BOSE Framesを身につけたAiraのディレクターGreg Stilson氏(画像引用元)
音響ききメーカー大手・BOSE社が開発した「BOSE Frames」はサングラスと小型スピーカーが一体になったウェアラブルなサウンドデバイスだ。スマートフォンとBluetoothで接続し、音楽や通話を楽しむことができる。耳を塞がないリスニングスタイルも特徴的だ。
すでに米国では2019年1月から199.95ドルで販売されている。
しかしBOSE Framesは単なる「音の鳴るサングラス」ではない。
このデバイス最大の売りは「BOSE AR」と呼ばれる「音響を利用するAR(拡張現実)」プラットホームである。スマートフォンにBOSE ConnectアプリをインストールしてBOSE Framesをアップデートすることで、ヘルスケアやナビゲーション、ゲームといった音響ARを駆使した様々なサービスが利用できる「スマートグラス」に返信する。他のスマートグラスと異なるのは、映像を一切使わないという点だ。
しかし1月の発売時点ではまだBOSE ARは公開されておらず、しばらくは音楽をきいたり、通話や音声アシスタント機能しか使うことができなかった。
だが2019年3月10日、米国オースティンで開催されたSXSW 2019で、いよいよBOSE ARがお披露目された。そこでは数々のBOSE AR対応アプリが公開されたが、その中で筆者的に注目したのが「AIRA」との提携である。
「そうきたか」と感じたと同時に、ある意味納得の発表だ。
AIRAは北米を始め世界各地で視覚障害者を遠隔サポートするサービスを提供している。スマートフォンや専用のスマートグラスから送信された映像を元に、接続されたAIRAのエージェントが視覚障害者を音声でサポートする仕組みだ。個人契約の有料プランのほか、AIRAと提携した空港や商業施設などで無料で利用でき、そのエリアは拡大中である。
そのAIRAがBOSEと業務提携し、BOSE ARを通してサービスを提供することが発表された。AIRAのスマートグラスの代わりにBOSE Framesが使えるように鳴るというわけだ。
BOSE Framesにはカメラが搭載されていないため、スマホをくびから下げるなどどこかへ固定する必要はありそうだが、耳を塞がない構造上、エージェントからの音声を聞きながらでも安全に移動できるだろう。またBOSE Framesに搭載されている9軸指向性IMUセンサーを活用することで、ユーザーの位置や向いている方向を正確に把握できるように鳴るという。
AIRAの無料スポットではスマートフォン単体でサービスを利用しなければならなかったため、BOSE Framesが使えれば操作性は大幅に向上するし、AIRAのスマートグラスは価格やデザイン的に手が出なかったユーザーにも朗報かもしれない。
「BOSE Frames」が発表されたとき「スマートグラス的な製品でありながら映像を使わない」という野心的な特徴に、視覚障害を持つ筆者は「これぞ自分のためのデバイスだ」と思ったものだ。そしてその直感がこうして現実のものとなった事に感慨すら覚えてしまう。まあAIRAはまだ日本では利用できないんだけどね。
ただこのようなサービスが障害者専用の機器ではなく、メジャーな一般向けのデバイスで展開されたという点は色々な意味で注目に値するだろう。BOSE Framesが視覚障害者を支援することが実証されれば、BOSE ARを介して多種多様な支援アプリが登場するかもしれない。
日本上陸は一切未定だが、今後に期待が高まるニュースだ。
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