2020年10月12日月曜日

A11Y Topics #011。米国ADA改正法案の問題、英国で商品パッケージに「navilens」、など。

※乱文・誤変換ご容赦です。

※誤訳・読解力不足多々あると思います。元記事も併せてご覧ください。

※bloggerの仕様変更で見出しタグが付けられてません。「○」で検索してジャンプしてください。


○米国、「オンラインアクセシビリティ法」が下院に提出される。

Legislation would set standards for ADA website compliance | Chain Store Age


2020年10月1日、障害を持つアメリカ人法の改正法案が米国下院に提出された。この「The Online Accessibility Act(オンラインアクセシビリティ法)」と題された法案を提出したのは、ノースカロライナ州のTed Budd下院議員(共和党)とカリフォルニア州選出のLou Correa下院議員(民主党)。(法案番号 H.R.8478)

米国の民間企業に対し起こされるWebアクセシビリティ訴訟は、1990年に署名された障害を持つアメリカ人法(ADA)のTitle IIIに基づいている。だがADAにはWebやアプリといったデジタルメディアのアクセシビリティに関する基準が明記されておらず、それが長年の間議論されてきた。この改正法案はADAにデジタルアクセシビリティに関する条項を追加し、米国におけるアクセシビリティ訴訟に新しい基準をもたらそうとしている。

これはデジタルアクセシビリティを法律に明記することで、障害者の権利をより確実に保護する改正法案であるようにも見える。だが障害者の権利保護に詳しい弁護士で長年デジタルアクセシビリティ訴訟に関わってきた、Lainey Feingold氏は、このオンラインアクセシビリティ法に潜む多くの問題について、以下のような記事を書いている。

Proposed Online Accessibility Act in US Congress is Bad for Digital Inclusion – Law Office of Lainey Feingold

詳しくは記事を読んでいただくとして、なるほど、この改正法案は少なくとも障害当事者にはメリットが少ないように感じる。ではこれは誰のための法案なのか。

全米小売業連盟(NRF)が支持していることからも、この改正法案は被告となり得る民間企業をADA訴訟から保護するという性質を少なからず持っているようだ。だがこれにより乱発されるトロール訴訟は防げるかもしれないが、その副作用として当事者の権利が脅かされてしまうのは本末転倒だろう。

果たしてこの法案、どのような行方になるのだろうか。


○ケロッグ、RNIBと協力しパッケージにnavilensコードを試験採用。

Kellogg's develops Coco Pops packaging designed for blind people


食品メーカーであるケロッグは英国の視覚障害者支援団体RNIBの協力を得て、同社が販売しているシリアル商品「Coco Pops」のパッケージに、スペインのニ二次元コード技術「navilens」を試験的に導入すると発表した。

視覚に障害を持つ買い物客は、英国内のスーパーマーケットなどでnavilensアプリを起動したスマートフォンを用い、最大3メートルの距離から商品のパッケージをカメラでとらえ、成分やアレルギー情報などを取得し音声で読み上げることができる。英国でnavilensが実用化されるのはこれが初めてという。

視覚障害者が商品のデータを取得する方法としてはこれまでもQRコードやバーコードをスキャンする方法があった。だがこれらはコードが印刷されている場所を探さなければならず使い勝手は良くない。離れた場所からコードをスキャンできるnavilensなら、商品棚にスマホをかざすだけでコードを見つけ陳列している場所も教えてくれる。ソーシャルディスタンシングが叫ばれる中、不必要な接触を最小限にできるだけでなく、同時に複数のコードをスキャンすることで視覚障害者が目当ての商品を探しやすくなるメリットもある。

ケロッグはこのパイロットテストの評価次第で、他の幅広い商品へnavilensコードを採用していくとのことだ。ひとつ考えられる懸念は「Coco Pops」を好まない視覚障害者の存在だろう(そこじゃない)。


○視覚障害者の読書を支援するランプ「Kibo」。

Here's how these three engineering graduates used technology to help specially-abled- Edexlive


