2018年12月16日日曜日

MacのVoiceover環境で翻訳ツール「Miya Translate」を試す。


筆者は英語が苦手だ。
見えていた頃はもう少し英文を読めていた気がするのだが、スクリーンリーダー使いにクラスチェンジしてからはさっぱりである。英文を読み上げで聞いていると頭痛、悪寒、だるさ、吐気、やがて猛烈な睡魔が襲いかかり意識が遠のいてしまう(一部誇張)。要するにリスニングがだめなのだ。
もちろん単語レベルでゆっくり読めば多少ましではあるが、それでは量をこなせない。そこで月並みだがGoogle翻訳のお世話になっている。一昔前までは訳文の破綻が著しくあまり役にたつイメージではなかったが、近年ではかなり賢くざっと意味を把握する助けには十分の精度。ありがたや。

例えばWebページであれば、Safariの機能拡張「Translate」を組み合わせたり、Chromeを使えばコンテキストメニューから簡単にページを翻訳して読めるし、Twitterクライアントなら「Twitterrific」「夜フクロウ」のツイート翻訳機能をショートカットキーで即座に呼び出せる。とっても便利。


RSSリーダーで記事を翻訳したいのだが。


問題はRSSリーダーである。
筆者が使っているのは「ReadKit」。ありがたいことにVoiceoverで問題なく使えるのだが、残念ながら翻訳機能は搭載されていない。
しばらくは自力でなんとか英文を読み、興味のありそうなニュースをSafariで開いて翻訳していたが、思ったような内容ではなかったり、そもそも英語以外の記事は片っ端からSafariで翻訳するしかなく、これでは時間がいくらあっても足りなくなることに気がついた。
とはいえ翻訳ができるRSSリーダー、しかもVoiceoverで使えるものは見つからない。となると、ReadKitで受信した記事をSafariで開かずに、ヘッドラインを簡単に翻訳する手段を用意する必要がある。
テキストをコピーして素早く翻訳するツールを探したところ、「Translate Tab」「Miya Translate」あたりが良さそう。どちらもクリップボードの内容を自動翻訳でき、ホットキーで起動できるらしい。
悩んだあげく選んだのは「Miya Translate」。決め手はお値段でしたとさ。高いお金を出して購入してもVoiceoverで使えなければ無駄になるので、失敗してもダメージが少ない方を選びがち。スクリーンリーダー使いあるあるである。

Miya Translateは、メニューバーに常駐して、いつでも翻訳ウィンドウをポップアップして利用できるユーティリティ。こいつとVoiceoverの読み上げコピーを組み合わせて、できるだけ素早くRSSリーダーの英文を翻訳しようという算段である。


Voiceover環境でMiya Translateを使う


このツールを起動したら、まず設定を開いて「Automatically translate Clipboard」にチェックを入れる。これでクリップボードにコピーされた内容を自動的に翻訳してくれる。
あとはReadKitで翻訳したい記事のヘッドラインが読み上げられたら「VO+Shift+’C’」を押して読み上げられた原文をクリップボードへコピー。
「VO+’M’」を2回押してメニューバーからMiya Translateを選んで開けば、ウィンドウがポップアップして翻訳結果が表示される。

このウィンドウはGoogle翻訳のWebコンテンツそのものなので、ローターで「テキストフィールド」を選んで移動し、「VO+’右矢印’」を5回押せば翻訳文を読み上げる。Webスポットに登録すれば楽かなと思ったがポップアップを閉じるとWebスポットがクリアされてしまうようで使えなかった。
まあ、ローターの選択項目は再現されるのでポップアップが開いたら「VO+Command+’下矢印’」、「VO+’右矢印’」5回と覚えておけばさほど苦にならない。はず。
メニューバーのMiya Translateアイコンを押せば、ポップアップが閉じて元のアプリケーションに復帰する。

ポップアップが開けば翻訳結果がポンと読み上げられるのが理想だが、やはりお値段なりということか…。


ホットキーでMiya Translateを呼び出す


Miya Translateは、いつでも機能を呼び出せるホットキーが利用できる。Voiceoverではメニューバーアイコンを操作するのがやや面倒なのでホットキーの利用が便利だ。ホットキーはMiya Translateの環境設定から登録できるのだが、ちょっと工夫が必要なのでメモ。

まずこのホットキー設定、設定ボタンをクリックしてホットキーを登録するのだが、この設定ボタンは「VO+’スペース’」では押すことができない。マウスでクリックしなければならないので、キーボードだけで設定する場合は以下のように操作する。

1.VOカーソルを設定ボタンにフォーカス
2.VO+Command+’F5’でポインタを移動
3.VO+Shift+’スペース’でクリック操作
4.設定したいホットキーを押す
5.「Shortcut set」と読み上げられれば成功。

なおホットキーの代わりにDeleteを押せば「Shortcut cleared」と読み上げられて設定がクリアされる。デフォルト値ではVoiceoverとキーコンビネーションが被る可能性があるのでクリアしておいた方が無難だろう。

では実際にホットキーを使ってみる。
まず翻訳結果をポップアップするホットキーを「Menu Bar Translator Window」に設定する。これで「VO+Shift+’C’」で原文をコピーし、このホットキーを押せば翻訳されたウィンドウが開く。大成功。

だが困ったことに、このホットキーではポップアップが閉じてくれない。なぜだろう。わからない。
そこで「Show/Hide Translate App」に別のホットキーを設定すると、このキーを3回押せばポップアップが閉じることがわかった。
ややスマートさには欠けるが、まあいいだろう。
「Translate Tab」の方もきになるのだが、どうなんだろうなあ。お値段3倍ですし。

何はともあれこれでRSSリーダーのヘッドラインを記事をSafariで開くことなく翻訳して確認できるようになり、結構な時間短縮を実現できた。めでたい。
RSSリーダーに限らず、テキストがコピーできるものなら(さらにいえばVoiceoverで読み上げられるものなら)簡単に翻訳できるのでこれは心強い。もちろん日本語を他言語に翻訳する時にも使えるだろう。

あ、今気がついたがRSSリーダーに限ると、もしかしたらFeedlyのようなWebベースのRSSリーダーとWebブラウザの翻訳機能を組み合わせた方が簡単かもしれないが、試していない。この件については、RSSリーダーサービスのアクセシビリティを含め、機会をみて検証したい。


※この記事はmacOS Mojave 10.14.2にて執筆しました。

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