2020年3月8日日曜日

ルーマニア発。指先で「色」を感じる触覚文字「Scripor Alphabet」。

Scripor Alphabet(画像引用元

ルーマニア教育省は2020年2月、視覚に障害を持つ人々のための「色を表記する触覚アルファベット」を世界に先駆けて導入することを発表した。視覚障害者が触覚を用いて直感的に「色」が持つニュアンスを受け取れることにより、教育や社会生活における様々な利便性の向上が期待できるという。
この触覚文字は、考案したルーマニアの画家であるTudor Scripor氏にちなみ「Scripor Alphabet」と名付けられた。

Scripor Alphabetは、立体的なアイコンとドットを組み合わせ「赤、黄、青、オレンジ、緑、紫、茶色、グレー、白、黒」という10種類の色を表現する触覚文字である。
中間色やグラデーション、色の濃淡は複数のScripor Alphabet文字を並べて表現する。例えば「赤」と「白」を並べることで「ピンク」を表現したり、「緑」と「黒」を並べれば「ダークグリーン」を示すことができる。さらに同じ色を繰り返すことでその色のトーンも表現できるという。
つまり基本的な10種類の色のイメージを学習すれば、あとは組み合わせで様々な色を感じ取れる、という仕組みのようだ。

この触覚文字は色の伝達に特化して設計されているため言語に依存せず、世界中どこでも利用することができる。まずはルーマニア国内の公共施設や交通機関に設置する触地図にこの文字を採用するとのことだが、他にも例えば美術作品の触図や衣料製品のタグなどにScripor Alphabetを付ければ、通常の点字よりも的確に色の情報を伝えられる可能性がある。また世界に普及すれば視覚障害者間の共通言語としても機能するかもしれない。

色をより深く理解することは、視覚障害者が晴眼者中心の社会にコミットする上で欠かせないスキルだ。ファッションのコーディネートしかり贈り物のパッケージしかり、SNSにアップする写真やブログのデザインしかり。見える人々を相手にするには色に対するある程度の配慮が必要だろう。それだけ晴眼者にとって色が持つインパクトは大きい。
だが色を目で見ることができない視覚障害者にとって、「色」は非常に厄介な問題でもある。極めて視覚的といえる情報である色を、点字や音声、つまり言語に置き換えることにはそもそも限界があるためだ。それはスマートフォンなどの電子機器を用いて色を判別する場合でも同様で、むしろ識別される色数が細かいほど色をイメージすることは難しくなる。
現実には同じ「赤」でも「少し黄色掛かった赤」や「黒ずんだ赤」など無限の色が存在するわけで、それを言葉だけで表現し伝えるにはどうしても無理があるだろう。
Scripor Alphabetがどこまで細かい色のニュアンスを表現できるかは分からないが、目が見えない者に色情報を伝える新たな手段として、非言語的なアプローチが試みられていることは面白い。

Tudor Scripor氏と彼のチームは7年間にも及ぶScripor Alphabetの開発の末、ジュネーブ発明・イノベーション展の教育・文化・芸術部門で金賞、およびドイツ発明者協会の特別賞を受賞している。

参考:


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

米国マクドナルド、同社のキオスク端末に「JAWS Kiosk]を導入。視覚に障害があっても音声を用いた操作で注文から支払いまでを単独で実行可能に。

画像引用元: TPGi 米国マクドナルドは2021年9月9日、、支援技術ディベロッパーであるVispero社とと提携し、同社が運営する直営店およびフランチャイズ店舗に設置されているキオスク端末に対し「 JAWS Kiosk 」テクノロジーを採用したことを発表しました。 なおここで...