここから、調査のサマリーおよびAFBからの提言の要約はここから読むことができる。加えてAFBはこのレポートを踏まえ各機関へ働きかけるためのヒントも公開している。

この調査はインターネット経由で行われており、人種や年齢にもやや偏りが感じられるため必ずしも視覚障害者全体の傾向を示しているとは言い切れないが、移動や買い物、デジタルアクセシビリティ、雇用などCovid-19によって新しい問題が発生し既存の障壁が改めて強調されていることが読み取れる。視覚障害者の個人的な体験による問題提起はこれまでもしばしば語られてきたが、このような大規模な調査によって改めてそのような課題に説得力が与えられたと言えるかもしれない。


○英国、視覚障害者の自宅を訪問した警察官が身分を証明する新しい仕組み。

Blind woman's campaign leads to police ID scheme launch - BBC News


英国ウェストヨークシャー警察は、緊急通報をもとに警察官が視覚障害者の住宅を訪問する際、事前に発行されたパスワードによって身分を証明する新しいシステムを導入した。通報者が緊急通報した際、オペレーターに視覚に障害があることを告げると認証用のパスワードが発行される。その後訪問した警察官がそのパスワードを確認することで警察官であることを証明する仕組みという。このシステムは視覚障害の程度を問わず誰でも無料で利用できる。

このアイデアは視覚に障害を持つ女性の訴えをもとに考案された。これまでも点字IDによる確認方法はあったが、不携帯が多く点字の識字率を考えるとあまり効果的な手段ではなかったという。このような状況は訪問者の姿や身分証を目視できない視覚障害者、特に一人暮らしの女性にとっては大きなセキュリティリスクだ。例えば空き巣被害で通報した後に犯人が戻ってこないとも限らない。

パスワード、要するに「合い言葉」はシンプルだが高齢者にもわかりやすく結構良いアイデアかもしれない。この仕組みを応用すれば警察だけでなく宅配業者や施設点検などを装ったなりすましによるトラブルも未然に防ぐ効果もありそうだ。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. GAConf 2020 Saw Over 1200 Registrations, Talks Now Available Online

ビデオゲームのアクセシビリティについて幅広い分野のスペシャリストが議論するカンファレンス#GAconf(Game Accessibility Conference)が2020年9月28日から29日の2日間オンラインで開催された。このイベントはIGDA Game Accessibilityが主催し、2017年から毎年開催されている。

MicrosoftやNaughty Dog、UBIsoftといったAAAゲームメーカーからインディーゲーム開発者、研究機関、そして障害を持つ当事者ゲーマーに至るまで数多くのセッションがスケジュールされ、ゲームのアクセシビリティの現在とこれからの課題について活発な意見交換が行われた。

今年はオンラインでの開催となったが、イベント登録者数および視聴者数は前回から大幅に増加しゲームのアクセシビリティに対する関心の高まりが感じられたようだ。セッションのアーカイブ動画は公式YouTubeチャンネルから視聴できる。


その2. Share Your Video Game Accessibility If You Can Talk About Customizable Penises

ゲームメーカーにとって発売前の作品に関する情報は最高機密であり、これらの情報はNon-Disclosure Agreements(秘密保持契約)に基づき厳重に保護されている。メーカーのWebやゲーム情報メディアから発信されている、いわゆる「解禁」された情報を除けば、、原則的に一般ゲーマーまで伝わることはない。例えそれがアクセシビリティに関する物だったとしてもだ。

だが障害を持つゲーマーにとってアクセシビリティの情報は、プレイ可能かどうかを判断するための重要なものだ。一般的なゲーマーに置き換えると、どの機種でリリースされるの? 必要なPCスペックは? 年齢制限はあるの? くらい超基本的な情報。秘密にすべきではないし秘密にする合理性もない。だが解禁されていないので外には出せない。結局この状況を変えるには、メーカーが積極的にアクセシビリティに関する情報を公開する意識を持つ必要があるのだろう。「アクセスできない」という情報も含め。

現状はアクセシビリティに積極的に取り組んでいるごく一部のメーカーは率先して情報を出しているように見える。逆に情報を出さないメーカーはアクセシビリティに無関心である可能性が高いといえる。でもユーザーから情報開示をしつこく求めれば意識も変わる可能性はある、かもしれない。


その3. How Do You Audio Transcribe an Entire Video Game?

