2019年10月3日木曜日

全盲的iOS13ファーストインプレ。お気に入りの3大新機能。


Appleユーザーにとって、年に一度のお楽しみ。
iOSのメジャーバージョンアップの季節がやってきた。
2019年も、6月のWWDCで発表された「iOS 13」が、9月20日に無事、リリースされた。ただ今年は立て続けに「13.1」「13.1.1」「13.1.2]とアップデートがリリースされており、少し混乱がおきているのかな?といった印象。まあ新ハードに間に合わせないと行けないからね。

さてこの「iOS13」、見た目的に大きな機能変更はダークモードくらいしかなく、一般ユーザーの間では細かいチューニングがメインのバージョン、といった評価が多いようだ。
だが、ことアクセシビリティに関しては、ここ数年の中でも、最もアグレッシブな変化を遂げているバージョンといっていいだろう。それは設定アプリにおいて「アクセシビリティ」の項目が「一般」からトップレベルのメニュー項目として独立したことからも伺える。例えば音声によるコントロール、Assistive touchのマウスサポートなど、数々の画期的な新機能が登場している。
そして全盲である筆者が普段から活用しているスクリーンリーダー「Voiceover」でも、iOS13では大小様々な機能追加や変更が加えられている。アップデートの詳細はApplevisの記事からどうぞ。


というわけで、1週間ほどiOS13をVoiceoverで使ってみて「良かったポイント。トップ3」を買ってながら発表しよう。ちなみに、なぜ1週間かというと、ちょっとビビって13.1までアップデートを保留していたのである。


1.カスタムコマンドが超快適。


iOS13では、Voiceoverの様々な操作をユーザーが自由にカスタマイズできるようになった。Voiceover設定の「コマンド」を開き、タッチジェスチャ、キーボードショートカット、手書き、点字画面入力の各コマンドを(一部を除き)好みの機能に置き換えることができる。
筆者も早速タッチジェスチャを以下のようにカスタマイズしてみた。

1本指トリプルタップ=エスケープ
1本指4回タップ=最初の項目に移動

このカスタムで、片手での操作時に、前の画面に戻る時や、公式Twitterアプリでアカウントメニューにフォーカスさせる時にいちいち両手を使わずに済む。この2つのカスタムコマンドだけで、両手を使う頻度がかなり減少した。欲を言えば、片手での操作を考えると1本指のジェスチャがもう少し増えてほしいところ。

2本指4回タップ=ステータスバーへ移動
4本指下スワイプ=通知センターを開く
4本指上スワイプ=コントロールセンターを開く

結構ストレスだったステータスバー、通知センター、コントロールセンターの操作。特に筆者は指が太くiPhone 7のコンパクトな画面ではステータスバーにフォーカスするのに四苦八苦することも少なくなかった。
これらの操作も、カスタムコマンドで快適に操作できるようになる。
4本指上下スワイプなど、なぜ標準ジェスチャに採用されていないのかと思うほど違和感がない。ただステータスバーへの移動が、なぜかロック画面やホーム画面ではうまく動作しない。何かアプリを開いている時ならサクッとフォーカスしてくれるのだが。

2本指右スワイプ=次の文字
2本指左スワイプ=前の文字

文字を1文字ずつ読ませ、詳細読みで確認したい場合、従来はローターから「文字」を選んで上下スワイプする必要があった。このカスタムコマンドを用いれば、2本指左右スワイプで、フォーカスされている項目の文字を即座に1文字読みさせることができる。今までは疑問に感じた文字に遭遇しても、面倒で確認しないことも多かったが、これでマメに確認するようになるかもしれない。

ひとまずカスタマイズしたのはこんな感じ。
1本指トリプルタップ以外は、コマンドが割り当てられていないジェスチャをカスタマイズしたので、従来からの操作に対する影響も少ない。今後はジェスチャそのものを作ったり、後述するアクティビティでカスタムコマンドを切り替えられるようになるとさらに便利になるのではないだろうか。
あとこのコマンド設定は、Voiceoverジェスチャやショートカットキーのレファレンスとしても役にたつだろう。一通りのジェスチャを把握しているつもりでも、以外と新しい発見がある。「ダブルタップして抑えてフリック(三本指)」というジェスチャが新しく追加されている事実に、この設定を開いて初めて気が付いたりした。


2.アクティビティでVoiceoverの世界が広がる。


「アクティビティ」はiOS13で追加された新機能。簡単に言えば、Voiceoverの設定を複数用意しておき、好きな時に切り替えられる機能だ。Voiceover設定の「アクティビティ」から設定できる。
macOSではすでに以前から存在していた機能だが、ようやくiOSにもやってきた格好だ。

