2020年8月4日火曜日

視覚障害者をソフトタッチで誘導するスマートベスト「Foresight」。

Foresight(画像引用元

目が見えない人々にとって、自由に一人で外出するのは非常に難易度の高いミッションだ。どんなに訓練や経験を積み上げていたとしても、やっぱり迷う時は迷うし、イレギュラーな障害物に激突することもある。視覚からの情報が得られないという事実は安全かつスムーズな移動の大きな障壁となる。
そんな迷える視覚障害者のため、世界中で歩行を支援する様々なイノベーションが生み出されている。視覚障害者の歩行を支援する技術は、大きく分けると道案内を行うナビゲーションと、目の前の危険を通知する障害物検知にわけられるだろう。いずれもカメラやセンサー、GPSなどを用い、移動に必要な情報を視覚以外の手段で補足する技術だ。
ここで紹介する「Foresight」は後者に分類されるウェアラブルなデバイス。白杖と併用し、目の前にあるかつ杖では見つけにくい物体を検出することで衝突を回避したり、逆にオープンスペースを見つけて安全なルートを見つけるときなどに役立つ。

Foresightを開発したのは、米ハーバード大学の学生チームが設立した同名スタートアップ。上半身に着用するベスト型のデバイスとスマートフォンを組み合わせて使用する。特徴はコンピュータビジョン(cv)を応用したオブジェクト認識と、ソフトな触感を採用したフィードバックだ。

Foresightを着用した視覚障害者はスマートフォンを首から下げ、Bluetoothでベストと接続した状態で歩行する。
スマートフォンのカメラがユーザーの前方の様子を撮影し、CVを用いてオブジェクトの形状や動きを検出。オブジェクトの位置と距離を元に触覚を発生させるポイントと強度を計算し即座にベスト側に送信する。
なお解析に使用されるCVはオープンソースのYOLOのカスタムバージョンとのこと。

ベストの内側には複数のソフトアクチュエーターが仕込まれており、CVの解析データに従ってアクチュエーターを動作させる。そこで生み出された圧力によって障害物などの存在を着用者にリアルタイムで伝達するという仕組みだ。
ベストを着用した視覚障害者は、感じた圧力の場所と強さで前方にある壁や開けた道、通行人などを判別することができるという。

既存の障害物検知デバイスの多くは、周囲のオブジェクトの存在を「点」で通知するのに対しForesightは前方の様子を「面」で知らせてくれるため、 直感的に情報を得ることが可能になる。またバイブレーションや警告音と比べ、ソフトな圧力によるフィードバックは不快感も少なく利用者の負担を軽減する効果も期待できる。気になるのは暑さと見た目だろうか? 見た目はともかく、圧力を漏らさず感じるには体にある程度密着させる必要がありそうだ。

Foresightが採用している技術は、必ずしも最先端のものではなく、むしろローテクでシンプルな構成になっていると開発チームは語る。使用している部品は低コストで入手性も高く、故障してもパーツごとに交換が可能とのこと。技術専攻ではなくユーザーの尊厳と実用性のバランスを考慮し、目立たず直感的、かつ手ごろな価格で手に入るデバイスを目指しているという。
現在、Foresightチームはソフトウェアとハードウェアの改善に取り組んでいる。デバイスのリリース日と価格はまだ不明だが、開発者たちは2021年までに開発を完了したいと考えている。

そういえば、Foresightで思い出した。
アプローチはかなり異なるが、国内ではオーデコと呼ばれる、カメラからの映像を解析し「おでこ」で情報を伝達するデバイスが既に実用化されている。カメラで捉えた情報を複数のポイントで伝達するという点で共通する部分も多いように思える。
コンピュータビジョンやセンサー、レーダーの進化により、目の代わりとなるオブジェクト認識はかなり実用的になりつつある。あとはその情報を目の見えない人々にどのような手段で伝達するのがベストなのか。今後の研究開発に期待したいところだ。



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