先日エントリーした記事の裏話的な話題。

「The Last of Us Part II」は、視覚に障害を持つゲーマーにとって画期的なAAA作品だった。豊富に用意されたアクセシビリティオプションを調整すれば、画面をみなくても一人でゲームをクリアすることができる。だが現状では目の見えないプレイヤーが一般ユーザーと「同じ体験」ができるか?といえば、残念ながらまだ改善の余地はある。

そしてその鍵を握るのは音声によるコンテンツ解説かもしれない。これまでNetflixなどで副音声による音声解説を制作してきたDescriptive Video Worksは、そのノウハウをゲームの世界にもたらそうとしている。

とはいえいきなりゲーム本編に音声解説を加えるにはまだ多くの障壁がある。そこでまず注目したのがゲームの予告編ムービーだ。彼らはUbisoftと協力し「Assassin’s Creed Valhalla 」など2020年以降に発売が予定されているいくつかの予告編に音声解説を加えた。

これは数分の短い動画にすぎないが、これまでゲームのビジュアルについてほとんど情報が得られなかった視覚障害者にとっては、ゲームの世界観を感じ登場人物の雰囲気を把握できる貴重なものとなっている。これがあるのとないのとではプレイ中にイメージする内容は大きく違ってくるはずだ。

もちろんこれは始まりに過ぎない。彼らが目指すものは、ゲーム本編全体に音声解説をもたらすことなのだ。だがそれを実現するためには映像とは異なる全く新しい音声解説のアプローチが必要になってくるだろう。

技術の進歩により視覚障害者が楽しめるメディアは広がりつつある。音声解説でテレビや映画が(まだ不完全とはいえ)開放されたように、ゲームもいつのひかバリアなしで楽しめるのが当たり前になるかもしれない。


○その他、今週気になったトピックス。


その1. iPhone用アプリ「Envision AI」。がアップデート。画像やPDFに加えePubおよびWordドキュメントをインポートし解析することができるようになった。


その2. iPhone用アプリ「LetSeeApp」がアップデート。プラスチックカードの識別、明るさ検出、紙幣識別昨日を持つが、今回のアップデートで日本円の識別に対応した。(アプリ内購入で120円)。アプリ自体は日本語かされていないためあくまでも訪日外国人むけかな?


その3. Visually impaired Scots get sonic help with Covid graphs | Blindness and visual impairment | The Guardian

スコットランドにおけるCovid-19関連の数値をまとめたサイトで、視覚障害者向けにsonification,(音響化)したデータが公開されている。このサイトにある「Listen to audio representation of daily cases for Scotland」をクリックすると、選択した統計データの変化を音階で聞くことができる。

なお米国のCovid-19統計データのsonificationについて書いた記事はこちら


その4. Voice Shopping is now available for over 4 million eCommerce websites - EIN Presswire

オープンソースの eコマースソリューションを提供するWooCommerceは、新たに音声でショッピングを体験できるWordpressプラグインをリリース。カートに商品を入れたり、レジに進むと言った操作を音声で実行できるという。


その5. Arricano Real Estate : The 3D construction of St. Sophia Cathedral is another social and cultural project in the Arricano portfolio | MarketScreener

ウクライナの首都キエフにある世界遺産、聖ソフィア大聖堂で、視覚障害者が建築物を触覚で体験できる3D触覚模型が公開された。この建築物のモデルは、見える訪問者が全体を把握するためにも活用される。


その6. NUIG develops 'JediGlove' to help people with sight problems sense objects - Galway Daily

視覚障害者向けスマート手袋「Jedi-Glove」。超音波と深度センサーを用い、障害物の位置を装着者に伝える。障害物の距離と位置に応じて各指がさまざまな強さで振動する仕組み。ネーミングが良いね。


その7. Roulette enables visually impaired people to draw tactile diagrams on any paper - Newz Hook - Changing Attitudes towards Disability

インド。さまざまな紙に触覚図を描けるツール「Roulette」。専用用紙不要なので低コストで触図を作成できるのが大きな特徴。主に数学の授業など教育げんばでの活用が考えられている。


