2020年12月10日木曜日

Vodafoneオランダ。5Gを用い目の見えない自転車レーサーの単独走行を実現。

Vodafoneオランダは同社の5Gキャンペーンの一環として、視覚障害を持つオランダの自転車パランピアン、Tristan Bangma氏専用のサイクルナビゲーションシステムを開発した。

わずか0.01の視力を持つBangma氏はこれまでタンデム自転車により競技に挑んできた。タンデム自転車では目の見える同乗者が口頭でコース取りの指示や他の選手との位置関係などを伝えレースを進めていく。Vodafoneオランダの技術者はこの役割をテクノロジーに置き換え、視覚障害者が誰の助けも借りずにレースに参加することを目指した。


プロトタイプとして製作された自転車の前後にはそれぞれ障害物を検知するLidarスキャナとカメラが備えられており、取得したデータを5Gネットワークを通じクラウドへ送信。レーサー周囲の状況を画像認識AIを用い立体的に解析しコースの方向や障害物、他選手の接近などを3Dオーディオとしてフィードバックする仕組みだ。Bangma氏はこのシステムを用い50Kmのコースを単独で走破することができたという。

高速で失踪するサイクリストを安全に導くためには一瞬のタイムラグも許されない。Vodafoneはこの試みにより5Gの高速性と安定性をアピールしようとしているようだ。


同社は2019年にもドイツにおいて盲目のスキーヤーを5Gでナビゲーションするシステムを製作している。これは選手のヘルメットに装着したカメラが捉えた映像を5Gネットワークを通じて送信し、その映像を晴眼のコーチが見て音声で指示するという仕組みだった。今回のものはAIを用いることで完全に単独の走行を実現している。


もちろんこのシステムは決められたコースを走行するといった一定の状況を前提に開発されたものであり、一般向けに公開する予定はない。だが高速化つ大容量のデータ通信がさまざまな障害を持つ人々の行動を拡張する可能性を示唆している。おそらく4Gではこのようなシステムは実現しなかっただろう。

一般的には自動運転車や遠隔医療といった分野での活用が期待されている5Gだが、スマートフォンを通じた障害者支援にも影響は少なからずあると考えられる。5Gの普及により既存のサービスでもより高いクオリティが期待できるし、ネットワークがボトルネックとなって実現できなかったアタらっしいアイデアが、日の目を見るかもしれない。


視覚障害者が自由に自転車に乗れるようになる日も、もしかしたら遠い未来のことではないのかも。個人的には目が見えなくなり自転車に乗れなくなったことは、ランキング上位に入ってくるほど残念な事実だった。自動運転車もいいけど風を切って走るあの感覚、また味わいたいな。


参考:Vodafone Develops 5G Prototype for Paralympic Cyclist – Tarifica


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