2019年11月8日金曜日

サイトワールド2019・見学メモ。


今年もサイトワールドの季節がやってきた。
世界的に珍しい、視覚障害を専門に扱う総合イベントである。
2019年も、11/1から11/3までの3日間、東京・錦糸町にある「すみだ産業会館サンライズホール」にて開催された。筆者は11/1と11/2に訪問。これで3回目の参加である。

前回、前々回は、とにかくひたすら展示ブースを必死に回る感じだったが、今年は主にイベントへの出席と、Twitterなどで知り合った方々との交流をメインに据えることで、体力を温存しようという作戦。普段引きこもっているわりにイベントが集中していたので……。
その甲斐あってか、なんとか参加した2日間、乗り切ることができた。体力なさすぎ。

というわけで、サイトワールド2019で印象に残ったイベントと展示について、個人的に思ったことなどをメモ代わりに書いていこう。
記憶を頼りにしているので、若干の間違いはご容赦ください。
若干でない間違いは、ご指摘ください。

ではまず、イベントから。

・ICTを活用した視覚障害者移動支援システムの社会実装

11/1開催。昨年も参加したワークショップ。主にスマートフォンを用いた視覚障害者のナビゲーション技術の最新動向が発表されるとともに、体験もできるという、実に私好みのワークショップである。

今年印象的だったのは、国土交通省の交通バリアフリー関連のガイドラインに、Webアクセシビリティの要件が明記されるという話。確かに近年ではWebやアプリは公共交通機関を利用する上では欠かせない要素になっている一方、Webはともかくアプリのアクセシビリティには不満を感じることも多かった。。アプリを通じた情報提供は視覚障害者にとっても有益だけに、ガイドラインの早期策定に期待したいところ。

他にも、コレド室町で公開された「インクルーシブ・ナビ」を用いた屋内ナビゲーションの話題や、東京メトロで実証実験中の「Shikai」プロジェクトの報告、筑波大によるコンピュータビジョンを用いたナビゲーションシステムなど、さまざまなアプローチから視覚障害者のナビゲーション技術の研究が進められていることがわかる。
また質疑応答の中で、今後これらの技術が社会実装されていく場合、場所によってアプリを使い分けるのは不便なのではないか、という意見があった。これに対し、将来的には統一規格的なものが必要、という認識も示された。まだ先の話ではあると思うが、単一のアプリでシームレスなドアツードアのナビができるようになれば最高ではないだろうか。

面白かったのは、筑波大が開発中のアプリ「オタスケマップ」。
開発メンバーの松尾さん(全盲)にレクチャーしていただきながら体験させてもらった。これはスマートフォン(iPhoneで動作していた)のマップ上に表示された歩行ルートを指で辿りながら、事前に歩く道順を確認できるというアプリ。タッチによる効果音と方向しじ音声、振動の組み合わせで、画面が見えなくても目的地までのルートを脳内にイメージできるようになっている。
歩行ナビアプリを用いて移動する場合でも、このようなアプリで事前にルートを確認することができれば、不慣れな場所でもより確実に目的地まで到達できるかもしれない。道順を知る手段としては、すでに「ことばの道案内」というサービスが提供されているが、マップから道順を生成できれば利用する場所を選ばないし、ルートを指でたどることで、文字情報よりも距離感や方向を直感的にイメージできると感じた。リリースに期待。

・今更ですが歩行訓練を知るシンポジウム

こちらは11/2に開催されたシンポジウム。4人のパネリスト(2人は視覚障害当事者)が登壇し、歩行訓練の体験談や訓練を提供する側の現状などが語られた。

特に中途で見えにくい・見えなくなった視覚障害者が、安全に歩行するためには、白杖の使い方と歩行のセオリーを知ることが重要となってくる。だが歩行訓練を実際に受ける視覚障害者はまだまだ少なく、精度の認知度も低いとのこと。合わせて訓練士の不足や地域による格差など、多くの課題が話し合われた。

個人的な経験を言えば、歩行訓練を受けたことで、外出時の不安が軽減されたし、ガイドヘルパーや駅員の誘導を受ける場合でも、よりスムーズで安全な移動ができるようになったと感じている。また先述のようなICTを用いたナビゲーションが実用化されても「歩く」というアクションが伴う以上、歩行のスキルは必要不可欠だろう。
そのような意味でも、歩行訓練の重要性がもっと知られる必要があるし、それに対応できる訓練システムやセルフトレーニングなど、多角的なアプローチを考える余地もありそうだ。あと「訓練」という言葉のイメージが、何かしらの影響を与えているのかもしれない。
健全なフィジカルがあってこそのテクノロジー、そう思うのだった。

ここからは展示ブースのお話。

・新潟大学 工学部 福祉人間工学科

触地図や立体模型で世界の建築物に触れられる展示を行っていた。
お気に入りは、京都中心部の触地図。国土地理院による3D測量データにより、周囲を囲む山々がリアルにモデリングされ、盆地である京都の地形を感じられた。マグネットで配置されていた寺社や新幹線、京都タワーもキュート。
久しぶりに京都行きたいなあ。人多いんだろうなあ。
また、こちらではオンデマンドでの触地図作成もしてくれるとのこと。

・NextVPU (Shanghai) Co.,Ltd.