その8. The journey continues – Journey out of darkness

脳インプラントによる人工視覚「Orion」などをを開発しているSecond Sight社。Covid-19の影響で大幅に経営が悪化し、大規模なレイオフや上場廃止などが伝えられたが、なんとか研究開発や被検者へのサポートは続くようだ。すでにインプラントが埋め込まれた被検者は一安心だろう。世界各地でインプラントの治験が伝えられているが、被検者の安全を第一に考えて欲しいものだ。


2020年9月30日水曜日

「Assassin's Creed」最新作の予告編でYouTubeの音声切り替え機能が明らかに。

Ubisoftは積極的にアクセシビリティ向上に取り組んでいるゲームメーカーの一つ。

同社はこれまでもいくつかのゲーム予告編ムービーに、視覚障害者へ向けた音声解説を加えている。しかしそれはあくまでも通常の予告ムービーとは別に音声解説付きのバージョンを制作したものに過ぎなかった。

だがゲームアクセシビリティスペシャリストであるIan Hamilton氏のツイートによると、2020年9月29日に公開された「Assassin's Creed Valhalla Story」の予告ムービーは、これまでとは少し様子が違っているのだという。


Assassin’s Creed Valhalla: Story Trailer | Ubisoft [NA] - YouTube


このムービーを開き、YouTubeプレーヤーの「設定」を開いてみよう。

そのメニューの中に「音声トラック」という項目があることに気が付くはずだ。

そう、いつの間にかYouTubeは音声切り替えに対応していたらしい。

このムービーでは「英語(解説)」と「英語(オリジナル)」という二種類のトラックから音声を選択することができる。「解説」を選択すると画面に何が映っているかを説明するナレーションが加えられた音声に切り替わる。

テレビやDVDソフトでは当たり前の機能なのだが、ようやくYouTubeで音声切り替えができるようになったのだ。これは嬉しい。


YouTubeにはアクセシビリティ機能として既に自動書き起こしに対応したマルチ字幕が提供されている。しかしこと音声に関してはこれまで一つのトラックしか扱うことができず、複数の音声トラックを含んだコンテンツを公開することはできなかった。

音声切り替えに対応したことで、視覚障害者向けの音声解説はもちろん、多言語音声やオーディオコメンタリーなどを含むコンテンツも提供できるようになると考えられる。まだ現実的ではないが、将来的に自動書き起こし字幕のようなAIを用いた自動音声解説なんてのも実現するかもしれない。


対応するトラック数は? オーサリングツールへの対応は? そもそも今後広く公開されるの? などまだ不明な点は多いが、YouTubeのアクセシビリティを大きく向上させる機能であることは間違いないだろう。

ひとつでも多く、視覚障害者でも楽しめる作品が増えることを望みたい。


参考:Assassin's Creed Valhalla Trailer Debuts New YouTube Accessibility Tools - GameSpot


2020年9月28日月曜日

A11Y Topics #009。英国公的機関でWebアクセシビリティが義務化、TGAにアクセシビリティ部門を新設など。

※一週間で見つけた支援技術、主に視覚リハに関する記事のメモ書き。基本月曜更新。努力義務。

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

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○英国。9月23日から公的機関に対しWebアクセシビリティの準拠を全面的に義務化。

Digital accessibility: Transforming government


2020年9月23日、英国の公的機関は2018年9月23日に施行されたPublic Sector Bodies Accessibility Regulations 2018に基づき、そのWebをアクセシブルにする義務を負うことになる。対象は中央政府と地方自治体および一部の慈善団体と非政府組織。公的放送局など一部例外もある。

対象となる組織は所有するWebサイトをWCAG 2.1 Level AAに準拠させ、同時にアクセシビリティステートメントの公開とアクセシビリティの問題に対処するための窓口を設けなければならない。そして政府機関であるGovernment Digital Service(GDS)はこれら組織のWebを監視し、必要に応じて改善を指導する義務を負う。

2018年9月23日以降に公開されたWebは、GDSの定めたアクセシビリティルールに従う義務を持っていたが、これに加え2018年9月23日以前に作成されたWebに関しても、新しいルールに準拠させなければならない。なお同法は2021年6月までにモバイルアプリケーションのアクセシビリティのルール準拠も義務付けている。

