2020年11月23日月曜日

2020年末に開催、ゲームアクセシビリティに関する2つの年次イベント。

PS4最後の対策とも言われる「The Last of Us Part II」の発売やUbisoftのアクセシビリティ に対する積極的な動き、大幅なアクセシビリティ向上が見られたPlayStation 5やXbox Series Xの登場など、2020年はビデオゲームのアクセシビリティにおいて大きな変化が見られた一年だった。

それを象徴するかのように、年末に向け各地で開催されるゲーム関連イベントにおいてもアクセシビリティが扱われるようになってきている。


アクセシビリティ専門の年次イベント「VGAA」初開催。


2020年11月15日、障害を持つゲーマーを支援する米国の非営利団体AbleGamers charityは、今年リリースされたビデオゲームの中からアクセシビリティに優れた作品を表彰するオンラインイベント「Video Game Accessibility Awards(VGAA)」を開催した。

このイベントはAbleGamersのYouTubeチャンネルおよびTwitchでライブ配信され、イベントの主催者であるAbleGamers代表のSteven Spohn氏をはじめ、ゲームアクセシビリティ擁護者や有名ストリーマーらが参加、障害を持つゲーマーからの投票により、アクセシビリティを念頭に開発されている作品が10の部門に渡って表彰された。


この賞のユニークなところは、部門名がそのままゲームアクセシビリティにおける重要な要素を表現している点にある。受賞リストを眺めることで、ゲームをアクセシブルにするためにはどのような機能を含めなければならないのか、その一端を垣間見ることができる。つまりこの賞そのものが業界に対するメッセージとなっていると言えるだろう。

各部門が示す意味と受賞作品は以下の通り。


  • Same Controls But Different あらゆる方法でゲームを操作できるようにすること。受賞作品:Assassin’s Creed Valhalla

  • Second Channel より多くの手段でゲームからの情報を提供すること。受賞作品:The Last of Us Part II

  • Improved Precision プレイヤーが思い通りの精度でゲームを操作し体験できるようにすること。受賞作品:Apex Legends

  • Clear Text ゲーム内に表示されるテキストを読みやすくカスタマイズできること。受賞作品:The Outer Worlds

  • Do More With Less 複雑なプロセスを簡略化しプレイヤーの負担を軽減するオプションを提供すること。受賞作品:Ghost of Tsushima

  • Play Alongside ゲームを進められなくなった場合に他のプレイヤーがサポートできること。受賞作品:Borderlands 3

  • Bypass ゲーム上の障壁をスキップする機能を提供すること。受賞作品:Fuser

  • Training Ground ゲームに慣れるための充実した練習モードを提供すること。受賞作品:Madden NFL 2020

  • House Rules スキルや好みにあったプレイヤーをマッチングできること。受賞作品:Among Us

  • Helping Hand ゲーム内で充実したヘルプ情報を提供すること。受賞作品:The Last of Us Part II


またこの配信においてTwitchからAblegamersに対し100万ドルが寄付されたことも発表されている。AblegamersはAPXプログラムを通じてゲーム開発者にアクセシビリティの意識を向上させる活動も行っており、来年以降もその動きに期待が集まっている。


参考:2020 Video Game Accessibility Awards Announced - GameSpot


The Game Awards、アクセシビリティ部門を含めたノミネート作品を発表。


今年初めてアクセシビリティ部門が設立されたことでも話題となっているThe Game Awards。ゲーム関連の年次イベントの中でも世界的に注目度の高いものであり、今年は12月10日にオンラインで開催されることが発表されている。そして11月18日、全ての部門におけるノミネート作品が発表された

アクセシビリティ部門であるInnovation in Accessibilityにノミネートされたのは以下の5作品(アルファベット順)。作品名をクリックすると各作品のアクセシビリティ情報を参照できる。



やはり本命は10部門にノミネートされた「The Last of Us Part II」だろうか。Ubisoftの作品がInnovation in Accessibilityに複数ノミネートされている点も興味深い。Ghost of TsushimaやMarvel's Avengersはアクセシビリティ的にも注目度が高かったがノミネートからは外れてしまったようだ。そう考えるとゲームのアクセシビリティは少しずつ底上げされてきているのかもしれない。