メガネのテンプルに装着するタイプのスマートデバイス「AngelEye Smart Reader」を展示。スマートグラスタイプのものもあったようだが見逃してしまった。
一見すると「OrCam MyEye 2」にそっくり(禁句?)。日本語の書類をかざすと読み上げてくれた。基本的にはOCR機能がメインだが、比較的低価格との噂。機能・価格帯的には「Oton Glass」に近いかな? 認識精度はもちろん、サポート体制も気になるところ。
余談だが対応していただいた方が日本語が通じなかったので、あまり突っ込んだ質問は断念したのだった。

・株式会社ドット

韓国発のスタートアップ。世界初の点字表示可能な腕時計「Dot Watch」と、新製品の点字書籍リーダー「Dot mini」を展示。
「Dot mini」は随分前から海外でニュースになっていたが、ようやくお披露目といった感じ。基本的には点字データを読むシンプルなリーダーといったデバイスのようだ。これまでの情報では価格の安さが特徴的だったのだが、その点ではちょっと残念かな?
点字デバイスとしては、位置付けが難しい製品と感じなくもない。

・社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 (旧:日本盲人会連合)

展示は見ることはできなかったが、名称が変わったのでチェック。
略称は「日視連」で良いのかな?

・プログレス・テクノロジーズ株式会社

昨年のサイトワールドと東京メトロ辰巳駅で体験した、点字ブロックとQRコードを用いたナビゲーションシステム「Shikai」を今年も展示。改めて体験してみた。

基本的には大きな変化は感じなかったが、次のポイントまでの指示音声がシンプルになっていたり(誘導ブロックの左右どちらを辿る、みたいな情報が省かれていた)、説明によればQRコードのスキャン精度が向上し、多少早歩きでも認識できるようになったとのこと。全体的にブラッシュアップされているようだ。

「Shikai」は現在、東京メトロ・新木場駅でも実験中。実際に駅の点字ブロックにQRコードが設置されているらしい。まあ、アプリがないから試せないけどね。

・株式会社システムギアビジョン

すっかりおなじみになった「オーカムマイアイ 2」を展示。
ハードウェア的には変化はないが、ファームウェアのバージョンアップでBluetoothイヤホンへの出力対応やレスポンスの向上などが図られている。また認識される商品バーコードも、順調に増えているとのことだった。

・株式会社キザキ

製品名を失念してしまったが、ホールド感の高いグリップの白杖が印象的だった。
独特の形状を持つグリップは手のひらにしっかりと密着するので、白杖からのフィードバックを感じ取る面積が広く、路面の情報をより細かく得られる感じ。試したのは3段折り畳みタイプだったが、直杖ならさらにセンシティブになるのではなかろうか。一方で、手引き中にエンピツ持ちするのはちょっと違和感ありかも。

この白杖にはもう一つ秘密があった。それはストラップ。
一般的に、白杖のグリップから出ているひも(折り畳みならセンターラバーを調節するためのもの)は、手首に通すのは危険と言われている。白杖が電車などのドアに挟まってしまうと、巻き込まれてしまう危険性があるためだ。
だが、うっかり白杖を電車とホームの間に落とさないように、ストラップ代わりにこの紐を手首に通してしまうユーザーも少なくない。

体験した白杖には特別なストラップが装着されている。このストラップは、一定の強さで引っ張られると自動的にロックが外れ、巻き込まれ事故を防ぐ仕組みだ。
介助されたロックを戻すのも簡単。これ、普及して欲しいなあ。

・株式会社KOSUGE

こちらの主力商品は白杖だが、個人的に興味があったのが、スマートフォンを用いたナビゲーションシステム「MYみちびき」。
準天頂衛星「みちびき」を用いた高精度なナビを目指している。
昨年はまだ「みちびき」がサービス開始したばかりでコンセプトを聞いただけだったが、今年はどうだろう。

説明して頂いたのは、KOSUGEの社長さま。昨年同様、熱心に開発状況を話ていただいた。お話によれば、現状はまだ「みちびき」が全記揃っておらず、受診川の機材もサイズやコスト的に未成熟。ただ電波を受信するアンテナの小型化などは進んでおり、開発は進められているとのことだった。実現まではまだ時間がかかりそうだが、ぜひ来年もお話を伺いたい。

そしてもう一つ見せていただいたのは「信号機カメラ」。
これは機械学習を用いて歩行者用信号をiPhoneアプリで判別してくれるというもの。デモしていただいたものでは、赤信号と青信号、それぞれの確率をパーセントで表示していた。今後、明るさなど様々な条件でさらなる学習を進めていき、実用化したいとのことだった。
信号をアクセシブルにする技術には音響装置やビーコンなどいくつかの技術が存在するが、スマホで判別できるように慣れば、低コストで安全を確保できるようになるかもしれない。個人的には信号に向かって真っ直ぐ歩くような機能があるといいなあ。

あとこちらのブースでは「Nail Le Braille」さんの白杖デコレーションも展示されており、スワロフスキーがふんだんに盛られたキラキラ(であろう)デコ白杖に触れることができた。グリップには白杖用リングもひかる。
さすがにここまでデコるのはアラフィフおじさん的にどうかと思うが、ワンポイントでつけるくらいならいいかも、とか思ったりした。。結構、光モノは好きなのだ。

・株式会社マクロス

こちらでは、素材削り出しによる3Dプリンター「MODELA MDX-50」と、UVによる浮き出し印
刷が可能なカラープリンター「Versa UVシリーズ」を展示。