一方で民間の調査によると、2年間という準備機関が設けられていたにもかかわらずいまだに多くの公的機関のWebには代償さまざまなアクセシビリティの問題があるという(参考調査)。英国の視覚障害者支援組織RNIBは、アクセスできないWebに対しユーザーから改善を求めるためのツールキットを公開している。情報発信側のアクセシビリティに対する意識向上とともに、この新しいルールに基づいたユーザーからの声も積極的に伝える必要があるのだろう。


○AIRAとWayAroundが提携。電視タグへの情報登録をAIRAエージェントが支援。

Aira + WayAround


WayAroundは、WayTagsと呼ばれる電子タグに情報を書き込み、衣服や書類ケース、調味料いれなどに貼り付けることで視覚障害者の生活を便利にしてくれるサービス。ユーザーはスマートフォンを用いてWayTagsをスキャンすれば、書き込まれた情報を音声で確認することができる。日本でも同様のサービスとして「Tag of Things ものタグ」がある。

ただこのようなサービスは、タグに情報を書き込むためにどうしても晴眼者のサポートが必要だった。この問題を解決するため、WayAroundは遠隔サポートサービスであるAIRAとパートナーシップを締結。タグへの情報登録をAIRAのエージェントの助けを借りて行えるようにした。

ユーザーはタグに登録したい物をカメラを通じて見てもらい、エージェントはそれをもとにタグに登録する内容を記述してメールで送信する。あとは受け取った内容をタグにコピペして識別したい物に貼り付ければ完了だ。一人暮らしなどすぐに誰かに見てもらえない視覚障害者でも、使いたい時すぐにタグを登録できるのはQOLを向上させるしWayAroundにとってもその利便性を大きくアピールできるだろう。

電子タグは工夫次第で視覚障害者の生活を劇的に便利にしてくれる。情報の登録というハードルを超える仕組みが普及すれば、もっと広く使われるのではないだろうか。あともう少しタグを手軽に入手できるといいな。


○選挙支援団体がBe My Eyesと提携。視覚障害者の投票をサポート。

Vote.org joins Be My Eyes to Support Visually Impaired Americans in 2020


米国で選挙に関するあらゆる情報提供と投票支援を行う非営利団体Vote.orgは、11月に実施される大統領選挙に向け視覚障害者を支援するマイクロボランティアサービスBe My Eyesと提携。アプリのビデオ通話を通じて目の不自由な有権者の投票を支援する。

Be My Eyesに登録している視覚障害者は、スペシャライズドヘルプからVote.orgを呼び出し、有権者登録のサポートや確認のほか、投票に関するさまざまな情報提供を受けることができる。

いまだ沈静化の目処も立たないCovid-19感染拡大の中実施されるこの選挙では、視覚障害者への対応も州によって大きく異なっており、必ずしもアクセシビリティが確保されているわけではないようだ。視覚障害者の安全を保ちつつ選挙権を正当に行使するためにも、このような支援が役立つだろう。


○文化施設をアクセシブルにする取り組み2つ。


The UniDescription Project Breaks Down Common Barriers to Media Accessibility – American Alliance of Museums

The UniDescription Projectは、2014年にハワイ大学マノア校とNational Park Service(NPS)が共同で開始した、自然公園や文化施設に関するメディアのアクセシビリティの向上を支援するプロジェクト。米国の100を超える施設でパンフレットの音声バージョンの製作やWeb上にあるメディアの画像説明文の整備などを行っている。8月には2020 Gold Media & Technology MUSE Award for Research & Innovationを受賞している

近年、AIを用いて画像説明文を生成するSNSなどが登場しているが、The UniDescription Projectはあくまでも人の力によるオーディオ記述にこだわっている。そして5年間の活動で蓄積されたノウハウをもとに、オーディオ記述の製作と普及を促進するためのオンラインツールを公開している。公園や文化施設のアクセシビリティ向上だけでなく、広く視覚障害者に対する情報保証を目指す人々にとっても貴重な情報源となるかもしれない。


Tunisian Museums Develop Special Apps For The Visually-Impaired | Al Bawaba

チュニジア、チュニスにあるバルド国立博物館は、施設や展示品を視覚障害者にもアクセス可能にする総合的なイニシアチブを発表した。これらには点字に翻訳されたパンフレットや展示物の音声解説を提供するモバイルアプリケーションと専用デバイス、さらに一部の展示品を3D印刷したレプリカなどの製作が含まれる。加えて博物館のWebサイトのアクセシビリティ改善も行う。最近任命され、自らも視覚障害者であるチュニジア文化大臣は、国内の他の文化施設に対しても同様の取り組みを行うよう要請している。