現在一般からの投票を受け付け中。受賞作品は12月10日開催のイベントで発表される。

どの作品が受賞するのかはもちろんだが、ビッグイベントだけにアクセシビリティがいかに扱われ、どのようなメッセージが発信されるのかにも注目したい。


参考:The Game Awards 2020: Why THESE Games Were Nominated for Innovation in Accessibility


2020年11月22日日曜日

Google、視覚障害者の単独マラソンの実現を目指す「Project Guideline」発表。

米国で盲導犬の育成とサポートを行う非営利団体Guiding Eyes for the BlindのCEOであるThomas Panek氏は全盲にして熱心なマラソンランナーだ。

彼はこれまで伴走者の協力を得てニューヨークやボストンマラソンに参戦してきたが、伴走者に大きく感謝しつつも視覚障害者がより独立してランニングを楽しむ方法がないか模索してきた。Guiding Eyesでは視覚障害者とともに走ってくれる盲導犬の育成を行っているが、その恩恵を受けられるのはごく一部のユーザーに限られている。


Project Guideline」は2019年に開催されたGoogleのハッカソンにおけるPanek氏の提案から始まった。Googleのエンジニアはこのアイデアに応え、床面に貼られたテープをスマートフォンで追跡するProject Guidelineの原型となるデモを製作、GoogleとPanek氏はこれを元に、より洗練されたプロトタイプを開発した。


ランナーが装着したウエストベルトにはProject Guidelineアプリが動作するAndroidスマートフォンが固定され、前方の風景を撮影。アプリは路面のラインを画像認識AIで判別し、位置情報と組み合わせランナーが現在どこを走っているのかを判断する。

そしてランナーがコースから外れ始めるとアプリは骨伝導ヘッドセットを通じ音声で正しいルートを案内する。例えばルートから左方向にずれると左から警告音が鳴りはじめ、外れた距離が大きくなるほど音も大きくなる。もちろんみぎにずれた時も同様だ。つまり警告音が聞こえない状態をキープすることでルートから大きく外れることなく走ることができるという仕組みだ。

これらの処理は全てスマートフォン内部で処理され、インターネットへの接続は必要ない。またコース上に検出できるラインが引かれてさえいれば、あとは市販のスマートフォンと骨伝導ヘッドセットさえあれば利用できるという導入ハードルのひくさも特徴だ。


プロジェクトは屋内および屋外でのテストランと調整を経て、この秋に開催されたバーチャルマラソン大会Virtual NYRR Run for Thanks 5Kでセントラルパークを無事走り切ることができた。アプリはまだプロトタイプではあるが、彼らは将来的により多くの団体と協力し、実際に開催されるマラソンのコースにProject Guidelineで認識できるラインを導入したいと考えている。


なお視覚障害者のランニング支援技術としては他にもアイオワ大学の研究やナビゲーションアプリRunGo、振動リストバンドWaybandなどがある。

もちろん安全に走るためにはイレギュラーな障害物や路面のちょっとした凹凸の回避、他のランナーとの接触など解決しなければならない課題は多いだろう。だが伴走者も盲導犬も白杖も使わず自由に思い切り走ることができるのであれば、それは視覚障害者にこれまで感じることができなかった自由な感覚を与え大きな喜びにつながるはずだし、視覚障害者のマラソン参戦のハードルを大きく下げることにもなるだろう。

これ、普通に視覚障害者の誘導にも応用できそうだし、今後の展開に期待したい。


参考:Google is testing an AI system to help vision-impaired people run races | Engadget

参考:How Project Guideline gave me the freedom to run solo


2020年11月16日月曜日

A11Y Topics #016。RNIBのクリスマス、Be My Eyesとオンライン薬局が提携など。

  • ※乱文・誤変換ご容赦です。

    ※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。


    英国RNIB、2020年のクリスマスキャンペーン。


    先日、二度目となる12月2日までのロックダウンが宣言された英国。前回の教訓からガイド同行に関するガイドラインが提示されるなど視覚障害者へ配慮する動きが見られた一方、情報アクセシビリティの欠如などまだ問題もあるようだ。