MDX-50で削り出された木製の人物像に触ってみたが、まるで人が削ったような自然な触感。さすがにお値段もそれなりだが、3Dプリンターのイメージを変えてくれる製品だろう。
またVersaUVを用いて、様々な素材に印刷されたサンプルにも触れることができたが、しっかりとした触感を感じられた。これは重ね刷りもできるとのことなので、いろいろな表現が楽しめそう。
こちらの2製品は、視覚障害者向けというよりも、幅広い層、特にクリエイティブな分野に訴える魅力があると思う。

・ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ株式会社

Google アシスタント搭載テレビ「BRAVIA A9Gシリーズ」など、オーディオ&ビジュアル製品を展示していた。
人気のネックスピーカーも試したが、これがなかなか迫力があって良かった。遅延もかなり少ないらしく、スクリーンリーダーの音声用にも使えそう。贅沢かな。

そして、やはり注目はAndroid TVを搭載したテレビ「BRAVIA」。
視覚障害者的には、画面上の文字情報を音声で読み上げてくれるのはもちろん、音声読み上げのオン/オフをリモコンから簡単に切り替えられるのが魅力。リビングのテレビなど、音声読み上げを切って使いたい家族のためにも有用だろう。音声アシスタントによる各種操作も便利そうだった。テレビもしっかりアクセシブルになってきたなあ、としみじみ。これでもっと副音声が充実してくれればね。

余談だが、個人的にテレビに付いて欲しい機能がある。
それは、スピーカーから主音声を出力したまま副音声(もしくは副音声+主音声)を、ヘッドホンまたはBluetoothイヤホンに出力して欲しいのだ。理由は先述と同じで、家族への配慮である。
以前(というか昨年のサイトワールドで)某家電メーカーの説明員にこのことを話たら、半笑いで却下されたが、今回ソニーの説明担当者さんは、しっかり聞いてくれた。これだけでも好印象である。応援してるよソニーさん。PS4に日本語TTS入れてください。

・まとめ

というわけで、サイトワールド2019で印象に残ったイベントと展示の感想でした。

前回はスマートグラスやOrCam Myeye 2といった注目の製品が目白押しで新鮮味があったが、今年はそのような意味では)個人的には)目玉といえるものが少なかったかな? 今後は国産スタートアップの登場にも期待したい。
また聞くところによると、スマートスピーカーのイベントが盛況だったとのこと。音声アシスタントは視覚障害者の間で着実に浸透しつつあるようだ。確かに別のイベントでも、スマートスピーカーに対するリアクションは結構大きかったような。機械に話しかけるなんて、日本人には向かないんじゃない?などと言われていたが、少なくとも視覚障害者の注目度は高いようだ。

そして改めてサイトワールド全体を見てみると、やはりこのイベントは「点字」が基本なのだなあと感じる。点字機器を開発・販売するブースは相変わらず盛況だったし、点字資料を配布するイベントやブースもあった。ただ一方で点字が読める視覚障害者の割合は減少しているという事実があるわけで、このギャップをいかにして埋めていくのか、考える必要がありそう。
その「点字が読めない視覚障害者」の一人である筆者。今回は日本展示図書館のブースで、展示器と点字を打てるテープをゲット。これを使って、少しでも点字が使えるよう努力したい所存である……!

さて、なんやかんやで今年も満喫したサイトワールド。
今年は初めて、ネットで交流のあった方々とお会いし名刺と情報交換できたのが楽しかった。人と会うのって大事だね。
改めて、お世話になった方々に感謝いたします。

来年もまた良い出会いがありますように。

2019年10月8日火曜日

[メモ] 米国ドミノ訴訟の最高裁判決に関するニュースクリッピング。(2019/10/11 Update)


米現地時間2019年10月7日、米最高裁判所は、外食チェーン、ドミノのWebアクセシビリティ訴訟において、ドミノ側の上告を却下し、第9巡回区控訴裁判所の原告(視覚障害者)勝訴の判決が確定した。
…という事でいいのかな。米国の裁判システムについて浅学なので間違えている可能性もあるが、とにかくドミノ側の主張が認められなかった、というのは間違い無いだろう。この最高裁の判断が、今後のWebアクセシビリティ周りの状況に大きな影響を与えるのは確実と見られている。少なくとも米国では。
というわけで、この重要な判決のニュースがbloomberg law:で報じられてから掲載された関連Webニュースを、メモ代わりにまとめておく。
と、チマチマクリッピングしてたら↓のまとめ記事が。これだけで十分かも。

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bloomberg law:
cnbc:
restaurant business online:
usa today:
long-island:
law360:
sky statement:
slate.:
bloomberg.:
pymnts:
zd net:
crains detroit:
ib times:
scoop square 24:
my news LA:
fast company:
grit daily:
LA times:
news journal:
splinter news:
forbes:
forbes:
washington examiner:
reuters:
mashable:
valdo stadaily times:
──────────



2019年10月3日木曜日

全盲的iOS13ファーストインプレ。お気に入りの3大新機能。


Appleユーザーにとって、年に一度のお楽しみ。
iOSのメジャーバージョンアップの季節がやってきた。
2019年も、6月のWWDCで発表された「iOS 13」が、9月20日に無事、リリースされた。ただ今年は立て続けに「13.1」「13.1.1」「13.1.2]とアップデートがリリースされており、少し混乱がおきているのかな?といった印象。まあ新ハードに間に合わせないと行けないからね。

