2019年1月23日水曜日

「Verifone Navigator」の登場で考えるカード決済のアクセシビリティ。


キャッシュレスの波が勢いを増す中、視覚障害を持つ筆者的にはどうしたって気になるのがアクセシビリティ。キャッシュレスと言えばやれFeliCaだQRコードだと群雄割拠の様相を呈しているが、代表格と言えるのは歴史・普及率などの面で、やはりクレジットカードだろう。今後もさまざまな決済サービスが登場するのは間違いないが、キャッシュレスをリードするのはやはりクレカではないだろうか。
そこで改めてクレジットカード決済におけるアクセシビリティに付いて考えてみた。


カード決済時の困りごと


視覚障害者にとってクレジットカードは、ネットショッピングなどを利用するうえでなくてはならないものだが、いざ実店舗でカードを利用する段になるとさまざまなバリアに遭遇する。つまり決済にまつわる手続きだ。
ここで筆者の体験に基づいたカード決済の困難さを挙げてみよう。

1.決済金額の確認。
たいていの場合、支払い金額は口頭で伝えられる。見えていればレジの表示や決済端末の表示、決済レシートの金額を確認できるが、見えない人間には言われた額を信頼するしかない。まあ金額くらいなら誰か見える人に確認してもらう方法もあるが確実な手段とは言い切れない。

2.サイン。
サインの障壁は視覚障害者の間でも話題に上るトピックスである。
ちなみにクレジットカードのサインには特段の決まりはないので、人によっては見えなくても書きやすいサインを使うようだ。またサインガイドのような手書きサインを補助するグッズもある。筆者は中途失明なので手が憶えているサイン(漢字)を、サインガイドを用いて書くようにしている。
最近ではタッチパネルにサインする端末もあるようだ。その場合ガイドは使えないかもしれない。まだこのような端末には遭遇していないが、アクセシブルではなさそう。

3.暗証番号。
カードにICチップが付いていれば、サインの代わりに暗証番号(PIN)を求められる場合がある。むろん口頭で告げるわけにはいかないので自分で端末を操作しなければならない。物理ボタンのある端末であれば問題なくパスできるが、これもタッチパネル端末では一人で操作するのは困難だろう。

4.明細レシートの確認。
無事決済できたとしても、印刷された明細レシートはその場では確認できない。これは後日Webから確認するという手段が用意されているが不安に感じる視覚障害者もいるだろう。もちろんWebにアクセスできなければ確認する手段はない。

……という感じで、視覚障害者がリアル店舗でクレカ決済するにはいくつものミッションが立ちはだかるのである。
サインレスならラクだけど、カードの判別の問題もある。実に厄介だ。


見えなくても決済可能「Verifone Navigator」


近年ではセキュリティ対策と多機能化の波により、決済端末はタッチパネル方式に置き換えられる傾向にある。そのような状況で決済のアクセシビリティ問題に対応する製品も登場している。
少し前になるが2018年10月22日、世界各国でPOS端末などを展開している米国Verifone社は、視覚障害者でも単独かつ安全にカード決済を処理できる端末「Verifone Navigator」を発表した。


Verifone Navigatorはタッチパネル操作を用いる決済端末だが、視覚障害者向けに音声アナウンスやスクリーンリーダーライクなジェスチャ操作、PIN入力用のプラスティック・オーバーレイによる触覚入力を提供する。
これらの機能によりタッチスクリーンが見えない利用者でも、音声で決済金額を確認したうえで、単独でPINコードを入力し決済処理を完了させることができる。動画の音声で判断する限り、PIN入力時の数字は音声で読み上げていないのでセキュリティはギリギリセーフか。金額を聞かれたくない場合もありそうだが。
この端末は国際ペイメント企業5社によって策定されたセキュリティ保護基準であるPCI PTSに準拠。まず北米およびブラジルで展開されるという。

アクセシビリティの観点では、スマートフォンを用いるQRコード決済や電子マネーは柔軟性があるが、利用できる店舗はまだ限定的であり、そもそもスマートフォンを持っていなければ利用できない。
Verifone Navigatorのような製品が普及すれば、視覚障害者の経済活動は確実にスムーズかつ安全になるし、その恩恵は幅広い世代にもたらされるだろう。


よりアクセシブルなキャッシュレス社会を


一方、決済に困難を感じているのは視覚障害者だけではない。手が使えず端末を操作できない、認知障害などサインや暗証番号の記憶が困難、といった利用者には使えないのも確か。より包括的なキャッシュレスの仕組みを実現するためには顔認証など生体情報を用いる決済などの普及も必要になるだろう。

キャッシュレスは多くの人々には確かに便利であり経済効率性の向上にもつながるかもしれない。その恩恵を誰しもが受けられるよう、全方位を向いたアクセシビリティの確保には最優先で取り組んでほしいところ。

……そう考えるとリアル店舗における「現金」の信頼性に裏付けられたパワーは協力である。現金さえ出せば誰が支払うかなんて関係ないし、プライバシーの問題も発生しない。
よくできてるよ、現金。
まあ「現金が一番」なんて老害扱いされそうだけどねえ。

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