○今週見つけた視覚障害者支援デバイス。


UAE invention wins James Dyson Award 2020

UAEの学生によって開発された「Touch」は、視覚障害者の生活をサポートするスマートリング。この指輪型デバイスには「色の識別」と「テキスト読み上げ」という2つの機能が搭載されている。識別した色の名前や認識されたテキストは振動やBluetooth接続したイヤホンを介して装着者に伝達される仕組みだ。このデバイスはUAEとしては初めてJames Dyson Awardを受賞している。将来的にはこのリングを中心に、リストバンドやネックレスといったウェアラブルデバイスと連携させるアイデアもあるようだ。


This Indian startup is giving an artificial vision to visually impaired people using AI and Deep Learning | SME Futures:

インドのスタートアップNexartは、「Eyewey」と名付けられた視覚障害者向け学習型AI画像認識フレームワークを開発している。物体を識別したりテキストを読み上げることで視覚障害者を支援するほか、様々な用途への応用も考えられているようだ。同社はEyeweyソリューションの一環として、識別した物体や障害物を振動で伝えるスマートグローブも合わせて開発中。同社はこれらの製品をできる限り手に入りやすい価格で提供することを目指しているという。


This Smart Contact Lens Is Already In Clinical Trials At Ghent University In Belgium

ベルギーのゲント大学では、視覚障害者を対象とした医療用スマートコンタクトレンズの臨床試験が始まっている。このレンズには超小型のバッテリーと各種センサー、液晶ディスプレイが内蔵されており、レンズに入り込む光の量を自動的に調節することで光過敏を持つユーザーの見えにくさを改善する。ディスプレイは濃淡を変化させるだけのシンプルなものだが、将来的に光を感じられる視覚障害者に対し矢印などを表示させ、ナビゲーションや障害物の警告などにも応用する計画もあるという。


○今週のゲーム関連トピックス。


The Game Awards arrives December 10 with new accessibility honor | VentureBeat

The Game Awards(TGA)は毎年12月に米国で開催される、その年における各ゲームジャンルにおいて最も功績のあった作品や人物・団体を表彰する年次イベント。今年はCovid-19感染拡大防止のため12月10日にオンラインで開催されることが決定している。

そしてTGAの主催者でありイベントの進行役を務めるジェフ・キーリー氏は、今年新たにゲームアクセシビリティに焦点を当てた賞が設けられることを明らかにした。

「TLOU2」を筆頭に、近年ではゲームに包括的なアクセシビリティオプションを導入する作品が見られるようになってきた。またMicrosoftのXbox Adaptive Controllerのようなユニバーサルな周辺機器の開発や障害者ゲーマー支援団体との連携の動きも活発かしてきている。ただゲーム業界全体から見れば、これらはまだごく一部の動きであることも否めない。

TGAではおそらくTLOU2もしくはその関係者が初の受賞者となる可能性が高いが、実際にどのような雰囲気になるのか注目したい。アクセシビリティが特別なものではなく、全ての開発者が取り組むべき課題であ理、障害当事者にとって切実な問題であるというメッセージが発疹されて欲しいものだ。

TGAのようなメジャーイベントがアクセシビリティを扱うことで、このムーブメントを一過性のものにせず、未来に向け定着させる効果を期待したい。願わくば他のイベントやゲームメディアへの波及も望まれるところだ。


All-Digital PS5 And Xbox Series S Pose Unique Accessibility Challenges - GameSpot

視覚障害を持つゲーマーであり、ゲームアクセシビリティ情報サイト「Can I Play That?」の執筆者の一人であるSteve Saylor氏のGameSpotによるインタビュー。PS5やXbox Series Sで広がるメディアレス時代におけるアクセシビリティの問題が提起されている。