さてこの「iOS13」、見た目的に大きな機能変更はダークモードくらいしかなく、一般ユーザーの間では細かいチューニングがメインのバージョン、といった評価が多いようだ。
だが、ことアクセシビリティに関しては、ここ数年の中でも、最もアグレッシブな変化を遂げているバージョンといっていいだろう。それは設定アプリにおいて「アクセシビリティ」の項目が「一般」からトップレベルのメニュー項目として独立したことからも伺える。例えば音声によるコントロール、Assistive touchのマウスサポートなど、数々の画期的な新機能が登場している。
そして全盲である筆者が普段から活用しているスクリーンリーダー「Voiceover」でも、iOS13では大小様々な機能追加や変更が加えられている。アップデートの詳細はApplevisの記事からどうぞ。


というわけで、1週間ほどiOS13をVoiceoverで使ってみて「良かったポイント。トップ3」を買ってながら発表しよう。ちなみに、なぜ1週間かというと、ちょっとビビって13.1までアップデートを保留していたのである。


1.カスタムコマンドが超快適。


iOS13では、Voiceoverの様々な操作をユーザーが自由にカスタマイズできるようになった。Voiceover設定の「コマンド」を開き、タッチジェスチャ、キーボードショートカット、手書き、点字画面入力の各コマンドを(一部を除き)好みの機能に置き換えることができる。
筆者も早速タッチジェスチャを以下のようにカスタマイズしてみた。

1本指トリプルタップ=エスケープ
1本指4回タップ=最初の項目に移動

このカスタムで、片手での操作時に、前の画面に戻る時や、公式Twitterアプリでアカウントメニューにフォーカスさせる時にいちいち両手を使わずに済む。この2つのカスタムコマンドだけで、両手を使う頻度がかなり減少した。欲を言えば、片手での操作を考えると1本指のジェスチャがもう少し増えてほしいところ。

2本指4回タップ=ステータスバーへ移動
4本指下スワイプ=通知センターを開く
4本指上スワイプ=コントロールセンターを開く

結構ストレスだったステータスバー、通知センター、コントロールセンターの操作。特に筆者は指が太くiPhone 7のコンパクトな画面ではステータスバーにフォーカスするのに四苦八苦することも少なくなかった。
これらの操作も、カスタムコマンドで快適に操作できるようになる。
4本指上下スワイプなど、なぜ標準ジェスチャに採用されていないのかと思うほど違和感がない。ただステータスバーへの移動が、なぜかロック画面やホーム画面ではうまく動作しない。何かアプリを開いている時ならサクッとフォーカスしてくれるのだが。

2本指右スワイプ=次の文字
2本指左スワイプ=前の文字

文字を1文字ずつ読ませ、詳細読みで確認したい場合、従来はローターから「文字」を選んで上下スワイプする必要があった。このカスタムコマンドを用いれば、2本指左右スワイプで、フォーカスされている項目の文字を即座に1文字読みさせることができる。今までは疑問に感じた文字に遭遇しても、面倒で確認しないことも多かったが、これでマメに確認するようになるかもしれない。

ひとまずカスタマイズしたのはこんな感じ。
1本指トリプルタップ以外は、コマンドが割り当てられていないジェスチャをカスタマイズしたので、従来からの操作に対する影響も少ない。今後はジェスチャそのものを作ったり、後述するアクティビティでカスタムコマンドを切り替えられるようになるとさらに便利になるのではないだろうか。
あとこのコマンド設定は、Voiceoverジェスチャやショートカットキーのレファレンスとしても役にたつだろう。一通りのジェスチャを把握しているつもりでも、以外と新しい発見がある。「ダブルタップして抑えてフリック(三本指)」というジェスチャが新しく追加されている事実に、この設定を開いて初めて気が付いたりした。


2.アクティビティでVoiceoverの世界が広がる。


「アクティビティ」はiOS13で追加された新機能。簡単に言えば、Voiceoverの設定を複数用意しておき、好きな時に切り替えられる機能だ。Voiceover設定の「アクティビティ」から設定できる。
macOSではすでに以前から存在していた機能だが、ようやくiOSにもやってきた格好だ。

ただ現時点ではVoiceoverの全ての設定を切り替えられるわけではなく、「声」「詳細度」「点字」など一部の設定の切り替えに限定されている。
アクティビティの切り替えは、ローターに「アクティビティ」を追加し、任意のタイミングで選択する方法の他、指定したアプリを開いた時に自動的に切り替えることもできる。

ではこの機能、どんな使い道があるだろうか。
ちょっと考えてみると、

  • 外国語のアプリを使う時は、ネイティブな音声で読み上げさせたい。
  • 普段はOtoyaに高速読み上げさせているが、Kindleを読む時だけ、Siri女性のゆっくりしたボイスで読みたい。
  • 設定の切り替えが必要な、複数の点字機器を使い分けたい。

といった感じだろうか。
筆者も試しに「メール」だけ普段使わない音声で読み上げるように設定してみたが、これだけでも結構新鮮な気持ちになるものだ。筆者は通常Otoyaの高速音声でiPhoneを操作しているが、Siriの比較的ゆっくりした音声は、メールの内容をじっくり読むのに適しているようにも感じる。
アト、iOS13では、Voiceoverで「絵文字」の読み上げを完全に無効化する設定が加わったのだが、ローターから切り替えることができず、設定を変更するにはいちいちVoiceover設定を開かなければならない。
アクティビティには「絵文字」の読み設定が含まれているので、普段は絵文字読みを無効にしておき、読ませたい時だけ、絵文字読みを有効にしたアクティビティを呼び出す、といった運用もアリだろう。


