2020年8月11日火曜日

「NaviLens」を使ってナビゲーションを体験してみました。


NaviLens(ナビレンズ)」は、二次元コードとスマートフォンを使って視覚障害者への情報提供と移動支援を行うスペイン発のシステムです。
昨年当ブログでも紹介記事をエントリーしていますので詳しい特徴はそちらをお読みいただくとして(手抜き)、いつの間にかアプリやヘルプも日本語訳されかなり馴染みやすくなってきました。5月に開催された「アクセシビリティ の祭典」ではNPO法人アイ・コラボレーション神戸さんが国内向けに実用化を目指しているというお話もあったりします。
とても期待しているシステムなのですが、なんとなくぼんやりしていたら試すタイミングを逸したまま幾星霜。思い立ったのでNaviLensが提供しているテストタグを入手し体験してみることにしました。
なおアプリの設定や使い方はVoice of iさんの記事がとても詳しいのでそちらをご参照ください(さらに手抜き)。テスト用のパーソナルタグはアプリ内からリクエストできます。

さてアプリをセットアップしタグをゲット、プリントアウトも済ませて準備万端です。NaviLensには様々な使い道がありますが今回はナビゲーションの使い勝手に絞って体験してみることにしました。ということでタグはA4サイズのものを使います。
お部屋の壁にタグをぺたりと貼り付け、できるだけ離れた位置(とは言え室内なので5メートルくらいですけど)からNaviLensアプリでタグを見つけ、その場所まで辿り着けるかが今回のミッションです。なお設定は全てデフォルトです。ではやってみましょう。

  1. スマホのカメラがタグをキャッチすると「カチッ」と音が鳴りタグの内容と距離が読み上げられます。複数のタグが見つかった場合は、最後に「カチッ」と鳴ったタグがロックされます。他のタグにロックしたい場合はスマホを動かして目的のタグをロックします。
  2. タグをロックした直後、「ポコッ ポコッ」と連続したサウンドが鳴り始めます。このサウンドはタグが正面にある場合は音が中心から、左右にずれている場合はその方向から聞こえてきます(イヤホンを使用)。
  3. サウンドが中心から聞こえてくるようにスマホの方向を調節したら、タグの方向へ向かって歩き始めます。
  4. あとは足元や障害物に注意しながら、サウンドが中心から聞こえるように方向を調節しながら歩きます。
  5. サウンドの音程や速度はタグまでの距離と向かっている法学により変化します。ヘルプによると、画面で捉えているタグの位置が上にズレていたら高音、下が低音、左が弱い音、右が強い音に変化するとのこと。
  6. タグまでの距離は定期的に音声で報告されます。距離が近くなる程サウンドの間隔が短くなり、50センチメートル以内に近づくと金属音(カチ、カチ、カチ……)に変化します。もう目的地は目の前です。

というわけで、難なくタグの場所までたどり着けました。5メートルですが。
とにかく良いと思ったのはコードの見つけやすさ。かなり雑にスマホを動かしても、しっかりタグをロックオンしてくれます。あとはサウンドの方向に従って歩くだけなのでとっても簡単。ただタグに向かって一直線に歩くことになるため、途中の障害物や段差などには十分注意する必要がありそうです。実際私はゴミ箱を蹴っ飛ばしてしまいました。

サウンドによる方向調節がキモと思われるので、イヤホン使用がおすすめです。できれば骨伝導のものがあると安全でしょう。サウンドの音量は結構大きく、筆者が使っている骨伝導イヤホンでは音の振動がビシビシ感じられました。
なお設定の「位置情報モード」から「音声ガイダンス」を有効にすると、向かうべき法学を音声(左、右など)で教えてくれます。イヤホンが使えなかったりステレオサウンドが苦手ならこちらを使うこともできます。
今回は試せませんでしたが、タグがたくさんある場所では、ある程度コードの場所を絞ったら「ズーム」をオンにしてキャプチャ範囲を狭くした方が混乱しないかもしれません。

さて結論。高速化つリアルタイムにタグをスキャンすることで、NaviLensはナビゲーションシステムとしても十分に実用的と感じました。タグまでの方向を常に補正しながら歩けるので、全盲ビギナーの筆者でもまず迷うことはなさそう。物理的なガイドなしで真っ直ぐ歩けるって素晴らしい。
基本一直線の誘導になるため、複雑なルート案内には工夫が必要になりそうですが、通路から屋内施設の入り口やインフォメーションまでの数メートルの誘導には威力を発揮するでしょう。点字ブロックが繋がっていないショップの入り口や自動販売機などをNaviLensで見つけられれば、外出が一気に楽しくなりそうです。点字ブロックである程度大まかな移動はできますが、その周囲にどのような施設があるのか、わからな移ことが多いですからね。お店の人をキャッチできればもうこっちのもんです。
タグには色々な情報を登録できますから、多機能トイレの案内や空いている座席を見つけるなど、アイデア次第で視覚障害者へ様々な情報を提供できるでしょう。なんといってもビーコンやRFIDなどに比べ導入コストが圧倒的に低いのが魅力です。
スマホが必要という条件はありますが、視覚障害者の支援技術としてかなり筋の良いシステムではないかと感じました。


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