2021年4月18日日曜日

韓国ETRI、タッチパネルの任意のポイントに詳細な触覚を生成する技術を開発。

スマートフォンやタブレット端末などの電子機器において、振動を用いた触覚機能は今や欠かせないものとなっています。ただ現状の触覚機能は端末全体を振動させることしかできないシンプルなもので、通知やアラームといった限られた用途にしか活用されていません。

韓国に本拠地を置くETRI(ElectronicsはLED光源と特殊なフィルムを組み合わせることで、タッチパネルの任意の部分に繊細で多彩な振動を発生させる技術を開発しました


従来のスマートフォンやゲームパッドで採用されている触覚機能の多くは、モーターを用い振動を発生させる仕組みになっています。そのため得られる触覚はデバイス全体に及び、部分的に繊細な触覚を表現することは困難でした。

最近ではレーザーによる瞬間的な温度変化により衝撃波を発生させ、ピンポイントで振動を生成する技術が開発されています。しかしこの技術で使用されるレーザーは非常にコストが高く小型化も難しいことが知られています。


ETRIの研究チームは、低出力の光信号を振動に変換する技術の開発に成功しました。この技術により複数個の小型LEDを使用し、部分的に独立した振動を感じられるディスプレイの製造を、レーザー光源を用いる場合の1万分の1という低コストで実現します。


この技術は、光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する原理に基づいています。

特殊な光熱層(導電性高分子材)を塗布したフィルムに光エネルギーを照射すると、加熱・冷却された素材の熱膨張性に応じて屈曲・復元を繰り返し、振動を発生させる仕組みです。

研究チームは1平方センチメートルのLEDユニットを3×3のマトリクスで配置し、広い周波数帯域において精密な振動が発生可能であることを確認しました。周波数は125~300Hzの範囲をカバーしており、高い周波数では優しく、低い周波数では荒々しい振動を表現します。技術的にはボタンだけでなくダイアルやスライダーといったスイッチ類の触感を再現することもできるとのことです。


薄くフレキシブルなフィルムは電気的な構造をを持たないため耐久性が高く、加工が容易という特徴を持っており、さまざまな電子機器への応用が期待されています

研究チームはこの技術を自動車内の操作パネルや医療機器、そしてスマートフォンへ応用したいと考えており、製品かへ向け改良を進めていくとのことです。


視覚障害者的には、例えばタッチパネルに表示されているボタン類を音声を用いずに手探りで探したり、表示させた写真やイラストを指でなぞり色や線を感じとる、といった用途が考えられるでしょう。もっと解像度が高くなれば、画面の上で点字を読むこともできるようになるかもしれません。

目から情報が得られない視覚障害者にとって、タッチパネルの操作は音声だけが頼りでした。これに情報量の多い触覚が加われば、その利便性は格段に向上すると想像できます。


タッチパネルに詳細な触覚を加える技術としてはこれまでも超音波や静電気を用いた製品が登場しており一部はすでに実用化もされています。

ETRIの技術が既存の製品と比べ、コストやユーザーエクスペリエンス的にどのようなアドバンテージがあるのか明らかではありませんが、様々な技術が出現し競争することで、電子機器における触覚の品質の向上と関心度の高まりが期待できるでしょう。


参考:ETRI develops a haptic film activated by LEDs | EurekAlert! Science News


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