インドでソーシャルイノベーションを研究する機関DIGITAL IMPACT SQUARE(DISQ)に所属する3人のエンジニアによって制作された「Kibo」は、印刷されたテキストを音声で読み上げる視覚障害者のための卓上ランプだ。その名称は日本語の「希望」に因んで付けられている。

当初このデバイスは英語の本を読むことに特化して設計されていたが、当事者からの要望によりインドで用いられる主要な言語に対応させ、加えて手書きの文字も認識するよう改良を加えたという。本体は軽量かつポータブルで、好きな場所に設置して利用することも可能。もちろん卓上ランプとして手元を照らすこともできる。

彼らは視覚障害者の読書を支援する同名のAndroidアプリもリリースしており、Covid-19によるロックダウンの影響でダウンロード数が大幅に増加したと語っている。パンデミックにより対人サポートが受けられない状況の中、これらのような支援技術の需要は今後より高まってくるのかもしれない。


○視覚障害者にとって外国語の習得は晴眼者より難しい?

Learning a foreign language is harder for visually impaired people


ロシアRUDN大学の言語学者は、視覚障害者の母国語以外の言語に対する知覚特性の研究から、その習得が目の見える人々と比較し困難であるという仮説を発表した。

晴眼者が会話する場合、声による情報に加え表情や仕草、口の動きからも多くの情報を得ている。そのため騒がしい場所や全く知らない言語話者との会話など、イレギュラーなシチュエーションでもコミュニケーションが成立する。一方視覚障害者は聴覚から全ての情報を読み取らなければならないため、そのようなケースで音声の知覚が低下し意思疎通に支障をきたしやすい。実験では視覚障害者に幾つかのネイティブな外国語の音声を聞き取るテストを行った。その結果、特定の言語において一部の発音の知覚が困難であることがわかった。

これはあくまでも仮説ではあるが、興味深い研究ではある。まあ確かに、同じ外国語でも映像に比べ音声だけでは意味を理解するのにパワーが必要なイメージはある。英語のPodcastとか全然わかんないもんね。見えてた頃にもっと語学頑張っておくべきだったと後悔したお話。


○今週のゲーム関連トピックス。


その1. The Last of Us Part 2 Lead Systems Designer Shows Vision Accessibility Prototype From 2018

Naughty Dogのリードシステムデザイナーであるatthew Gallant氏は彼のYouTubeチャンネルにおいて「The Last of Us Part II」のアクセシビリティ機能に関するプロトタイプ映像を公開した。この映像は2018年のもので、視覚障害者向けのハイコントラストモードや音声キューなどごく初期のアクセシビリティオプションの様子を見ることができる。製品版のリリースが2020年6月19日ということを考えれば、開発初期からこのようなオプションが盛り込まれていたことがわかる。リリースされたものと比べると、音声キューはまだ控え目な印象だ。

なお先日オンラインで開催されたGame Accessibility conferenceでは、Matthew氏がリードデザイナーであるEmilia Schatz氏とともに「TLOU2」のアクセシビリティオプションがどのように構築されてきたのか、そのあゆみについて語っている。プロトタイプ映像と合わせ、この作品のアクセシビリティ機能がどのようにチューニングされてきたのか、その一端を伺うことができる。


その2. ゲームのアクセシビリティ情報をデータベース化する動き。

ゲームをアクセシブルにしようという雰囲気はここ数年で大きく盛り上がりつつある。「The Last of Us Part II」を筆頭に、アクセシビリティオプションを充実させた作品も増えてきている。だがゲームにどのようなオプション項目が含まれているのかという情報はなかなか当事者に伝わっていないのが実情だ。

そのような状況を打破すべく、アクセシビリティに関する情報を集約しようとする動きが生まれている。ビデオゲームを家族的視点からレビューする「Taming Gaming」では、ゲームのレビューに詳細なアクセシビリティ情報が含まれている。同サイトのAccessibility Dataでは難易度調整やコントローラー設定、視聴覚オプションまで数多くの項目からユーザーにあった作品を検索することもでき、例えば聴覚に障害を持つユーザーなら、キャプションや音量バランス調整を備える作品をすぐに探し出せる。