    そんな深刻な状況の中でも、やっぱり人々が待ち焦がれているのがクリスマス。

    今年もthe Royal National Institute of Blind People (RNIB)は、サンタクロースから見えない・見えにくい子供たちへ届けられるクリスマスカードのサービスをアナウンスしている。12月1日までに申し込めば、英国にクラス子供宛に点字、拡大文字、オーディオ形式のクリスマスカードが届けられる。こういうの、日本でもあれば良いのにね。

    加えてRNIBは、クリスマスに向け動画サイトなどに流れる広告にオーディオ解説を含めるキャンペーン#SeeChristmasDifferentlyを開始した。RNIBはコカコーラディズニーなどクリスマス広告動画を公開している企業に対し、映像の内容を音声で説明するバージョンを制作するよう呼びかけている。高級こうりグループであるWaitrose & John Lewisはこれに王子、音声解説付きの動画を公開した。

    各社のクリスマス動画を見てみると、セリフやナレーションが少なく視覚障害者には内容がさっぱりわからないものが多いように思える。

    クリスマスという幸福な季節に、疎外感を味わう人々が一人でも減りますように。


    米国オンライン薬局のAccessible PharmacyがBe My Eyesと提携。

    Accessible Pharmacy joins Be My Eyes


    Accessible Pharmacyは米国の視覚障害者に対し、薬品や処方薬、サプリメント、医療機器といったヘルスケア製品の宅配サービスを提供するオンライン薬局。

    Covid-19感染拡大により視覚障害者の医療に対するアクセスが妨げられている状況を受け、同社はスマートフォンアプリを用いて視覚障害者を支援するBe My Eyesと提携。「スペシャライズドヘルプ」を通じた専門家によるサポートの提供を発表した。

    米国在住のBe My EyesユーザーはAccessible Pharmacy登録の有無にかかわらずアプリのビデオ通話を通じて医薬品やサプリメントなどに関する相談ができるほか、Covid-19の個人検査に関する情報も受けることができる。

    これまでも医薬品のラベルを読んでもらうといったタスクは一般ボランティアを通じて行われてきたが、こと健康に関わるものだけにサポートを受ける側もサポートする側も多少なりのストレスを感じていた。資格を持った薬剤師からアドバイスが受けられる今回のパートナーシップは、Covid-19の影響で対面サポートが制限されている多くの視覚障害者の生活の質を大きく向上させるだろう。


    新プロセッサ「M1」搭載Mac発表と、macOS XI Big Surリリース。


    2020年11月10日、Appleは「One more things」イベントにおいて自社開発したARMベースのCPU「M1」を搭載したMacBook Pro、MacBook Air、そしてMac miniを発表した。詳細は他メディアの報道にお任せするとして、ハードウェアのアクセシビリティ的にはMacBook Airのファンクションキーの一部がSiriや音声入力などをワンプッシュで呼び出せるキーに置き換わる変更が施されているようだ。

    そしてユーザーインターフェイスが一新された「macOS XI Big Sur」も、11月13日にリリースされた。主要な変更点はこちらなど報道を参照して頂くとして(またか)、視覚アクセシビリティに関する情報については早速Applevisからレポート記事が公開されている。またBig Sur対応のApple公式Voiceoverユーザーガイドも既に公開中だ。

    筆者のMacBook Pro(Mid 2012)は残念ながらアップデート対象外だった。

    情報を総合するとVoiceover認識や幾つかの新しいショートカットキー、点字サポートの強化といった機能は加わっているものの、基本部分はCatalinaから変わっていないように見える。

    どうなのかな。やっぱり日本語の詳細読みはしないのかな。ipadOSはするのにね。

    今度お店で触ってこようっと。

    あとiPadアプリがどの程度動くのかも気になるところ。Seeing AIやボイスオブデイジー、Voice Dream Readerあたりが動作し、Macのファイルシステムにスムーズにアクセスできるのであれば相当魅力的ではある。