3.ICカードが読めるようになった。


iOS13では、iPhone 7以降で、SuicaやPasmoなどの交通系ICカードや、Waonなどの電子マネーの情報を読み取れるようになった。これは一般向けの新機能ではあるが、視覚障害ユーザーの生活を確実に便利にしてくれる。

ICカードの読み取りには別途アプリが必要。iOS13のリリース以降、読み取りアプリが続々とリリースされているので、好みのものをインストールして利用しよう。筆者が試してみたのは以下のアプリ。いずれも無料で、Voiceoverで利用できる。


どちらも使い方はほぼ同じで、読み取りボタンを操作したら、ICカードをiPhoneの背面にかざすとiPhoneが軽く振動し、カード残高や利用履歴が表示される。もちろんVoiceoverでその内容を読み上げさせたり、アプリによっては履歴をCSV形式でエクスポートすることも可能だ。
これまでは、視覚障害者がICカードの残高を確認する手段が限られていた。これでいつでもどこでも一人で残高や履歴を確認できる。こりゃ便利。


Voiceoverユーザーにとっての細かい改良点も満載。


他にも、詳細なカスタマイズが可能になった句読点出力や1本指スワイプで操作できるスクロールバー、ロック画面でのパスコード入力フィードバック、「カメラ」アプリのフィードバック、「メモ」アプリの書類スキャンなど、Voiceoverユーザーのための細かい改良点に気づく。個人的に気に入っているのが、アプリのタブなどで「全5個中4個」と読み上げていた項目を「5の4」とシンプルな読み上げになっているあたり。これ、結構、しつこいと思っていたのだ。
ただ一つ気になっているのが、、Voiceoverの新機能であるサウンドと触覚のカスタマイズ。筆者のiPhone 7ではサウンドのオン/オフしか設定できず、振動のフィードバックも感じられない。これは非対応ということでよろしいか。

まだリリースから間もないこともあり、一部のアプリが落ちるなど不安定な部分もあるが、機能やパフォーマンスの面でも、Voiceoverユーザーにとってアップデートする価値は十分にあると感じた。
何より、Voiceoverが忘れられていないことに胸をなでおろした次第。ここ数年、ほぼ放置状態だったからね。この勢いで、macOSのVoiceoverにも大ナタを振るっていただきたいものである。
まあこれを書いている数日後には、Catalinaがリリースされるのだが。
うーん、どうなりますことやら。


2019年9月20日金曜日

「Seeing AI 3.2」リリース。日本語のリアルタイム認識が可能に。


米国Microsoftは現地時間2019年9月19日、視覚に障害を持つユーザーのための画像認識アプリ「Seeing AI」をバージョン3.2へアップデートした。現在App Storeからインストールすることができる。
主な変更点は以下の通り。

  • Siri Shortcutsに対応しました。「what does this say?」などのボイスコマンドを割り当てて、特定のChannelでアプリを起動することができます。
  • iOS 13に対応しました。
  • iOS 13のダークモードをサポートしました。
  • Short Text channelでは、最大で21言語のテキストを認識できるようになりました。ただし認識できる言語の数は、インストールされている音声の数によって異なります。
  • 写真をexplorしてオブジェクトを認識したとき、同じ名前の複数の物体が認識されると、それぞれに番号が付けられます。例えば「Chair 1」など。
  • 加えて、様々な内部的不具合の修正を行いました。

ここで、注目すべき2つの追加機能についてみてみよう。

その1:Siri Shortcuts対応

Siri Shortcutsを使って、音声コマンドからSeeing AIの特定のChannelを直接起動できるようになった。アプリを探して起動してChannelを選んで……といったてまを大幅に軽減できる。もちろん、日本語によるコマンドも登録可能だ。
設定は「Menu」>「Settings」>「Configure Siri Shortcuts」を開き、ショートカットを設定したいChannelをたっぷ、「録音を開始」をタップして音声コマンドを登録する。
これで、SiriからSeiing AIのChannelを即座に起動できるようになる。

その2:Short Textの多言語対応

今回新たにShort Textで認識できる言語の中には、日本語も含まれている。
Seeing AIを起動してShort Text Channelを選択したら、言語選択ボタンをタップして「日本語」を選択する。
これでiPhoneをかざすだけで、日本語のテキストをリアルタイムに認識して読み上げてくれる。
郵便物や商品パッケージなどで試してみたが、一般的なフォントで印刷されたテキストは、おおよその内容を判別できる程度には読み上げてくれた。
どうしても「Envision AI」と比較してしまうが、第一印象としては、レスポンスはSeeing AIが、テキストの認識精度はEnvisionの方が良いイメージを持った(iPhone 7で使用)。この辺りはもう少し時間をかけて比較する必要があるだろう。
とはいえ、日本語をリアルタイムで認識できるようになったことで、Seeing AIの利用シーンは一気に広がりそうだ。特にEnvisionのセールを逃してしまった筆者のようなユーザーにとっては……。

日本語ローカライズは今回もお預け

今回の目玉、Siri ShortcutsとShort textの日本語対応で、さらに実用的になってきたSeeing AI。まだUIは英語のままだし、紙幣やバーコードのChannelもローカライズされていないが、着実に使えるアプリに進化している。