ゲーム全体からみればまだ登録されている作品数は少ないが、データが充実していけば、このようなサイトは障害を持つゲーマーにとって大きな力になるだろう。まあ本来ならこのような基本的なデータは開発側から発信されて欲しいけど。


その3. Xbox Series X Aims To Make Cabling More Accessible Than Ever Before - Xbox News

11月に発売が予定されているゲーム機、Xbox Series Xの背面にある各種ポートに、触覚インジケーターが搭載されていることがわかった。これはMicrosoft Inclusive Tech LabのリーダーであるBryce Johnson氏のツイートで明らかにされた。ユーザーはこのインジケーターに触れることでポートの種別を目視することなく判別できるようになるという。

確かにケーブルを差し替える時にいちいち本体を引っ張り出すのは面倒な作業だ。明らかに形状の異なる端子なら触れて確認することができるが、オーディオなど目で確認しなければ判別できないものもある。なぜ今まで無かったのか不思議なくらいのアイデアではある。これは視覚障害のあるなしにかかわらず、アクセシビリティを向上させる試みの一つといえるだろう。

多くの報道ではこの仕様を「視覚障害者向け」と伝えている。であればもちろんSeries Xのシステムがアクセシブルであることにも期待したい。端子だけアクセシブルでもゲームは遊べないのである。


○その他、今週気になったトピックス。


その1. WBU statement on World Sight Day Thursday 8 October 2020

毎年10月第二木曜日は世界視力デー。今年は10月8日、世界中で眼の病気についての知識を広め、アイケアの重要性について議論するとともに、視覚障害や失明に対する理解を深める活動が行われた。なお日本では10月10日が「目の愛護デー]として制定されている。


その2. Celebrating 10 Years of the CVAA

同じく10月8日、米国の21 世紀の通信と映像アクセシビリティ法(CVAA法)は制定されてから10年の節目を迎えた。この法律は2010年にオバマ大統領によって署名され、テレビ局などの通信サービス提供事業所に対し、アクセシビリティ確保の義務を課している。この法律により視聴覚障害者の生活は大きく向上した。


その3. Making a more accessible, accurate campus accessibility map

米国北アリゾナ大学は、LiDARスキャナを用いてキャンパス内の高解像度の3Dマップを構築し障害者のナビに活用する取り組みを始めた。マップは地上およびドローンによりLiDARを用いて測量され、音声による視覚障害者向けのナビゲーションなどに活用される予定という。先日発表されたGoodMapsもそうだが、まず詳細な3Dマップを構築するというアプローチは今後のトレンドになるかもしれない。


その4. Explore - Sounds of the Universe | NASA

視覚的な情報を「音」に翻訳するsonificationは、天文学の分野では古くから試みられてきた。米NASAは、チャンドラX線天文台チームが制作した天文画像のsonificationコレクションを公開している。これらは、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測を組み合わせたもので、音は左から右へ移動しながらピッチと音量によって天体を表現している。よくよく考えればこれらの画像は実際、肉眼では見ることができないものだ。実はsonificationの方が本来の姿を体験できる方法なのかもしれないと妄想したりしなかったり。


その5. Hable One makes smartphones accessible for blind and visually impaired | Mirage News

昨年ユーザーテストが実施されていた視覚障害者向けのスマートフォン周辺機器「Hable One」の出荷がいよいよ始まった。これはスマートフォンと無線接続し、6つのボタンで点字入力が行えるデバイスで価格は226ユーロ。ただFableが発表され製品化されるまでの間、Orbit Researchがチャッカリ「Orbit Writer(99ドル)」をリリースしたためインパクトは少し落ちてしまった印象もなくもない。でもコンパクトな点字キーボードが盛り上がってくれば、減少する点字ユーザーが増えるきっかけになるかもしれない。


その6. Treating Tinnitus Through the…Tongue? - IEEE Spectrum

聴覚デバイスと舌刺激ユニットを組み合わせることで耳鳴りを軽減する、という研究。これまで効果的な対処法が存在していない耳鳴りに悩まされている人々を救うかもしれない技術だ。原理はよくわからないが、人間の体って不思議だなあと思った話題。


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