「Everyone Can Code」は、アップルが推進するコード学習プログラムだ。
iPad用アプリ「Swift Playgrounds」を用いて同社が開発したプログラミング言語「Swift」を、誰もが(特に学生や子供たちが)手軽に学べるよう、さまざまなカリキュラムが用意されている。
そして2018年5月 17日、「Global Accessibility Awareness Day(GAAD)にあわせ、このプログラムを視聴覚障害を持つ学生にも利用できるようにした。
これはiOSに標準搭載されているVoiceoverなどの視聴覚サポート機能をベースに、教育機関やエンジニア、アクセシビリティ専門家などとの緊密なコラボレーションによって実現した。米国ではすでにいくつかの学校が導入を始めている。
2019年1月24日、英国王立盲人協会(RNIB)は、アップルとパートナーシップを締結。「Everyone Can Code」を用いて視覚に障害を持つ英国の学生が、スムーズにプログラミングを学習できるよう、アクセシブルな環境を提供する取り組みを発表した。
RNIBはアップルと協力し、視覚に障害を持つ学生のために触図や点字、高コントラストの印刷教材などを制作するとともに、英国中の学校にアクセシブルなプログラミング学習のためのリソースを提供する。
英国では1995年に「IT」としてICT科目が義務教育課され、2014年のカリキュラム改定で制定された「Computing」で義務教育期間でのプログラミング学習が必修化された。だが障害をもつ学生にとって、現状のプログラミング学習環境は必ずしもアクセシブルではないという。
今回の提携はそのような状況を改善させようというRNIBと、アップルの「Everyone Can Code」戦略のマッチングによる成果といえる。
この発表と期を同じくして、ロンドンで開催された教育技術の展示会BETT 2019では、アップルのアクセシビリティ統轄ディレクターSarah Herrlinger氏によるセッションが行われており、アップルが教育におけるアクセシビリティに注目していることがうかがえる。それはMicrosoftも同じようだ。
現実として職業の選択肢が限られる視覚障害者にとり、プログラミングは大きな可能性を与えてくれる技術だ。障害を持つ学生にとって、プログラミング学習が果たす役割は決して小さくないだろう。
日本でも、2020年には小学校でのプログラミング学習が必修化される。アクセシブルな学習環境は、今後一層重要視されてくるに違いない。
関連リンク:
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。