「HapticTime」はその名の通り、時刻をiPhoneの振動で表現する無料アプリです。
振動で時刻を通知すると聞くと、Apple Watch、watchOS 6以降で利用できる「Tapticタイム」がすぐに思い浮かびます。
Tapticタイムは長い振動と短い振動を組み合わせ数字の回数ぶんだけ繰り返すか、もしくはモールス信号形式で時刻を教えてくれる仕組み。画面が見えない視覚障害者が音声を出せない、もしくは聞き取りにくい場面などで時刻を確認したい時に便利です。
初めはHapticTimeもそのようなアプリなのかな?と思っていたのですが、実際に試してみるとその仕組みは思いがけず斬新なものでした。なんとこのアプリは時刻をたった2回だけの振動で表現するのです。
どうやって?
早速体験してみましょう。
- いきなりですが、大きなアナログ時計をイメージします。円形の文字盤の周囲に数字が書いてあるあれです。
- アプリを起動しiPhoneを縦方向、画面を上にし水平に持ちます。
- イメージした時計の真ん中にiPhoneを突っ込んで画面が12時を照らしていると想像します。
- iPhoneを左右方向に回転させます。iPhoneの位置があまり動かないように手首をひねる感じです。画面がイメージした時計の数字を順番に照らしていく様子を想像しましょう。あ、むりして手首を痛めないよう注意してください。
- 回転していく途中で強い振動(コツコツッ)もしくは弱い振動(コツッ)を感じます。これがイメージした時計の短針と長針を表現しています。
いま何時何分か、わかりましたか?
なお画面のダイレクトタッチと読み上げられる領域の少し下に時刻が表示されており、タップするとVoiceoverが読み上げます。また今回は試していませんがアラーム機能も搭載されているようです。
さて正直なところ実用性があるか?と問われるとどうでしょう、あまり無いかもしれません。Tapticタイムのように音を出せない場所で時刻を確認するという用途を考えてみると、ロック画面やバックグラウンドで動作しないHapticTimeは不向きです。
あと短針と長針が近いと判別が難しいという弱点もありますし、そもそもざっくりとしか時刻がわかりません。
ただ実用性という意味では今ひとつですが、仮想空間にあるアナログ時計(をイメージして)時刻を知るという発想には魅かれるものがあります。
イメージが膨らむと実際に時計の盤面を見ている気分になり、時間が進むと針の位置が移動していることがしっかり感じられて面白いのです。このアナログな感じ、Tapticタイムのような仕組みでは味わえない感覚ではないでしょうか。意味もなく何度も時刻を確認してしまいました。
筆者は針に触れて時刻を確認するタイプの盲人用時計には触ったことはありませんが、それに似たような感じかもと想像します。バーチャルではありますが「アナログ時計で時間を確かめる」なんて感覚、もしかしたら見えなくなって以来かもしれません。
「HapticTime」は意外?にもジェスチャーと触覚(振動)の組み合わせによるユーザーインタラクションの可能性を感じさせてくれるアプリでした。シンプルな振動だけでもアイデア次第で、もっと様々な体験が可能になるのかもしれませんね。
ちなみにこのアプリを開発したLorenzo Giannantonio氏は他にも興味深い視覚障害者向けアプリをリリースしています。いずれもiPhoneのカメラを使い根の前の環境や物体を識別して音声や振動でフィードバックするというものです。ただこれらのアプリ、背面に二つ以上のカメラが搭載されたiPhoneでなければうまく動作しないようで、筆者のiPhone 7では検証することができませんでした。あしからず。
JoWalk 床面の変化を検出し通知するアプリ。
Steps Detector 障害物や段差などを検出し通知するアプリ。
VibView 物体の色、輪郭、距離を検出し通知するアプリ。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。