「Read My World」は、新しい発想に基づいたAndroid用の単語学習アプリ。主なターゲットは識字率の低い地域の子供達や、現在新しい言語を習得しようとしている人々だ。
このアプリには無数に存在する語学レッスンアプリのように文法や会話を学習する機能は搭載されていない。その代わりにAI技術を用い、現実世界にあるさまざまな物体からその名前を抽出し、その単語を学習することができるというのが最大の特徴だ。語学レッスンの補助ツールとして、また経済的に語学教育を受けられない人々が安価に単語を習得する目的を想定している。
Microsoft Garageに所属する8名のインターンによって開発されたこのアプリは、Microsoft Cognitive ServicesとコンピュータビジョンAPIを組み合わせ、スマートフォンのカメラで撮影した物体を認識しその名称を画面上に表示する。学習者はその単語のスペルを確認、発音させることでボキャブラリーを獲得できるという仕組み。
また物体認識に加え、撮影したテキストを文字認識させ、翻訳することも可能だ。
認識させた単語は画像とセットでアプリ内の学習用辞書に登録。その辞書をもとに3種類用意されている単語ゲームで、覚えた単語の復習が可能とのことだ。
現在カメラを通じて認識できる単語は日常的に扱うアイテムを中心に約1,500語。これは一般的な互角学習で獲得できる単語数に近い数字と開発者は語っている。
どんなに難しい単語をたくさん覚えても、今目の前にある物の名前がわからなければ不便だろう。その意味でもAIによる物体認識を応用したこのアプリは画期的に思える。「今目の前にあるもの」は「今覚えておくべきもの」である確率は高いからだ。画像認識技術を言語学習や翻訳に応用するというアイデアは今後のトレンドとなるかもしれない。
Read My Worldは現在テスト段階で一般公開はされていない。非政府組織や非営利団体で、識字率の低い地域において活動している教育関係者などであればアンケートに回答後、テストに参加することができる。
視覚障害者としての観点から付け加えると、「Seeing AI」が使えないAndroidユーザーにとってはMicrosoftの画像認識技術に触れられるのは期待できるかもしれない。ちゃんとTalkbackに対応していてくれれば、だけどね。
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