2020年11月22日日曜日

Google、視覚障害者の単独マラソンの実現を目指す「Project Guideline」発表。

米国で盲導犬の育成とサポートを行う非営利団体Guiding Eyes for the BlindのCEOであるThomas Panek氏は全盲にして熱心なマラソンランナーだ。

彼はこれまで伴走者の協力を得てニューヨークやボストンマラソンに参戦してきたが、伴走者に大きく感謝しつつも視覚障害者がより独立してランニングを楽しむ方法がないか模索してきた。Guiding Eyesでは視覚障害者とともに走ってくれる盲導犬の育成を行っているが、その恩恵を受けられるのはごく一部のユーザーに限られている。


Project Guideline」は2019年に開催されたGoogleのハッカソンにおけるPanek氏の提案から始まった。Googleのエンジニアはこのアイデアに応え、床面に貼られたテープをスマートフォンで追跡するProject Guidelineの原型となるデモを製作、GoogleとPanek氏はこれを元に、より洗練されたプロトタイプを開発した。


ランナーが装着したウエストベルトにはProject Guidelineアプリが動作するAndroidスマートフォンが固定され、前方の風景を撮影。アプリは路面のラインを画像認識AIで判別し、位置情報と組み合わせランナーが現在どこを走っているのかを判断する。

そしてランナーがコースから外れ始めるとアプリは骨伝導ヘッドセットを通じ音声で正しいルートを案内する。例えばルートから左方向にずれると左から警告音が鳴りはじめ、外れた距離が大きくなるほど音も大きくなる。もちろんみぎにずれた時も同様だ。つまり警告音が聞こえない状態をキープすることでルートから大きく外れることなく走ることができるという仕組みだ。

これらの処理は全てスマートフォン内部で処理され、インターネットへの接続は必要ない。またコース上に検出できるラインが引かれてさえいれば、あとは市販のスマートフォンと骨伝導ヘッドセットさえあれば利用できるという導入ハードルのひくさも特徴だ。


プロジェクトは屋内および屋外でのテストランと調整を経て、この秋に開催されたバーチャルマラソン大会Virtual NYRR Run for Thanks 5Kでセントラルパークを無事走り切ることができた。アプリはまだプロトタイプではあるが、彼らは将来的により多くの団体と協力し、実際に開催されるマラソンのコースにProject Guidelineで認識できるラインを導入したいと考えている。


なお視覚障害者のランニング支援技術としては他にもアイオワ大学の研究やナビゲーションアプリRunGo、振動リストバンドWaybandなどがある。

もちろん安全に走るためにはイレギュラーな障害物や路面のちょっとした凹凸の回避、他のランナーとの接触など解決しなければならない課題は多いだろう。だが伴走者も盲導犬も白杖も使わず自由に思い切り走ることができるのであれば、それは視覚障害者にこれまで感じることができなかった自由な感覚を与え大きな喜びにつながるはずだし、視覚障害者のマラソン参戦のハードルを大きく下げることにもなるだろう。

これ、普通に視覚障害者の誘導にも応用できそうだし、今後の展開に期待したい。


参考:Google is testing an AI system to help vision-impaired people run races | Engadget

参考:How Project Guideline gave me the freedom to run solo


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