2021年5月6日木曜日

[ゲーム] SIEによる最近の特許から見るゲームアクセシビリティ。

慢性的な品薄が続いているものの、PlayStation 5の評判も上々のSony Interactive Entertainment(SIE)。

PS5のアクセシビリティについても、4月にリリースされたシステムアップデートで、PS4から引き継がれなかったシステムレベルの画面ズームに対応するなど着実に改善が進められています。

またSIEは、障害者の雇用を通じ企業の平等と包摂性を推進するDisability:INが主催するキャンペーン「Are you IN?」への参加を表明することで、エンターテイメント企業としてインクルージョンとアクセシビリティを重視するという同社の姿勢をアピールしています。

さて他のテクノロジー企業と同様、SIEも日々新しい技術開発に取り組んでおり、その成果は特許という形で明らかにされています。その中には、今後ゲームのアクセシビリティに関わってくるかもしれない技術も含まれています(一部、筆者の拡大解釈含む)。そこで最近報道されたSIEの特許の中から、それっぽいものをいくつかピックアップして紹介しましょう。


Sony May Be Working on PlayStation Voice Controller | Game Rant

ジェスチャや音声コマンドを含む、PS5を制御する新しいコントローラーの特許です。これは手の動きが制限されているユーザーにとってゲームをプレイする手段の選択肢を増やす可能性があります。

PS5のDualSenseコントローラーはアクセシビリティ的にはあまり評判がよろしくないですからね。音声制御でどのようにゲームをコントロールできるのか、考えるのも面白そうです。


Sony AI Patent Could Make Games More Accessible | Game Rant

AIを使ってゲーム内コンテンツを解析し、アクセシビリティを向上させる技術の特許です。例えばゲーム内に表示されているテキストを解析し音声で読み上げたり、オーディオを認識しキャプションを表示する、といったようにシステムレベルでゲーム内の要素を解析し代替情報を提供することでアクセシビリティを向上させる技術です。

大まかな仕組みとしてはWebにおけるAccessibility overlayや以前記事にしたMars Visionと似たようなものと考えられます。この特許は主にアクセシビリティが低い既存のゲームをプレイアブルにする手段として考案されているようです。


Sony Patents AI That Plays Games for You - ExtremeTech

この特許はAIがユーザーのゲームプレイを学習、プロファイルを作成し、必要な時にユーザーの代わりにゲームをコントロールするという技術です。食事や突然の電話などでゲームから離れなければならなくなった時、AIにプレイを代わってもらったり、怪我などで一時的な障害を持った場合などに有効な技術でしょう。

障害のあるゲーマーにとっても、反復作業の負担を軽減したり突破できないシーンをAIが手助けするなど、アクセシビリティを向上させる技術として活用できるかもしれません。


Sony Patent Could Let PlayStation Games Determine What Difficulty Players Should Be On (gamerant.com)

これはプレイヤーのゲーム操作を他のプレイヤーと比較することでスキルをランク付けし、レベルに応じてゲームの難易度をリアルタイムに自動調節するという特許です。このシステムを用いれば、例えば手が素早く動かせないプレイヤーに合わせてQTEがスキップされたり、ゲームスピードが調節されるようになるなど障害のあるプレイヤーのストレスが軽減されるようになるのかもしれません。

ゲームの難易度は特に運動機能に障害のあるゲーマーにとって大きな問題であり、そのようなプレイヤーのための難易度オプションの是非が、特にコアゲーマーの間で度々議論されてきました。この特許のような難易度調整システムが障害のあるプレイヤーを考慮するよう設計されれば、そのような議論からは解放されるのかもしれません。


PlayStation’s ‘Uber-style’ help patent reveals potential plan to mark expert players | VGC (videogameschronicle.com)

これはゲーム中、進行につまずいたプレイヤーが、そのゲームに熟練した認定プレイヤーから直接サポートが受けられるという、人力ヘルプシステムの特許です。スキルの高いプレイヤーは、スペシャリストとして登録することで専用コンテンツなどにアクセスできる代わりに、マッチングされたビギナープレイヤーからのヘルプに応答する、という仕組みです。

SIEはこれを「Uber的」マッチングシステムと説明していますが、例えば視覚に障害のあるプレイヤーが見えにくい要素の説明を求めるといった、いわば「Be My Eyes」的な使い方も考えられるかもしれません。さらにXboxのCo-pilot的な仕組みが加われば、操作を手伝ってもらいながらゲームを進めるといった用途も考えられます。


もちろんこれらの特許が実際に製品に組み込まれるとは限りません、というか日の目を見ない可能性の方が高いと思われますが、アクセシビリティ向上への新しいアプローチのヒントとして、興味をそそられる技術であることは間違いないでしょう。特にAIの活用が鍵となるのではないかと感じます。

もちろんキャプションやボタンマッピング、ナレーションといった従来からの定番オプションは重要ですが、アクセシビリティを向上させる技術はまだまだ違ったベクトルから考える余地があるのではと思った次第です。


そうそう、2020年に最もアクセシブルなゲームとして評価を得た「The Last Of Us Part II」の前作である「The Last Of Us」がリメイクされPS5でリリースされるのではないか、という噂が囁かれています。

ゲーム本編はもとより60以上のアクセシビリティオプションを備えた「Part II」をいかにして超えてくるのか、ゲームアクセシビリティ界隈からも期待を込めた様々な意見が交わされています。本当に出るのかな?注目です。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

米国マクドナルド、同社のキオスク端末に「JAWS Kiosk]を導入。視覚に障害があっても音声を用いた操作で注文から支払いまでを単独で実行可能に。

画像引用元: TPGi 米国マクドナルドは2021年9月9日、、支援技術ディベロッパーであるVispero社とと提携し、同社が運営する直営店およびフランチャイズ店舗に設置されているキオスク端末に対し「 JAWS Kiosk 」テクノロジーを採用したことを発表しました。 なおここで...