2019年1月20日日曜日

AppleのAirPodsが盗聴器に!?「Live Listen」にまつわる騒動。


完全左右独立型ワイヤレスイヤホン「AirPods」は、近年Appleがリリースしたものの中でも、もっとも成功した製品の一つだろう。しかし海外では、この大人気デバイスにまつわるちょっとした騒動が怒っている。

iOS12で追加された新機能の中に「Live Listen(ライブリスニング)」がある。これはiPhone本体のマイクから拾った音をAirPodsでリアルタイムで聴くことができる聴覚サポート機能だ。
聴こえにくいユーザーが補聴器の代わりとして、話者の声を増幅したりテレビの音声を聞きやすくするといった用途が想定されている。Live Listenの音声はiPhoneの音量ボタンで簡単に調節可能だ。
またLive Listenを有効にしてAirPodsを交換すれば、短距離トランシーバーのように動作するのでライブやイベント会場など騒音が激しい場所で会話するときにも使える。まあAirPodsを交換するには両者の関係性には注意したいところだが。
Live Listenの設定・使用方法は以下のサポートページで解説されている。


iPhoneとAirPodsで聴覚を拡張するLive Listenだが、海外ではこの機能についてちょっとした議論が噴出しているという。つまり「盗聴のリスクについてだ。
英Independentの記事は、Live Listenを使った盗聴の可能性について、SNSからさまざまな意見が寄せられていることを伝えている。


確かに、AirPodsの接続が維持される範囲であれば、聴いている本人がその場にいなくても、iPhoneがある場所の音声が聴けてしまうため、原理的には盗み聞き可能だ。Live Listenが有効担っている間は、iPhoneの画面上端に赤い帯が表示されるが、この機能の存在を知らなければ気がつかない可能性は高い。

ただよくよく考えてみると、いまどきiPhoneを置いたまま部屋を離れるのは不自然な気もしなくもない。それに盗聴するのなら(してはいけないが)、ボイスレコーダーを使うなどもっと効率的な方法がある。Live Listenは記録も残せないではないか。
どちらかといえば悪戯半分でこの機能を使い、結局バレて友人や家族から不信感を持たれるリスクの方が高いようにも思える。
この議論についてAppleからは特に反応は出ていないようだが、先ほどのサポートページには以下のような記述がある。

>ライブリスニングは、騒がしい場所で話を聞き取る場合に便利です。
>部屋の向こう側で話している人の声を聞き取ることもできます。

ちゃんとこういう使い方について認識はしているようだ。ただこれは「盗聴」ではなく、会話中にちょっと離席しても、「合意のもとで」音声を聞ける、という意味だろう。

いかなる技術も、結局はユーザーがそれをどのように使うかで、毒にも薬にもなる。Live Listenも、聴こえにくいユーザーを助けコミュニケーションを円滑にすることもできる反面、聞かれたくない会話を盗み聞きされてしまう機能にもなってしまう。

Live ListenはAirPodsとiPhoneを持っていれば誰でも使えるため、影響は小さくない。問題はこの機能がほとんど知られていないということだろう。存在が広く知られれば「iPhoneを置きっ放しにしたまま黙って離席」みたいな明らかに怪しい行動は、やりにくくなるはずだ。

Appleには、この機能のポジティブな利用法をアピールしつつ、悪用されるリスクをしゅうちしていただきたいものだ。

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