ただ現時点ではVoiceoverの全ての設定を切り替えられるわけではなく、「声」「詳細度」「点字」など一部の設定の切り替えに限定されている。
アクティビティの切り替えは、ローターに「アクティビティ」を追加し、任意のタイミングで選択する方法の他、指定したアプリを開いた時に自動的に切り替えることもできる。

ではこの機能、どんな使い道があるだろうか。
ちょっと考えてみると、

  • 外国語のアプリを使う時は、ネイティブな音声で読み上げさせたい。
  • 普段はOtoyaに高速読み上げさせているが、Kindleを読む時だけ、Siri女性のゆっくりしたボイスで読みたい。
  • 設定の切り替えが必要な、複数の点字機器を使い分けたい。

といった感じだろうか。
筆者も試しに「メール」だけ普段使わない音声で読み上げるように設定してみたが、これだけでも結構新鮮な気持ちになるものだ。筆者は通常Otoyaの高速音声でiPhoneを操作しているが、Siriの比較的ゆっくりした音声は、メールの内容をじっくり読むのに適しているようにも感じる。
アト、iOS13では、Voiceoverで「絵文字」の読み上げを完全に無効化する設定が加わったのだが、ローターから切り替えることができず、設定を変更するにはいちいちVoiceover設定を開かなければならない。
アクティビティには「絵文字」の読み設定が含まれているので、普段は絵文字読みを無効にしておき、読ませたい時だけ、絵文字読みを有効にしたアクティビティを呼び出す、といった運用もアリだろう。


3.ICカードが読めるようになった。


iOS13では、iPhone 7以降で、SuicaやPasmoなどの交通系ICカードや、Waonなどの電子マネーの情報を読み取れるようになった。これは一般向けの新機能ではあるが、視覚障害ユーザーの生活を確実に便利にしてくれる。

ICカードの読み取りには別途アプリが必要。iOS13のリリース以降、読み取りアプリが続々とリリースされているので、好みのものをインストールして利用しよう。筆者が試してみたのは以下のアプリ。いずれも無料で、Voiceoverで利用できる。


どちらも使い方はほぼ同じで、読み取りボタンを操作したら、ICカードをiPhoneの背面にかざすとiPhoneが軽く振動し、カード残高や利用履歴が表示される。もちろんVoiceoverでその内容を読み上げさせたり、アプリによっては履歴をCSV形式でエクスポートすることも可能だ。
これまでは、視覚障害者がICカードの残高を確認する手段が限られていた。これでいつでもどこでも一人で残高や履歴を確認できる。こりゃ便利。


Voiceoverユーザーにとっての細かい改良点も満載。


他にも、詳細なカスタマイズが可能になった句読点出力や1本指スワイプで操作できるスクロールバー、ロック画面でのパスコード入力フィードバック、「カメラ」アプリのフィードバック、「メモ」アプリの書類スキャンなど、Voiceoverユーザーのための細かい改良点に気づく。個人的に気に入っているのが、アプリのタブなどで「全5個中4個」と読み上げていた項目を「5の4」とシンプルな読み上げになっているあたり。これ、結構、しつこいと思っていたのだ。
ただ一つ気になっているのが、、Voiceoverの新機能であるサウンドと触覚のカスタマイズ。筆者のiPhone 7ではサウンドのオン/オフしか設定できず、振動のフィードバックも感じられない。これは非対応ということでよろしいか。

まだリリースから間もないこともあり、一部のアプリが落ちるなど不安定な部分もあるが、機能やパフォーマンスの面でも、Voiceoverユーザーにとってアップデートする価値は十分にあると感じた。
何より、Voiceoverが忘れられていないことに胸をなでおろした次第。ここ数年、ほぼ放置状態だったからね。この勢いで、macOSのVoiceoverにも大ナタを振るっていただきたいものである。
まあこれを書いている数日後には、Catalinaがリリースされるのだが。
うーん、どうなりますことやら。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

米国マクドナルド、同社のキオスク端末に「JAWS Kiosk]を導入。視覚に障害があっても音声を用いた操作で注文から支払いまでを単独で実行可能に。

画像引用元: TPGi 米国マクドナルドは2021年9月9日、、支援技術ディベロッパーであるVispero社とと提携し、同社が運営する直営店およびフランチャイズ店舗に設置されているキオスク端末に対し「 JAWS Kiosk 」テクノロジーを採用したことを発表しました。 なおここで...