2021年6月3日木曜日

視覚障害者単独でのブラインドセイリングの実現を目指す「SARA Nav」など。

「ブラインドセイリング」は視覚障害者と晴眼者がチームを組み、力を合わせてヨットを操るという、なかなかに爽快感のあるパラスポーツです。

日本視覚障害者セーリング協会のWebによると、ブラインドセイリングにおいて視覚障害者(ブラインドセイラー)は、晴眼者(サイテッドセイラー)から提供される情報をもとに、舵(ヘルム)と帆(メインセール)の操作を担当するというスタイルが基本となっており、このルールに則って国際的なレースが開催されているとのことです。

また2019年には全盲のブラインドセイラーである岩本光弘氏がサイテッドセイラーとペアを組無寄港太平洋横断に成功したというニュースは記憶に新しいところです。


ブラインドセイリングの魅力の一つとして「視覚障害者と晴眼者とのチームワーク」が挙げられますが、その一方で、できる限り晴眼者のサポートをえることなく視覚障害者だけでセイリングを完結させることを目指す技術も研究されています。


2021年5月7日、フランス視覚障害者連合(UNADEV、Union Nationale des Aveugles et Déficients Visuels)とブレストに拠点を置く支援団体ORIONは、視覚障害者ノ自立したセイリングを支援するためのiPhone向けアプリ「SARA Nav」をリリースしました。

「SARA」はSail and Race Audioguideの略。このアプリはあらかじめ登録しておいた航行ルートに沿って、ブラインドセイラーをナビゲートする機能に加え、ヨットに搭載されているナビゲーションシステムとWi-Fi経由で通信し、風速や水深といったセイリングに必要な情報を音声形式で提供します。

SARAプロジェクトは、障害のあるスキッパーとして初めてヴァンデグローブを完走し、パラリンピックで三個のメダルを獲得したDamien SEGUIN氏がスポンサーとなっています。このアプリのリリースを通じ、ブラインドセイラーを支援するとともに、ブラインドセイリングの普及と啓発を目指すとのことです。


また米国Olin College of Engineeringが2016年に開発した「the Homerus Autonomous Sailing System」は、海上のコースに浮かべた目印やレースに参加しているヨットへ音響装置を設置し、位置情報と組み合わせることでナビゲーションするシステムです。こちらはかなり大掛かりな感じですね。


いずれのシステムでも視覚障害者だけで完全なセイリングが可能な段階には至っておらず、緊急時にサポートするサイテッドセイラーの同乗が必要となっているようです。

確かに素人目で考えてもヨットのナビゲーションは単なる方向指示だけでなく地形や他の船との位置関係、気象状況など必要な情報量が多く、一つ間違うと命に関わる事故にも繋がりかねません。視覚を使わずに完全なセイリングを実現するためには、それこそ自律走行車レベルの技術が必要となってくるのかもしれません。

それでもこれまで晴眼者に頼ってきた情報を一部だけでも自ら取得し、ヨットを操ることができるのであれば、それはより高い自律性へと繋がっていくような気がします。情報が得られることで、ブラインドセイリングにおける視覚障害者の役割にも変化が起こるかもしれませんね。


こんなエントリーを書いていたら、なんだか潮風に吹かれながら船に揺られてみたくなりました。まあ私が乗るのはせいぜい東京湾の水上バスくらいなんですけど。


参考:Navigation des personnes déficientes visuelles : SARA Nav est lancée ! (handirect.fr)


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