「Seeing AIの進化によって、ライバル?である「Envision AI」の開発にも良い影響が及ぶことを期待したい。

2019年8月9日金曜日

[粗訳] Envision AIチュートリアル(v1.6.7)


画像認識アプリ「Envision AI」の英語版チュートリアルをざっくり翻訳し、ちょっと補足を加えたものです。iPhone版をベースにしています。本家の翻訳が出るまでの繋ぎとしてお使いください。
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概要


Envisionは、あなたの周りにある視覚的な情報をキャプチャして、それを意味のある音声に翻訳し、読み上げるアプリです。Envisionの機能は、「文字の認識」「周りの物の認識」「スキャンして見つける」の3つのタブに収められています。

文字の認識


テキストの認識に関する機能は、すべてこのタブの中にあり、いつでも簡単にアクセスすることができます。このタブには、以下の機能が含まれます。

すぐに読み上げを始める

このボタンをタップすると、Envisionはカメラが捉えている短いテキストをリアルタイムに読み上げます。このボタンをもう一度タップすると、読み上げが停止します。
オランダ語またはその他のラテンベース言語のみを読む場合は、「ヘルプ」タブにある「オフラインでの文字認識」の設定をオンにして、さらに読み取りを高速にすることもできます。
また、Envisionは自動的に言語を検出することもできます。日常生活で複数の言語のテキストに遭遇することが多い場合は、設定にある「言語の自動認識」をオンにすることをお勧めします。1つの言語しか読まないのであれば、オフにしておくとよいでしょう。

文書の読み上げ

このボタンをタップして、この機能を有効にすると、Envisionは、ドキュメントの撮影位置を調節するための音声ガイダンスを提供します。ドキュメントの端が検出されると「全ての端を認識」とアナウンスされ、自動的に写真がキャプチャされます。また、画面中央をタップして手動で撮影することもできます。
テキストが認識されると新しい画面に表示され、以下の操作を実行できます。

  • VoiceOverコマンドを使用してテキスト内をナビゲートします。
  • 「再生」ボタンをタップしてドキュメントを読み上げます。
  • 「文章をエクスポートする」ボタンをタップしてドキュメントを共有します。
  • 「文字のサイズを変更」ボタンをタップしてフォントサイズを調整します。

その他のアクション

このボタンをタップすると、以下のオプションが表示され、複数ページの文書やPDF、画像からテキストを抽出することができます。

複数のページを読む:
このオプションをタップすると、端検出を使用して複数のページを連続してスキャンできます。

PDFをインポート:
アプリ内からPDFをインポートできます。このオプションをタップすると、iOS標準の「ファイル」アプリが開き、そこからPDFを読み込むことができます。

画像をインポート:
このオプションをタップすると、フォトライブラリから認識したい画像を直接選択して読み込むことができます。

拡大鏡

ロービジョンのユーザーであれば、この機能を使用して認識されたテキストを拡大して読むことができます。画面をピンチしてズームするか、左上の「拡大」アイコンをタップして拡大率を指定します。また、テキストをより高いコントラストで読みたい場合は、色を反転するオプションも用意されています。

周りの物の認識


風景や色といった、テキスト以外の認識機能は、このタブの中から見つけることができます。このタブでは、以下の機能が提供されています。

風景を説明する

このボタンをタップして、説明する写真を撮影します。Envisionは、その写真を解析し、最も可能性が高い説明を読み上げます。写真に写っている家族や友人の顔が、すでにEnvisionに学習されていれば、その人物の名前が説明に含まれます。
Envisionでは、風景に応じた説明も提供されます。時計を撮影すると時刻を読み上げますし、窓の写真を撮ると今の天気を教えてくれます。
解析された写真は、「画像を説明付きで保存する」をタップして、カメラロールにVoiceOverで読み上げ可能な状態で保存できます。

色を検出する

このボタンをタップして、色を認識したい物体または衣服にカメラを向けます。Envisionは、検出した色をリアルタイムに読み上げます。このボタンをもう一度タップすると、色の検出が停止します。
「ヘルプ」タブにある「色の認識」設定では、認識できる色の数を「基本(30色)」または「詳細(950色)」から選択できます。

バーコードをスキャンする

このボタンをタップして、認識したい製品にカメラを向けます。バーコードが検出されたことを示す「ピッ」という音がするまでゆっくりと移動もしくは回転させてください。効果音の鳴る間隔を参考にして、バーコードにフォーカスを合わせます。バーコードが正常にスキャンされると、「カチッ」という音が聞こえ、製品名が読み上げられます。また[詳細]をタップして、製品の詳細情報を表示することもできます。製品がデータベースに登録されていない場合は「プロダクトは見つかりませんでした」とアナウンスされます。

スキャンして見つける


このタブでは、リアルタイム認識を使用して、周囲の人や物を見つけることができます。
このタブには、以下の機能が含まれます。

人をみつける

このボタンをタップすると、Envisionは周囲をリアルタイムにスキャンし、フレーム内に人物の顔が検出されると、効果音とともに軽い振動を感じます。Envisionに人物が学習されていれば、フレームに顔が検出されるたびに人物の名前が読み上げられます。カフェや懇親会などで友人を探すときに役立ちます。