    その他、気になったトピックスとか色々。


    ・ガジェット

    New device puts music in your head ― no headphones required

    イスラエルのスタートアップNoveto Systemsが開発した「sound beaming」は、ヘッドセットやイヤホンを装着することなく音を直接耳に伝送することができる技術。デバイスに搭載されている3Dセンサーがユーザーの耳の位置を追従し、超音波を用いて音を送信する仕組み。耳を塞がないため環境音を聞きながら音楽やPCのサウンドを聴くことができるという。スクリーンリーダーユーザーには確実に便利だし応用次第で様々な用途が考えられそうだ。


    Sensaura Empowers Extrasensory Navigation Beyond Vision

    Sensaura」は英国に拠点を置くデザイナーSOPHIE HORROCKS氏が設計した視覚障害者向けウェアラブルデバイス。カメラとレーダーを用い周囲の物体を検知し、スマートフォンを通じてその情報を立体音響としてフィードバックする仕組み。ハードウェアやサウンドのデザインにもこだわっており、身に付けたくなるファッショナブルな製品を目指しているようだ。みためって大事。


    Emporia sells products to blind, partially sighted in UK through RNIB - Telecompaper

    英国でシニア向け携帯電話を販売するEmporia TelecomはRNIBと提携し、主にロービジョン向けにチューニングされたフューチャーフォンを発売すると発表した。70ポンド(約1万円)で販売されるemporia Comfort flip phoneは、大きな操作ボタンやコントラストの高い画面などが特徴。さらに2020年内にはTalking device(詳細は不明)と呼ばれるデバイスも発売予定という。


    ・アプリケーション

    iOSアプリ:Envision AI Version  2.3.4にアップデート。テキスト認識でカラム(列)判別機能が追加された。これにより新聞や雑誌など複数の列にレイアウトされたテキストをより正確に認識し適切な順序て読み上げることができるようになるとのこと。この機能は「ヘルプ」タブから向こうにできる。日本語で有効化どうかは不明だが、カラムで別れた原稿はOCRの苦手分野だっただけに正常に動作すれば画期的かもしれない。。


    iOSアプリ:Sullivan+ Version 1.4.3にアップデート。今回のアップデートでiOS14に対応。メニューから「設定」を開けるようになった。またiOS14.2でキャプチャボタンが操作できない不具合も修正されている。


    iOSアプリ:radiko Version   7.3.1にアップデート。番組リストにおいて、各番組名の前にカテゴリが付けられた。スクリーンリーダーユーザーが番組名を知るには、カテゴリを読み終わるまで待たなければならず非常に煩わしい。相変わらず音声では放送局名は読み上げられず、ボタンのラベルも修正されておらず残念。


    iOSアプリ:NewsDigest。なんとなく見つけてインストールしてみたが、インストラクション画面や一部のカテゴリで読み上げない部分はあるものの基本的なコンテンツはVoiceoverで操作できる。


    Live captions on a variety of media will soon be available on all channels in Google Chrome / Digital Information World

    Chromeは Global Media Controlsをアップデートし、あらゆるメディアの音声をAIで解析、キャプションとして表示する機能を実装した。Android版では既に利用可能となっていたが、デスクトップ版でもフラグを有効にすることで利用することができるようになる。


    ・ゲーム


    ・その他

2020年11月9日月曜日

A11Y Topics #015。次世代ゲームコンソール発売直前、英国での電動スクーター問題など。

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。


発売直前、次世代ゲームコンソールのアクセシビリティ情報。


2020年11月12日に発売が予定されているPlayStation 5(PS5)。一足早くレビュー機を手にしたレビュアーから続々と情報が届いている。Can I Play That?のCourtney Craven氏によるアクセシビリティレビューでは、いくつかの新しい情報が明らかになった。気になるところでは、

