壁を「聞く」ドローン(画像引用元)
※本エントリーは「Math experts use drones to show it’s possible to ‘see’ perfectly using sou 」をざっくり翻訳したものです。
by David Edwards
パデュー大学とミュンヘン工科大学の数学教授は、「音」を利用したこれまでにない実用可能なソリューションを実証した。この発見は自動運転車のコントロール、スマートフォンによる視覚障害者の誘導、消防士の視界が遮られている時に行動を支援するドローンなどへの潜在的な応用への可能性を秘めている。
パデュー大学の数学准教授Mireille "Mimi"Boutin氏と、ミュンヘン工科大学のアルゴリズム代数学教授Gregor Kemper氏は、コウモリがエコーロケーションを用いて進む方向を判断するように、4つのマイクと拡声器を装備したドローンが「音の反射」を聞くことで部屋の壁の構成を正確に再構築できることを発見した。
彼らの研究は音を無人システムのナビゲーションに使用することの実現可能性を実証している。自動車、ドローン、水中車両、さらにはスマートフォンのようなポータブルデバイスに至るまで、多くの可能性を秘めたアプリケーションにつながるという点で意義深いものだ。
Kemper氏は次のように述べる。
「これは音を使ったナビゲーション機能をドローンなどの無人機に持たせるというアイデアです。自動車にはすでにカメラが搭載されていますが、これに新しく音響センサーを加えることで視覚情報を強化し、現実をよりよく把握することができるかもしれません。」
Boutin氏とKemper氏による研究は「SIAM Journal on Applied Algebra and Geometry」誌の最新号に掲載されている。
ドローンの拡声器から発せられた音は壁に当たり、反響した音を4つのマイクで受信する。音を発信した瞬間と壁に当たって返ってきた音が聞こえた瞬間の時間差を記録することで壁までの距離が計算できる。
「エコーソーティング」と呼ばれる新しい手法は、計算された距離がどの壁に対応しているかを正確に判別することで、反響音が聞こえてきた壁が本当にそこにあるかどうかを確認し、「ゴーストウォール」と呼ばれる現象を取り除くことができる。
チームはこの問題を解決することで、アプリケーションにエコーロケーションをもたらす可能性の扉を開いた。
視覚障害者がガイドとして持ち歩くスマートフォン。あるいは自動運転車などのカメラを搭載した自動車において太陽の眩しさや吹雪など、カメラの性能が発揮できない場合にこのようなセンサーが役に立つ。またBoutin氏は暗闇の中で作業する消防士を支援するドローンも考案している。
Boutin氏は多くのセンサーから情報を得ることで、単一情報だけに頼る場合と比較し多くの条件で正確に物体を検出できる可能性が向上すると説明する。
「私たちのアルゴリズムは、音が既存のアプローチに新しいレベルの信頼性を追加することを示しています。エンジニアは彼らの仕事に音によるナビゲーションシステムを構築することを検討し、追求すべきです。」
Boutin氏とKemper氏が研究する数学の分野は、1800年代にさかのぼる可換代数の方法に基づいている。
二人は提案された音響センシングソリューションの信頼性を証明するにあたり、ゴーストウォールの問題に取り組む必要があった。
Boutin氏は次のように述べた。
「私たちはビッグデータとシミュレーションの世界に生きています。コンピュータに答えを出すための作業をさせるのは簡単です。しかしコンピュータがはじき出した答えが信頼できるかどうかを確かめるには、問題を数値的に観察しそれが信頼できることを証明するしか方法はありません。これは数学でしかできないことなのです。」
研究者たちの次のステップは、ドローンの動きが制限されている場合や、反射音が連続して受診された時などのイレギュラーなシナリオの検討になるだろう。
このアルゴリズムは数学者やエンジニアが利用できるよう、公開されている。
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