根本にあるのは、ゲームのアクセシビリティに関する情報がメーカーやゲームメディアからほとんど公開されていないという問題。障害を持つゲーマーは、購入前にそのゲームが自分にプレイ可能かどうかを判断できず、ギャンブル覚悟で購入するか、もしくは諦めるかの2択を迫られているという。従来の物理メディアの場合は購入店のキャンセルポリシーに従い返品することができたが、ダウンロード購入したゲームの場合プラットホームにより返品が不可能なケースもある。情報も得られず返品も制限されるとなると、障害を持つゲーマーにとってはより障壁が高まる懸念が出てくる。

アクセシビリティ不備による返品という問題は複雑な要素を孕んでおり、すぐには解決しないかもしれない。だが少なくともメーカーやゲーム媒体から詳細なアクセシビリティ情報が提供され、障害を持つゲーマーが購入を判断できる環境が整えば、トラブルはゼロにはならなくとも減少はするだろう。個人的にはとにかく情報不足が最大の問題と思う。これ、AppStoreなどのアプリストアでも同じことが言えるよね。


2020年9月26日土曜日

iPhone向け物体認識アプリ「Vhista」でちょっとだけ未来を感じたかも。

視覚障害者にとって、周囲にある物言わぬオブジェクトを認識するのは難易度の高いクエストだ。

手探りで恐る恐る触れてみるか、誰かに教えてもらわなければそのオブジェクトは存在しないも同じ。でもこのご時世、ぺたぺた者に触れるのもはばかられるし、常に新設な人がそばにいてくれるとは限らないのが現実。

そんな悩みを解消してくれるかもしれないときたいされているのが、コンピュータビジョン(CV)すなわちAIによる画像認識技術。

スマートフォンで周囲をぐるりと撮影すれば、周りにある者を目で見たように教えてくれる………視覚障害者が待ち望んでいる未来だ。


「Vhista」はコロンビアのエンジニアであるJuan David Cruz氏。によって開発された、iPhone用物体認識アプリ。現在App Storeから無料でダウンロードできる。

このアプリは、リアルタイムに物体を解析するARモードと、撮影した写真やフォトライブラリの画像をじっくり解析する「クラウドモード」の2つのモードを搭載している。いずれもiPhoneノカメラが捉えた映像をCVを用いて解析し、画像に含まれる物体の名前を音声で読み上げてくれる。


アプリを起動すると「ARモード」になり、iPhoneをかざした先の物体をリアルタイムに検出し読み上げる。解析処理はiPhone内で行っているようでオフラインでも動作する。

このモードではオブジェクトの名前だけでなく、物体までのおおよその距離も教えてくれるので、周囲の環境をイメージする助けにもなる。


また「Take Picture」で写真を撮影するか「Choose from Photo library」から写真をインポートすると、クラウドを利用した、より高精度な解析が実行される(インターネット接続が必要)。

ARモードと比べ処理時間はかかるが得られる情報量は圧倒的に多い。このモードでは解析結果の精度がパーセントで表示されるのも特徴。個人的には画像解析中の効果音が可愛くて好みだ。

解析結果から前の画面に戻った時「Take Picture」ボタンが「Cancel recognition」と読み上げられてしまうのはBugかな? 筆者だけかも。


インターフェイスや音声は全て英語だが、認識精度はSeeing AIやiOS 14の物体検知と比較しても、正確さや詳細度において遜色ない。まあ得手不得手はあると思うが、少なくとも少し前までのこの手のアプリのような明らかに的外れな結果は少ない気がする。

なによりリアルタイムでもそこそこ的確な情報が得られるのは、従来のアプリではあまり経験できなかったように思う。


とはいえVhistaはまだ情報量もレスポンス的にも目で見渡すようにはいかず、理想のアプリにはまだ力不足なのは否めない。だがCVの進化を実感できるとともに今後に期待を持たせてくれるアプリでもあると感じた。今後AIへの学習が進み、端末の性能がアップしていけば結構良い線まで到達するのではないか。そんなワクワク感がある。

インターフェイスは非常にシンプルでVoiceoverでの操作も全く問題ない。リアルタイムとクラウドで認識を使い分けられるのも理にかなっているし、英語さえ苦にならなければ体験して見るのも面白いと思う。過剰な期待は禁物だけど。


このジャンルはまだまだ発展途上。実用的になるにはまだ時間が必要だろう。

でも「Vhista」でちょっとだけ未来を垣間見た気がするな。


参考:Vhista App Helps Blind People Move Around the World | Digital Trends


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