  • DualSenseコントローラーの振動は没入感があるがサイズや重さが問題。

  • PS5の初回起動時に一定時間操作を行わないとスクリーンリーダーが有効になる。

  • PS4にあったズーム機能は現時点でPS5には実装されていない。

  • 対応している場合システムからあらかじめ各ゲームのオプションを変更できるプリセット機能

といったあたりが興味深い。先週の当ブログでズームが使えるようなことを書いてしまったが誤りだった。

PS5のホーム画面でスクリーンリーダーが動作している様子はこの動画がわかりやすい。なおSIEのブログによるとスクリーンリーダー及び音声ディクテーション機能は英語(米国および英国)、日本語、ドイツ語、イタリア語、フランス語(カナダ含む)、スペイン語(ラテンアメリカ含む)に対応している。

PlayStation 5に関しては他にもCan I Play That?から視覚障害者であるSteve Saylor氏による動画レビュー、およびSightlessKombatによる詳細な開封レビューも公開されている。ちなみに開封からセットアップの過程は運動機能に制限があるユーザーにとってはややアクセシビリティに欠けているとの評価もある。

今後はアクセシブルなタイトルがどれだけリリースされるのか、まだ不足している運動障害者へのソリューション提供など注目していきたい。視覚障害者としてはDualSenseや3Dオーディオを生かした、視覚に頼らないアクセシブルなゲームの登場にも期待。

まだ完璧とまではいえないものの、アクセシビリティ的にようやくスタートラインに到達した印象のあるPlayStation。アクセシビリティは第9世代に突入した家庭用ゲーム機において無視できないキーワードの一つとなるだろう。


一方PS5より2日早い2020年11月10日に発売が予定されているXbox Series Xのアクセシビリティオプションについても、情報が公開されている。とはいえXbox Series Xのユーザーインターフェイスは基本的にXbox Oneから引き継がれており、スクリーンリーダーなど豊富なアクセシビリティオプションもそのまま利用できるようだ。問題はスクリーンリーダーが日本語に対応しているかどうかだが、残念ながら情報を見つけることはできなかった。

Series Xのアクセシビリティに関してはSightlessKombatのレビューが詳しい。またCan I Play That?からもレビューが公開されている。Xbox One用のコントローラーがそのまま動作しCoPilot(支援者が操作をサポートする機能)も引き継がれるなど運動障害を持つゲーマーには安心すべき情報もあるが、初回起動時に入力するコードを音声で読み上げないなど視覚障害者にとってはいくつか注意すべき点もありそうだ。

全体的には従来からのアクセシビリティはそのままに、CPUやストレージの高速化による恩恵が強調されている印象を持った。レビューでは障害を持つゲーマーにとって、低コストでゲームを試せるサブスクリプションサービス「XBOX GAME PASS」の存在や、旧機種のアクセシブルな作品がそのまま動作する互換性もメリットとして挙げられている。

障害者ゲーマーが積み上げてきた過去の資産を生かしつつより快適な環境に移行できるという意味では、Microsoftに一日の長があるという印象がある。


HORI、Switch版アダプティブコントローラー「Flex Controller」発売。

HORI releases the "Flex," an accessibility controller for Switch | GoNintendo


ゲーム関連機器を開発・販売する株式会社HORIは、障害を持つゲーマーが運動機能に合わせて最適なゲーム環境を構築できる周辺機器「Flex Controller」を発売した。対応プラットホームはNintendo SwitchおよびPC。

これはNintendo SwitchやPCに様々なジョイスティックやスイッチ、フットペダルなどの適用コントローラー機器を接続するための「ハブ」の役割を持つ周辺機器。2018年Microsoftが発売した「Xbox アダプティブ コントローラー」のSwitch対応かつ高機能バージョンと言えるものだ。


接続した機器はPCを経由してスティックの感度やボタンの挙動を細かくカスタマイズでき、プリセットとして保存可能。プレイする場所やゲームに合わせ切り替えて利用できる。さらに追加ソフトと必要な機器を導入すれば、視線入力デバイスと連携させメの動きや瞬きデゲームをプレイすることもできるという。

