2020年6月5日金曜日

PS4ゲーム「The Last of Us Part II」は全盲ゲーマーに光をもたらすか。


2020年6月19日、Playstation 4向けに発売予定のアクションゲーム「The Last of Us Part II」に注目している。開発は「UNCHARTED」シリーズなどで知られるNaughty Dog。
全盲なのでスクリーンショットを見られないのが残念だが先行レビュー記事を読む限りアクション性はもちろん演出・視覚的にもゲーム表現の先端を走る大作であることは想像することができる。発売前からすでに期待値も高まっており、先鋭的なアクションゲームとして大きな話題となることは間違いないだろう。

そしてこの作品が先鋭的であるもう一つの理由がある。それが「アクセシビリティ」への取り組みだ。
心身に障害を持っていたり病気やケガで認知や行動に制限があるユーザーがデバイスやコンテンツを利用する上で障壁(バリア)となる要素を軽減しアクセスを容易にするアクセシビリティオプション。WebやPC、スマートフォン、映像配信サービスなどでは少しずつ進められているが、ゲームにおけるアクセシビリティへの取り組みはまだ少ない。
The Vergeのインタビュー記事によると、The Last of Us Part IIには現時点で60以上のアクセシビリティに関するオプションを持っているという。これには画面を見やすくカスタマイズしたり、音声の視覚化、コントローラーのカスタマイズ、時限入力のタイム調整など、視覚・聴覚・運動・認知など幅広い分野にまたがる障壁を解消もしくは軽減させるための内容が含まれている。
さらにIGN Indiaの記事によると、この作品のアクセシビリティ機能に含まれるテキスト読み上げと音声トリガー(画面の要素を効果音で知らせる機能)によって、画面を一切見ることなくプレイすることが可能とのことだ。もしこれが真実であれば、全盲ゲーマーには福音となるだろう。これまでゲームの視覚アクセシビリティ機能といえばコントラスト調整やテキストサイズの変更、カラーパレット変更などロービジョン(見えにくいユーザー)・色覚障害への対応が多かっただけに、全盲ユーザーを想定して制作されているThe Last of Us Part IIはかなり画期的といえる。まあプレイ可能=作品を楽しめるとは限らないのだが、メジャーなゲームが全盲ゲーマーへの最初の扉を開いたことは素直に歓迎したい。

これらのアクセシビリティ機能は、The Last of Us Part IIのゲームシステムにおける最優先事項として開発開始当初から仕様に組み込まれ、さまざまな障害を持つテスターのフィードバックによって繰り返し検討が加えられた。テキスト読み上げやハイコントラストモードといったゲーム全般に影響を与えるオプションを実装するためには、開発の初期からこのような機能を含める必要があったという。

ここ数年でゲームにおけるアクセシビリティの重要性に注目が集まっているが、Naughty Dogはその流れを素早くキャッチし、The Last of Us Part IIに結実させた。ここまで充実したアクセシビリティを実現するためには相当の時間と労力が必要だっただろう。この作品でアクセシビリティの有用性が示され蓄積されたノウハウが今後へ生かされれば、ゲームのアクセシビリティは大きく前進するかもしれない。

まだ発売前で実際のところは蓋を開けてみなければわからないが、視覚障害ゲーマーコミュニティの間でも話題になっており、間も無くその全貌が明らかになるだろう。
Naughty Dogはリリース後もアクセシビリティの改善を確約している。果たしてこの作品が「アクセシブルなゲームの見本」となるのだろうか。全世界から注目されている作品だけに、他メーカーなどゲーム業界全体へ与えるインパクトは大きなものになるはずだ。

なおこれらのアクセシビリティ機能が日本版で利用できるのかについては情報を見つけることができなかった。Playstation 4はシステムレベルでの日本語テキスト読み上げにはまだ対応しておらず、この時点で全盲ゲーマーにアクセシブルとは言い難い。ゲームにかかわらず同じプラットホーム、同じ作品でも地域や言語によってアクセシビリティに格差が生じている問題は解消されて欲しい物だ。そのためにはプラットホームを提供している側の意識向上や技術提供も求められるだろう。


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