ものをみつける

この機能は、オブジェクトの場所を見つけるのに役立ちます。このボタンをタップし、「もののリスト」から探したいオブジェクトの種類を選択します。周囲をリアルタイムにスキャンしましょう。Envisionがフレーム内に選択したオブジェクトを見つけると、効果音が鳴り軽い振動を感じます。
また、頻繁に検索するオブジェクトを「お気に入り」に登録(リスト上で上下スワイプ)したり、一番下にある「何かが足りませんか?」をタップしてオブジェクトの登録をリクエストすることもできます。

Envisionに学習させる

この機能を使えば、人物の顔を学習させ、後に「人を見つける」および「風景を説明する」機能で利用できます。「顔を学習させる」ボタンをタップすると、顔を撮影する画面が開きます。デフォルトではiPhoneの背面カメラが有効になっていますが、自撮りをする場合は画面内のボタンでフロントカメラへ変更できます。この画面では、顔を正しく配置するためのガイドも提供されます。
最低でも5枚の写真を撮影する必要がありますが、より正確に認識できるように、10枚程度の写真を撮影することをお勧めします。また、これらの写真を異なる角度や背景で撮影すると、精度が向上します。
写真を撮影したら「撮影が完了しました」をタップします。ユーザーの名前を入力するよう求められます。名前を入力すると、Envisionは数秒で学習を始め、処理が成功すると「学習が成功しました」とアナウンスされ「スキャンして見つける」タブに戻ります。
「Envisionに学習させる」の画面には、[ライブラリを開く]オプションもあります。学習したすべてのデータがここに表示されます。ここではEnvisionに検出させたくない顔を削除することができます(Voiceoverローターから操作できます)。

他のアプリにある画像を認識させる


写真、Twitter、WhatsAppなどのアプリで見かける画像に含まれるテキストを読んだり認識したりするために、Envisionを使うことができます。この機能を利用するには、そのアプリ内で「共有」ボタンをタップし、アクションシートに表示されるアクションのリストから「Envision it」を選択します。
このオプションを初めて使う時は、共有シートの右下隅にある「その他」オプションをタップして、アクティビティリストから「Envision It」を追加する必要があります。

ヒント


Envisionは常に進化し続けるアプリであり、私たちはその機能と能力を改善し続けています。そのため、自動更新を有効にしておくか、新しい更新があるかどうかを毎週確認してください。ここでは、Envisionの経験を向上させ、機能を最大限に活用するために、ユーザからクラウドソースされたヒントをいくつか紹介します。

Envisionの機能の多くは、まだインターネットに依存しています。より高速な処理を目指していますが、安定したインターネット接続環境でご利用ください。お客様が撮影した画像や情報は一切保存されません。

Envisionに関するフィードバックがあれば、「ヘルプ」タブの「フィードバックを送る」から送信できます。ヘルプや説明が必要な場合は、「通話をリクエストする」からお電話をいただくこともできます。できる限り早くご連絡いたします。

Envisionのテキスト認識機能では、デフォルトでテキストの言語が自動的に検出され、読み上げられます。ただし、1つの言語のテキストしか扱わない場合、Envisionを混乱させないよう、設定から「言語の自動認識」をオフにすることができます。


設定の「スピーチ」では、VoiceOver以外のすべてのスピーチの読み上げ速度と音声を調整することもできます。これらの変更は、VoiceOverの設定には影響しません。

2019年7月28日日曜日

米ウォルマート、薬の情報を音声で提供する「ScriptTalk」。


「お薬は、用法・用量を守って正しくお使いください」
全くもってその通り。誤った服薬は病状を悪化させるだけでなく、場合によっては想像以上の健康被害をもたらす可能性がある。それだけに、視覚障害者にとって薬の管理と服薬のコントロールは重要な問題の一つだし、細心の注意が求められる。
だが多くの場合、病院や薬局で渡される薬の説明は紙に印刷されたものだけ。これでは視覚障害者はお手上げだ。結局、ヘルパーや家族に手伝ってもらい、さまざまな工夫をしなければならない。いざという時、一人で対処できない視覚障害者も少なくないだろう。

米国ウォルマートと同社が展開する会員制スーパーマーケットSam's Clubは、印刷された文字を読むことが困難な顧客を対象に、視覚障害者向けの支援機器を製造・販売するEn-Vision America社と提携し、処方薬の情報を音声で確認できる機を提供している。2012年から一部の店舗で提供を開始しており、これを全米のどの店舗からでもオンデマンドで利用できるようになると言う。

これは「ScriptTalk」と呼ばれる電子タグシステムを用いたサービスで、薬局は処方薬の容器の底面に情報を書き込んだRFIDタグを貼付。顧客は無料で貸し出される、電池駆動の読み取り端末「ScriptTalk Station」を用いることで、電子タグに書き込まれた情報を音声で聞くことができる、という仕組みだ。この情報には薬の名前、服用量や服用タイミング、注意点、薬の補充情報、医師や薬局情報などが含まれる。

ScriptTalk Stationは3つのボタンと音量ツマミと言うシンプルなインターフェイスで、薬のボトルをのせるだけで情報を合成音声で読み上げるため、電子端末の操作に慣れない高齢者でも簡単に操作できるのが特徴だ。インターネット接続も不要でQRコードのように、コードが印刷されている場所を探す必要もない。
これまでも点字ラベルを貼付したり、スマホのアプリを用いて薬の管理を行う方法はあったが、点字が読めなかったり、スマートフォンが使えない視覚障害者も少なくない。専用端末を用いる音声サービスなら、多くの顧客をカバーできるだろう。
このサービスを利用すれば、目が見えなくても自分だけで服薬のコントロールが実現するはずだ。誰の手助けも借りずにできることが増えれば、自立した生活を送る自信にも繋がってくるに違いない。