障害により一般的なゲームコントローラーが操作できない場合、これまではスイッチ類を接続するための変換アダプタなどを自作するしか方法がなく非常にハードルが高いものだった。この製品の登場で、Xboxに続きSwitchでも、障害者が手軽にゲームを楽しめるようになるかもしれない。日本では特にSwitchの人気が高く、まさに待ち望まれていた製品と言えるだろう。


Flex Controllerの価格は22,000円(税抜)。開発に協力したテクノツール株式会社の通販サイトから販売される。ただしこの製品の本来の目的以外での購入はできない。これはXbox アダプティブ コントローラーが国内発売直後からいまだに入手困難な状況が続いていることを考えると正しい対応だろう。このような製品は本当に必要なユーザーに適切な価格で届けられなければならない。

余談だがこの製品のニュースは国内よりも海外の方が目立っているように感じた。日本以外での販売はアナウンスされていないが、海外の障害を持つSwitchプレイヤーからも熱い視線が向けられているようだ。


スペイン、ビーチリゾートに設置されたnavilens。

Popular tourist beach on Spain's Costa Blanca claims a world digital first - Olive Press News Spain


先週ニューヨークのバス停にnavilensが導入されたトピックを紹介したが、こちらは少し異なったアプローチ。

スペイン、コスタ・ブランカの主要都市アリカンテにあるポスティゲビーチは、地中海に面した世界的に有名なビーチリゾートである。世界中から多くの人々が訪れるこの観光地にnavilensのマーカーが設置された。

このビーチの入り口には13のNaviLensマーカーが配置されており、訪問客はスマートフォンにインストールされた無料のnavilensアプリを用いてこれをスキャンすることで水質や水温、UV指数、その他一般的な気象情報、さらにはCovid-19プロトコルなどをリアルタイムかつ多言語で得ることができる。

この記事を読む限り、視覚障害者の支援というよりは訪問客に対する情報提供ツールとしてnavilensを活用する試みのようだ。QRコードと比べ離れた位置から認識できるため、ソーシャルディスタンシングを保ちつつ必要な情報を提供する手段としてnavilensは有効な技術と言えるだろう。


電動スクーターの危険性と、警告音を設置する動き。

TIER pledges to end the silence over e-scooters - The Transport Network


環境に優しい移動手段としてヨーロッパを中心に普及が進んでいる電動スクーター。電気によりモーターを駆動させるこの新しい車両は騒音を発生させない利点を持つが、反面、歩行者特に視覚に障害を持つ人々にとって大きな脅威となりうる。英国各地ではこの夏から電動スクーターシェアサービスの実証実験が実施されているが、視覚障害者支援団体は歩道を塞ぐ無秩序に停車された車両や走行音に気がつかないことによる危険性を指摘している。視覚障害者が音モなく近づいてくるスクーターを認識し、とっさに避けることはほぼ不可能だろう。


一方、この問題にたいし車両メーカーが自主的に対処する動きもある。ドイツに本拠地を置くTier社は、2021年を目処に同社が製造する電動スクーターに独自の警告音発生装置を実装する計画を発表した。同社は英国の慈善団体Thomas Pocklington Trustと提携し、視覚障害者にとって最適な警告音の種類や音を鳴らすタイミングについて検討するという。


EV及びハイブリッド自動車については、低速走行時の警告音機能の実装が世界的に義務化されてきているが、電動スクーターに関してはまだそのような規制が設けられる動きは見られない。一部のメーカーが対策を施したとしても、その効果は限定的だろう。

ジオフェンスによる速度制御や利用者のマナーを徹底させたとしても不慮の暴走は発生してしまう。晴眼者でも背後からオトモなく近づいてくるスクーターを回避するのは難しいはず。これは視覚障害者のためだけではなく、全ての歩行者の安全に関わる問題のような気がする。


その他、今週気になったトピックス。


・アプリとガジェット



・ゲーム



・その他



支援技術関連記事まとめ(2022年11月)※お知らせあり。

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