2019年4月13日土曜日

ロービジョングラス「IrisVision 3.0」登場。(おまけ付き)

IrisVision(画像引用元

近年、視覚リハビリテーション分野において「スマートグラス」の注目度が上がっている。2018年のサイトワールドでもさまざまな視覚障害者向けスマートグラスが点字されていた。スマートグラスと一言で言ってもユーザーの見えにくさや用途によってタイプは異なるが、現在最も盛んに開発されているのがロービジョン向けの「映像補正」タイプの製品だろう。黄斑変性症、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、緑内障などの眼疾患による視野狭窄や眩しさなどの「見えにくさ」を、カメラで撮影した映像をリアルタイムに補正することで軽減させるのが主な目的だ。
このジャンルとしては「eSight」や「OXSIGHT」といった製品がすでに一般向けに販売されている。だがこれらの多くは、液晶ディスプレイを内蔵した専用設計のヘッドセットを採用しており、どうしても高額になってしまうのが課題となっている。たとえばeSightは最近40%の値下げが行われたがそれでも6,000ドルという価格で手軽に購入できるとは言い難い。

北米を中心に展開している「IrisVision」は、ハードウェアに既製品を採用することで大幅なコストダウン(2,950ドル)を実現するロービジョン向けスマートグラス。Samsungのスマートフォン「Galaxy S7」とVRゴーグル「Galaxy Gear VR」をベースに、研究機関や専門医と共同開発されたアプリケーション、そしてトレーニングプログラムなどのサポートをパッケージし、総合的なロービジョンケア環境を提供している。
ゴーグルにスマートフォンを装着することで、ハンズフリーで利用でき、付属のタッチコントローラーで様々な操作が行える。液晶内蔵タイプのグラスと異なり見栄えはあまりよろしくないが、重量や遮光性などは問題ないようだ。

そしてIrisVisionのキモとなるのが、ユーザーの「見えにくさ」に合わせて最適な映像を紡ぎ出すアプリケーション。独自開発されたアルゴリズムにより、残存視力のポテンシャルを最大限に引き出す豊富な機能が用意されている。開発を担当したのはCitrusBits社。
基本機能はコントラストや明るさの調整、モノクロ反転させて文字を読みやすくする「リーダーモード」、そして特許技術「バブルズーム」は、視野全体のバランスを保ちつつ任意の場所を任意の形状で拡大表示できる機能。そのほかにもテレビ視聴やパソコン利用など利用シーンに応じたさまざまなモードが用意されており、コントローラーを用いて簡単に切り替え可能だ。ユーザーの瞳孔間距離や利用する機能に応じたカスタマイズもサポートされているようだ。

そして先日リリースされた「IrisVision 3.0」では、さらに先進的な機能が追加され、単純に「視力を補正する」だけではないデバイスとしての進化を感じ取ることができる。その一部をご紹介しよう。

・IrisVision assistant
専用の音声アシスタント。IrisVisionのモード切り替えなどの操作を音声で実行できる。
・IrisReader 
OCR機能。映像に含まれるテキストを抽出して読みやすく表示したり、音声で読み上げる。
・Video player
IrisVision内で直接YouTubeを再生できる。音声による動画の検索や拡大表示にも対応。
・Photo gallery
IrisVisionから写真を撮影し、管理・閲覧できる。

新機能はスマートグラス的な進化というよりは、スマートフォンの機能をIrisVisionに取り込んだ、と言った印象が強い。確かにIrisVisionを装着してスマートフォンを操作するなら、いっそのことスマホでできる機能を入れれば良くない?という発想なのかもしれない。機能によって向き不向きはありそうだが、利便性は向上するし他製品との差別化にも繋がるだろう。

液晶内蔵タイプのスマートグラスと比べると、価格と機能のフレキシブルさはメリットと思えるが、やはり見かけがどうしてもきになるところ。一応IrisVisionは屋外での利用も想定されているようだが、外で使うには結構目立つと思うなあ。
とはいえロービジョンケアの選択肢は多いに越したことはない。見えにくさの種類にもよるが、スマートグラスが生活を大幅に向上させるケースは決して少なくはないだろう。
このようなソリューションの存在が広まりユーザーが増えれば、価格も下がるのではないだろうか。このような効果の期待が大きい技術は、できるだけ多くの人々の手に渡るようになってほしいな。

関連リンク:

おまけ:iPhoneでお手軽ロービジョングラスを体験できるアプリ。

他製品と比べてお手頃といえどIrisVisionはまだまだお高い。そもそも日本から購入できるかは不明。そこでちょっとだけIrisVisionぽい雰囲気を味わえるiPhone用アプリをご紹介。iPhoneを装着できるゴーグルを用意すれば、お手軽スマートグラス体験ができる(かも)。これらの他にもiOS標準の拡大鏡でも良い気もするが、どうだろう。
なおほぼ全盲の筆者は実際に試せていないので悪しからずご了承ください。

作者/Prophet Studios 価格/無料
拡大鏡とVRグラスが一体になったアプリ。リモート操作にも対応。

作者/Thomas Warren 価格/無料

もちろんIrisVisionとは無関係。コントラスト調整が主な機能のようだ。

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