このサービスは米国全域のウォルマートとSam's Clubの薬局で無料で利用できる。現時点でおよそ1,200の店舗でサービスを提供しており、まだ準備が整っていない店舗でも、利用希望を申し出れば1週間程度で利用できるようになるとのことだ。

電子タグを用いて視覚障害者をサポートする技術としては、「WayAround」や「ものタグ」などが実用化されているが、読み取り端末としてスマートフォンが必要となるため、使えるユーザーを制限してしまうのが難点。
「ScriptTalk」のように、ICTに不慣れなユーザーでも使えるソリューションがあれば、情報の提供だけでなく、ICTや点字のレクチャーなどにも応用できそうと思うのだけど、どうですかね。
電子タグとQRコード、バーコードが読める専用端末、誰か作ってくれないかなあ。いや、きっとどこかもう作ってるはず。ご連絡ください。

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2019年7月26日金曜日

視覚障害者の安全な歩行を支援する未来のデバイス「Sound of Vision」。

Sound of Vision(画像引用元

視覚障害者の単独移動において、まず優先されるべきは「安全」である。
現実世界には、看板や電信柱などの障害物はもちろん、段差や壁、工事中の道路やちょっとした窪み、さらには通行人まで、視覚障害者の安全を脅かすものが無数に存在している。場合によっては転落や交通事故など生命にも関わる自体にもなりかねない。

そこで視覚障害者は一般的に「白杖」を用いることで目の前の危険を探索して歩行する。街中で杖の先を左右に振りながら歩いている視覚障害者の姿を見かけたことがあるはずだ。晴眼者でも、暗い部屋の中では手で安全を確かめながら歩くことがあるだろう。白杖はいわば杖を用いて、一歩先を「手探り」しながら移動しているようなものだ。

ただ白杖でキャッチできる危険には限界がある。
そもそも杖が届く距離の範囲内でしか障害物を見つけられないし、せり出した樹木や看板など上半身に迫る物体は認識できない。歩きスマホしている歩行者など移動している障害物(とあえて言う)も白杖で避けられる可能性はそう高くはない。

そのような問題を解決すべく、テクノロジーによって視覚障害者の安全を確保しようとする様々なデバイスが開発されてきた。例えば「パームソナー」は超音波を用いて障害物や通過できる隙間を見つけることができるし、「Wewalk」のようなスマート白杖も、杖で地面を探索しながら上半身に迫り来る危険を知らせてくれる。
これらのデバイスは従来の白杖では見つけられなかった危険を察知する可能性を高めてくれるが、超音波を用いるため、誤認識や識別できないものも多く、あくまでも白杖の補助的な位置付けにとどまっている。
今の所、白杖と歩行訓練が最強だし、これはおそらく今後も代わりないだろう。だが、テクノロジーによる安全性の向上には、まだ進化の余地があるはずだ。

現在ルーマニア、ブカレストのPOLITEHNICA大学の研究者を中心に、アイスランド、ハンガリー、イタリア、ポーランドの大学や研究機関、当事者団体の共同プロジェクトとして開発されているウェアラブルデバイス「Sound of Vision」は、新たなアプローチで視覚障害者の安全を高めようとしている。
これは従来の超音波の代わりにコンピュータービジョンを用いるのが特徴だ。

Sound of Visionには3Dカメラが搭載されており、毎秒20フレームで周囲の環境をリアルタイムにスキャンする。スキャンされた画像はコンピュータービジョン・アルゴリズムにより解析され、周囲の物体を分析、その結果をもとに生成された立体音響と、ベルトに仕込まれた振動ユニットを通じて視覚障害者へフィードバックされる仕組みだ。
音響や振動の強さは、検知された物体との距離に応じて変化するため、物体の位置関係を把握するヒントになるという。現在、扉や階段、通行人といった主要な物体を認識することが可能なようだ。

さらに、Sound of Visionでは周囲に存在する文字情報を読み取り、音声で読み上げることもできるという。ボタンを押せば、標識や看板に書かれている情報をスキャンし、書かれている場所から擬似的に音声が聞こえてくるイメージだ。お店やレストラン、駅の入り口などを見つける時などで役立つだろう。
こうしてみると、このデバイスは単純に障害物を検知すると言うよりも、視覚障害者の空間認知を拡張してくれる可能性を持っているのかもしれない。

このデバイスはまだプロトタイプの段階で、今後2年ほどの期間をかけデバイスの小型化や屋外での物体認識性能の向上などの改良が施されるという。ユーザーの手に届くまでにはもう少し時間がかかりそうだが、開発者たちはこのデバイスをできるだけ入手しやすい価格で提供したいと考えている。またハードウェア、ソフトウェアと合わせ、このデバイスを安全に使いこなすためのトレーニングプログラムの開発にも力を入れているようだ。デバイスから発せられる3D音響と現実世界の地形を脳内で変換できるようになれば、もしかしたら白杖をズリズリ使わなくても、晴眼者と同じようにスムーズに歩行できる未来がやって来るのかもしれない。そんな妄想を掻き立ててくれるデバイスだ。

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